徒然なるままに、一旅客の戯言(たわごと)
*** reminiscences ***
PAXのひとりごと
since 17 JAN 2005


(since 17 AUG 2005)

CRMの問題でしょ

これって、所謂 CRM: Crew Resource Management / Cockpit Resource Management の問題ですよね。青社はCRMトレーニングやLOFT( Line Oriented Flight Training :実際の運航に基づいた飛行訓練)を実施していないのでしょうか?そんなことは考えられません。

結局、マスコミや世間体への体裁を整えるために、Cockpit Crew に原因を押し付けて、
全日空は3日までに、機長ら運航乗務員の意思疎通が不足していたことも原因の一つだったとして、社内に「コミュニケーションプロジェクト」を立ち上げた。
と言っているようにも思えます。

昔のことですが、米国の Cockpit Crew の間では“機長は絶対”“俺のやることに文句があるか”といった、機長への権威集中(ワンマンな機長が多かった)で「物言えぬコックピットの雰囲気」が問題となり、それが原因で悲惨な事故が何件か発生しました。その悪い環境を解決するために提案・開発されたのがCRMの考え方であり、米国の航空会社はそのトレーニング導入を義務付けられました。

その後、CRMはコックピットだけの問題ではない、とのことで「クルー・リソース・マネージメント」と呼び名が変わり、客室乗務員も含めたクルー全体の訓練手法として世界的に取り入れられるようになりました。

日本でも当然導入され、各社実施している筈です。

今の日本で3名(機長・副操縦士・航空機関士)で飛ばしているのは、全日空では在来型の Boeing747 しかありません〔日本航空グループでは、在来型の Boeing747 に加え、DC-10, A300B2(B4)〕。他の機種は全て2名(機長・副操縦士)運航です。
2 men crew cockpit でCRMがより重要であることは航空界では常識であり、今では機長に昇格時の資質として操縦技量や判断力と同等かそれ以上に求められている要件です。

ですから、運航乗務員はCRMの重要性は十二分に認識しています。イレギュラー発生のときにこそ2名の意思疎通が重要であり、それを問題なく行なえるようにCRMトレーニング受講を最低年に1回義務付けているのですから。

マスコミの報道を見ると、最終的に運航に携わっているパイロットに問題あり、のように書かれていますが、もし記事の中にある
 『副操縦士が、すぐ隣に座る機長の操作を疑問に思いながらも、口にしなかった』
が本当ならば、早急に対応を考えねばならないのは青社の運航技術本部や運航乗員部であり、CRMのトレーニング内容が適切なものであって訓練効果が得られる内容であるのかをレビューすべきです。
また、経営や労務が(運航乗務員の)組合活動に何らかの干渉をして、コックピットに余計な危険要素を持ち込んでいないのか、その点も充分吟味すべきです。

それらを行なう目的での「コミュニケーションプロジェクト」旗揚げであれば、異存はありませんが....。

機長ら、もっと意思疎通を 全日空、対応策検討 (共同通信) - goo ニュース
 全日空機の機長らが計器不調のため高度を誤認し、管制官の指示より1600メートル高く飛行したトラブルで、全日空は3日までに、機長ら運航乗務員の意思疎通が不足していたことも原因の一つだったとして、社内に「コミュニケーションプロジェクト」を立ち上げた。

副操縦士が、すぐ隣に座る機長の操作を疑問に思いながらも、口にしなかったことが事態を悪化させたと判断した。

全日空は運航中に感じたことも含め、さまざまな情報を伝達する能力を向上させるため、どんな訓練が必要かなどについて7月中旬までに対応策をまとめる方針だ。

高度誤認は6月5日、長崎発羽田行き全日空機で発生。離陸直後に機長席と副操縦士席の高度計表示が食い違い、機長は本来存在しない別の高度計データに切り替えたつもりで、実際には数値が誤っていた副操縦士側の高度計データに切り替えた。本当は機長側の高度計が正しかった。

2005年 7月 3日 (日) 18:24

タイトルの写真はイメージであり、投稿内容と直接の関係はありません。
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