7/5に620Aのリバーブ歪の関係でアップしたが、その時は、突っ張り棒の効果について調べ、1本が一番よさそうな結果でした。それに関して、620Aは楽器の質感を良く表現できているように感じると記載しましたが、箱の構造にその原因の一端があると思うので構造を確認してみました。
■1)620Aのエンクロージャーの構造
これは、以下のALTECエンクロージャー図面集からの図をご覧ください。
箱の音響に影響する項目としては、
①寸法(体積)とその比 : 共振周波数
②補強 : 振動を押え込んで減らす
③内部の吸音 :吸収しやすい中高音を減衰さす。吸音材の種類・量・貼り方
④板厚 : 共振周波数と振動し易さ
■2)寸法(体積)とその比 : 共振周波数
これについては、46(奥行き):66(幅):102(高さ)=1:1.44:2.22 となります。
ルームアコースティックで引用した、石井式の部屋の理想寸法比が、1:1.38:1.18(高さ)ですので、高さ以外の縦横比は似ています。高さも整数倍を避けられているということでは、考えられているようです。また、ある程度の大きさを確保することで、質の良い低音を得ています。また、■5)で述べているが、立方体に近ければ近いほど共振が出て、箱鳴りが発生するので高さを2.22にした効果は大きい。
■3)補強 : 振動を押え込んで減らす
これについては、上図には、ほぼ全ての面の内側に桟木のようなブロックが32個張り付けられています。これは振動防止でしょうか。また、前後の板の共振を押え込むのに、前後を繋ぐ補強桟(25×76×419mm)があります。ヴァイオリンには表裏の板の間にスプルースでできた魂柱が挟まれています。魂柱により音が裏板まで振動し、楽器全体に音が響くようになっているのですが、ひょっとしたら620Aもその目的かもしれません。 また、これも共振防止なのか補強なのか、38×78mm断面の支柱が斜めにクロス方向で設置されています。更に、裏板には、150mm毎に8mmφの平ネジで固定されています。この補強を綜合的に見ると、ある程度の自然な鳴りを出しつつ共振は押え込む作り込みがなされているというような印象を受けます。
■4)内部の吸音 :箱内の音を吸収することで減衰させる。吸音材の種類・量・貼り方
これも、当時の標準的な吸音材である25mm厚のグラスウール(OC701)をほぼ全面の内側にステープルで止めています。このため、桟木を確認しようとしても見えません。以下
■5)板厚 : 共振周波数と振動し易さ
箱を形成する板の板厚は、19mmに統一されています。このサイズの箱の板厚としてはALTECの標準的な板厚と思います。これも、補強との合わせ技で、ある程度の自然な鳴りを出しつつ共振は押え込む板厚になっているという印象を受けます。JBL4331Aは、板厚25mmですので、ALTECは、板厚については薄めになっています。ALTECは大き目の箱がメインですので板厚を厚くすると重量が大きくなり過ぎるという点も考慮して補強を工夫したんですかね。JBL4331Aはピアノの音が箱鳴り気味であると、瀬川冬樹さんが指摘した(*1)ことがあります。4331Aの寸法比が立方体に近いので共振的な音を指摘していた。612Cでも箱鳴りをより感じると言っていたので、立方体に近い箱の欠点です。4331A(板厚25mm)は612C(板厚17.5mm)よりはずっと箱鳴りは少ないと仰っていたので、その差は、板厚の差と考えたら良い。
*1:Stereo Sound No46 ’78 春 P.150
■1)620Aのエンクロージャーの構造
これは、以下のALTECエンクロージャー図面集からの図をご覧ください。
箱の音響に影響する項目としては、
①寸法(体積)とその比 : 共振周波数
②補強 : 振動を押え込んで減らす
③内部の吸音 :吸収しやすい中高音を減衰さす。吸音材の種類・量・貼り方
④板厚 : 共振周波数と振動し易さ
■2)寸法(体積)とその比 : 共振周波数
これについては、46(奥行き):66(幅):102(高さ)=1:1.44:2.22 となります。
ルームアコースティックで引用した、石井式の部屋の理想寸法比が、1:1.38:1.18(高さ)ですので、高さ以外の縦横比は似ています。高さも整数倍を避けられているということでは、考えられているようです。また、ある程度の大きさを確保することで、質の良い低音を得ています。また、■5)で述べているが、立方体に近ければ近いほど共振が出て、箱鳴りが発生するので高さを2.22にした効果は大きい。
■3)補強 : 振動を押え込んで減らす
これについては、上図には、ほぼ全ての面の内側に桟木のようなブロックが32個張り付けられています。これは振動防止でしょうか。また、前後の板の共振を押え込むのに、前後を繋ぐ補強桟(25×76×419mm)があります。ヴァイオリンには表裏の板の間にスプルースでできた魂柱が挟まれています。魂柱により音が裏板まで振動し、楽器全体に音が響くようになっているのですが、ひょっとしたら620Aもその目的かもしれません。 また、これも共振防止なのか補強なのか、38×78mm断面の支柱が斜めにクロス方向で設置されています。更に、裏板には、150mm毎に8mmφの平ネジで固定されています。この補強を綜合的に見ると、ある程度の自然な鳴りを出しつつ共振は押え込む作り込みがなされているというような印象を受けます。
■4)内部の吸音 :箱内の音を吸収することで減衰させる。吸音材の種類・量・貼り方
これも、当時の標準的な吸音材である25mm厚のグラスウール(OC701)をほぼ全面の内側にステープルで止めています。このため、桟木を確認しようとしても見えません。以下
■5)板厚 : 共振周波数と振動し易さ
箱を形成する板の板厚は、19mmに統一されています。このサイズの箱の板厚としてはALTECの標準的な板厚と思います。これも、補強との合わせ技で、ある程度の自然な鳴りを出しつつ共振は押え込む板厚になっているという印象を受けます。JBL4331Aは、板厚25mmですので、ALTECは、板厚については薄めになっています。ALTECは大き目の箱がメインですので板厚を厚くすると重量が大きくなり過ぎるという点も考慮して補強を工夫したんですかね。JBL4331Aはピアノの音が箱鳴り気味であると、瀬川冬樹さんが指摘した(*1)ことがあります。4331Aの寸法比が立方体に近いので共振的な音を指摘していた。612Cでも箱鳴りをより感じると言っていたので、立方体に近い箱の欠点です。4331A(板厚25mm)は612C(板厚17.5mm)よりはずっと箱鳴りは少ないと仰っていたので、その差は、板厚の差と考えたら良い。
*1:Stereo Sound No46 ’78 春 P.150