オーディオ彷徨録~JBL4331AからALTEC620A~

今までのオーディオの改良や音楽の遍歴に、今後の改善も紹介。いい音に繋がる方法を色々模索したことや、好きな音楽を紹介する。

RDA560の低域クロス改善4 ~RDA560のBass ヴォリューム値による振幅と歪~

2020-10-30 18:13:30 | デジタルチャンデバ付きアンプ
 RDA560の低域は量的なものを求めて、Bassのヴォリューム(Vr)値を12時⇒13時の位置まで増加させている。このためF特がフラットから低域リッチになっていると思われる。どの程度なのかということと高調波歪も調べてみました。
 11/1 青字追記 今日の井上尚弥選手のラスベガスのメインエヴェンターとしてのパーフォーマンスは完璧。香川照之氏が”先生が数式を解くような試合”と比喩したがその通り。ドネアとの戦いは「肉を切らせて骨を断つ」ような顔面骨折の壮絶な戦い。今回はマロニー選手を入念に調べて”左ジャブのダブルの癖があること”を見抜いて、左を合わせるのを練習してきた。練習は誰でもできるが本番でそれをやれるのは本物。その練習の成果が6ラウンド、相手の左ジャブ2発の直後、カウンターの左フックが入りマロニーがダウンしたシーン。右を合わせるのも練習してきたに違いない。それが7ラウンド、相手が左ジャブを出した瞬間カウンターの右ストレートがクリーンヒットでマロニー立ち上がれず。これは全く力みもなく美しいフィニッシュだった。尚弥さんにはマロニーの左ジャブがスローモーションのように見れていたのではないか?村田選手が、”右のタイミングが合うなというのは何時分かったの?”と聞いた時に井上選手が”1ラウンド目に合わせてみて合うなというのは分かった”と答えた。彼は1ラウンドでマロニー選手を見極めたということだ。途中から誘ってカウンターに変えたと言っていたが、4ラウンドから誘っていた。カウンターはボクシングを制す!WBOのカシメロと早くやってほしいな。

 ■1)F特 8Ω純抵抗負荷の場合
 電気的なF特を取る必要があるので、前もやったようにRDA560のCH5(右の604のウーハー用)をフィルタ無しにして、1つのPC(レッツノート)からWGでサインスイープ波を出して、RDA560のCH5に入れて、そのSP端子の両端に8Ωの純抵抗負荷を繋いで、その電位をもう1つのPC(DELL)のマイク入力に入れてWSでF特を表示させた。
 リニアリティについては、10/19アップの■3)に載せたので参照ください。
 8Ω純抵抗負荷の場合のF特は、

 上段左側は、Bass Vr=12時位置で、右側は、Bass Vr=13時位置です。
 下段は、判りやすいように両者を1つのグラフに纏めたものです。
 これから青線のBass Vr=12時位置では、20Hzでー2dbしていますが30Hz以上はほぼフラットです。
 ピンク線のBass Vr=13時位置では、20Hzはフラットですが、30Hzで2db、100Hzで1.5db程度上げられていることが判ります。増強されているとはいうものの僅かと言う感じです。

 ■2)F特 実スピーカー(604-8Gウーハー)負荷の場合
 この場合は、

 上の8Ω純抵抗負荷の場合と違っているのは、ユニットのインピーダンスの影響で、20KHzが1.5db程度上がっていること及び同じ影響で低域では50Hzでピークを持つのが違っています。

 ■3)高調波歪
 これについては、WSの窓関数がFlat topの場合が本来の値に近い結果が得られると言うようなこともありますが、標準のHanningです。また測定周波数がFFTの分解能の整数倍に一致している(中心にある)場合には正確に測定できるというようなこともありますがそこまで考慮してやってはいません。

 左側が、高調波歪で、右側は、高調波歪+全ノイズを含んだ歪率です。
 上の■2)にWSを2つ載せていますが、その左下にあるTHD,+Nの枠内に%の数値が現れます。これが歪率です。上側が高調波成分の歪率、下側が高調波と全ノイズを含んだ歪率です。
 上段を見ると、BassVr=12時が青線で、BassVr=13時がピンク線ですが重なっているのでピンク線しか見えず差は無しです。
 下段で縦軸を拡大して1%以下の40Hz以上のみを見た場合は、左の高調波成分の歪率は差は無いですが、右の高調波と全ノイズを含んだ歪率で見るとBassを効かせた50Hz~100HzでBassVr=13時のピンク線の方が歪率が低く、高調波歪以外のノイズ・歪が、BassVr=12時青線に比べ少ない。

