ぶーくん読書録

今まで読んできた本について、いろいろ書いてみる。
ほとんど、ネタバレ!!

伏(ふせ) 贋作・里見八犬伝 桜庭 一樹

2013年03月18日 | 小説-日本-
2012年
文藝春秋





南総里見八犬伝が大好きだw
もともと、八犬伝を知ったのは
子供の頃見た、NHKの人形劇。
基本的に、
「勧善懲悪」というのがとても好きだし、
読んですっきりする(*^_^*)

で、この作品が八犬伝をモチーフにしてるというので
読んでみたのですが・・・・・

しょっぱなの、
毛野のさらし首の段階で、ちょっとひいた・・・
私にとって、八犬士は”正義”であるので、
犬の血をひいているということで
犬人間(伏)を狩るということ自体が受け入れがたかった・・

そもそも、
犬の血をひいてる”人間”の段階で
この本は、ダメかも・・・と、思ってしまった。

この作者は、よほど
禁忌にさわることが好きなのか、
そういうのが、好まれる風潮であるのかわからないが、

こういった、
獣と人間の異種交配自体が、ちょっとダメだ・・

よく、異種間の恋愛モノとかよくあってそれは
嫌悪感を感じないのに、この作品に嫌悪感を感じるのはなぜだろう?

と、考えてみたが
伏姫の処女性とうことでしょうか。

本来の伏姫はもちろん、八房と関係はなく、
八房とともに山に入ってからは、
仏門に帰依して、亡くなるときも、
自ら割腹して、自身の潔白さを証明して果てて、
伏姫がもっていた数珠が、四方に飛び八犬士へとつながっていく
(と、たしか、そんな話のハズww←うろ覚えですみません)

伏姫が清廉であるからこそ、
里見家復興の為に、伏姫の犬士たちが団結できたのではないのかな~
と、勝手に思っているので(この辺の解釈は、私がおもっていることで
ほかの人に、押し付けるつもりは毛頭ないです。)

なので、
人間性をなくした伏姫が犬の子を宿して(←きっちり書いてないが、そう読める。もし、八房でなければ、相手は弟だよな・・・と、思った。)
と、このあたりの話で、ちょっともう
お腹いっぱいいっぱいに思ってしまった。

贋作・里見八犬伝
と、名を打っているが
贋作って
本物に似せたものという、意味だとおもうんですが、

登場人物の名前だけを使用した、まったくの別物ですよね・・
こういう場合は、
異説や新説とか名を打ってほしかったな~

そもそも、
八犬伝は「仁義礼智忠信孝悌」の八つの文字が重要な意味をもつのだが、
この作品には出てこないし、
そもそも、
道節という名前も八犬士の一人なのに、
ハンターとして描かれていて、その時点で八犬伝を使用することに対して破たんをしてるのではないだろうか?

そして、
この作品が何を言いたいのか、さっぱりわからないということだ。

本来の八犬伝は、勧善懲悪、そして、”義”というものが中核にあるので、
ハラハラドキドキしながらも、最後は正義が勝つんだという安心感がある。

しかし、
この作品で、一番私が嫌悪感を感じたのは
伏であるだけで、なぜ狩られなけらばならないのか?
偽善者と言われても仕方がないと思うが、
この作品を読んで、
差別や迫害ということばが浮かんだ。

南総里見八犬伝を知らない人がこの作品を読んで、
八犬伝というは、こんな作品なんだと思われるのが一番嫌だ。

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