ぶーくん読書録

今まで読んできた本について、いろいろ書いてみる。
ほとんど、ネタバレ!!

12番目のカード  ジェフリー ディーヴァー

2011年11月17日 | 小説-海外-
2006年
文藝春秋
☆☆

四肢麻痺の元鑑識官、リンカーン・ライムのシリーズです。

このシリーズの一作目「ボーン・コレクター」がものすごく面白かった。
プロットも良いが、ものすごいスピード感だった。

で、このあと、コフィンダンサー、エンプティチェアを読んだが
ボーンコレクターがすごすぎて、この二作品がなんとなくがっかりした記憶がある。
決して、面白くないというのではなく続けて読んでしまって
その差があったということだ。

今回は、たまたま義兄にこの本を頂いて
”あの”シリーズか・・と、懐かしい思いで読んでみた。

やっぱり、面白い!

高校生のジェニーヴァ・セトルは自分の先祖にあたる
解放奴隷のチャールズ・シングルトンについて図書室で調べものをしてた。
ところが、そこでジェニーヴァは見知らぬ男に襲撃されそうになるが
機転を利かせてその場から逃げることができた。
一見、レイプ目的のように見せかけているが、
その場から、チャールズ・シングルトンについての記事が入ったマイクロフィッシュが
持ち去られていることからチャールズが関与した140年前の事件が何かの鍵を握っているのではないかと
ライムは考える。

そこからは、襲撃犯とライム&サックスとの頭脳戦が繰り広げられるのだが、
ここも見どころである。

どんでん返しに次ぐ、どんでん返しで
久々に読んだディヴァーは面白かったです。

この本の中で、文書鑑定士のキンケイドも登場しているが
実は、このキンケイドが主役の
「悪魔の涙」も好きな作品だ。



ボーン・コレクター

卵をめぐる祖父の戦争 デイヴィッド・ベニオフ

2011年10月25日 | 小説-海外-
2010年
ハヤカワ・ポケット・ミステリ
☆☆☆


この本が、ミステリ枠なのかちょっと疑問であったが、
それでも、この本は良い本だと思う。

話は脱線するが、
本屋大賞という賞は日本人作家限定なのだろうか?
本屋はある意味、本のエキスパートなのだから、
ただ売れているだけでたいして内容の無い「謎解きはディナーのあとで」みたいな本を大賞にするくらいなら、
こういう「良い」本をすすめたらどうだと言いたい!

第二次世界大戦中のソ連を舞台に
青年兵コーリャと十七歳の少年レフの卵を探す旅の話である。
と、書くと、なにかのアドベンチャー小説かと思うが、
れっきとした戦争物である。

レフはある夜、ドイツの落下傘部隊兵が投下途中で凍死死体となって降りてきた兵士のナイフを手に入れたことで、
刑務所に入れらる。その牢屋には先客がいて、脱走兵のコーリャだった。
処刑されるものと思っていた二人が連れて行かれたのは
大佐の屋敷で、大佐の娘の結婚式用のケーキのために、卵を1ダース探して持ってこいと言うものだった。
戦時下、卵を手に入れることが困難で
それ以前に一般市民は食べることすらできなくなっていた。

戦争は一般市民を飢えさせて疲労させているのに、
上層部の一部の人間は、暖かい屋敷にいて、食べる物にも困らず、
結婚式のためにケーキを作るという戦争の理不尽さを表現している。

さらに、この二人が卵を求めて旅をするのだが、
その先には、食べ物がなく本ののり部分を集めて作った飴だとか
鶏を守るために死にかけている少年や、
爆薬を積んで敵兵に向かうように訓練された地雷犬
毎夜、ドイツ兵の相手をさせられる少女
実際、読んでいてつらくなる部分が多いが
この本の主人公二人が若者らしい会話をしながらの冒険譚にすくわれる部分がある。
ただ、若者らしいということで、かなり下品な会話が多いのですが・・・
しかし、そんな青年たちも人を殺さなくてはいけないという
戦争の理不尽さを考えずにはおれない。

コーリャは見た目もいい男のようだが、人間としても実にいい男で、
おしゃべりで勝手そうにみえて、常にレフに不安を与えないようにしていたり、
ドイツ兵との話のくだりでは
”ユダヤ人”であるレフをそれと思われないようにしたり、
最後もレフを不安にさせないように微笑みながら目を閉じるところは
ジンとなった。

最後はコーリャも「よかったな」って、言っているかもしれないな・・と、思った。

ヒストリアン・II  エリザベス・コストヴァ

2011年10月17日 | 小説-海外-
2006年
日本放送出版協会




ほとんどネタバレです。ご注意を!!

世界史に明るい人ならば、
歴史部分で楽しいと感じることができるのだろうか?