 【結論】RDA560でBassヴォリュームを13時までアップしているが、F特では低域で1.5db~2dbのブースト効果があり、高調波中心の歪率でも低域で若干良くなっている。
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RDA560の低域クロス改善3 ~1波トーンバーストによる遅延評価~

2020-10-24 14:09:23 | デジタルチャンデバ付きアンプ
 前回の最後に予告していましたように今回はトーンバーストによる遅延評価をしてみました。対象レシピーは、アドオンとクロスです。
10/25 青字追記・訂正

 ■1)レシピー④のオシロ
 レシピー④は、2231Aを-5dbでアドオンしたものでLPFは60Hzで8次逆相で落としています。
 トーンバーストは、60HzでWGはゲート1:12です。結果は、

 上段は、
 左上から行くと、CH4(2231A逆相8次-5db)とCH5(604-8Gウーハー)を共に鳴らした場合、中央上はCH5(604-8Gウーハー)のみ、右上はCH4(2231A逆相8次-5db)のみ です。
 これを見ますと、両ウーハーはー波でスタートしており、左上の604-8Gウーハーと2231A両方鳴らした場合よりも中央上の604-8Gウーハーのみを鳴らした方が付帯波が小さくなっています。つまり2231Aのアドオンが604-8Gウーハーの付帯波のキャンセラーになっています。

 下段は、
 左下から行くと、両方鳴らした場合でアドオンするCH4(2231A)を-5db⇒0dbにアップした場合、中央下はCH4を更に0db⇒+5dbにアップ、右下はCH4を更に+5db⇒+10dbにアップした場合 です。
 右上と右下の比較をしてみると、左側の↓で示した2231Aの最初のー波は、604-8Gウーハーの最初のー波から14.5mS遅延しています。
 8次LPFの場合60Hzとして、604-8Gウーハーに対してアドオンしている2231Aは0.87波長遅れています。この遅れてー5dbされた2231Aの波が604-8Gウーハーの付帯波を完全ではないにしてもキャンセルしているようです。

 ■2))レシピー④のオシロ 2231Aの4次LPFとフィルタ無し
 10/2のアップの■2)で示していますが、2231A4次の場合は同相でF特がフラットになりますので逆相でやったのは良くなかったですが、遅延を出す目的ならOKです。
 これもトーンバーストは、60HzでWGはゲート1:12です。結果は、

 上段は、左上から行くと、CH4(2231Aの4次逆相+10db)のみで、右上はそれにCH5(604-8Gのウーハー)を加えたものです。左上から2231Aの4次のLPF波形は大きい事が判ります。これにCH5(604-8Gウーハー)を加えた波形から上記と同様に再度遅延を出すと、7.3mSでした。
 4次LPFの場合60Hzとして、604-8Gウーハーに対してアドオンしている2231Aは0.44波長遅れています。

 下段左はCH4(2231A)のー5dbフィルタ無しの場合で付帯波が大きい。
 下段右はそれにCH5(604-8Gウーハー)を加えた波形ですが、やはり付帯波が大きい。しかし最初の1波目が■1)の上段中央より大きくなっているのでフィルタ無し同士では遅延は無いと思われます。

 ■3)レシピー⑨(クロス)のオシロ
 レシピー⑨は、2231Aを0dbで60Hzで4次同相LPFし、604-8Gのウーハーは60HzでQ=0.642でクロスしたものです。
 トーンバーストは、60HzでWGはゲート1:12です。この場合は、

 上段は、左上から行くとCH5(604-8Gウーハー)波形で、右はCH4(2231A同相+5db)です。判りやすいように+5dbにアップしました。
 下段右は上段の両方を鳴らしたもので、2つの縦線の間隔が2.7mSです。縦線の左側が604-8Gのウーハーのスタートで右側が2231Aのスタートですので2.7mSは2231Aの遅延時間です。
 クロスの場合60Hzとして、604-8Gウーハーに対してアドオンしている2231Aは0.09波長遅れています。
 つまり、LPFとHPFを両方使うクロスの場合は、両方大きな時定数のフィルタを通るので両方遅延するのでユニット間の遅延はアドオンに比べると少ない。
 レシピー⑨は、L(2231A:4次同相)をクロスで使う3Wayで、これは10/14アップの■2)の左下のF特で判るように低域がフラットになりますが、このオシロで見ると両ユニットは位相が逆転しています。(9/23のアップでは低域のベースの弾みがリミッタで拘束されている感じで弾まない。)

