オーディオ彷徨録~JBL4331AからALTEC620A~

今までのオーディオの改良や音楽の遍歴に、今後の改善も紹介。いい音に繋がる方法を色々模索したことや、好きな音楽を紹介する。

RDA-560のダンピングファクター(DF)

2020-04-26 08:42:21 | アンプ
 ブルームーンさんのお宅でウーハー改造(振動系重量を軽くした)版4344を聞かせて頂いた時にデジアンのDFは測れないしあまり意味がない(多分駆動力の指標として)というようなお話をお聞きした。デジアンの場合、DFが低いものが多い割には低域に力があるので値が駆動力・或いは制動力を表さないと言うような意味があるかもしれない。デジアンでもNFBをかけたものは、DFが高いものもある。
ということで少しDFについて随想し、RDA560のデータをRDA520との比較(同じアンプのスペックであるので)という確認の意味で実測しました。
そもそもアナログ・デジタルに関わらずDFというネーミングはダンピングを決める指標のように受け取れるので実態とは乖離していると思う。
”インピーダンス比”位のネーミングが程よい。

また以下のネット記事を参照

 ①”https://bbs.kakaku.com/bbs/-/SortID=15682249/ ”
 ②”創造の館 フルデジタルアンプの問題点と実力”
 ③”http://shigaarch.web.fc2.com/OldBBS/42dampingfactor.html”
 ④”http://www.fidelix.jp/technology/damping%20factor%20&%20EMC.html”

 ■1)ダンピングファクターDFという指標の定義と公称値
DF=スピーカーのインピーダンス÷アンプの出力インピーダンス(ZOUT)
ですので、スピーカーのインピーダンスの公称は大概8Ωなので、8/(ZOUT)をアンプのカタログに出しているメーカーが多い。

 ■2)DFの歴史 ①③を参照
ダンピングファクターという指標は、その数値が一般的に小さかった真空管アンプ時代にできた用語のようです。
ダンピングファクター:1、2、・・・5くらいまでは、数字が1違うと、スピーカーの動き(制動力=電気的に止める力)に、聴感上も明らかな差があったようです。
半導体アンプになって、NFB量を上げることにより出力Zが下がり、DFも上がるのでダンピングファクターが一桁以上、10~1000~1000~∞となり、上がったわけですが、この時点で、10以上になって来ると「ダンピングファクター」と「スピーカーの制動」という関係が、さほど意味をなさなくなったというのが、この用語(指標)の歴史のようです。
DIATONE DS-9Zの取り扱い説明書には、DF5以上のパワーアンプを推奨と明記されていますので一般家庭で、スピーカーケーブル10m以内、多くは数mで使用する場合は、DFは10程度あれば十分と思います。
以下のURLを見るとDF=5以下で低域の上昇があるのでこの5という数値がそれなりに意味があるのが判る。またDF=100まで行くと低域が落ちるので上げ過ぎも良くない。
http://shigaarch.web.fc2.com/OldBBS/DFandftoku.html
DFを変化させた時のバスレフの2WayのF特を引用させて頂くと

 DF=5まではアンダーダンピングで、5以上でオーバーダンピングになっていく。

 ■3)DFのスピーカーに対する作用1 ~スピーカ自身のインピーダンス変動の影響~ ①を一部参照

音楽信号はアンプとスピーカーを直列つなぎとして通ることになります。つまり、音楽信号はアンプとスピーカーの2箇所のインピーダンスを経由することになります。出来る限りアンプ側のインピーダンスを下げることで、スピーカーの分圧が高まります。DF値を高めることにより(アンプのインピーダンスを下げることにより)、音楽信号によるインピーダンス変動に対し安定的にスピーカーへの分圧が確保されることからスピーカーへのドライブ力を上げる効果があると考えられる。
スピーカーの定格インピーダンスを6Ωとしたとき、DF=50のシステムではアンプ(+ケーブル)の抵抗は0.12Ω、DF=100のシステムでは0.06Ωです。アンプの出力電圧がどれだけの効率でスピーカーに伝達されるかというと、前者では 6/6.12、後者では 6/6.06 で、両者の差は 20・log(6.12/6.06) = 0.086dB です。
 この示すところは、スピーカーのインピーダンスが周波数によって仮に6Ω~∞まで変動したとして、両システムのf特に、最大 0.086dB の差が出るかもしれないということです。DF=500のシステムとDF=1000のシステムとの差なら、最大でも 0.0087dB です。
DFという数値は、技術論的にはあまり意味があるとは思えません。
 真空管アンプレベルのDF=5ならアンプ(+ケーブル)の抵抗は1.2Ωで20・log(6.12/7.2) = ー1.41dB ですのでこれでもそんなに影響は無い。
もっと下がって、DF=2なら、アンプ(+ケーブル)の抵抗は3Ωで20・log(6.12/9) = ー3.3dB ですのでこれでも影響は大きくは無い。
5以下で利いてくるというレベル。

