ぶーくん読書録

今まで読んできた本について、いろいろ書いてみる。
ほとんど、ネタバレ!!

現代百物語 岩井 志麻子

2012年03月28日 | 小説-日本-
2009年
角川ホラー文庫
☆☆


いわゆる、怪談ではないが、やっぱりちょっと怖い話が99話ある。

著者が見聞きした話をエッセイ風に書いてある。
1話が2ページほどで短いのだが、
著者の語りが絶妙で面白い。

面白かった話の一つに
子供の頃、皆の注目を浴びたいが為に霊感があると言っていた子が
大人になって霊感商法の詐欺罪で捕まったというもの。
そのほか、
自分はモテすぎて困るからと引きこもる非モテ男の話とか

こういう人、いるんだな~と、
「ふっ」と笑ったり、ぞっとしたり
ただ、下ネタが多いため、大人のための百物語かもしれないww

妖怪アパートの幽雅な日常〈4〉 香月 日輪

2012年03月26日 | 小説-日本-
2005年
講談社



若干、中だるみかな?と言った感じだ。

基本的に児童書なので文章はアレなのだが、
セリフのなかに、はっとする言葉があって、ああなるほど・・って、思う。

前回でひょんなことから
プチヒエロゾイコンというなんちゃんて魔道書の主となったことから
その本を正しく安全に扱えるように修行を始める。

夏休みに入った夕士は
運送屋の荷物の仕分けのアルバイトをするが、
同じアルバイトの2人は、あいさつをしない、人と言葉を交わさない、
その代り、休み時間はずっとメールをしている。
そんな彼らが夕士とかかわるうちに、少しずつ変わっていく。

ある日、アルバイトの途中で飛び降り自殺を図ろうとしている少女を助けるが
その少女の自殺の原因が学校や親がごちゃごちゃ言うのが嫌になったとうバカげた理由。
そんな少女も”やりたいこと”を見つけることで変わっていく。

夕士はアパートの人たちに見守られながら、
自分自身も成長し変わっていきながら、
かかわった人たちが変わっていく姿を見てうれしいと思う。
今回は、そういう成長の話だった。

本の中でアパートの住人の詩人の一言
「迷わない分だけ世界は狭くなるし、もっとしんどいヨ」
という、セリフがあった。

なんの挫折も無く生きていて、初めて挫折を味わうとその味はとてつもなく苦くなる。
でも、迷って悩んで、失敗を繰り返しながら生きていくと、キャパが広がって
挫折も一つの踏み台とすることができるってことなのかな・
なんて、思いながら読んだ。

狐火の家 貴志 祐介

2012年03月22日 | 小説-日本-
2011年
角川文庫



貴志祐介さんの作品は、私にとっては当たり外れの激しい作家さんだ・・

十三人目の人格・黒い家・青の炎はすきだったのですが

最近読んだ悪の教典はダメだった・・

「狐火の家」ということで、ホラーかと思ったらミステリでした。
さらに、シリーズ物らしく読み始めてキャラがすっかり立っているので
理解するまでちょっと時間がかかってしまった。

シリーズ物の時は、サブタイトルにシリーズ名を入れてもらいたい・・
ちなみに、今回のこの作品は
「防犯探偵シリーズ」の第二弾である。
もちろん、第一弾は読んでない。

短編集になっていて

題名になっている「狐火の家」は
西野が帰宅すると鍵が掛かった家の中で娘が殺されていた。
実質、密室状態で娘が殺され30㎏の金のインゴットが消えていた。

西野には亡くなった娘以外にもう一人娘が居て、
さらに素行の悪い息子がいたが家出している。

状況から第一発見者である西野が疑われることになり
その弁護を依頼された弁護士の青砥純子は西野の無実を証明するために密室の謎に挑むが・・
結局、元泥棒(もしかすると現役かもという嫌疑がある)の榎本に意見を求める。

事件自体は青の炎に似てる感じがしたのですが、
このシリーズ
探偵役は錠前屋の榎本
ワトソン役として弁護士の青砥という形を取っていているのだが、
なんだかヒドすぎる・・
榎本の有能さを際立たせるために、青砥をバカみたいに書いてるのかもしれないが
ちょっと、わたしは受け入れにくい・・
そして、探偵役の榎本に魅力を感じないのだ・・
なぞの考査など、なんだかだらだらとした感じをうけて(受ける青砥がイマイチなので)
本来なら、考査や謎解きは作中で一番楽しいはずが
イライラする。

「黒い牙」は
知り合いがペットにより事故死をし、
そのペットたちが、知り合いの奥さんにより
虐待を受けてさらには殺されそうだと相談を受けた弁護士の青砥は
相談者とともに、事故死をした人の奥さんとそのペットに会いに行くが
現状を見た青砥は、事故死ではなく他殺ではないかと疑い、
榎本に連絡をとり意見を求めるが・・

こちらは、密室殺人のトリックに重点が置かれていて
なぜ犯人が殺人をしたのかわからなかった。
なるほど・・面白いトリックであるが
その”ペット”が嫌いなのによくそのトリックを仕込むことができたのかも
ちょっと疑問だった。
なぞなぞならいいが、こういうミステリとしはどうなんだろう?と、思った。