 【結論】
 アドオンレシピーは、2231AのみLPFを60Hzで掛けているので、60Hzに対応した大きな時定数のフィルタを通るため60Hzのトーンバースト波の場合、8次LPFで14.5mS、0.87波長2231Aが遅れる。(4次LPFで7.3mS0.44波長2231Aが遅れる。)
 又、レシピー④では、2231Aを-5dbで8次LPFを掛けるので、2231Aの0.87波長遅れた小さな波がメインの604-8Gの付帯波のキャンセラーのような働きをする。
 クロスレシピーは、LPFとHPF両方に時定数に応じた遅延が等しく掛かるので遅延時間自体は大きいがユニット間の遅延は少ない。
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RDA560の低域クロス改善2 ~70Hzベース音のオシロ波形比較~

2020-10-19 12:21:17 | デジタルチャンデバ付きアンプ
 9/23のアップでユニット毎のF特や聴感で604-8GのウーハーにHPFを掛けてはいけないことが判ったが、アドオンレシピーの中では優劣が判らなかった。今回は、70Hzベース音のオシロ波形を比較することで評価できないか調べました。
10/22 青字訂正&追記  10/23 赤字追記 10/24緑字追記

 ■1)レシピー⑨と⑭のF特・オシロ
 これは前回出しましたが、

 左上はレシピー⑨のクロスしたもののF特で赤線のピークホールドで見て70Hzに基音があり高調波も続きます。下はオシロ波形ですがベース音はこの画面で2つです。(左から1Divにあるのと7Div後にある2つ。)
 右上はレシピー⑭の2231Aを0dbまで上げてアドオンしたもののF特で70Hzに基音がありますがピークが5Hz位高めにシフトしていてピークレベルもレシピー⑨より低い。下はオシロ波形ですが最初の立ち上がりから0.1秒弱にある赤〇で示したディップがレシピー⑨より小さいので音質は良いことが予想されます。

 ■2)レシピー③と④のF特・オシロ
 これは

左上はレシピー③のF特で赤線のピークホールドで見て75Hzに基音のピークががあり高調波も続きます。下はオシロ波形ですが、赤〇で示したディップは小さいです。
 右上はレシピー④の2231Aを-5dbで少しアドオンしたもののF特ですがレシピー③と同等です。下はオシロ波形ですがレシピー③とほぼ同じと見れますが、強いて言えば③と異なるのは最左端から3波目がピークとなっているのが③(4波目でピークとなる)とは違います。

 ■3)電気信号
 これは、

 上が70Hzベース音のオシロ波形ですが、入力はHDDからTV経由で光ファイバーでRDA560に入れてそのCH5(フィルタ無し)のSP端子の両端に8Ωの純抵抗負荷を繋ぎ、その両端の電位をPCに入れてPCオシロを出した。電気的な信号は最初の2~3波目迄で急激に立上り4波目以降は単調減少でリニアーに波高が下がっていく自然な波形です。これが音で再現できるのが理想です。
 下はWGからサインスイープをRDA560に入れてリニアリティを見たものです。と言うのはRDA560でBassを13時まで量的な面で上げているのでどの程度リニアリティが低域で保たれているかを確認したかった。低域(30Hz附近)が~2db位上がっています。別途Bassを12時とフラットにした場合と比較した詳細データも後日アップします。
 測定風景は、

 RDA560のCH5は604-8Gのウーハー用なのでCH5から604のウーハーに繋いでいる黄色の線の先端端子を外して白いセメント抵抗8Ωの純抵抗の両端の電位をレッツノートのマイク入力に入れました。

 ■4)レシピー③④⑨⑭のオシロ比較
 これは、

 左上が基本の③(2Way)で、中央上が④(2231Aをー5dbアドオン)で、右上がレファレンスの電気信号CH5(フィルタ無し)、
 左下が⑨(低域クロス)で、中央下が⑭(2231Aを0dbアドオン)で、右下が④で2231AをLPF無しにしたものです。
 この中では⑨のみが赤〇で示したディップが大きい。これは2231Aと604-8Gのウーハーで唸り或いは干渉が生じていると思われますので電気信号とは大きく乖離しています。
 また、右下の④で2231AをLPF無しにしたものも電気信号とは大きく違っています。特に最初の3波目位までが過度に大きくなります。これを評価した理由は2231AのLPFの遅延影響を無くしてみたらどうなるか見てみたかったから。
 その他は、電気信号とよく似た波形です。強いて言うと④(-5dbアドオン)が最も電気信号に近い、つまりHiFiに近いです。次点は⑭(0dbアドオン)ですかね。アドオンしない③も一見良さそうです。しかし③は最初の4波目で最大波高になっていますが他の④⑭及び電気信号が3波目で最大波高になっていることが若干気になります。これは2音目も同じような事になっています。この評価では④が最もHiFiでしたが、次回はもう少し遅延も含めて評価できるように1波トーンバーストで評価します。
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RDA560の低域クロス改善2 ~アドオンレシピーでの低域フラット化~