これをグラフ化すると以下で、DF=10以上ではスピーカ自身のインピーダンス変動の影響はほとんど出ない。


 ■4)DFのスピーカーに対する作用2  ~スピーカからの逆起電力の影響~ ①を一部参照
ドライブ力向上の中味をブレイクダウンすると、逆起電力耐性かと。
アンプ → スピーカ間は、いわゆるロー出しハイ受けのインピーダンス関係にあります。
一方、ボイスコイル摺動による逆起電力は、スピーカ → アンプのためハイ出しロー受けの関係にあります。
ダンピングファクターが高いと、スピーカへの給電はスムーズに、一方逆起電力は非スムーズになり、結果逆起電力量が大きいウーハーの制動力が向上すると考えるべき。 定電圧源の内部インピーダンスの定義は0ですので負荷電流によらず電圧は一定にできる。つまりアンプの出力インピーダンスが小さい=DFが高い程理想的定電圧源に近い動作になり出力電圧は負荷電流の変動を受けず安定化する。しかし負荷がシャントすると∞の電流が流れるのでリミッタは必要。どんな逆起電力が発生してもアンプの出力インピーダンスが0なら逆起電力もシャントできるということかな。
 
 ■5)スピーカーケーブルが長いPAとかの用途の場合 ①④を一部参照
スピーカーケーブルを数百メートル引き回すような現場ではケーブルの抵抗も上がるのでそれに対応して、DF1000~5000程度の特性にチューニングされたパワーアンプが使われているようでこの用途には高いDFが必要です。
例えば、ドーム規模で使うようなDF5000以上のアンプとか。パワーに関しても、ブリッジ・モノ使用なら出力8000W/8Ωと、民生用アンプのレベルではない。
DF=1000以上のアンプはこのような用途のために作られたと思う。多数の大口径スピーカーの直並列駆動+スピーカーケーブル長が長くその抵抗が効いてくる場合。

また、以下の④のURLではDFが無限に近ければ定電圧駆動で、0に近ければ低電流駆動となることとアンプメーカーとしてDFは高い方が良いし、リモートセンシングというスピーカーケーブルによるDFの低下を防ぐ世界初の方法を提示している。
これはスピーカーケーブルによる音質差を圧縮する効果もあります。多くの人がリモートセンシングを使っています。低音楽器のスタッカートに於いて立ち上がりや立下がりが遅れないことは音楽的にとても重要です。奏者のリズム感の良し悪しに直結するからです。わかりやすく言えば、アンプの瞬発力と制動力と言えるかと思います。最も低音が遅れないのはMFBですが、リモートセンシングはそれに次ぐものです。更に1970年代のラジオ技術誌で石井伸一郎氏が詳しく解説しているNFBに関する理論解析も紹介。
 ④ http://www.fidelix.jp/technology/damping%20factor%20&%20EMC.html

 ■6)NFBとの関係。NFB量を上げるとDFは上げられるが・・・②を一部参照
通常のアナログアンプは、カットオフ周波数を上げたり、歪率を下げたり、出力インピーダンスを下げたりできる手法としてNFBをかける。NFB量を上げれば先に挙げた特性は改善される。
しかしよく言われるのは、裸の特性のが重要でNFBを掛けない方が本質的な音になるということ。NFBをかけるということはゲインを落とすということなのでダイナミックレンジは下がる。或いは予めゲインを更に上げておく必要があるので実行パワーが上がる場合は実使用パワーでの歪について不利となる。カットオフ・歪・出力Zの特性が良くてもダイナミックレンジが低下すると音が躍動感を失い死んでしまうということ。
  NFBで物理特性を改善されたアンプは、音楽信号の為には音の広がり、奥行き、響き、音像定位に悪い影響を与え、色付け、個性の強い不自然な音になるという意見がある。
いいことずくめのNFBだが、次のように欠点もいくつかある。

  ①ゲインが減る
  ②発振の恐れがある
  ③音がイマイチとの評価あり(特にギターアンプ、ときにオーディオでも)

しかし、実際の増幅器では位相の回転ということが起こり、常にぴったり逆相になるということは有り得ないのである。
 
以下は”創造の館 フルデジタルアンプの問題点と実力”から引用。
 デジタルアンプの出力は矩形波なので、原理的にフィードバックがかけられない。結果として出力インピーダンスを下げられない。つまりフルデジタルでは、アナログアンプのような高いDFは実現できない。これは原理的に改善困難な課題。
 デジタルアンプと称するアンプの多くが、プリ部がアナログ処理で、出力段だけデジタルなのは、そうしないとフィードバックをかけられない(高くできない)事情もあるよう。
近年DDFAというデジタルフィードバック技術が生み出され、デノン PMA-50に搭載された(2014年)。
デジタルアンプでもDFの高いものがあるのは、LPF以降のアナログ出力からNFBを掛けていると考えられる。

