高尾山“6号路”で多く見られる「クワガタソウ(鍬形草)」。オオバコ科(←ゴマノハグサ科)クワガタソウ属の多年草で花径は1センチほど。花冠は4裂し内側に紅紫色の条がある。雄蕊は2本で雌蕊は1本。日本固有種で東北地方から近畿地方に掛けての太平洋側に分布し、やや湿り気のある場所に生育している。
高尾山ケーブルカー清滝駅構内の樹に着生している「カヤラン(榧蘭)」。駅員さんにお願いして撮らせてもらった。カヤランはラン科カヤラン属の多年草で、葉の様子がカヤ(榧)に似ていることから名付けられている。花径は1.5~2センチだが、ここは高い位置に着生しているため間近で見られず、望遠で撮って何とか花の形がわかった。
今春はチチコグサの仲間を色々調べてきたが、ひとつ残ったのが「セイタカハハコグサ(背高母子草)」。そろそろ花も終わりなので、来年の課題にしようと思っていたところ、長池公園付近の“長池橋”を渡っていて、舗装の透き間から生えている草丈40~50センチの花に気付いた。ウラジロチチコグサやタチチチコグサなどとは雰囲気が異なる。『もしかしたら』と思って色々調べ、最後は長池公園の専門家に確認したところ、セイタカハハコグサに間違いないとの返事。セイタカハハコグサはキク科ハハコグサ属の一年草~二年草でヨーロッパ原産。乾いた環境を好み、造成地や街中でも増えているようだ。茎は根元で分枝してひょろひょろと立ち上がり、草丈は40~50センチになる。茎頂にはハハコグサにそっくりな花が咲くが、上部で複数に枝分かれしそれぞれの柄先には頭花が付いている。花色はハハコグサよりもくすんでいて淡茶色に見えハハコグサのような鮮やかさはない。またハハコグサの葉はへら形だが、セイタカハハコグサの葉は線形に近いスプーン状になり、その幅は先端に向かって緩やかに狭まり先端がやや尖る。ハハコグサとの中間型のアイセイタカハハコグサも存在するようだ。ちなみに当地の専門家によると、ハハコグサとチチコグサはたまたま“母”と“父”という名前で区別されているが、その境界線は分類的には分ける必要が無く、ひとつのグループとして捉えて良いとのこと。
ハナヤスリ科ハナワラビ属の「ナガホノナツノハナワラビ(長穂の花蕨)」。ナツノハナワラビに似ているが、胞子葉は横に拡がらず細長くて上に伸びる。ナツノハナワラビの栄養葉の羽軸には毛が見えないが、本種には白い毛がまばらにある。またナツノハナワラビの小羽片の切れ込みは細かいがナガホノハナワラビの小羽片の切れ込みはやや浅い。これは長池公園の“ながいけの道”から“中央園路”に向かう道端のもの。