ぶーくん読書録

今まで読んできた本について、いろいろ書いてみる。
ほとんど、ネタバレ!!

ダブル・ジョーカー 柳広司

2010年02月24日 | 小説-日本-
2009年
角川書店
☆☆



帝国陸軍内にあるスパイ養成機関である、D機関のスパイたちの活躍を描く第二弾である。

短編5話からなっているが、
圧巻だったのが、
表題になっている「ダブルジョーカー」である。
結城中佐率いるD機関では、陸大や陸軍士官学校を出たものはおらず、
いわゆる”地方人”といわれる帝大や慶応もしくは海外の大学を出た者たちをを訓練する。

それに対し、風戸中佐率いる風機関では、すべて陸軍エリートからの選抜である。

同じ諜報機関は2つも必要ない、どちらかがスペアとなる。
風機関が一気にD機関を追い落としにかかるが・・・・

最後、結城中佐のかっこよさにしびれます。

結城中佐のスパイ時代を描いた「柩」
偶然、起こった列車事件で不審な所持品(スパイ特有の品)を持った死体により
狐狩り(スパイ狩り)のドイツ陸軍中尉ヴォルフは
以前、辛酸をなめさせられた通称”魔術師”というスパイの匂いをかぎつける。
駆け引き勝負の行方は・・・


ダブル・ジョーカー

蒲生邸事件 宮部 みゆき

2010年02月22日 | 小説-日本-
1999年
カッパ・ノベルス

☆☆

孝史は大学受験に失敗して、予備校の試験を受ける為、上京してきた。
宿泊先のホテルは、元陸軍大将 蒲生憲之の邸宅のあった跡地に建てられたものだった。

このホテルの宿泊者のなかに、
黒いオーラをまっとった男性も居た。

そして、2月26日ホテル火災に見舞われ、
孝史は逃げ遅れてしまう。
このままでは、死をまつばかりの時に、例の黒いオーラの男が孝史のもとへやってきた。

目がさめるとそこは、
昭和11年2月26日の蒲生邸であった。

黒いオーラの男は、タイムトラベル能力をもちこの時代で生きる為、
平田と名乗り蒲生家で働く事になっていた。
さらに、この日は陸軍皇道派の青年将校達による二・二六事件が発生し、
この事件を憂いた蒲生大将が書斎で自決をする。
ところが、自決に使用したはずのピストルが見つからない。
本当に、自決だったのか・・・・

大学受験に失敗して、卑屈になっていた孝史が
この時代に住む人々、さらにタイムトラベラーである平田と接するうちに成長していく。

蒲生邸事件 (カッパ・ノベルス)

邪神たちの2・26  田中 文雄

2010年02月15日 | 小説-日本-
1994年
学研ホラーノベルズ
☆☆

陸軍の海江田少尉は、父、阿礼が倒れた為福井に帰省した。
海江田の実家は九頭龍川の龍神を祭る黒龍神社で、阿礼はその宮司である。

海江田は父、阿礼に九頭龍川に棲む魔物の話を聞く、
まもなく阿礼が亡くなり、阿礼の遺言を発見する。
そこには、若き日の阿礼の恐怖体験が書かれていた。
そして、そこで知り合ったラグクラフトとの手紙も見つけて
”魔物”の正体を知る事となる。

海江田少尉が帝都に戻った頃、
まさに、青年将校たちによるクーデターの準備が着々と進んでいく。
さらに、動き出した”魔物”も帝都を飲み込むための準備をして、
中央の重鎮達に乗り移る、
乗り移られたメンバーは、クーデターの攻撃目標と同じ面々だった。

かくて、二・二六事件は、
クーデターと魔物退治の二つの役割を持つこととなって・・・・

二・二六事件をからめての、ラグクラフトの神話であるクトゥルー神との戦いの話であるが、
さて結果は・・・・
読みやすくて、娯楽本として面白い。


邪神たちの2・26 (学研ホラーノベルズ―クトゥルー神話セレクション)
                          