わたしは、世界史には疎く、歴史小説としてはあまり魅力を感じることができなかった。
私が期待してたのは
ミステリ、この場合であるとホラーミステリになるのかファンタジーミステリとなるのか・・・たぶん後者だろうな・・

ただ、納得のいかない部分が多かった。
わざわざ謎の竜の本をヒストリアン(この本ではとにかく歴史学者をポイントとしたいらしい)の手に渡し、興味を持たせておいて邪魔をする。
手下となった者がドラキュラの元へ行きたいので調査をしているヒストリアンに接触するのはわかるが、
選ばれたヒストリアンの近しい者を殺したり、事故に合わせたり・・猫を殺したり・・
調査に恐怖感を与へ、調査を断念させようとする
のちにわかったのは、
ドラキュラが警告したのにもかかわらず、調査を続けたという記述があったが、
警告としてはあの程度?って、感じでしたし
ロッシに至っては、警告したのにたどり着いたただ一人の人物だと言っていたが、
そもそもロッシは謎を解けないでいて単に拉致して連れてこられたのに
”たどりついた”とは、片腹痛い・・・
さらに、そのあとには
二人ほど、ここにたどり着けそうだから他に移る的なことも書いてあった気がするが、
謎を解いて、この場所にたどり着けるほどのヒストリアンを求めてるんでしょ?
なんで、たどりついちゃいけないの?どうしたいの?と、イライラがつのる。

さらに、
なんでロッシはヘレンの母親を忘れてしまったのか
ヘレンがドラキュラの子孫でそれがどうしたのか?
特にヘレンが子孫でどうのということはなかったような気がする。
ただ、二度噛まれているので次回噛まれれば死なざる者になるということだが、
それならば他の人も一緒だから子孫も関係ないし、
そういった謎をほったらかしたまま、
景色やその場の描写にものすごい行数を費やしていて
視覚的想像は、素晴らしいとおもうが、その間、それらたくさんの謎(結構謎だらけ)については書き捨てのような感じがしてならなかった。

とにかく、手紙、本の連続でほとんどが過去形で手紙の形態をとっているので
どうにも臨場感がとぼしく、文章も平坦になるのであきてくるというのが正直な所だった。

そして、この本の最大の主題であるが、
竜の本、多数のヒストリアンたち、吸血鬼、で
ドラキュラの真の墓を巡る話だと思っていたのでこの本の流れや構成に随分とイライラさせられたが、
この本は、主人公の母親を探す旅だと思うと、
そういうこと・・・って、多少は納得がいく。
ただ、どうして母親が失踪したのかに対する説明に本の4分の1を割いているというのがなんとも・・・
そして、その答があっさり数ページで終わってしまう。
なんというか・・・
全体的に中途半端な感じを受けました。


ヒストリアン・I エリザベス・コストヴァ

ヒストリアン・I エリザベス・コストヴァ

2011年10月12日 | 小説-海外-
2006年
日本放送出版協会



この翻訳者の方の文章が肌に合わないのか、
読み始めるとすぐに睡魔に襲われる。
普段、本を読んで眠くなることはないのだが(むしろ、眠れなくなる)
そんなに、変な文章と言うわけではないので、単に自分が合わないだけなのだろう。

ある日、父親の書斎から一冊の本を見つける。
その本の中ほどには竜の挿絵がかかれ、その本とともに手紙を見つける。

その後、父親はその父親と少女の母親にまつわる竜の本を巡る旅について語り始めるのだが、
少女とともに旅をしながら、ほんのちょっとづつ語っていく。
それが、実にまどろっこしい。

旅行に行ってはちょっと話して、そのあとを語りたくないと次の旅行まで話がお預けになる。
紀行小説なら、とても面白く読めると思うが、
この本の本筋は、
竜の挿絵が書かれた本にまつわるドラキュラの話であり、
私としては本筋の方をきっちり進めてもらいたい。

父親の回顧の話で
彼の恩師のロッシ教授も同じを本を所持し、その本の謎に挑んだ一人であることを知る。
ところが、そのロッシ教授が不可思議な状態で失踪してしまう。
ロッシ教授を探す鍵は竜の本にあると考え、調査を始めるが
そこへロッシの娘だというヘレンと出会い、二人で調査を始めていく。

そして、父親とオックスフォードへ行ったが
その日を境に父親は母親を探しに行くと置手紙をしていなくなってしまう。

ここからは、
父親から娘に当てての手紙での話と、
主人公の父親を探す旅の現在と過去を織り交ぜての謎解きになる。

ほとんどは父親の話で娘パートの部分はおまけ的にしか見えないので
娘視点で書く必要があったのか、今は疑問である。

この本では、
ロッシとヘレンの母親の話、竜の本を持っている人物が登場するなど
いまだ謎だらけである。

次のⅡで爽快に謎が解けるのを期待する。

ラスト・チャイルド上下 ジョン・ハート

2011年05月16日 | 小説-海外-
2010年
ハヤカワ・ミステリ文庫
☆☆



下巻はまさにジェットコースターのようでした。
あれよあれよと、前半にばらまかれたピースがハマっていき、一気にパズルが仕上がるような感じです。

まだ十三歳のジョニーの家は、
双子の妹の誘拐によって崩壊する。
父親の失踪と、くすりと酒に溺れる母親、
その中でも、ジョニーは妹が戻ってくることで一家がもとに戻るのではないかと
友人のジャックに手伝ってもらいながら捜査をしていた。

