天野裕夫『十魚架』。
中央公会堂付近から肥後橋方面へ川沿いを歩いていましたら、どえらいインパクトの彫像に出合いました。凄すぎて思わず撮影。
人間(?)の胴体にぶっつりと魚が突き刺さる、題して『十魚架』です
川→魚+十字架から思いついちゃったであろう出オチ的なビジュアルにのけぞりましたが、良く見ると人間の表情に妙な切実さがあって、一方で突き刺さっている魚のマイペースな佇まいが愛嬌たっぷり、全体として緊張感と飄逸さが混じり合った稀有な仕上がりになっています。
刺さってますけど何か。
うぉぉぉ。
そしてふんばる。
帰って調べてみましたら、この『十魚架』を含めた中之島緑道の彫刻群は「水・緑・光」をテーマに昭和63年に公募された中から選ばれたものだそうで、数百の作品のなかから「これがいい!」とたくさんの方が思った訳ですね。偏見に聞こえたら申し訳ないですが、浪花魂を感じてしまいました・・・。
それにしても「水・緑・光」をテーマにしてこの発想。素晴らしすぎます
(緑→平和)、(光→祈り)=十字架+水→魚=...???
作者の天野氏の他の作品の画像を拝見しましたが、ただのネズミに変なものがいっぱいくっついていたり、グロテスクながらどこか憎めない顔の蛇(のようなもの?)、さらには妖怪をテーマした展覧会などがあったので、現実には存在しない奇妙な生き物たちへの愛着が人一倍強い方だとお見受けします。
さまざまないきものは「作るのではなくできるもの。触っていくと出来ていくという感じ」だそうです。
「自分の手を信じている」(岐阜のギャラリーパスワールドのサイトより)
理屈ではない強烈な吸引力は、こうした創作態度から生まれるものなのでしょう。
この『十魚架』も、魚への愛情を感じます。同時に逆境(?)に耐え、毅然と立つその姿に、個人的には『太陽の塔』のイメージが重なりました。
御堂筋沿いの彫刻群が上品な山の手お嬢様風なら、こちらの緑道の彫刻群は全体的に土着の家路仕様。骨太さとユーモアに満ちていて、緑道全体がとても親しみやすい雰囲気です。
ビジネスマンのオアシス。
鳩までリラックス中。
大阪の川沿いは面白いですね。
時間を見つけて、どんどん歩いていきたいと思います