ぶーくん読書録

今まで読んできた本について、いろいろ書いてみる。
ほとんど、ネタバレ!!

よもつひらさか 今邑 彩

2008年12月31日 | 小説-日本-
1999年
集英社
☆☆☆



短編集である。
ホラーチックなものあり、ミステリあり、読んでみてなかなか拾い物だった。

「穴二つ」という作品は、”人を呪わば穴二つ”というあれである。
失業中の男が、若い女性とメル友になり願わくば・・・という気持ちで、
メル友募集をネットにのせた。
しかし、あまりにもまじめに住所、氏名、年齢をのせた為か、
全く返事がこなかった。
そこで、妻の名前を騙ってメル友募集をしたら、
若い女性からの返事が来てメール交換が始まったのだ。
ところが、そのメル友は”男”であった。
その男は、妻に対して異常な行動を始める、
そこでこの男を利用して妻を殺害し妻の財産を独り占めしようと画策するが・・

そして、本の題名になっている「よもつひらさか」であるが、
こちらは日本の神話にでてくる黄泉比良坂(よもつひらさか)と同名の坂道で起こる不思議な話である。
神話の黄泉比良坂は、イザナギは死んでしまった妻のイザナミに会いに黄泉の国に行く、そこでイザナミと出会い一緒に帰ることになる。
しかし、一つ約束があった。
それは、黄泉の国をぬけるまでは決して後ろを振り向いてはいけないとうものである。
ところが、イザナギは振り向いてしまい腐敗した妻の姿をみてしまうのだ。
怒ったイザナミは軍隊をひきいてイザナギを追いかけるが、かろうじてこの坂の出口に出られた。と、いう話である。

この作品は夜一人でこの坂を通ると、この世の者ではないものが道連れを探しにやってくるとう話である。
後半になって”あれっ”と、思ったが
前半はすっかり騙されてしまった。
大変面白かった。

知っておきたい日本の名字と家紋  武光 誠

2008年12月31日 | 小説-日本-
2007年
角川文庫
☆☆



もともと私は家紋が好きである。
究極のイラストである。実に美しい。
その家紋の伝わり方や名前の伝わり方。
たとえば、東日本は鈴木さん、西日本は田中さんが多いそうだ。
なぜ、そうなるのかとか
その土地特有の名前などが紹介されていて、
なかなかに面白い。
この本を暗記して飲み会の席などで披露するとちょっとした話題づくりにいいかも。


前世の記憶 高橋 克彦

2008年12月31日 | 小説-日本-
1996年
文藝春秋
☆☆☆

”記憶”に関する短編集である。
本の題名にもなっている、前世の記憶は夏目漱石の夢十夜の一夜目の話を思い出す。
自分を殺した男の息子に生まれ変わり、復讐を遂げる。

この本の中で一番印象に残ったのが「針の記憶」というものである。
これは、昔大ヒットするがその歌手の歌の中では1番、2番に売れたものではなく、
4,5番くらいでよく流れていたが「なつかしのメロディー」などではまず流れないという曲を聴くと、その頃の懐かしい思い出がよみがえるというものである。
すなわち、針とはレコード針のことである。

実は、私は子供の頃裏の家が火事になり窓の外が真っ赤に染まり、
火の粉がバリバリと窓ガラスにぶつかってきたのだ。
その光景は、まるで地獄絵のようであった。
真夜中の火事であり、燃えている家が木造の古い長屋であった。
しかも、その家は以前住んでいた家であった。
その時に流れていたのは、中島みゆきの「わかれうた」である。
それ以来、「わかれうた」を聞くとあの夜の光景がよみがえるのだ。
だから、この本を読んだ時にものすごく共感したのであった。

黒い風 トニイ・ヒラーマン

2008年12月31日 | 小説-海外-
1991年
ハヤカワミステリアスプレス
☆☆

兎に角、勉強不足のせいか慣れるまで(関係を整理するまで)大変であった。
ナヴァホ族警察、ホピ族警察、そして白人の麻薬捜査官。
さらに、ナヴァホ続もホピ族もそれぞれ幾つかの種族に分かれるのだ。
大まかに言ってしまえば、インディアンなのだが、それではこの本を理解するのは難しくなる。
ナヴァホとホピでは慣習が大きく違ってしまうのだ。

内容は、コカインを積んだセスナが着陸に失敗し炎上してしまう。
操縦士と同乗者も死亡するのだが、コカインは行方不明となる。
そこで、たまたま事故の時に現場に居合わせたナヴァホ族のチー巡査がこのコカインを横領したのではないかと麻薬捜査官に容疑をかけられるのだ。
ホピ族の慣習を利用してのトリックに挑むチー巡査の推理に、
最初は種族の違いに戸惑いを感じたが非常に面白く読ませてもらった。