ジョニーの妹アリッサを見つけることができず、
その間のジョニーの一家の悲惨な末路に責任を感じている担当刑事のハント
事件の解決ができないことへの焦りと
ジョニーの母親、キャサリンへの感情にアリッサ事件へのめりこむ。

酒と薬に溺れる母親は、町の有力者のケンの言いなりになり、
いつもふらふらな状態にある。
そんな、母親をジョニーは支えながら、妹が戻れば家ももとに戻ると信じて
ジョニーなりの捜査をしているときに
同じ学校に通っている女の子が誘拐される、
さらに、聞き込みをし、学校をさぼったジョニーがけがをした人を発見し、
恐怖で逃げる途中に脱獄囚とであう。

次から次へと
色々な人が登場しては死んでいくが、
最後には、綺麗にそれらがつながっていく。

けなげに一家をもとに戻そうとするジョニーに対し、
現実逃避して、息子の面倒すらきちんと見なかった母親が
変わっていくところや、
ジョニーが父親の子だったんだな~と、最後は悲しい結果であるが希望のある最後だったのが読後感をスッキリさせてくれた。

ハリー・ポッターと謎のプリンス J. K. ローリング

2010年11月06日 | 小説-海外-
2006年
静山社
☆☆



面白いか面白くないかといわれれば、面白いともうのですが・・・・

確かに、3巻まではとても楽しく読んでいたが、
回りの大人がハリーをあまりにも特別扱いしすぎて
ハリー本人が増長してるというか・・・

とにかく、鼻につくのです。

ハリーポッターファンの方すみません・・・って、感じですが
私の場合は、ここまで読んできたから惰性で続巻読んでる解いた感じですね。

で、シリーズ第6巻ですが、
マルフォイが何かを画策しているのではないかと
疑うハリーに、ロンもハーマイオニーもその疑問を否定する。

そんな中、ハリーの手にした教科書には
半純潔のプリンスと書かれ、
手書きの書き込みには、プリンスの考えた魔法や、魔法薬のつくり方があり、
そのおかげで、ハリーの成績は良くなった。
しかし、その教科書に疑問を抱くハーマイオニーに対して、
ハリーはかたくなな態度をとる。

来たるべき時に備えて、
ダンブルドアがハリーに特別授業をスタートさせ、
ヴォルデモートの過去に、倒すべくヒントを探すための
旅を始めるのだが・・・

ハリーの短絡的な考えと行動がいつもイラっとくる。

そして、かたくなにスネイプを敵視しているところも、鼻につく(物語なんですけどね)
ハリーの父親もはっきり言って、いいやつじゃないと思うが、
そっくりだな・・と、思うのだ。
そして、スネイプはやっぱり、ダンブルドアの側ではないかと思っているのだが・・(自分が)

古い骨 アーロン・エルキンズ

2009年02月26日 | 小説-海外-
1998年
ミステリアスプレス文庫
☆☆☆



スケルトン探偵シリーズの一作目。
オリバー教授が、骨から死因などを探り出し、犯人を探し出すと言う探偵小説である。

モン・サン・ミシェルの浜辺で富豪の老人が亡くなった。
老人の館の地下からは古い骨が発見されて
フランスに訪れていたオリバー教授のもとに警察から骨についての検証を依頼されて、事件に巻き込まれる。

その館でおこる事件を地下から発見された古い骨から謎を解いていく。

専門用語などは、わからないがそれでも
風景などの描写がすばらしく、楽しめる。

探偵になりたい パーネル・ホール

2009年02月24日 | 小説-海外-
1998年
ハヤカワ・ミステリ文庫
☆☆

控えめ探偵スンタンリーが活躍する一作目
探偵といっても、事故専門の調査員であるスタンリーがひょんなことから殺人事件に巻き込まれる。
いわゆる”探偵小説”とは違って、大丈夫?って感じの探偵である。

なぞ自体はそれほど難しいわけではないが、
文章が面白い。ユーモアたっぷりである。

ミス・メルヴィルの後悔 イーヴリン・E・スミス

2009年02月20日 | 小説-海外-
1997年
ハヤカワ・ミステリアス・プレス
☆☆



ミス・メルヴィルは名家のお嬢様だ。
と、いってももう”おばさま”だが・・・

名家とはいえ、貧乏暮らしで美術教師という職も失ってしまう。
自殺をしようと思っていたが、ひょんなことから職がみつかる。
それは、”殺し屋”という職業であった。

没落してはいるが、名家の出である彼女が
その出自をいかして品のいい?殺し屋という妙な設定。
全体的に、ユーモアがあって非常に読みやすい本である。

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