ぶーくん読書録

今まで読んできた本について、いろいろ書いてみる。
ほとんど、ネタバレ!!

迷宮遡行 貫井 徳郎

2009年07月29日 | 小説-日本-
2000年
新潮文庫




同作家の「慟哭」がものすごく面白かった。
そこで、期待して読み始めた。
リストラされた男のもとから妻も置手紙一枚で行方をくらましてしまう。

あきらめきれない男は、妻を捜すことにした。
しかし、妻とは入籍もしていないし知らないことも多すぎた。
ささやかな手がかりを元に調査をするが
思いがけないことが連続で起こる。

この男がまた非常に情けない頼りない男としてかかれ、
それでも、妻恋しさに勇気を振り絞って調査を進める。
お金も無く、精彩もないところがなんとなく面白く感じて読んでいたが、
中ごろになるとなんだか現実味もなくなり、
失踪の理由もなんとなく陳腐でがっかりした。

法月倫太郎の解説がなんだかとても納得が行き、
今度は法月倫太郎の作品を読もうと思った。

迷宮遡行 (新潮文庫)

カンナ 奥州の覇者 高田 崇史

2009年07月23日 | 高田 崇史
2009年
講談社ノベルス




本当にヤケクソです。

副題が”奥州”だったので、楽しみだった。
つい最近、平泉へ旅行に行ってきたからだ。

この「カンナ」に関してはシリーズ4作目である。
すべてにおいての軸になるのは、
主人公鴨志田甲斐の家である神社の社伝を盗まれ、
その盗まれた社伝を甲斐がしたっている早乙女諒司が取り返すも
諒司がそのまま失踪してしまう。
その諒司を追って各地で色々な事件と歴史の謎を解くという作品である。

しかし、同作家のQEDシリーズに比べると歴史の謎も謎解きも実につまらない。
しかし、続けて読んでいるので今回も読むことにしたのだが、
ひどい・・・

今回、奥州とうことだが、
坂上田村麻呂とアテルイについての疑問が投げかけられる。
アテルイと悪路王が同一人物であるという説があり
達谷窟のいわれがちょっとでてくる。
さらに、田村麻呂とヤマトタケルの類似点などが上げられているが、
もともと、征夷大将軍、坂上田村麻呂と大変な役職でありながら
蝦夷討伐で京から遠ざけられる事自体、京に居てもらいたくないとうのが見え見えである。
さらに、やけに華々しい話が(伝説的)なところも
わざとらしい、
ヤマトタケルが父親に疎まれて地方討伐に行かされる件にそっくりである。
素人でも考えつくような話がこの本に書かれているのだ。

辟易した。

全体的に、こちらのシリーズは浅すぎる。

カンナ 奥州の覇者 (講談社ノベルス)

制服捜査 佐々木 譲

2009年07月21日 | 小説-日本-
2006年
新潮文庫
☆☆☆



以前読んだ「笑う警官」の外伝的な的な本である。
川久保は道警不祥事を受けた大異動により札幌の刑事から十勝の片田舎の駐在所勤務となる。
家庭的な事情で単身赴任での着任である。

この小さな町で起こる事件の短編が5編であるが、
どれも短編とは思えないほど濃い内容だった。

まず、この十勝の片田舎の設定が、自分の生まれ故郷に近いこともあり、
情景がまざまざと思い浮かべられる。それは決して風景というのではなく、
小さな町の閉鎖的なところとか、町全体が知り合いみたいなところである。

なにかあると町の人々が、警察よりも町の有力者である防犯協会に相談する。
そして、防犯協会のモットーは、犯罪を防ぐのではなく、犯罪者を出さないということに終始する。
犯罪者をださないとは、犯罪を起こした人間がいたとしても事件として立件しなければ、犯罪者がでないということだ。

少年の不審な事故死と不良少年達の話から、
家族の不和、連続放火事件などの短編を経由して、
最後の「仮装祭」という作品へのつながりも見事だった。

駐在という捜査のなかでは弱い立場である川久保だが、
最後は読者をすっきりさせてくれる。
しかし、ひとつひとつのエピソードのバックグランドにある”町”の姿が
自分の生まれた町に良く似ていて、とても嫌な気分である。

