ぶーくん読書録

今まで読んできた本について、いろいろ書いてみる。
ほとんど、ネタバレ!!

上海幻夜 七色の万華鏡篇―朱雀十五シリーズ  藤木 稟

2011年09月24日 | 藤木 稟
2001年
トクマ・ノベルズ



こちらは、朱雀十五シリーズの番外編である。
1910~1930年代の上海が舞台となっている。
この時代独特のエログロで眩惑的な雰囲気が私は好きだったりする。

本編にでてくる人物の過去が短編で語られる。

アヘン中毒の華人の治療に奔走する、日本人僧侶の慈恵
龍華会の李大人の孫娘である香蘭が出会い、治療の手伝いをすることで
お互い惹かれていく
「赤い幇の抗争」
十五の両親の出会いを描いた作品である。

「緑洞に棲む異形者たち」
は、紫禁城で生きる宦官の話。
親に売られる形で宦官となった高悦だが、
うまく立ち回っていくうちに紫禁城内で力をつけることになる
失ったものを取り戻すために狂気が芽生える。

「橙と呼ばれた少女」
は、貧しい家に生まれ、娼館に売られた少女が
出世のためにだれよりも小さな纏足を作ることに賭けていたが
ある日、纏足の足から最近が入り、あっけなくなくなってしまう。
幼少の十五が目の当たりにする、貧富と差別。

探偵編とは違う朱雀シリーズで、ちょっと期待です。

犯人に告ぐ 雫井 脩介

2011年09月18日 | 小説-日本-
2004年
双葉社
☆☆


面白いか面白くないかというと、大変面白いと思う。
ただ、どうしても生理的にダメな登場人物がいるとトーンダウンしてしまう。
この本の舞台が知ってる地域であり、細かい地名なのども良くわかる。
なので、大変臨場感もあり面白いと思うのだが、
とにかく、ダメな登場人物がいたせいでなかなか進まなかった、
しかし、途中でこの人物が外れた時点で一気に読みました。

神奈川県警の巻島は誘拐事件においてミスを犯し、人質となった少年を死なせてしまう。
その責任をうけ、テレビでの記者会見をすることになったが、
そこでも”キレ”てしまう。

6年後、
川崎市で連続殺人事件が起こる。
事件に進展はなく、神奈川県警ではテレビ局と公開捜査を行うことを企画する。
そして、その矢面に立つのが6年前の事件によりマスコミで失敗をした巻島だった。

巻島の上司として植草がつく。

巻島がテレビに出ることで、犯人からの接触を待つという方式で
テレビ局の視聴率もあがるが、
このテレビ局のライバル局の女性アナウンサーと接触を持ちたい植草は捜査の情報をこのアナウンサーにリークする。

この植草という人物がどうも鼻もちならなくて嫌だった。
それでこの自分物がでてくるあたりは、嫌悪感が先に立って、本を読む気をなくしてしまうほどだ・・

犯人の手紙が投かんされることなく、道に落ちていたことから一気に事件が進んでいく。

途中、巻島が植草をやり込めるシーンがあり、スカッとして
クライマックスを読むことができた。







火の粉 雫井 脩介

ルームメイト  今邑 彩

2011年09月17日 | 小説-日本-
2006年
中公文庫
☆☆


以前、この方の作品を読んで面白かった記憶があり、手に取ってみた。

本当は、ハードカバーの本を今現在は読んでいるのだが、
ちょっとお出かけするのにハードカバーはじゃまなので、
この本を持って出かけた。

すると、おもしろい!
読みふけってしまって電車を乗り過ごす勢いだ。
結局、一日で読み終わってしまった、面白い本はあっという間に終わるのでもったいない。

そして、この作品であるが、
萩尾春海は、部屋探しをしているときに西村麗子という人物と出会い、
ルームシェアをすることになった。
ところが、4ヶ月立ったころ折半にするはずの家賃が麗子から振り込まれない。
そして、その麗子が部屋に戻ってこない、さらに麗子の母親に連絡するも
連絡がつかないでいた、
そこで麗子の祖父母の家と言うところに連絡をすると
そこには、”ちがう西村麗子”が居た。

そこで、麗子の部屋にある電話で再ダイヤルを利用して電話をすると
松下という男性が出た。
西村麗子と名乗っていた人物は、この松下の内縁の妻で由紀と言う名前だった。

さらに、本物の西村麗子と会い話をすると、ニセ麗子は青柳麻美で麗子の実の母親だとう

しかし、麻美は何者かに殺害されていた。
春海は麻美がほんとうはどんな人物だったのか知りたくなり
大学の先輩である工藤謙介と共に謎を解こうとするが・・・


第三部あたりで、大体の謎は解けてきたが
どう落としどころをつけるかが楽しみだった。


よもつひらさか 今邑 彩

「ケルト神話」がわかる ダーナの神々、妖精からアーサー王伝説まで  

2011年09月16日 | 小説-日本-
2009年
ソフトバンク文庫NF



知らないようで知ってるというか、
小説のモチーフ、ゲームのモチーフなどところどころで使われていて、
意外と知ってるな~
と、いうのがケルト神話である。
たしか、指輪物語もケルト神話が核にあったのではないだろうか?