遊園地 津村 節子

2008年12月31日 | 小説-日本-
1980年
中央公論社


家族、夫婦を題材にした短編集だった。
実はこの本は勘違いをして購入したものだった。
テーマパークについて調べていたことがあり、その当時はインターネットも普及しておらず国立図書館で検索し、
高額なものは借りて、手ごろなものは購入するため本屋で注文して手に入れたものであった。

しかし、届いた本がこれだった。
ノンフィクションを探していたのに、これは普通にフィクション小説だった。

内容も、ちょっと題材が古すぎた。
古いものも好きだが、そういうものでもなかった。
しかも、淡々と進んでいくのだ。
たとえば、身勝手な夫に振り回される話。
夫が8年も二重生活をしていて、浮気相手に隠し子までいる。だから、離婚してあげるというもの。
舅や姑からのプレッシャーの中ようやく子供が生まれるが、小耳症という耳が以上に小さく生まれてきた子供によって、精神がやんでしまう話・・・などなど
ちょっと、退屈だったかな・・・・

中国畸人伝 陳 舜臣

2008年12月31日 | 小説-アジア-
1990年
中公文庫
☆☆



稀代の天才であるがゆえに、奇人の振りをせねばならなかった人、
自由であるがゆえに奇人のようであったひとなど、
中国の歴史上奇人ぶりを発揮した人の紹介である。
朝廷でのいざこざにまきこまれぬよう、おかしな振りをするものや、
ああいえばこういう減らず口で世を渡った人。
跡取り問題に巻き込まれぬよう、気のふれた振りで過ごす者。
ただし、ここで紹介されていたのは、
大天才や大変な富豪である。
はっきりいって、一般人の中の一般人である私はなにも心配することはないのだ。

探偵倶楽部 東野 圭吾

2008年12月31日 | 小説-日本-
2005年
角川文庫
☆☆



会員制調査機関、VIP専用探偵倶楽部。
仕事は冷静沈着、さらに迅速
どんな問題も、サックリ解決していきます。
ショートショートであり、物語ごとにそれぞれの主人公がいる。
しかし、全体としての主人公は探偵の2人であろうが、じつに謎なのだ。
事件が発生して、ひょっこり探偵が現れてサックリ解決という流れ。
犯人を暴くだけではなく、最後は依頼人に託す。
ちょっとした時間にさらっと読めて楽しめます。


空の中 有川 浩

2008年12月31日 | 有川 浩
2008年
角川文庫
☆☆☆



民間航空機が高度2万の空域で事故を起こした。
さらに、自衛隊機も同じ空域で何かに激突した。

事故調査員の青年と自衛隊機の女性パイロットは高度2万であるものを発見する。
そして、事故死をした自衛隊員の息子と幼馴染の少女は海辺であるものを発見する。

高度2万メートルに生息する”者”は不本意ながら航空機事故を引き起こしてしまった。
その時に一部が剥離して地上に落ちてしまう。
その生まれたものは知能は高いものの真っ白な状態であった。
少年はそれを拾ってフェイクと名づける。
父親を亡くしたことでフェイクにのめりこんでいく、
フェイクを盲目的に、自分の思うがままに育てていったが、
あるとき、少年の父親を事故死させたものとフェイクは同じものだと知って
フェイクを放置してしまう。

これは、フィクションであるがフェイクとペットをオーバーラップさせた時、
かわいいからペットショップで犬や猫などを買うが
面倒になって捨ててしまうという話を考えてしまった。

この作品はとにかくテンポが良く、飽きることがない。
全編ずーっと”面白い”
作者のプロフィールを見ると
”電撃ゲーム小説大賞”の出身者であった。
電撃ゲーム小説はテンポの良いスピード感ある作品が多い、

青年と女性パイロットの側と少年と幼馴染の側がそれぞれ進行して・・・
なかなかのオススメ本です。


フェイク 楡 周平

2008年12月31日 | 小説-日本-
2006年
角川文庫




帯に”白熱する頭脳ゲーム”と書いてあった。
漫画でいうと、カイジとかライアーゲームみたいなものを想像していたが、
すっかり肩透かしである。
銀座の高級クラブのボーイが新しく入店してきたママの運転手をすることになる。
その伝で、ほのかな思いを寄せている女友達をママに紹介するが・・・・
基本的に、バカな主人公が嫌いである。
私は、読書をすることで現実から逃避するので、
どちらかといえば性格が悪くても天才みたいなとか、
ぽ~っとしてるのに天才とか、
そういった、主人公が大好物である。
しかも、この本の頭脳ゲームって・・・・・
残念でした。

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