ぶーくん読書録

今まで読んできた本について、いろいろ書いてみる。
ほとんど、ネタバレ!!

臨場 横山 秀夫

2009年03月29日 | 小説-日本-
2007年
光文社文庫
☆☆



本の新規開拓はなかなか難しい、だから同じ系統同じ作家の作品に偏ってしまう。
だから、オススメされたり貸してもらったりすると新たな発見があったりする。

この本も、オススメ本である。

検視官の話である。
”検視”のみで話が進んでいく。
ミステリだと単なる入り口の”検視”というパートだけでこれだけの深さがでるのかと驚いた。
8編の短編からなっているが、
どれもその事件の前後の人生が垣間見えるようであった。

私は特に、「餞」という作品が好きである。
”托卵”というキーワードがとても悲しくもあり切なくもある。


QED~ventus~〈鎌倉の闇〉 高田 崇史

2009年03月27日 | 高田 崇史
2007年
講談社文庫
☆☆



ventusということで、今回は事件と祟たちは直接関係はしないが、
鎌倉、そして源氏のなぞを解き明かす事で、事件の謎をとく。

この本については、
事件事態はそれほど面白くも無いが、
鎌倉のガイドとしてじつに面白かった。

奈々の妹である、沙織は出版社に勤めている、
そこで鎌倉の特集を組むという事で、
祟に鎌倉のガイドをお願いして三人で散策をするというはなしである。

コースととしては
先ずは姉妹だけで
円覚寺
東慶寺
浄智寺
明月院
それぞれ、寺についての説明がされている。

そして、祟が合流してからが
葛原ヶ岡ハイキングコース
鎌倉についての薀蓄が満載である。

そして、
葛原岡神社
銭洗弁天
佐助稲荷
鶴岡八幡
長谷寺
御霊神社
極楽寺
江ノ島神社

それぞれの説明あり、
源氏、頼朝・義経のはなしありで
”鎌倉”の楽しみ方を再認識できた。
ちなみに、この本どおりに鎌倉探索もしてきた。

QED〈龍馬暗殺〉  高田 崇史

2009年03月26日 | 高田 崇史
2007年
講談社文庫




今回は、坂本龍馬を暗殺したのは誰かという話。
なんとなく、このシリーズで幕末を扱うのは珍しいと思った。
以前、シャーロックホームズの謎にせまった作品あったが、
そちらは面白かったが、
他の作家などに書きつくされた感のある坂本龍馬はなんとなく新鮮味にかけてしまった。

内容は高知の山奥、平家落人伝説のある蝶ヶ谷村の大学の後輩の家に行った
祟と奈々は、その日の土砂崩れによって村全体が密室のようになる。
そして、殺人事件がおこる。
村に住んでいる人々の名前と坂本龍馬の死にかんする手紙が事件の謎を解く鍵となる。

そして、クライマックスは誰が(どの藩が)龍馬を殺害したのか!

バラバの方を 飛鳥部 勝則

2009年03月24日 | 小説-日本-
2002年
トクマノベルズ
☆☆



はっきり言って、この本は好き嫌いがはっきりすると思う。
だから、わたしは好きだが”お勧め”はしない。

大物画家の施設美術館の開館日、そこには死体の山であった。

新聞記者の持田のもとに手紙がとどいた。
その手紙には、五人の聖人の殉職のすがたが書かれていた。
死体は、その殉職のすがたそのままに殺害されていた。
猟奇的な殺人劇に隠された秘密とは、
題名になっている「バラバの方を」は、
ユダヤの習慣で過越の祭りの時、囚人を一人許す。
キリストとバラバどちらを許すのか、民衆に問うた時、
民衆が口々に「バラバを許せ、バラバの方を」といい
キリストは磔にされた。
このエピソードをかけている。

しかし、この本の奇怪なところが最後の数ページ、
狂気が集約されている。

愚者と愚者  打海 文三

2009年03月23日 | 小説-日本-
2006年
角川文庫




こちらは、シリーズ物の第二段であった。
気にせず、購入してしまったので読み始めてかなり戸惑った。
基本的に、シリーズ物は順番に読むのがいい。

やはり、好みというのがあるので、否定はしないが
この本の何処が面白いのかが、私にはわからなかった。

まず、この本の世界観をよみとらなくてはならない(二作目なので)
はじめの4分の1はこの本の背景と人間関係を確認するのが大変であった。

近未来の日本なのか、それとも仮想日本という設定なのか
”県”単位で軍があり旧政府軍、仙台軍、常陸軍といったぐあいである。
軍やテロリスト、マフィア達の日々がたんたんと進んでいくといった感じである。

上下巻もので
上巻では、常陸軍、孤児部隊司令官の佐々木海人を中心に
下巻では、女の子マフィアのリーダー椿子を中心に

混沌とした世界で、一つの部隊を指揮することの責任と苦悩、裏切りなどを経て成長する姿というのだろうか・・・
この本の中での”良心”というのが佐々木海人ということなのだろうか。

