ぶーくん読書録

今まで読んできた本について、いろいろ書いてみる。
ほとんど、ネタバレ!!

母恋旅烏 荻原 浩

2011年07月29日 | 小説-日本-
2004年
双葉文庫
☆☆


いや~面白いです。
最近は新規開発の為、読んだことのない作家さんの作品を読んでましたが、
あたりはずれが、かなり激しかったので
安心して読める作家としてこの本を読んだ。

ホラーだとかミステリだとかいろいろなどれを読んでもハズレのない作家さんです。

元、大衆演芸の役者だった花菱家、独立したがうまくいかず
レンタル家族の事務所に登録していたが、そこも独立してレンタル家族を家族で経営していた。
花菱家は父親と母親、そして姉の桃代に兄の太一さらに姉の子珠美と”ぼく”である寛二の6人家族。

ある日、レンタル家族の仕事で結婚式の友人として出席すると、
雇い主は同級生の女だった。そこで姉の桃代がブチ切れる。
今日でお別れを歌って会場を出たところで、スカウトされ、家を出て行った。

さらに、兄、太一も自分の夢のために一家を離れて学校に入学する。

借金がかさみ、その金の工面のために
父親は昔、在籍していた大衆演芸の親方のところに向かうのだが、
劇団に戻ることを条件に借金の肩代わりをしてもらえることになる。
それを機に、珠美を桃代が引き取りにきて、
父、母、寛二の3人でのスタートとなった。

ストーリー進行は、次男の寛二により語られるのだが、
その語りがとにかく面白い。
電車の中で読んでると、顔がニヤついてしまって困ることがあるくらいだ。
そして、
笑いだけでなく、一見、バラバラに見える家族の絆が笑いの中にもジンとくる。
ハッピーエンドというと語弊があるのだが、
それでも、読んだ後ちょっと心が温かくなる。

夜市 恒川 光太郎

2011年07月26日 | 小説-日本-
2005年
角川書店
☆☆


第12回日本ホラー小説大賞受賞作
ですが、ホラーという括りではちょっと語れない
ホラーファンタジーってところでしょうか。
好き嫌いが分かれそうですが、
私はこういう世界観は大変、好きである。

短編2作で
題名となっている
「夜市」
大学2年のいづみは、高校時代の同級生である裕司の部屋に遊びに行った。
裕司は、夜市が開催されているからちょっと見に行かないかといづみを誘った。

到着したその会場は、不思議なものを法外な金額で売っている”人”ではないものたちの市場だった。
裕司は子供の頃、一度この夜市に来たことがあった。
そして、この夜市で”買い物”をしたことがあったのだ。

この夜市は、何かを買わなければ夜市から帰ることができないというもので、
いづみは裕司がこの市へ来た本当の理由を聞かされる。

裕司は子供の頃、市で売っていた”野球選手の器”が欲しかった。
しかし、子供の裕司にはもちろんそんなお金はない、そこで一緒に居た”弟”と引き換えにその”野球選手の器”を手に入れる。
そして、買い物をしたことで、市から出られ自分の世界に戻る。
自分の世界に戻ったとき、”弟”の存在は無になっていた。
そして、裕司はずっと弟を売ったことを悔いて買い戻すためにこの市にやって来たのだった。

幻想的で、怖いというより美しい。
どっぷりと、不思議ワールドに浸った感じだった。

もう一つの
「風の古道」が好きだ。
小金井公園に桜を見に父親と出かけたが、はぐれてしまう。
7歳の”私”にとって、この公園は家からは遠く、怖くなって泣いていたら
一人のおばさんが家の帰り道を教えてくれた。
そして、そのおばさんは、その道はよるになるとおばけがでるから
寄り道せずに歩くようにと”私”に言ったのだ。
その道は、不思議な道で舗装もされず、さらに左右にならぶ家々は道に背を向ける形で建てられていた。
見たことのある景色を見つけて、他人の家の庭をぬけると自分の家にたどり着けた。

そして、5年後、友達のカヅキとともにその道に入ったが、
道にまよって小金井公園に行くことができなくなった。
しかも、その道でであったレンという古道(この道の呼び名)を旅しているとう青年に
この道の特殊性を聞くとになる。
この道は、神の道で本来は人間が入れる道ではないこと、
小金井の入り口は桜の季節にしか開かないことを聞き、
元の世界へ帰るための入口へレンとともに向かっていくがその途中にカヅキが死んでしまう。
今度はカヅキを生き返らせるべく、レンとともに生き返らせてくれるという寺に向かうが・・

