ぶーくん読書録

今まで読んできた本について、いろいろ書いてみる。
ほとんど、ネタバレ!!

二・二六事件とその時代―昭和期日本の構造 筒井 清忠

2012年02月26日 | 小説-日本-
2006年
ちくま学芸文庫
☆☆☆



思想と史実から二二六事件を考えるとうのがこの本の特徴。

まずは、
日本のファシズムについての説明があり、
このファシズム運動により、
隊付青年将校vs幕僚将校
の図式が出来上がってきて五・一五へ

さらに、
昭和の軍事エリートの章では
エリート養成システムと
長州閥、九州閥などの派閥間の対立の説明があり、
皇道派と統制派という大きなくくりができあがっていく。

先によんだ
「二・ニ六事件」の本は
兵の証言が主になっていてかなり下層からみた事件であるのに対して
こちらの本では、
軍の構造と時代背景からいかにして、何故二・ニ六事件が起こったのかを
考査している。

感情的にならず、冷静な目で事件を知ることができるほんである。

二・二六事件 平塚 柾緒

2012年02月23日 | 小説-日本-
2006年
河出文庫
☆☆☆


二月に入ったので、今年も読みます。
二・ニ六事件モノ

で、この本は、今まで読んだ中で一番わかりやすい。

資料や写真、証言などがふんだんに使われていて
時系列で説明されている。

事件発生から、事件の様相、そして裁判について
蹶起の将校たちは、自分なりの理想とかを持って事を起こしているわけだが、
その部下たちは、上官の命令として動いている。
その部下たちの疑問の声が心に響いた。
彼らは、上官の命令は天皇陛下の命令だと教えられてきた、
ところが、反逆者としてあつかわれ、
その後の戦争でも、激戦地へ送られ
他の兵たちと差別され続ける。
「命令と服従」の矛盾に苦しむ。

さらに、中心的な役割をはたしている
尉官級の将校たちは、
地方の農村地区の貧困の原因は今の政治体制であり、
内閣を一新せねば、国が疲弊する
国を救うために、蹶起したはずが、
この事件を機に、一気に太平洋戦争に突入して
さらに、国を疲弊させてしまったというのは、
実に皮肉な結末だったと思う。

彼らの行った行為は、
客観的に見て、無謀で野蛮で決して肯定できるものではない。
ただ、そうしないといけないと思うほど、
政治は腐敗してたんだろうとは思う。

妖怪アパートの幽雅な日常3  香月 日輪

2012年02月08日 | 小説-日本-
2009年
講談社文庫
☆☆


魔道書をある程度扱えるように修行をしている夕士だが、

かといって、この魔道書でなにか事件を解決とか考えてはいない(とうか出来そうもない)

日々であったが、

この学校に幽霊騒ぎが起きる。

首を突っ込むつもりはなかったが、首を突っ込むことに・・・



女性への怨念をもつモノが、前の赴任先で女性不信になった教師に取り付き

霊能者である秋音ちゃんとともにその教師を助けに行くが・・



救う、救わないのボーダーが「見捨てないこと」

隣にいても手の届かない人がいる、

しかし、縁があれば離れていても手が届く、



後悔しないためには自分自身最善を尽くすこと、



なんだか、妖怪や、アパートに住む人たちと過ごすことによって

どんどん夕士くんが成長する過程がよく見える。





妖怪アパートの幽雅な日常2 香月 日輪

2012年02月07日 | 小説-日本-
2009年
講談社文庫
☆☆


妖怪アパートもとい、寿荘に戻ってきた夕士だったが、

ある日、古本屋が仕入れてきたという「魔道書」に主と認められ

はからずも、タロットの大アルカナを模した22の妖魔を呼び出すことができるようになったのだが・・

そして、長谷といるときに魔道書の案内人が現れ

夕士が置かれた状況を長谷に伝えることになり、

アパートに長谷がくることになった。


この魔道書の面々が、笑える!

微力でスタミナのない「ジン」

微風の風の精

ボケた知識の梟

ケルベロスだけど子犬とか

すでに死んでるクリに3日後に死ぬと予言する死神など

実に笑えるのだ。



そして、多少ビビりながらも

夕士の置かれた状況を受け入れる長谷くん

お互いを認め合って二人で成長している姿が

なんだかほのぼのした。


左近の桜 長野 まゆみ

2012年02月06日 | 小説-日本-
2011年
角川文庫
☆☆



かなり好き嫌いが分かれそうな作品である。

逢引き宿の長男、桜蔵は人ではないものを寄せ付けてしまう。
宿屋「左近」は、その性質上、ちょっとわかりずらいところに建っていて、
お客を駅まで迎えに行くことが多い、
その日も、印袢纏に提灯を持って迎えに行くと
サラリーマン風の男性が待っていた。

宿に案内し、部屋に通したのだが、
しばらくすると、
迎えに行ったはずの客から連絡がはいり、みちにまよっているとう。
あわてて先ほどの客を通した部屋を確認に行くと誰もいなかった。

と、書くとホラーっぽいですが、
ホラーではなく、幻想的な感じです。
とても景色が良い

たとえば、
先ほどのサラリーマン、一番湯がキライだからと、桜蔵に風呂を使わせる、
その風呂が、桜の花びらで花筏ができているとか、


他の話では、
珍しい蝶の標本を持ってきたので預かってほしいと、やはり人でないものがやってきて
その標本を桜蔵の背中に転写してしまうとか、


この本に出てくる、死者たちはとにかく”粋”なのだ。
そして、
いつも、ヤバい!!と、思った時には死者たちにうまく扱われてしまうのだった。



ランキングに参加しました

人気ブログランキングへ