QED 竹取伝説 高田 崇史

2009年03月20日 | 高田 崇史
2003年
講談社ノベルズ




今回は「なよ竹」かぐや姫の話である。

ある村に魔のカーブがあり、そこにある竹林の中の一本が光るという。
その村には笹姫様の伝説があり、その言い伝えになぞられた殺人事件がおこる。

この村の歴史と、竹取物語でかたられる真実を解き明かす事で事件を解決する。

今回は、ちょっとこじつけな感じがいなめない。
う~ん・・と、いったところか・・

ハーメルンに哭く笛―探偵SUZAKUシリーズ 藤木 稟

2009年03月18日 | 藤木 稟
2001年
徳間文庫
☆☆



すっかり、ハマっている朱雀シリーズですが、
今回は、昭和10年上野で子供達30人が失踪する。
翌々日、墓地でまるでお地蔵様のように子供達の死体が置かれているのが発見される。
奇しくも、このころ街にはハーメルンの笛吹き男が現れるという噂がまことしやかに語られていた。

731部隊、人種差別による大量虐殺など帝都の暗部により引き起こされる事件の真相を朱雀が解き明かす。

QED 式の密室 高田 崇史

2009年03月16日 | 高田 崇史
2002年
講談社ノベルズ
☆☆☆



実は、QEDシリーズとの出会いはこの本であった。
歴史の謎と事件をからめるとう手法にすっかり魅せられて、
このシリーズにどっぷりとハマるきっかけになった。

桑原崇、棚旗奈々、小松崎良平の三人が酒を飲みながら学生時代の話をはじめる。
同じ大学の弓削和哉から、昔、和哉の祖父がみまわれた事件の話を聞くことになる。
その事件とは、陰陽師の末裔である祖父が密室で亡くなっていた。
警察は自殺とみるが、和哉は殺人であると考えていた。

今回は、陰陽師安倍晴明の式神のなぞと、この古い事件の謎を解いていく。

式神の謎については、なるほど!そういう考え方があるのか!!と、
驚く事しかりである。
安倍晴明については、どちらかというとファンタジックな話が多いが、
この本で語られる式神は「そういうことなら、実在したかも知れない」と納得できる。
短い話であるが、読みごたえがあった。

封神演義 許 仲琳 (著), 佐竹 美保 (イラスト)

2009年03月15日 | 小説-アジア-
1998年
偕成社
☆☆☆



上・中・下の3巻なる。
偕成社ということで、すべての漢字にルビがうたれていて、大変読みやすい。
さすがに、中国物であるため、とかく難しい漢字がおおい。

この本の良さは、枠外にイラスト付きで登場人物、言葉の意味、武器についての説明がかかれていて、苦痛なく読める。

封神演義自体は、痛快で面白いが、兎に角登場人物がおおく、
さらには、聞きなれない道具や武器がたくさんでてくるのだ。

物語は、妖姫妲己にそそのかされ殷の紂王が国を混乱におとしめる。
周の姫昌は紂王を討つため兵を挙げるが、志半ばで世を去る。
そして、その息子の姫発が即位し武王となり太公望(姜子牙)とともに長い戦いが始まる。

新紀元社からでている封神演義を見ながら読むと、尚面白い。
この本は、封神演義ガイドブックともいえる本で、登場人物についての説明が載っている。


伝説の「武器・防具」がよくわかる本 造事務所

2009年03月14日 | 小説-日本-
2007年
PHP文庫
☆☆☆

英雄がいて、伝説ができる。
その伝説の影には、”伝説の武器・武具”がある。

漠然と、”剣”と”刀”の違いを感じてはいたが、
両刃なら剣、片刃なら刀と定義してあり、なるほど!と納得である。

”剣”はどちらかというと西洋、
”刀”は日本という感じである。

アーサー王のエクスカリバー、
日本では、天叢雲剣(草薙の剣)などが紹介されている。

この本は、伝説の武器である所以を紹介しているので、読み物としても面白い。

刀では、
源氏に代々伝わる刀に「髭切の太刀」「膝切の太刀」があり、
その二振りの太刀が代が替わり酒呑童子退治の後、髭切は「鬼切丸」になり、
土蜘蛛退治ののち、膝切は「蜘蛛切丸」となる。
さらに、時代が変わって
鬼切丸は「獅子の子」
蜘蛛切丸は「吠丸」
さらに、「獅子の子」は「友切」となり、名が源氏にとって不吉である為、
「髭切」と名がもどり、木曾義仲の手に渡り、さらには源頼朝の手に渡る。
「吠丸」は「薄緑」と名を変え、源義経の手に渡り、
兄弟が髭切、膝切をもって平氏を討ち取ったとうことだそうな。

妖刀「村正」と徳川家の話や
「虎徹」と近藤勇の話、
日本刀といえば「正宗」
刀の章はかなり面白い。

日本以外なら、
関羽の「青龍偃月刀」
武器から、歴史を考えるというのも面白い。

槍の章では
オーディーンのグングニル
ゼウスのトライデント
聖なる槍のロンギヌスの槍
やはり、三国志好きのぶーくんは呂布の「方天画戟」はかっこいい。
日本からは「蜻蛉切」が紹介されているが、
つくづく思うが、”漢字”は美しい。
日本の武器は名前がとても美しいとおもう。

そのほかには、
大好きな封神演義から、太公望の「打神鞭」が紹介されていて、
今一、自分の認識が甘かった事がわかった。
”鞭”といえども、硬鞭で主に鉄でできていてどちらかとうと打撃武器らしい。

この本は、武器についての知識というよりも、
武器にまつわる伝説集のような話で面かった。

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