旅の途中で語られるレンの過去と古道の関係、
不思議でちょっと悲しい物語だった。

葬神記 考古探偵一法師全の慧眼 化野 燐

2011年07月25日 | 小説-日本-
2011年
角川文庫



考古探偵とうネーミングに惹かれて読んでみました・・・

・・

が・・・

な~んだ・・というのが正直な感想。

探偵役の一法師のキャラが曖昧・・
辛口なイメージで始まったのでそういうキャラかと思うと
そうでもなく、途中からはたいして魅力も感じない。

この作品には語り部としての主人公がいて
ダメ男代表的な人物であるが、ダメ男はダメ男でも魅力のあるキャラが居ると思うが、
どうしようもない・・・
期待していた「考古学」的なところも肩すかしで
続編も一緒に購入しようと思っていたが、たまたまこれ一冊のみ購入していた。
よかった・・

で、内容ですが
主人公古屋は骨董店でうっかり弥生式土器を壊してしまいその代金の返済の為、
発掘調査のアルバイトを紹介される。
そして、朝、出勤してみると
発掘現場で、現場の責任者の榊の変死体を発見する。
そして、その現場までは古屋の足跡しかなかったのだ。
運悪く、そのへやって来た他の作業員によって、犯人と間違われ警察の事情聴取を受けることになる。
そこへ、千装文化財研究所の一法師と荻原がやって来た。
彼らは、私設の考古学研究所で発掘現場での事件などを解決するための調査員だった。
元は、出土品の横流しが行われていることの調査に来ていたのだが、
殺人事件に遭遇したのだった。

出土品の横流し事件と今回出土された鋳型を巡っての事件なのだが、
事件の謎解きもなんか微妙で、さらに途中のネットからの騒動などは興ざめ、
出土品などのうんちくもあったが、自分が考えているものではなかった。
高田崇史のQEDシリーズやアーロン・エルキンズのスケルトン探偵みたいな
その専門と謎が絡んだものかと思った。

単に、現場が発掘現場で出土品の所在に関する謎で
考古学をかじってる学生とかが主人公でもいいんじゃない?
っていうレベルだった。

考古学好きなだけに、なんか・・がっかり~
せめて、一法師のキャラに魅力があればね~

バチカン奇跡調査官 Truth2 サタンの裁き 藤木 稟

2011年07月20日 | 藤木 稟
2009年
角川書店
☆☆


バチカンの神父、ロベルトと平賀が活躍する第2弾である。

結構、シリーズものって1作目が良かったのに・・って言うのがあると思うが、
私はこの2作目の方がより好きです。
前回は、ほとんど活躍がなかったロベルトですが、
古文書の解読という技術を生かしての謎の究明と弁論能力に感動する。

今回の奇跡は
アフリカの架空の都市ソフマ共和国の教会からの申請であった。
それは、数々の予言詩と予言の絵画を描いていた神父が亡くなったが、
その神父の死体が腐敗しないとのことだった。

二人が現地に到着した日、
敬虔なクリスチャンであった女性ジャーナリストが
土着の呪術的宗教の生贄とされた死体が発見され
さらには、
亡くなった神父の予言詩にはロベルトの死がそして予言の絵画にはロベルトの姿が描かれていた。

予言詩の解明をロベルトが腐敗しない死体の謎を平賀が究明していく、
ロベルトの出生の秘密なども語られて
あっという間に、読み終わってしまった。

氷菓 米澤 穂信

2011年07月18日 | 小説-日本-
2001年
角川スニーカー文庫



この作品がお好きな方はスルーしてくださいね。

何かの賞をとっているようなので読んでみることにした。
読み終わってから、よくみてみると
角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞というものだった。

読み始めてすぐから
ダメだこりゃ・・・と思った。

軽快な会話のやり取り・・・・ということなんだろうが、
意味のないことが多すぎる。
友人同士の軽口で会話をすすめるということなんだろうが、
軽すぎて内容が無さすぎなのだ。
さらに、主人公ホータローの一人称で語られるため、
その語りの中も軽口がおおく、
214ページしかない文章をさらに薄っぺらにしている。

基本的に、名前ばかり凝っている作品で面白い物がない。
初めて登場した時にルビがあり、次に登場したときになんて読むんだっけ?
って、なるような名前だと、途中から適当に読みだしてほとんどその人の個性などのこらなくなる。
そもそも、この作品にでてくる登場人物で、名前からその役割や性格を読み取れるひとなどない。
いわば、全員「名前負け」なのだ。

面白い作品は
主人公が山田太郎でも、その山田太郎に魅力が満載となるものだ。

一人称で語られる場合、
主人公がどれだけ魅力があるか、もしくはまったく無個性として客観的に語るか
だとおもうが、
とにかく、ユルイ・・
昨今、こういうユルイ主人公が人気なのだろうか?

