徒然なるままに、一旅客の戯言(たわごと)
*** reminiscences ***
PAXのひとりごと
since 17 JAN 2005


(since 17 AUG 2005)

報告書が出た頃には機体は退役

 当該事例は“イレギュラー運航”の扱いであったため、内部部局の航空・鉄道事故調査委員会がお出ましになることはなく、国土交通省航空局技術部航空機安全課なる部署が報告書を出しております。

再三苦言を呈しているように、事故調査委員会が“国土交通省航空局の内部部局”であることが同委員会を「骨抜き」にしている訳ですし、過去に遡れば、当時の運輸省と警察庁との間で取り交わされた『事故調査は刑事捜査の邪魔をしない』旨の今はまだ化石時代なのかと驚くような覚書が諸悪の根源でもある訳です。

閑話休題。当のDC10は、S町氏の『やりたいようにやる』という、とても近代国家企業のCEOとは思えない発想により、福岡への乗り入れを早々に止めたと思いきや、当初の計画を半年も前倒しにして、昨年10月末でライン稼動終了させられており、多くの人々に惜しまれつつ退役しました。

報告書に記された、
 『JALI社が保有するDC-10-40型機(JT9D-59Aエンジン装備)は、平成17年10月31日をもって運航を終了。』
の文言を見て、「我々のとった措置は正しかった」と悦に入っている輩もおられることでしょう。
その連中の勢いを増長させるがのごとく、報告書には、
 『JALI社が、今回事例に基づき、短縮した検査間隔を設定することは合理的な対応である。』
なんてことまで書いてあります。

さらに、S町氏や硬直化した経営陣に都合よく解釈されそうな文言が、
 『JALI社は、平成18年2月3日現在、B747-200型機(JT9D-7Q型エンジンを装備)を11機保有。』
というそれです。

問題のすり替えが上手な連中ですから、Classic Jumbo (Boeing747 在来型)の退役前倒しの題材として使われかねません。

DC10運航乗員部に在籍していた機長の方々の機種移行訓練は順調なのでしょうか。機長資格の維持は大丈夫なのでしょうか。
同様に当該乗員部に在籍していた First Officer の方々、Flight Engineer の方々のその後の日々は大丈夫なのでしょうか。

今年の3月末まで飛べる、と思っていたのに昨年10月25日に手にしたSKDからはFLTが消えてなくなっているのですから....。
DC10に携わっていた方々のライフ・プランはもとより、“半年も早く愛機を剥奪された無念さ”の心中は察するに余りあります。

DC10に愛着を持っていた一般人の我々にとっても、当初の機材計画通りだったならば、今でもまだJAの登録記号をつけた我が国に最後まで残った三発機、DC10に乗ることが出来たであろうに、とても残念です。

国土交通省航空局航空機安全課が発表した「JA8545(ダグラス式DC-10-40型)エンジン不具合に係る報告書の概要」はこちら→ です。


JAL系機の破片落下事故 国交省報告書 破損原因特定できず (西日本新聞) - goo ニュース
 国土交通省は十日、福岡発ホノルル行きのJALウェイズ機が昨年八月、離陸直後にエンジン内のタービンブレード(回転羽根)の破片を多数落下させた事故について、「ブレードが浸食され破損したとみられるが、浸食の原因は特定できなかった」とする調査報告書を発表した。同省は「結果としてエンジンの点検間隔などが不適切だったと考えられる」として日航に、それまで二千五百時間だった検査間隔の千時間への短縮などを指示した。
 エンジンは米プラット・アンド・ホイットニー社(P&W)が製造。調査は同省と日航がP&Wに依頼していた。

 報告書は、全損した二列目のタービンブレードが微細な異物との摩耗で浸食が起き、穴が開いたため冷却空気が漏れ、限界を超える高熱となって破損。その破片が飛び散り、三―六列目も損壊した可能性が高いとした。

 しかし、浸食が起きた原因については、火山灰やちりなどの影響を調べたが、同様の損壊が二〇〇一年に名古屋でJAL機に起きた一例しかなく、データ不足で特定できなかった。

 日航は事故直後から、類似エンジンの検査間隔を千時間に短縮し、検査範囲を拡大している。

2006年 2月11日 (土) 02:05
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