しかし、この本自体はものすごく面白い。

制服捜査 (新潮文庫)

トワイライト上・下 ステファニー メイヤー

2009年07月12日 | 小説-日本-
2008年
ヴィレッジブックス

☆☆

オススメいただいた本です、なかなか読む機会がなかったのですが、
ようやく読めた。

ふだんは、ミステリとホラーが中心で血なまぐさい話が多かったが(あっ、これもあるいみ血なまぐさいか・・・・)こういうピュアな感じの本を読むことがなかった。

母親の再婚により父の住む霧の多い町に住む事になったベラ、
転校した学校では、美しいカレン兄弟がいた。

カレン兄弟の一人、エドワードはベラに冷たくしたり、優しくしたりと
訳がわからないままベラはエドワードに惹かれていくが・・
エドワードは実は、バンパイアだったのでした。

人間と、バンパイアの恋というのが
切なく、美しい
久しぶりに、どきどきする本を読みました。

トワイライト 上 (ヴィレッジブックス)

戦国風流武士 前田慶次郎 海音寺 潮五郎

2009年07月06日 | 歴史・時代物
2003年
文春文庫
☆☆☆

前田慶次郎物といえば、
隆慶一郎の「一夢庵風流記」が一番好きである。
やはり、基準となるのが「一夢庵」であるのだが、
この海音寺氏の慶次郎も面白かった。

慶次郎の面白いエピソードだけを集めて小説にしたと言う感じである。

もともと、この前田慶次郎は、はっきりとは分からないところが多く、
年齢もまちまちだったりする。
この本では、前田利家よりも年下となっているが、
利家よりも年上であるという説もあり
そこがまた、謎で面白いのかもしれない。

基本は文武両道で、戦場に出れば右に出るものなし、書画、茶道、香道もたしなむ風流人、しかしそれ以上のいたずら者であるという。
それも、いい年こいていたずらばかりするという天晴れな人である。

ひさしぶりに、すっきり笑わせてもらった本である。

戦国風流武士 前田慶次郎 (文春文庫)

噂 荻原 浩

2009年07月05日 | 小説-日本-
2006年
新潮文庫
☆☆☆

ここのところ、自分で選んだ本が不発続きであった。
そんなときは、オススメしてもらった本を読んでみる。
この作家は始めてである。

広告代理店の話から始まる、
先日読んだシリウスの道を思い出し、ちょっと引き気味になる。
ところが、こちらは違った
きちんと導入部分と本編の書き分けがされていた。

新しい香水「ミリエル」を宣伝する為、モニターである女の子の”口コミ”を利用するという。
その口コミは「この香水をつけると恋が叶う」、「有名人も使ってる」そして
「レインマンは女の子ををさらって足首を切り落とし持ち去るが、ミリエルをつけていれば大丈夫」と言うもの。
しかも、この広告会社の女社長というのが、実に鼻持ちならない嫌な女としてかかれている。

足首の無い死体が発見され、捜査本部が発足する。
この捜査をする刑事が大変魅力的だった。
かっこいいとかではなく、年頃の娘とくらいしているふつうのオジさん刑事と
美人で若く見えるが、とある理由で特進して警部補となった2人がなんとなく魅力たっぷりで、
犯人は早々に目星はついたが(理由がわからなかったが)、
実に面白かった。
出てくる地名も実に身近なところでもあるので、より一層面白く感じた。

しかし、最後の最後の一言が戦慄する。

噂 (新潮文庫)

ジェネラル・ルージュの凱旋 海堂 尊

2009年07月02日 | 小説-日本-
2009年
宝島社文庫
☆☆

「ナイチンゲールの沈黙」と同時進行の作品であった。
ナイチンゲールは小児病棟をメインに、ジェネラル・ルージュは救命救急をメインに描かれている。

リスクマネジメント委員会の田口先生宛てに
救命救急センターの速水部長に対しての告発文が届く、
旧友速水の為に重い腰を上げるが・・・

一方では小児不定愁訴外来を
一方ではリスクマネジメント委員長として田口先生忙しそうだと思いながら読んだ。

ナイチンゲールはあまり面白いと思えなかったが、
読んでおいてよかった、
ジェネラルを2倍楽しめた。

ジェネラル・ルージュの凱旋(上) (宝島社文庫)

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