さて、
内容ですが
世界を旅行中の姉の願いにより
廃部寸前の古典部に入部した折木奉太郎
同じく入部した好奇心旺盛の千反田える
さらに、奉太郎の友人、福部里志、伊原摩耶花
の四人が学園祭に古典部の文集を作るに当たりバックナンバーを探していたが、
そこで、千反田えるの叔父がこの古典部のOBであり、
33年前にその叔父に何かあったと思われる記述を見つける。
その叔父は行方不明になっており、千反田は叔父に何があったのか知りたいと言い出す。

そこで、四人は調査をはじめるが・・
33年前の事件と古典部の文集の題名「氷菓」のなぞを解く。


氷菓の言葉の謎が解けるところは感動ポイントなのでしょうが、
千反田のことばがイマイチ、つながらない・・・



バチカン奇跡調査官 藤木 稟

2011年07月15日 | 藤木 稟
2007年
角川書店
☆☆


この方の作品はかなり癖があるので、万人におすすめとう感じではないが、
わたしは、こういう世界感が好きである。

カソリックの神父、ロベルトと平賀はバチカンの「聖徒の座」に属し
世界中から寄せられる「奇跡の申請」に対して調査をするという職務についている。
ロベルトは古文書の解読家で、平賀は科学者である。

ある日、ニコラス枢機卿から呼び出しを受ける。
カソリック教会の修道女からの申請依頼だった。
その内容は、大天使のお告げで神の子を処女懐妊したというものだった。

調査のために二人はその修道女の居るセントロザリオへ向かったが、
到着した日にそのセントロザリオの神父が何者かに殺害されるという事件が起こる。
この事件を皮切りに、連続殺人、そして涙を流すマリア像の謎、聖痕をもつ少年の謎、
など、
科学的に検証して謎を解いていく、謎を解いていった先には
カソリック教会を隠れ蓑にした壮大な陰謀が隠されていた。

理屈や説明が非常に多い作品なのだが、それに慣れるとなんとも癖になる本です。
ただ、今回は平賀がほとんど一人で解いているので、
もうすこしロベルトに頑張ってほしいところだった。
多分、シャーロックホームズとワトスンという図なのでしょうが、
こちらのワトスンは仕事をしなさすぎカナ(笑)

コンダクター 神永 学

2011年07月09日 | 小説-日本-
2008年
角川グループパブリッシング
☆☆


神永学氏の「八雲」シリーズはちょっと惰性気味に読んでいて、
「山猫」はちょっと好きではない。
で、なんで読んだわけ?って、言われそうだが
この表紙が気にったのでした。

よんでみて、面白い!って思った。
初めの方は、誰を中心において読めばいいのか惑ってしまい、ちょっと揺れてしまったが、
中盤ぐらいから、誰を中心にするのか、そして今まで読んできたピースをどこにはめていくかでどんどん面白くなってきた。
誰が本当の主人公なのかこの題名「コンダクター」という言葉に惑わされるのですが、最後はなるほど・・となる。

奈緒美は毎回同じ悪夢を見る様なる、そこで心理カウンセリングにかかることにした。
奈緒美はフルート奏者で、今回はミュージカルでの演奏をすることになり、
その中には、大学時代からの友人であるバイオリンの秋穂、そして秋穂の婚約者であるピアノの玉木が参加していた。
そこへ、急に行方不明になった指揮者の代役として、大学時代は秋穂の恋人でドイツへの留学をしていたはずの結城がタクトを振ることになる。

同じころ、奈緒美のマンションの向かいのアパートから、
首のない白骨死体が発見され、その手には一枚の写真がにぎられていた。

奈緒美の手帳から出てきた、大学時代の写真、
それは秋穂、結城、玉木、そして奈緒美が寄り添っている男性の顔は黒く塗りつぶされ、
奈緒美自身がその男性の記憶をなくしていたのだった。
無くした記憶の部分を取り戻すため、カウンセラーの松崎と断片を探し始める。

結城がもどってきたことで、玉木と秋穂の間に溝ができはじめ、
玉木は結城を陥れようと画策し始める。

それぞれの思惑と過去が徐々に集約されていて・・・

若干、人が死にすぎるが、今回はコンセプトの一つであろうから、それは仕方が無いか・・
シリーズ化しても面白そうだなと思った。


心霊探偵 八雲8 失われた魂 神永 学

2011年07月04日 | 小説-日本-
2009年
文芸社



しばらく中だるみでもういいかな・・・と、思ってましたが、
やっぱり読みました。

何者かに襲われ、洞窟の中で目覚めた八雲の傍らには
めった刺しの死体があった。

それは、八雲の叔父で育ての親だった一心の兄弟子の誠道だった。
洞窟には、母親の生まれ変わりだと名乗る少女の謎を解くため、
やって来たのだったが、この洞窟、そして誠道が住職を務める寺には
子供の頃の八雲が訪れたことがある場所だった。

美雪の罠により、八雲は殺人の容疑者として追われることになる。
後藤刑事は八雲とともに事件解決のための捜査を
残された石井刑事は晴香とともに、事件解決を模索する。

少しずつ、八雲の家族の謎がとけてきて、
さらに、八雲と晴香の心が近づいていくのがなんか微笑ましい。

ただ、このシリーズ全般に言えるのが
八雲自体が、凌辱されて生まれたこともあり、
凌辱事件が多すぎて、もっとほかの事件はないの?って、感じだ。

ハラハラはするけど、感動が無い。

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