RDA520は私が実測したDF=8.6ですのでNFBを掛けていないと考えられる。ということは裸の特性は良いということかな。
特に620Aを駆動するには8.6はベストな感じがする。もっとCmsの大きい緩めのスピーカーならDF=20位以上は必要かと思う。

■7)制動力との関係 ダンピング
DFが低いと逆起電力を押さえ込む力が緩そうな感じはするがなんともいえない。それよりダンピングについては、スピーカー自体の持っているコンプライアンスCの方を注目した方が良いし、効くと思う。

■8)駆動力との関係 立上り応答 スルーレイト
これもDFとの関係は何ともいえない。これについては電流供給能力の方が効くと思う。デジアンならパルスのフルスイングするDC電圧値も大きい方がパワーが高くなるので効きそうに思うし、アナログでも同じだが、電源用のトロイダルコイルの容量やスルーレイトも効きそうである。

■9)負性抵抗アンプ ■5)の後半に関係し
 ③の一部にその話題がある。1950年代アメリカで発表されましたが、 発振の恐れがあると言うことで一般的にはなりませんでした。YAMAHAならAST(例えばAST-A5)とか言う奴です。
負性抵抗は例えばオペアンプと抵抗3本を使って以下のような回路で実現できます。

Rin=-Rnf*R1/R2 となりRinが負性抵抗になります。
DFが無限大のアンプの議論の中で結局スピーカー自体のDC抵抗Rspが制動を阻害する要素になるという事からアンプの出力インピーダンスZをーRspにしてやれば負荷系のZは0となり駆動電流(例えば逆起電力対応の)が大きく出せ大きな駆動力が得られる。つまりZout=0Ωでも現実の足かせはRspということです。

もし負性抵抗アンプまで含めてDFを定義するなら以下のような定義も一考

 DF(負性抵抗含み)=Rsp/(Zout+Rsp)
 これなら、負性抵抗アンプでZout=ーRspにできれば、DF=∞になります。

■10)スピーカーのコンプライアンスCとの関係
こちらの方がDFより重要と思う。特に私が使っている604-8Gは59gと38cmにしては超軽い振動系重量Moと強力な磁界によりコンプライアンスCmsが実測0.14mm/Nと小さく硬いサスペンションを持っている。オーバーダンピングであるので、DFが高いアンプだと低域が出難い。従ってDFは程度はあるが低い方が望ましい。2231AもCms=0.1(実測)なので同様硬いサスペンションを持っている。これもそんなに高いDFのアンプは要求しない。

■11)デジタルアンプのDF値はアナログと比べて・・・①を一部参照

 デジタルアンプは一般的に駆動力があると評されながらDFは?
 デジタルアンプは途中まではデジタル信号であるのでインピーダンスを測るのは難しい。垂直なパルスの立上りの周波数成分はフーリエ変換の原理で∞まであり値はコンスタントであるので私の持っているデジタルテスタでは400Hzまでしか測れないので正確なインピーダンスが出ない。
しかし、出力部はLPFで信号はアナログ値なので400Hzまでの低音のインピーダンスが出せるので数値としてのDFは出せる。
PWMタイプのデジタルアンプの場合もアナログNFBが掛けられるのでDF値は大きくすることは可能で実際そうなっているようです。
しかしいわゆる1bitデジタルアンプの場合NFBによりDFを大きくすることは困難でDF値は公表されていないようです。

アンプを“DF値順”に並べると(デジタルアンプは●)
 1位 アムクロンIT5000HD(\777,000) DF=5000
●2位 Nuforce IA-7E(\220,500) DF=4000(アナログ スイッチングアンプ)
 3位 オーディオデザインDCPW-100(\285,000) DF=1500
 4位 HEGEL H-1(\315,000) DF=1000
 4位 アキュフェーズ A-200(ペア\2,600,000) DF=1000
 6位 LUXMAN L-507uX(¥430,000) DF=205
 7位 PASS XA200(ペア\5,000,000) DF=30
●8位 オンキョー A-1VL(\168,000) DF=25
 9位 QuadⅡ-FORTY(ペア\924,000) DF=20
●10位ラステームRDA520       DF=8.6
 11位 オクターブRE280 MKⅡ(\1,008,000) DF=8

■12)穿った見方 ①を参照
 一方、数値上はどこまでもDFが高いシステムを作れる(NFBで)ことがミソで、メーカーにとっては実に都合の良い指標なわけです。色々な話を総合すると、DFとは、アンプメーカーがセールストークのためにひねり出し、ケーブル屋がそれに乗っかる形で世の中に流布してきたのだろうと考えられます。
NFBを多くかけてDF=1000のアンプができると、極太ケーブルでなければ、ケーブルがそれをスポイルする計算になる…といった寸法。

■13)RDA560のDFの実測
 測定は以前RDA-520を測定したのと同じON-OFF法です。

 ではデータは以下で、

 思ったとおり、RDA-560のアンプはRDA-520のアンプと同じものと思われる。RDA-520は2chでRDA-560は6chになっていてデジタルチャンデバが付いているということが異なる。

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