ぶーくん読書録

今まで読んできた本について、いろいろ書いてみる。
ほとんど、ネタバレ!!

向日葵の咲かない夏 道尾 秀介

2012年07月16日 | 小説-日本-
2008年
新潮文庫
☆☆

以前読んだ、「龍神の雨」が面白かったので、
同作家のほかの作品を読んでみようと思った。

で、この本を手に持ってみたのですが、
「龍神の雨」とはかなり違ったものだった、
ただ、一体どうなるのか、ページをめくるスピードが上がった。

夏休みの前日、ミチオは学校を休んでいるS君の家にプリントを届けに行くことになった。

その頃、犬猫が口に石鹸を詰め込まれ手足を折られるという事件が発生していた、
ミチオもS君の家に行く途中、そんな猫の死骸を目にすることになる。

S君の家に着くと、
誰も居ないようで、庭から部屋をのぞくと
そこには、首を吊ったS君がぶら下がっていた。

あわてて、学校にいきさつを伝え、
担任の先生が警察と共にS君の家に行くと、S君の姿はなく、
ただ、首を吊った痕跡だけが残っていた。

ミチオは母親に疎まれている、
それは、3年前についたちょっとした嘘によって、大きな事件へと発展したからだった。
母親は、異常なまでにミチオを疎み、”3歳”になる妹を溺愛した。

S君の死から1週間後
S君は蜘蛛に生まれ変わり、ミチオのもとへやってくる。

この時点では、ちょっとした空想モノなのかと思いながら読んでいく、
蜘蛛のS君が自分の死体を探してほしいとミチオに頼み、
ミチオは妹とともに、S君の死の真相を探っていくが・・

何が現実で、何が空想なのか
読み進めながら、混乱もするが、読み終わった後は一抹のさみしさを感じてしまった。
ミチオの3年前についた”嘘”によって、
自分も母親も心を壊してしまっていた。


風立ちて"D" 菊地 秀行

2012年07月15日 | 小説-日本-
1984年
ソノラマ文庫
☆☆



ずいぶん昔に読んでいたシリーズで、
ちょっと前に、話がでたのですこしづつ読み返してみようと思っている
バンパイアハンターDシリーズ

はっきり言って、読んだ内容を覚えてないのですが、
今、読み返すと大変面白い。というか、読んでいたころは、たぶん理解がほとんどできていなかった可能性がある。

少年少女4人が行方不明になった。行方不明から半月後、3人の子供は戻ってきたが、
1人はそのまま行方不明となる。
それから、10年後
村では、貴族による吸血事件が頻発して、”D"がその調査のため雇われることになった。

帰ってきた3人は、一人は精神に異常をきたし、
一人は教員に、もう一人は成績優秀者として村の代表として都会に行くことが決まっていた。

今回のヒロインは、成績優秀者のリナ
十年前、行方不明になったときに何があったのか、
Dが真相に近づいていくにつれ、
リナも覚醒していき・・

都会に行くことを夢見ていたリナは、覚醒し
10年前、自分が貴族に実験体とさせられ、
高度な知能と生命力を手に入れることができたと思っていたが、
”失敗作”であった彼女の運命はついに都会へいくことはかなわなかった。

これからというところで、自分の運命を悟ったリナの絶望と勇気が切なかった。

粘膜人間 飴村 行

2012年07月07日 | 小説-日本-
2008年
角川ホラー文庫



かなり、人を選ぶ作品だと思う。

まず、エログロがダメ!!と、いう方にはまったくもってお勧めできない。
が、
わたしは嫌いではないですw

時代設定は昭和初期ごろ
母親の連れ子である雷太は小学五年生でありながら
身長195センチ
体重が105キロという巨漢である。
その弟に中学生の利一と祐二を支配し始める、
ある日、この兄弟の父親に雷太が暴力をふるい、
父親が雷太にいいようにやられている姿をみて、
二人は、この弟を殺害しようと決心する。

体力差があるため、
二人には弟を殺害するのは難しい、
そこで考えたのが
”河童”に頼むことだった。

この河童、エロ河童で
殺人を請け負うかわりに村の女を紹介しろという。
そこで、
利一が考えたのが
兵役の入隊前夜に兄が失踪して
非国民のレッテルを張られた清美だった。


第二幕では、
この清美の物語になっていて、
兄の行方をききだすため、
憲兵から拷問をうけるというもの、
その拷問方法は
「髑髏」という幻覚剤を使用しての疑似拷問
二幕の最後の方では兄の行方が
ああ、そういうことね・・と、わかります、

三幕に入って
河童と雷太の話になりますが、


基本的にほとんどの登場人物が死にます。
大変、気分の悪いはなしではあるのですが、
この河童と雷太とのやりとりが、ちょうど中和剤になる感じですね。

読んでみて!!と、おすすめはしませんが
変な世界観に興味があるようでしたら読んでみるものよいかもです。


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