2020-10-14 17:01:19 | デジタルチャンデバ付きアンプ
 9/23のアップでは、ジャズのベースをリアルに感じるには、604-8GのウーハーにHPFを掛けてはいけないことが判った。 アドオンレシピーで現状は2231Aのサブウーハー領域はー5dbで追加しているのでほとんど効いていない。追加しているとしてもちょっと追加しているレベル。そこで低域量感を最大限上げるには、2231Aのサブウーハーを0db化すれば量感も質感も上げられるのではないかと考えて、L(2231A)の0db化をやってみました。

 ■1)比較した4レシピー
 以下4つのレシピーを比較しました。今回の本命はレシピー⑯で、サブウーハー2231Aをアドオンして低域をフラットにしたものです。
 ・レシピー③:L(2231A)を使わない2Way、Q=0.5(604-8GのウーハーLPF(1.8KHz)、604-8Gの同軸HPF(1.5KHz)
 ・レシピー④:L(2231A:8次逆相)をー5dbアドオンする3Way、Q=0.5(604-8GのウーハーLPF(1.8KHz)、604-8Gの同軸HPF(1.5KHz)
 ・レシピー⑨:L(2231A:4次同相)をクロスで使う3Way、Q=0.642(604-8GのウーハーLPF(1.8KHz)、604-8Gの同軸HPF(1.5KHz)
 ・レシピー⑭:L(2231A:8次逆相)を0dbアドオンする3Way、Q=0.6(604-8GのウーハーLPF(1.8KHz)、604-8Gの同軸HPF(1.5KHz)
 RDA560のフィルタ画面は、

 左上のレシピー③のL(2231A)の青線は実際には別のゲイン画面でMuteをかけているのでもっと下になります。またこの画面ではゲインも反映しているので、例えば左下のレシピー⑨の合成信号を示すオレンジ線では低域からレベルが5dbづつ下がっていますがこれでユニットのレベル差を調整しているということです。

 ■2)比較した4レシピーのF特
 これは以下。

 左上のレシピー③は70Hz以下は落ちていますが、反射等の影響もあり見た目そんなには落ち込んではいません。
 右上のレシピー④は、L(2231A:8次逆相)をー5dbアドオンする3Wayですが、30Hzにディップがあります。これは位相が逆になっていると思います。
 左下のレシピー⑨は、L(2231A:4次同相)をクロスで使う3Wayでこれは低域がフラットになりますが、9/23のアップでは低域のベースの弾みがリミッタで拘束されている感じで弾まない。
 下の中央は、レシピー⑭でL(2231A:8次逆相)を0dbアドオンする3Wayですが、フラットにならずに30Hzのディップがレシピー④より大きく位相反転の為です。
 下の右は、レシピー⑭改でL(2231A:8次同相)を0dbアドオンする3Wayですが、この場合は位相反転の周波数が30Hz⇒55Hzにシフトしています。
 アドオンレシピーでは残念ながらL(2231A)を0dbに上げても低域はフラットになりません。

 ■3)比較した4レシピーの聴感
 音楽たとえばジャズ等では純粋な評価ができにくいので、70Hzのベースのピチカートが0.5~0.6秒間隔で鳴っている音源で比較しましたが、この音源はWSを見ているPCとは別のHDDから流しています。

 左上はレシピー⑨のクロスしたもののF特で赤線のピークホールドで見て70Hzに基音があり高調波も続きます。下はオシロ波形ですがベース音はこの画面で2つです。(左から1Divにあるのと7Div後にある2つ。)
 右上はレシピー⑭のアドオンしたもののF特で70Hzに基音がありますがピークが5Hz位高めにシフトしていてピークレベルもレシピー⑨より低い。下はオシロ波形ですが最初の立ち上がりから0.1秒弱にあるディップがレシピー⑨より小さいので音質は良いことが予想されます。
 以下聴感です。
 レシピー③:自然なベース音。音の芯がすっきりしている。
 レシピー④:自然なベース音。音の芯が③より太いがややボケるかも。
 レシピー⑨:ボンボン或いはコツンコツンと言う感じで詰まってしまう。固いオーバーダンピングなベース。
 レシピー⑭:ボーンと自然に伸びるしよく響く。⑨に比べると1音1音がはっきりするというより流れる。

