徒然なるままに、一旅客の戯言(たわごと)
*** reminiscences ***
PAXのひとりごと
since 17 JAN 2005


(since 17 AUG 2005)

ここはどこでしょう?

さて、このタイトル画像はある空港のとある滑走路に天気・視界共に良好な状況下、進入時に見える光景です。
( AIRPORT FAMILIARIZATION:空港慣熟と言って、未だ飛んで行ったことのない空港の場合、パイロットの皆さんはこのような教材でお勉強をします)

滑走路の接地帯から反対側の接地帯が見えて、心なしか滑走路終端も近くに見えます。セスナのような小型機ならまだしも、Boeing767, 777, Airbus 320 で着陸するとなると、接地したら Full Reverse (最大逆噴射)、Auto Brake (自動ブレーキ)も最大で減速しないと、オーバーランして滑走路を飛び出してしまいそうですね。
かと言って、これから夏場で暑くなると、ディスク・ブレーキやタイヤの温度にも気を配らないと、温度が急激に上がり、タイヤ・バースト、出火となる可能性もあります。従って、速度やブレーキ温度にも気を配り、ある程度の減速効果が得られたらブレーキペダルを踏み込んで Auto Brake を解除しなければなりません。

大型機が着陸するとなると、パイロットには相当の技量が求められ、パイロットの心拍数も極限にまで上がりそうです。

調布飛行場かな?それにしては滑走路の幅だけは生意気にそこそこあるように見えますねぇ。

【正解】これが、成田空港のB滑走路 Runway 16L (北側から南へ向けて着陸する方向)です。

用地買収が難航しているから「北側に延長する」(写真でいうと手前側にたった300m)かもしれない滑走路であります。

某社のオペレーションセンターに査察と称して偉そうに入り込み、頓珍漢なことを言って威張っていた航空局の局長殿も、地権者の前では何で偉そうに出来ないのでしょうねぇ。不思議です。

他のブログでも指摘されていますが、今の状態で北に僅か300m伸張したところで、箪笥の肥しにもなりません。

成田空港の Airport Diagram は以下のようなものですが、

NARITA_INTL_20_9


そこには、B滑走路に関する注意・制限事項が記載されています。画像では読みにくいと思いますので、一部を転記しておきます(太字、下線は小生による)。

B-747s are not permitted to use Rwy 16L/34R.

As a general rule, propeller driven airplanes are required to use Rwy 16L/34R.

On B-Twy between E2-GWY and B7-Twy;
-Acft with a wing span of 194' (59m) or more reduce taxiing speed adequately so that it can follow the center line accurately as the wingtip clearance will become less than 49' (15m).
-B777-300 must exercise caution when taxiing on the curved portion of the twy because the clearance between the main landing gear and the edge of the twy will become less than 15'(4.5m) when the nose gear follows the centerline.

この夏休みに成田空港から海外にお出掛けになる方で、近距離国際線をご利用になる皆様、B滑走路利用にあたって極度の緊張を強いられる運航乗務員・客室乗務員の方々のご苦労に感謝しましょう。



成田空港 暫定滑走路、北延伸へ 国交省、用地交渉不調 計画の反対側 (産経新聞) - goo ニュース
 成田空港の暫定平行滑走路(二千百八十メートル)を二千五百メートルに延伸する問題で、国土交通省の岩崎貞二航空局長は十一日、用地売却の意思を最終確認するため、成田市東峰の建設予定地の最大地権者(58)宅を訪問した。同日、千葉県の堂本暁子知事と成田市の小林攻市長も最大地権者に直接協力を要請した。だが、いずれも会談は不調に終わった。国交省はこのため、今週中にも滑走路を本来計画とは反対側となる北側に約三百メートル延伸して建設する「北延伸」の決断を下す見込みだ。

 成田空港には現在、A滑走路(四千メートル)と、建設予定地内にある七戸の反対派農家などの土地が買収できないため、計画より三百二十メートル短い長さで平成十四年四月に暫定開業したB滑走路がある。国交省は増大する国際線需要などへの対応が急務として、B滑走路の延伸を急いできたが、地権者との合意には至らないまま交渉は事実上、棚上げ状態だった。

 岩崎局長は十日に続いて、十一日も同地区の各地権者宅を戸別に訪問。未買収地約三・八ヘクタールのうち約一・六ヘクタールを所有する最大地権者とは約一時間半にわたって会談し、本来計画での滑走路延伸を求める北側一雄国交相の意向を伝え、改めて協力を要請した。堂本知事や小林市長も延伸計画への協力を要請した。

 しかし地権者側は、「用地交渉には応じられないし、北側延伸も容認できない」「まだ空港会社との話し合いを進めている。今の段階では協力できない」などと計画反対を表明し、結局、合意には至らなかった。会見した岩崎局長は「皆さん、厳しい意見だった」と肩を落とした。

 国交省は、今週後半に成田国際空港会社の黒野匡彦社長から用地交渉の報告を受けたうえで際立った進展がなければ、計画とは反対側の「北延伸」を決断、空港会社に指示する見通しだ。

 本来計画とは逆の北側方向への延伸が決まった場合は、早ければ十九年に着工、二十三年には供用開始が見込まれている。

 ただ、工期(約六年)、工事費(約四百億円)ともそれぞれ本来計画の約二倍に膨らむ。このため、供用開始までには運用上の安全性確保の問題やコスト削減などの論議も出そうだ。
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