「戦国武将」がよくわかる本 株式会社レッカ社

2010年02月11日 | 歴史・時代物
2008年
PHP文庫



PHP文庫のよくわかるシリーズの戦国武将版である。
この本の良さは、
必要最低限の知識が身に付く事と、
これだけの武将を知っていれば、
ドラマとかで武将が出てきても、大丈夫だろう。
と、いうくらい幅広く紹介されている。

武将のイラストもありますが、
家紋と出身地の地図があるので実に分かりやすい。

「戦国武将」がよくわかる本 (PHP文庫)

陰陽師 鬼一法眼〈三〉 藤木 稟

2010年02月09日 | 藤木 稟
2004年
光文社文庫




巷の陰陽師、鬼一法眼と源頼朝が治める鎌倉幕府を倒そうとする
怨霊義経の物語の第三弾である。

邪魔な鬼一法眼を京に追いやり鎌倉幕府を追い込もうとする義経だが・・
と、いうことで今回は鬼一法眼こと龍水はほとんど活躍しない。

前回、生まれてすぐに海に捨てられた義経と静の子を死霊として蘇らせた。
頼朝を追い込む為にその子を利用しようとするが、
仏門に入った静がやってきて・・・

娘を亡くした母を哀れに思う龍水の女房、水鳴太夫が娘に成り代わり一緒に暮らすことになるが
そこには、あっちこっちから求婚話が舞い込んで・・

今回は、争いというよりは、母子のほろりとする話がメインである。


陰陽師 鬼一法眼〈三〉 (光文社文庫)

ねじの回転―February moment  恩田 陸

2010年02月08日 | 恩田 陸
2005年 
集英社文庫
☆☆



歴史にはIFは無い、しかし、あのときこうだったらと考える事がある。
たとえば、織田信長があの日、本能寺に行かなければとか、
徳川慶喜が大政奉還しなければとか・・・
そして、五・一五事件で首謀者達の刑が重ければ二・二六事件も起こっていたかどうか・・とか、

この本は、AIDSという病が蔓延して多数の人が死んでいった。
国連は過去の時代に行き、この病が発生しないように”いじった”のだが、
そのことで、さらなるHIDSという病を発生させてしまうことになる。

そこで、今度は世界が変わる幾つかの分岐点を
もともとの状態にする為のプロジェクトが始まる。
その選ばれた歴史の一つが、陸軍の青年将校が1936年2月26日に起こしたクーデター未遂事件、
二・二六事件である。

歴史の再生中に時々挟まれる物語がある。

再生中に”史実”ではない方向に向かった時に挟まれる物語に
日本がアメリカの中の一つの州になっているという部分があった。
それは、”史実”ではこのとき死ななかった人物が死亡したことにより起こる。

国連に協力している、首謀者の一人の将校が
歴史を変えようと考える、
国連クルーは”国連”のシナリオになるように躍起になる。

今、自分が感じている歴史は本当の”史実”なのか

東條 英機を殺害してきたという件があった。
それで、第二次世界大戦での日本の行く末が変わると・・
しかしそれはリセットされてしまう。

ああ、なるほどうまいこと考えるな~とただただ感心した一冊でした。

ねじの回転―February moment (上) (集英社文庫)

月の裏側 恩田 陸

2010年02月01日 | 恩田 陸
2002年
幻冬舎文庫
☆☆



まず、読み始めてこの物語の世界はどういうものなのか
手探りしながら読み進めていく。

”水”の多い箭納倉で3件の失踪事件が起きる。
ところが、数日後戻ってくる。
失踪していたときの記憶をみな無くしているのだ。
もっと不思議なのは、失踪していた本人、家族がそのことについて何も感じていない。

この町に、恩師の協一郎に会いに多聞が訪れた。
すると、そこに協一郎の娘である藍子もやってきて
この町の新聞支局の高安も含め4人でこの謎について考える。
そして、ある仮説を言葉にした時、それは動き出した。

ある日から、自分は自分ではなくなる。
しかし、その自分も今までの自分とかわらない。
自分は自分だろうか?

不思議でちょっと怖い話だった。

月の裏側 (幻冬舎文庫)

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