ケルト神話の代表と言えばやはり
アーサー王の物語、
あと、この本の中ではクー・ホリンと表記されているが、
クー・フーリンはケルト神話だと認識していたが、

ドルイド
デュラハン
ゴブリン
ケット・シー
などは、名前は知っているがどういう物語を持っているモノかは知らなかった。

この「わかる」シリーズだと、一つにつき少しづつしか説明が無いが
入門書、もしくは忘れていた記憶を呼び戻すのにはもってこいだ。

子供の頃、(たぶん小学生レベル)に
世界名作全集なる、一見百科事典に見えるような全集があった。
装丁も重厚で美しく、背表紙には金文字で
国名が書かれていた。
日本をかわきりにアメリカ、イギリス、フランスなど大まかな区分けで
その国の有名な話が収録されていた。
その中で円卓の騎士団を読んだのだと思う。

今度は、きっちりと神話を読んでみよう。

バチカン奇跡調査官 千年王国のしらべ  藤木 稟

2011年09月12日 | 藤木 稟
2011年
角川ホラー文庫
☆☆


バチカンの神父、平賀とロベルトの奇跡調査シリーズの第四弾である。

今回の奇跡調査の依頼は
ルノア共和国にあるラプロ・ホラの司祭アントニウスは
奇跡の治癒力で人々の病を癒し、自らも一度死んで蘇ったという。
この奇跡により司祭アントニウスを聖人申請を申し込んできたのだ。

二人が現地についてすぐ
アントニウス司祭は川の”上”を歩いて平賀たちを出迎え、
平賀とロベルトはともに川の”上”を歩いて教会に向かった。

さらに、ミサの日にアントニウス司祭は目が見えなかった者の視力を回復した。

アントニウス司祭が射殺された資料を集めて検証するも、
一度死んでから蘇生したとしか結論づけることしかできない状況となる。

そして、平賀がサタニストにより薬品を噴霧され瀕死の状態で発見され、
息を引き取るが、そこへアントニウス司祭がやってきて
平賀を蘇生させる。

平賀もロベルトも今回は奇跡申請を認めざるを得ない状況となったが・・

残り3分の1になったところで、
二人が違和感を感じで再始動を始めるが
ドラマで言うと、一気にアップテンポの曲に代わって捜査が動き出すような感じである。

しかし、今回は
二人とも真相にたどり着くが、敗北する。

今まで読んできて、
このシリーズだと、2作目が一番おもしろいかな・・


バチカン奇跡調査官 藤木 稟

バチカン奇跡調査官 Truth2 サタンの裁き 藤木 稟

バチカン奇跡調査官   闇の黄金 藤木 稟

超訳 ニーチェの言葉 白取 春彦

2011年09月05日 | 小説-日本-
2010年
ディスカヴァー・トゥエンティワン
☆☆



書評などで、これはニーチェの言葉ではないというのをよく見かける。

わたしはニーチェを読んだことが無いので、
そうなんだ~、と、思うが
この本は、この本で良いと思う。

当たり前のこと、
漠然とそうだと思っていたことでも
文章として書かれていると、
そうだ!そういうことなんだ、と、納得できる。

「満足が贅沢」
と言う言葉があった。
満足の尺度を変えるだけで、どんな人でも贅沢を味わえる。
ブランド品に身を固めて、高級レストランで食事することも”満足”を得ることができるかもしれないが、
近所の定食屋で気が置けない人と楽しく談笑しながら生姜焼き定食を食べるのが満足なら、
それも贅沢なんだと。
要は自分自身の気の持ち方で、十分贅沢な日々を送れるということなんでしょうね

「平等の欲望」
他の人を自分のレベルまで下げる平等
自分と他の人を引き上げる平等
なるほど、と思った言葉だった。
いくら、平等をとなえても、発展性の無い平等ならばむしろ足かせになる。


この本を読んで、人生変わるとかそういう感覚は無いが、
自分を確認するために時々開いてみようと思った。

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