「盤端の迷宮」は
シティホテルの一室で棋士が殺害された。
窓からの侵入、脱出は不可能な部屋でチェーンまで施錠されていた。
榎本がメインとなる作品で、
逆に安心して読むことができた。
殺害された棋士の恋人である、やはり元女流棋士とのやり取りが
将棋をしているような感じで謎を考査するところが面白かったが、
最後の謎解きで弁護士の青砥を立会人として作品に登場させたあたりから
また、イライラしてきた。

「犬のみぞ知る」は
基本的にだれにもなつかない犬を飼っている座長が自宅で殺害される。
殺害された時間帯に犬が吠えることが無かったため、
この犬が心を許している人物が犯人だろうと言われていたが・・・
犬の謎を榎本は解くのだが、
特に感想を作品ではなかった。


全体として、
榎本だけが出てくる分には我慢できるが(ただ、本当に魅力を感じない)
弁護士の青砥がでてくると、その無能な感じがイライラする。
美人であるという記述があるが、美人で弁護士というだけの微妙なキャラだった・・・

幽霊詐欺師ミチヲ  黒 史郎

2012年03月20日 | 小説-日本-
2011年
角川ホラー文庫



結婚詐欺に引っかかり多額の借金を抱えたミチヲは首を括ろうと
心霊スポットにもなっている廃屋へやって来た。

ところが、まさに首を括ろうとしたところにカタリという男が現れて
仕事を手伝えば借金を肩代わりするという。
その内容は、
結婚詐欺に騙され自殺したマミコという女の霊をだましてため込んでいる金を引き出させようというものだった。

マミコさんの姿のすざましさとミチヲのヘタレ具合がおかしくて
たまに、顏がニヤニヤしてしまう。

最終的には、ミチヲは良心の呵責に苛まれヘタを打って
お金は引き出したが、マミコさんに取りつかれてしまう。
「赤い逢瀬」


マミコさんに取りつかれてしまった為、
カタリに助けを求めると1億5百万のお守りを買わされ、
その返済の為、仕事を引き受ける羽目になる。

今回は
300万という格安の戸建てを購入したが、
いわくつきの為、そのままでは使用できない。
その”いわく”を取り除くのが今回の仕事であった。

元の住人は経営していた会社が傾きその資金繰りの為
融資先を探していたが、融資詐欺にあい心中その霊がこの家への他人の侵入を阻んでいると思われる。
その元家族の家への執着を取り除いていく。
「約束手形」

バックグランドにある物語は、暗いものだが、
霊と対峙しなければならないミチヲのヘタレぶりが笑いをさそってしまう。

墓地を見おろす家 小池 真理子

2012年03月16日 | 小説-日本-
1993年
角川ホラー文庫
☆☆


実は、この本は初版の時に読んでいるのだが
たまたま、似たようなシチュエーションの部屋があって思い出したので、再読した。

美紗緒は哲平と不倫の関係にあり、
二人で旅行に行った帰り、哲平の奥さんがが自宅で首をくくり自殺したという過去をもつ。

その後、二人は結婚し玉緒という娘を授かるも、
ずっと哲平の前妻の件を引きずっていた。

心機一転の為、都心・新築・格安のマンションを購入した。
目の前に墓地があることを除けば、理想的な部屋だった。

引っ越しの翌日、前日まで元気だった文鳥が死んだ。
その死を皮切りに、
不思議なことが次々とおこりはじめる。

エレベーターの不調、
地下の倉庫での何もないところでの怪我など
些細なことであるが、ひとつひとつが重なっていき不安が募る中、
住人が次々と退去していく。

二世帯と管理人夫婦だけになったあるひ、
ある恐怖の体験をする、
それを機に最後に残っていた住人と管理人も引っ越していくが・・

後半、加速度をまして
恐怖が襲ってくる。

スプラッタ的な表現はないが、
精神的に恐怖を感じる。



バチカン奇跡調査官 血と薔薇と十字架 藤木 稟

2012年03月11日 | 藤木 稟
2011年
角川ホラー文庫
☆☆


バチカンの奇跡調査官、平賀とロベルトはイギリスのローマカソリックでの奇跡調査の帰り
深い霧に見舞われ、乗っていてた車が事故を起こしてしまい
イギリスの片田舎であるホールデングスでの滞在を余儀なくされてしまう。

ところが、この町で吸血鬼による事件が発生していて、
興味をそそられた二人は、吸血鬼の調査に乗り出すが・・・

今回は、正規の調査ではなく、さらにプロテスタントが主流の地域で
バチカンの威光が通用しない中、平賀とロベルトは調査を開始する。

この町は、ファイロン公爵領で古いしきたりや階級が根強く残る地で
滞在は、必ず町長であるルーク家に宿泊することになる。
そこで、もう一組の客人、吸血鬼の研究をしているというタリチャアヌ教授とその助手カリンと出会う。

時を同じくしてファイロン公爵の嫡子、エルトン伯爵がホールデングスの城に滞在すると、
いくつかの吸血鬼による被害が発生する。

平賀とロベルトはそれぞれの専門から
吸血事件の謎を解いていく。

この二人の奇跡調査であるから、
やはり、事件の裏にあるトリックを暴いていくのですが、
今回はそれだけでなく、
やはり、吸血鬼は存在するのかもしれないという疑念も残している。

ブラム・ストーカーは本当は自身が吸血鬼であり、
書著である、ドラキュラは自分の話であり、
吸血鬼の本場はルーマニアではなく、英国であるという説が面白かった。

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