ぶーくん読書録

今まで読んできた本について、いろいろ書いてみる。
ほとんど、ネタバレ!!

植物図鑑 有川 浩

2011年05月25日 | 有川 浩
2009年
角川書店
☆☆


しばらくヘヴィな本がつづいたので、
ほっこりと優しい気持ちになれる一冊で・・・

ある日、さやかは飲み会でほろ酔い気分になって帰宅する途中
行き倒れていた青年イツキを拾うことになる。

翌朝、イツキは朝食を用意してくれて、すっかりその食事に魅せられたさやかから、
行くところが無ければしばらくいてもいいと提案し、
二人の同居生活が始まる。

イツキは野草に詳しく、
出不精だったいつきを休みごとに近所の河原などに連れて行き、
そこでいろいろな野草について話したり、食材となる野草を摘んで
その日の食事にしたりする。
フキノトウやノビル、イタドリやワラビなど季節ごとの野草とともに、
その時の思いでが語られていく。

イツキは、名前以外は何も語らず、さやかもあえて聞かずにいたが
ある日、さやかが仕事から帰ると、部屋からイツキが消えていた。

毎週のように二人で野草を見たり、収穫したりと楽しく過ごしている姿が
とてもすがすがしく、暖かい気持ちになる。
イツキが居なくなるシーンでは、ちょっと切ない気持ちになるが、
最終的には、ステキなハッピーエンドが待っていて
安心して読める、やさしいラブストーリーとでもいいましょうか。
この、野草の料理とラブストーリーが絡んでいるところが、なんとも素敵です。

八日目の蝉 角田 光代

2011年05月20日 | 小説-日本-
2011年
中公文庫
☆☆

面白いか面白くないかといえば、それは多分おもしろいのでしょう。
ただ、わたしは、ずーっと、初めから最後の1ページまでずっと不快感を感じていた。
まず、わたしにはまったく主人公たちの気持ちを理解できない、
シンクロできない、共感できない。むしろ不快感しか感じられない。
そういった部分では星は★←こんな感じです。

0章・1章・2章の3部構成となっており、
0章では
希和子が不倫相手の子供を誘拐する話
1章で、
誘拐した子を「薫」と名付けて逃亡生活を送る。
初めは、立ち退きを無視して住み続ける女性のもとで生活をするも
危険を感じ、女性だけが住んでいる新興宗教のホームへ身を寄せる。
ところが、そのホームへ立ち入り検査が入る日、またもや危険を感じて逃げる。
その時、同じホームに住む女性から、実家の住所を教えてもらい、
その女性の実家である小豆島へ逃れる。
平穏な生活をしていたが、捜査の手がこの小さな島に伸びていた。

そして、2章では
この誘拐された娘「薫」こと、真理菜は大学生になっていた。
真理菜のもとに、ホームで共に過ごしたという千草という女が訪ねてくる。
千草もまた、ホームによって人生を狂わされた一人であるが、
真理菜の事件を本に書きたいと言ってきたのだ。
それから、二人は過去について話をする。

それは、真理奈の父親がどういう人間であるのか、そして、母親がどういう人間なのか
さらには、自分を誘拐した希和子がどういう人間なのか
二人は、真理奈の生きてきた町を訪れるたびをすることになる。

まず、この父親が希和子と不倫を続けるという身勝手さと、
希和子の妊娠を知って、希和子に結婚のために堕胎をすすめ、それを承認する希和子への嫌悪感と
夫が浮気をしている相手に嫌がらせの電話や手紙を送り続けながらも
自らも浮気をしている母親
そして、
真理菜自身も不倫をしてその不倫相手の子供を妊娠するという
はっきりいて、気持ち悪い話だ。

ラスト・チャイルド上下 ジョン・ハート

2011年05月16日 | 小説-海外-
2010年
ハヤカワ・ミステリ文庫
☆☆



下巻はまさにジェットコースターのようでした。
あれよあれよと、前半にばらまかれたピースがハマっていき、一気にパズルが仕上がるような感じです。

まだ十三歳のジョニーの家は、
双子の妹の誘拐によって崩壊する。
父親の失踪と、くすりと酒に溺れる母親、
その中でも、ジョニーは妹が戻ってくることで一家がもとに戻るのではないかと
友人のジャックに手伝ってもらいながら捜査をしていた。

ジョニーの妹アリッサを見つけることができず、
その間のジョニーの一家の悲惨な末路に責任を感じている担当刑事のハント
事件の解決ができないことへの焦りと
ジョニーの母親、キャサリンへの感情にアリッサ事件へのめりこむ。

酒と薬に溺れる母親は、町の有力者のケンの言いなりになり、
いつもふらふらな状態にある。
そんな、母親をジョニーは支えながら、妹が戻れば家ももとに戻ると信じて
ジョニーなりの捜査をしているときに
同じ学校に通っている女の子が誘拐される、
さらに、聞き込みをし、学校をさぼったジョニーがけがをした人を発見し、
恐怖で逃げる途中に脱獄囚とであう。

次から次へと
色々な人が登場しては死んでいくが、
最後には、綺麗にそれらがつながっていく。

けなげに一家をもとに戻そうとするジョニーに対し、
現実逃避して、息子の面倒すらきちんと見なかった母親が
変わっていくところや、
ジョニーが父親の子だったんだな~と、最後は悲しい結果であるが希望のある最後だったのが読後感をスッキリさせてくれた。

