2011年
角川文庫
☆
貴志祐介さんの作品は、私にとっては当たり外れの激しい作家さんだ・・
十三人目の人格・黒い家・青の炎はすきだったのですが
最近読んだ悪の教典はダメだった・・
「狐火の家」ということで、ホラーかと思ったらミステリでした。
さらに、シリーズ物らしく読み始めてキャラがすっかり立っているので
理解するまでちょっと時間がかかってしまった。
シリーズ物の時は、サブタイトルにシリーズ名を入れてもらいたい・・
ちなみに、今回のこの作品は
「防犯探偵シリーズ」の第二弾である。
もちろん、第一弾は読んでない。
短編集になっていて
題名になっている「狐火の家」は
西野が帰宅すると鍵が掛かった家の中で娘が殺されていた。
実質、密室状態で娘が殺され30㎏の金のインゴットが消えていた。
西野には亡くなった娘以外にもう一人娘が居て、
さらに素行の悪い息子がいたが家出している。
状況から第一発見者である西野が疑われることになり
その弁護を依頼された弁護士の青砥純子は西野の無実を証明するために密室の謎に挑むが・・
結局、元泥棒(もしかすると現役かもという嫌疑がある)の榎本に意見を求める。
事件自体は青の炎に似てる感じがしたのですが、
このシリーズ
探偵役は錠前屋の榎本
ワトソン役として弁護士の青砥という形を取っていているのだが、
なんだかヒドすぎる・・
榎本の有能さを際立たせるために、青砥をバカみたいに書いてるのかもしれないが
ちょっと、わたしは受け入れにくい・・
そして、探偵役の榎本に魅力を感じないのだ・・
なぞの考査など、なんだかだらだらとした感じをうけて(受ける青砥がイマイチなので)
本来なら、考査や謎解きは作中で一番楽しいはずが
イライラする。
「黒い牙」は
知り合いがペットにより事故死をし、
そのペットたちが、知り合いの奥さんにより
虐待を受けてさらには殺されそうだと相談を受けた弁護士の青砥は
相談者とともに、事故死をした人の奥さんとそのペットに会いに行くが
現状を見た青砥は、事故死ではなく他殺ではないかと疑い、
榎本に連絡をとり意見を求めるが・・
こちらは、密室殺人のトリックに重点が置かれていて
なぜ犯人が殺人をしたのかわからなかった。
なるほど・・面白いトリックであるが
その”ペット”が嫌いなのによくそのトリックを仕込むことができたのかも
ちょっと疑問だった。
なぞなぞならいいが、こういうミステリとしはどうなんだろう?と、思った。
「盤端の迷宮」は
シティホテルの一室で棋士が殺害された。
窓からの侵入、脱出は不可能な部屋でチェーンまで施錠されていた。
榎本がメインとなる作品で、
逆に安心して読むことができた。
殺害された棋士の恋人である、やはり元女流棋士とのやり取りが
将棋をしているような感じで謎を考査するところが面白かったが、
最後の謎解きで弁護士の青砥を立会人として作品に登場させたあたりから
また、イライラしてきた。
「犬のみぞ知る」は
基本的にだれにもなつかない犬を飼っている座長が自宅で殺害される。
殺害された時間帯に犬が吠えることが無かったため、
この犬が心を許している人物が犯人だろうと言われていたが・・・
犬の謎を榎本は解くのだが、
特に感想を作品ではなかった。
全体として、
榎本だけが出てくる分には我慢できるが(ただ、本当に魅力を感じない)
弁護士の青砥がでてくると、その無能な感じがイライラする。
美人であるという記述があるが、美人で弁護士というだけの微妙なキャラだった・・・