徒然なるままに、一旅客の戯言(たわごと)
*** reminiscences ***
PAXのひとりごと
since 17 JAN 2005


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JAL1864/24FEB KOJHND 遅延問題 -対応が甘い!

 当該便のPIC:Pilot In Command 及び鹿児島のKDは対応が甘いと思います。

現場で対応にあたった関係者の心のどこかに『会社が(トラブルや経営陣の内紛で)世間から厳しい目で見られている時期だから、強行な姿勢をとって新たな批判を受けるかも…』の気持ちがあったとしたら、それは非常に残念なことです。

ひとたび運航の現場に出たら、遂行すべきは安全運航の確保であり、航空法と国内旅客運送約款に則って、安全第一に快適性・定時性を提供してお客様を目的地までお連れすることです。
その遂行を阻害する要因は徹底的に排除しなければならず、Door Close した段階から、PICには最大限の責任とともに権限も与えられています。

今回の事例は、紛うことなく改正航空法で定められた「航空機内における安全阻害行為等(機内迷惑行為)」であり、禁止・処罰規定を定めた改正航空法にのっとった厳しい対応をすべき案件です。

[禁止命令の対象となる行為]としては、

*航空機の運航の安全に支障を及ぼすおそれがある携帯電話その他の電子機器であって国土交通大臣が告示で定めるものを正当な理由なく作動させる行為

が第4項として含まれていますし、同第3項の

*航空機に乗り組んでその職務を行う者の職務の執行を妨げる行為であって、当該航空機の安全の保持、当該航空機内にあるその者以外の者若しくは財産の保護又は当該航空機内の秩序若しくは規律の維持に支障を及ぼすおそれのあるもの

にも抵触します。
“ギャレーにまで押しかけて、胸ぐらをつかみ、つばを吐きかけた”訳ですから。
それに、確かではありませんが、“ギャレーにまで押しかけた”のが Door Close、Push Back 開始後であれば、当然ベルト着用サインを無視し離席して通路を駆けたのでしょうから、他のお客様の安全を阻害した行為にもあたります。

このような[禁止命令の対象となる行為]に対しては、機長が当該行為を反復・継続してはならない旨の禁止命令をすることができます。
実際には機長は操縦席から出ることが出来ませんので、報告を受けた機長は先任客室乗務員にその命令を代理で伝える(警告書を読み上げて提示する)よう指示し客室乗務員が対応することになります。
ここでポイントとなるのは、当該行為を反復・継続して、の部分です。

警告書を読み上げられ、一回で当該行為を止め、安全阻害要因が排除された場合には、原則として処罰対象にはなりません。

が、今回は“繰り返しの注意で”と携帯電話を使い続けるという安全阻害行為を継続した訳ですから、改正航空法では、命令に違反した者となり、50万円以下の罰金が科されることになります。

PICがGTBしたのは当然の措置であるのですが、KDは何故に空港警察に身柄を引き渡さなかったのでしょうか。
それにしても鹿児島のKDは何故にそんなに弱腰だったのでしょうか(鹿児島はJACに委託しているのかな?)。

※KDも昔はJALの proper だったのですが、今では「JALスカイサービス」系列に分社・子会社化してしまいましたからねぇ。気骨のある人材が減ってしまったことは否めないでしょう。

もっとも情けない、というか許せないのは“「もうしない」と約束したため”再度搭乗を許可したということ。PICもそんなこと許しては駄目ですよ、もっと毅然とした態度で「搭乗拒否」しないと。

本来なら、GTBした段階で、機内にて当該旅客を拘束し、Door Open と同時に拘束した身柄を空港警察に引き渡し、KDがその後のフォローを担当するとともに、当該旅客が Baggage をチェックインしていたかどうかを慎重かつ迅速に調査し、荷物を預けていたら荷物の取り下ろし、受託手荷物がなければ、Weight and Balance Manifest を再計算して、さっさと Door Close、出発するべきです。

未就学児童でもあるまいし、「もうしません」の口約束だけで、何故に他のお客様を1時間もお待たせして、挙句の果てには、問題を起こした張本人を再度乗せて飛ばねばならぬのか、理解に苦しみます。

JALの運航情報によると、

JAL1864 10:45 11:41 出発済み 12:20 13:17 到着済み
    遅延 その他

となっていました。遅延事由をきちんと
 遅延 機内迷惑行為対応のため
と書けば良いでしょうに。

どうも、この類の安全阻害行為対応は、青社の方が毅然とした態度で(きちんとしたガイドラインに則って)対応しているように思えます。

今更ですが、機内迷惑行為についての詳細は、国土交通省航空局が平成16年9月に発表した 航空機内における安全阻害行為等(機内迷惑行為)の防止のための改正航空法の施行について を再度参照してみて下さい。

最後になりましたが、まだ暗いうちから早起きしてHNDに Show Up して、HND-KOJ の乗務についていた当該便のクルーの皆さん、不愉快な思いをしてとんだ災難でしたね。おつかれさまでした。


「携帯命」の不届き乗客、JAL機の出発1時間遅らす (読売新聞) - goo ニュース
 鹿児島空港で24日、羽田行きの日本航空1864便(エアバス300―600型機、乗客・乗員274人)に乗った30歳代の男性が携帯電話を使い続けたため、客室乗務員が何度も注意したところ、トラブルとなり、出発が約1時間遅れた。

 同社によると、男性客は、同機が滑走路へ向けて動き出した後も、女性乗務員の注意を聞かず、座席で携帯電話の電子メールを打ち続けた。繰り返しの注意で、やっと携帯電話の電源は切ったが、給湯室まで乗務員を追ってきて胸ぐらをつかみ、「もう出てくるな。顔も見たくない」と言ってつばを吐きかけたという。

 このため、機長判断で同機はいったん搭乗口に引き返した。

 乗務員が男性客を機内から連れ出し、再度注意したところ、男性客が「もうしない」と約束したため、男性客を再び搭乗させ、約1時間遅れの午前11時41分に出発した。

2006年 2月25日 (土) 11:19
日航機、出発1時間遅れる 乗客が携帯電話の使用続け (朝日新聞) - goo ニュース
 鹿児島空港で24日、機内で携帯電話を使用していた乗客が乗務員の注意を聞かず、使用を続けたため、午前10時45分鹿児島発羽田行きの日本航空1864便(乗員乗客274人)の出発が約1時間遅れた。

 同社によると、航空機が滑走路に向けて動き出したところ、女性客室乗務員が携帯電話のメール機能を使用している30代の男性客を発見し、使用をやめるよう繰り返し注意した。男性客は聞き入れず、乗務員の着衣をつかんで「出てくるな」などと言いながら、つばを吐きかけたという。航空機は、機長の判断により、携帯電話使用をやめない乗客がいることを機内アナウンスした上で、搭乗口まで引き返した。

 その後、乗務員らが男性客を機内から連れ出し説得したところ、「もう使わない」と約束したため、予定より約1時間遅れで出発したという。

2006年 2月25日 (土) 01:15
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