 聴感ではレシピー⑨が自然ではないが他のレシピーの優劣は判断できないので次回はオシロ波形で元の電気信号も出してみて比較してみます。
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RDA560のHPFのLT Spiceによる解析 と BWとBSの次数に対する最終段Q値のデータ

2020-10-08 18:11:40 | 回路シミュレーション
 9/18の最後に伝達関数のみ載せていますが、RDA560のHPF(ハイ・パス・フィルタ)についてもLT Spiceで調べてみました。

 ■1)RDA560のHPFの伝達関数
 ・Q指定
  2次HPFは、Qを使うと伝達関数は、
 G(S)=s**2/(s**2+s*wc/Q+wc**2)  です。
 ・簡易設定(次数設定)
  4次以上の場合:2n次HPFの伝達関数は、(n=2、3・・・・・・)  
 G(S)=s**2n/(s**2+1.4142*s*wc+wc**2) **n  です。

 ■2)RDA560のHPFのレシピー画面
 Q指示の場合は、カットオフはH(620Aの同軸ツイータ用)で1.5KHzとして

 左上①はQ=0.5、右上②はQ=0.577(準BS)、 左下③はQ=0.642、右下④はQ=0.5、です。
 グラフ中に縦線があるカットオフの1.5KHzで①はー6db、②はー4.9db、③はー3.97db、④はー3dbとQが上がるに従って肩が尖っていることが判ります。しかし肩を外れると低周波数では12db/Octで①~④まで同じで2次です。

以下カットオフは1.5KHzとします。
 ■3)RDA560のHPFの2次HPFのQ指示のLT Spice 振幅
 これは

 黄緑線がQ=0.707(BW)紺色線はQ=0.642赤色線はQ=0.577(準BS)水色線はQ=0.5 です。
 Qが下がるに従ってカットオフの肩の曲りが緩くなっています。
 .meas AC out FIND v(out3) AT 1.5k コマンドで1.5KHzでの振幅を出すと、 v(out3) =Q=0.707(BW)でー3.01db、v(out4) =Q=0.642でー3.96db、v(out5) =Q=0.577でー4.78db、v(out6) =Q=0.5でー6.02dbとRDAのレシピー画面とほぼ同じです。

 ■4)RDA560のHPFの2次HPFのQ指示のLT Spice 群遅延Tg
 これは

 Q値別の線の色は上記と同じです。
 黄緑線Q=0.707(BW)の場合はカットオフの近くでピークを迎えますが、紺色線Q=0.642はピークが小さくなり、赤色線Q=0.577(準BS)は1KHzまではほぼフラットで、水色線Q=0.5は200Hz辺りから単調減少しています。
 このカーブはLPFとほぼ同じですので、予想としてはHPFなら左右逆転して欲しいです。正しいかどうかは?です。これが正しいとするとHPFを入れると位相歪がカットオフ以上で大きいことになります。Q=0.642辺りがベスト条件としてカットオフ付近の160μSから20KHzで0になりますので160μSの群遅延のバラツキが耳に位相歪として聴こえることはまずは無いとは思いますが・・・

 ■5)RDA560のHPFの2次HPFのQ指示のLT Spice 矩形波応答
 入力矩形波は、ピーク1vで周期4mSで立上り・立下りは1μS、です。

 矩形波をHPFに入力すると出力はパルスになります。
 パルスとして+ピークが一番鋭いのは、黄緑線Q=0.707(BW)の場合ですがアンダーシュートも最大になります。Qが下がるに従ってそれがなだらかになっていきます。

 ■6)RDA560のHPFの2次HPFのQ指示のLT Spice パルス応答
 入力パルスは、ピーク1vで周期4mSで立上り・立下りは35μS、ピークホールドは2μSです。

 これも矩形波と似ていますが、-側にもパルスがあり、+・-ピークが一番鋭いのは、黄緑線Q=0.707(BW)の場合です、Qが下がるに従ってそれがなだらかになっていきます。

 ■7)バターワースフィルタ(BW)のLPFの次数に対する最終段Q値のグラフ
 これは、

 ほぼリニアーになっています。
(1次9次10次についてはデータが無かったので、以下のP.12のバターワースの分母の多項式の固定数を1とした場合のn-1乗の係数の1/2の値とした。)
https://www.ti.com/jp/lit/an/jaja256/jaja256.pdf?ts=1596335989979&ref_url=http%253A%252F%252Fsearch.yahoo.co.jp%252F

 ■8)ベッセルフィルタ(BS)のLPFの次数に対する最終段Q値のグラフ
 これは、

 ほぼリニアーになっています。傾きはBWより低い。
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