予知夢 東野 圭吾

2011年05月14日 | 小説-日本-
2003年
文春文庫
☆☆

探偵ガリレオシリーズの第二弾だった・・・・
基本的に、適当に購入するため、この本がシリーズなのか全面に書いてないとわからなかったりする。
そして、このガリレオシリーズの一作目は読んでいない。
しかし、ドラマ化・映画化されているので、主人公が帝都大学助教授、物理学者の湯川であることは押さえているので、そのまま読み始める。
短編集で、一作目を読んでなくても問題ない。

16歳の少女の部屋に忍び込んだ男は、
17年前からこの少女と結ばれる運命にあると夢を見たと主張する。
その日、少女の部屋の窓には鍵はかかっておらず、
さらに犯人のもとに招待状が届いていたという、
ところが侵入したところで、少女の母親により猟銃で撃たれるのだが・・・
17年前に見たという夢の解明をガリレオがする
「夢想る」ゆめみる

カメラが趣味だという清美は、旅行に行く前日に部屋で殺害される。
丁度、その殺害された日は、清美の恋人である細谷がひょんなことから
細谷の友人で清美に好意をよせている小杉の部屋でする番をすることになる。
そして、殺害時刻に小杉の部屋から清美の姿が見えて・・・
この”霊”の正体を暴く
「霊視る」みえる

草薙は姉から姉の友人の相談を聞いてくれるように頼まれる。
内容は、その友人、弥生の夫が行方不明だという。
弥生の夫は、失踪前に顔見知りの一人暮らしのおばあさんの家に行ったのだが、
弥生がその家に行って見ると、2組の夫婦が住み込んでいた。
さらに、その2組の夫婦は毎晩決まった時間に出かけるのだが・・
この夫婦が出かける理由、そして弥生の夫の行方を推理する
「騒霊ぐ」さわぐ

工場の社長がホテルで絞殺死体として発見される。
社長が死ぬ前にその娘がみたという父親のまわりにある火の玉
火の玉の正体と社長殺害の謎を解く
「絞殺る」しめる

直樹の後輩である峰村が直樹の奥さんの手料理を皆で食べていた時に
直樹の携帯が鳴る。携帯の相手は
向かいのマンションに住む直樹の愛人からだった。
愛人は、今すぐ奥さんに離婚の話をしないと
首を吊ると、直樹のマンションの窓から見える場所で首を吊るが・・・
なぜ愛人は、皆の見えるところで首つりをしたのかという謎を解く
「予知る」しる

の5編の短編である。
どれも、短いなかで事件を解決させていきすっきりする。
電車などのちょっとした時間などに読むには最適だが、
基本的には、やはり長編が好きなので、若干物足りなさも感じる。

悪の教典上・下 貴志 祐介

2011年05月09日 | 小説-日本-
2010年
文藝春秋
☆☆

さわやかで、生徒にも人気のある高校教師の蓮実。

初めの数ページ目に、大家の犬を手なずけるとう名目で
”ハンバーグ”を与えているくだりがある。
この時点で、なんだろう?この人となった。
この後、上巻の3分の1くらいは、
生徒ときちんと向き合い、同僚の教師に気を使い、
学内の争いごとをうまくいなしていく素晴らしい先生像が描かれているが、
”ハンバーグ”が引っかかって初めから、この蓮実という主人公が禍々しい存在に見えてしかたがなかった。
あとに、説明がされているが、
犬にハンバーグはあり得ない、ハンバーグには玉ねぎが入っている、
この玉ねぎは犬にとって危険な食べ物である。
それを、”手なずけれる”とは、おかしな感じだと思っていたら、
そのとおり、
たぶん、この行動で大体の道筋ができあっがっていた感じであった。

蓮実の実態は、
高いIQをもつサイコパスで、邪魔な人間を躊躇なく殺害し排除する。

自分に疑いがかからない方法で、自分の思うままに学校内を支配していたが
少しずつ齟齬が生まれて、
文化祭の準備により蓮実のクラスの生徒たちが夜を徹しての準備をするさなか
邪魔になった生徒を自殺に見せかけようとするもそこでも齟齬が生まれ
”自分”にとっての修正を図るために考えたのが一クラス虐殺であった。

上巻の情報と考査によって、うまく人を動かして思う通りにしていた犯人が
下巻でいきなり、大量殺人をはじめるというまさかの展開。

一気に、非現実的すぎて、途中から冷めてしまった。








シスター・ブラックシープ 悪魔とロザリオ 喜多 みどり

2011年05月03日 | 小説-日本-
2010年
角川ビーンズ文庫


赤子の頃に悪魔に16歳になったら花嫁にすると宣言されたコンスタンティンは
4歳に教会に預けられ性別を隠して助祭として過ごしていたが、
保護者として育ててくれていた司祭が亡くなって、16歳を迎えようとしていた。

その日、教会でお祈りをしていると猫がやってきて気付かぬ間にコンスタンティンは指輪をはめられていた。
この猫こそ、悪魔なのだが訳あって力を削られこの姿になっていたのだった。
指輪により契約がされ、勝手に花嫁にされてしまったが、
指輪を外すには、善行を重ねることで指輪を破壊しないといけないといわれ
伝説のシスターブラックシープとなって善行をしようと考えた。

町では子供がさらわれるという事件が起こっていて
その解決に乗り出すのだが・・

新しくやって来た司祭というのが、この猫の姿になっている悪魔の力を削いだ本人であるが、
悪魔の兆しを見てこの町にやって来たのだが、ねこの正体にも気付いてないし
コンスタンティンの正体もわかってない。
ちょっと抜けてそうな司祭と、やっぱり抜けてそうな悪魔とのやり取りが面白いが
ほとんどが会話で進むとうのが、ちょっと読みずらいというかわかりずらい。

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