今回は、フィ二アス・ニューボーンJr.がRCAに残した4作の内の珠玉の2作の内の、”フィ二アス・レインボウ”についてです。もう一つの方は”ファビュラス・フィ二アス”ですが既に紹介しました。名作の”ア・ワールド・オブ・ピアノ”や”ウィ・スリー”や、”ハーレム・ブルース”も勿論良いのですが、ピアニスティックでテクニシャンな若々しいフィ二アスが聴けてお若い頃の愛聴盤です。
■1)”フィ二アス・レインボウ”の頃のフィ二アス・ニューボーンJr
英語版ウィッキペディアから纏めてみたもので見ますと、
このアルバムは、デビューアルバム(56年5月)の次の2作目になります。56年10月録音なので、1作目から5ヵ月後の作品になります。3は、Dennis Farnonの編曲でストリングスとの共演も入った物、4は、ハロルド・アーレンが手掛けたミュージカル「ジャマイカ」の音楽に、 フィニアス・ニューボーンが挑戦したユニークな1枚。オケとも共演。
■2)”フィ二アス・レインボウ”のジャケットと共演者
このLPも78年ごろに大学のレコードショップ”セブン”で手に入れたものです。ジャケットは、
少しベタですが、この時代で真上からの写真というのはユニークではないかと思います。写っているのも真摯なフィ二アスです。
パーソネル:フィ二アス・ニューボーンJr.(P)
カルヴィン・ニューボーン (G)
実弟。兄弟は、度々共演している。ギタリストとしては、地味な存在だがアール・ハインズ等とも共演している。
ジョージ・レオン・ジョイナー (B)
フィ二アスと同郷の出身。ピアニストの母から音楽を習い、16歳の時にベース習得。その後ダンス・バンドを経て兵役となりここで軍楽隊でフィ二アスと顔を合わせている。多くの名盤に参加しているが、レッド・ガーランドの”オール・モーニング・ロング”やランディ・ウェストンの”リトル・ナイルス”がある。’64年よりアーマッド・ジャマル・トリオに参加し、ジャミル・ナッサーの名で活動する。’80年代レイ・ブライアント・トリオなどで演奏する。( '32.6.21 テネシー州メンフィス生'10.2.13没77歳)
フィリー・ジョー・ジョーンズ (Ds)
録音 :1956年10月 残念ながらモノラル録音
■3)”フィ二アス・レインボウ”の各曲
10曲中4曲がバラードでソロピアノ。78年当時のLPの佐藤秀樹さんのライナーノーツを曲情報等で、少し参照しました。私のお気に入りは、疾走系では、A1、B5、バラード系では、A2、A4、B2、B4です。
A1.オーヴァータイム 3:42 フィ二アスのオリジナル
カルテットでの演奏。パルシブで強いタッチのイントロを経て、アップテンポのテーマが来る。スインギーで軽快に驀進していく。この頃は乗っている。続くギターソロも乗りの良いアドリブ。また、ピアノに戻って得意の華麗なフレーズを披露してお終い。
A2.エンジェル・アイズ 4:18 マット・デニスの名作で、バラードでソロピアノ
イントロからスローなテーマに入る。もの哀しいやるせない鬱積したテーマをフィ二アスは力強く弾く。有り余るテクをもて余しているのが随所に見え隠れする。スローな曲も飽きさせない。彼の好調を物語っているが、タッチが強すぎるような気も・・・ この曲は、山本剛のアルバム”ミスティ”のラストが一番好きですが。
A3.カム・トゥ・ベイビー・ドゥ 4:08 デューク・エリントン作
ドラムスが抜けたトリオでの演奏。フィ二アスのスライド的な演奏が見られるが、彼がこれまでに受けた先輩達の影響が見られる。コミカルなイントロの後、テーマを転がす。タッチは強く、スインギーでファンキーなプレイをお楽しみ下さい。
A4.星へのきざはし 5:21 バラードでソロピアノ 1935年、「ポール・ホワイトマン楽団/Paul Whiteman Orchestra」の「パーク・アベニュー・ファンタジー/Park Avenue Fantasy」が原曲のスタンダード
コミカルでトリッキーなイントロから。フィ二アスの重厚な左手のテクを生かしたプレイは荘厳で凛々しい。バラードにも特有の味を魅せるフィ二アスが聴ける。
A5.ランズ・エンド 5:20 ウエスト・コースとのテナー奏者ハロルド・ランドの曲
ドラムスが抜けたトリオでの演奏。ユニークなメロディラインの歌わせ方と爽快なプレイが聴きもの。 軽快なテンポの繰り返しのイントロからテーマへ。アドリブに入ると自由自在に色々なフレーズを繰り出す。アイデアは無限で、力強いタッチ。天才と狂気を行き来している。ベースとの短い交換の後、鋭い一撃で終わる。
B1.クラリス 4:33 フィ二アスのオリジナル
カルテットによる演奏。装飾的なキラキラのフレーズとダイナミックな展開はこの時期の彼の特色で、スインギーな中にピアニスティックな効果が生み出されている。パルシブなイントロの後、ストップ&ゴーのリズムのテーマが流れる。アドリブは、速いフレーズで流れるようなライン。フィ二アスが何かを語っているようなピアニスティックなメロディライン。この会話に応えるようなバックが、例えばギターとかあればもっと良くなるのだがそこが残念。
B2.シー 4:19 ジョージ・シアリングの作品、バラードでソロピアノ
ここでも、バラードに対する卓越したフィ二アスの解釈が判る。メロディックなラインも鮮やかな美しさを魅せる。この頃の彼のバラードには、バックは邪魔だったのだろう。有り余るアドリブのアイデアの泉には驚嘆する。
B3.ティン・ティン・ディオ 4:18 ガレスビー楽団の名コンビ奏者チャノ・ポゾの有名なアフロ・ナンバー
トリオによる演奏。短いイントロの後、テーマが来るが、ここでも力強いタッチでグイグイとアドリブを進める。装飾的なキラキラフレーズとダイナミックな変化する展開を随所に見ることが出来る。途中からのアップテンポのアドリブが聴きもの。
B4.ニューヨークの秋 4:00 ヴァーノン・デュークの代表的な作品、バラードでソロピアノ
荘厳なイントロの後、ソロピアノが始まる。ソロピアノでここまで聴かせる人は稀である。饒舌にプレイしつつダイナミックな変化を付けたバラードを聴かせるのは難しい。一転テンポダウンしてブレーク気味に一呼吸置いてから華麗な彼独特の少しくどい感じのするエンディングが待っている。
B5.恋とは何でしょう 6:11 コール・ポーターのヒット作の1つ。
ソロ・ピアノによる重厚な雰囲気を持った前半の展開から、後半一転し、リズムを伴ったカルテットによるスインギーな演奏が打ち出される。ダホードで見せたような高速フレージングで縦横無尽に疾走する。カルヴィンのギターも負けずに高速パッセージを駆け上がる。このアルバムのラストを飾るにふさわしい演奏である。
■4)You Tube
A1、B1、B4は現在上がっています。
■1)”フィ二アス・レインボウ”の頃のフィ二アス・ニューボーンJr
英語版ウィッキペディアから纏めてみたもので見ますと、
このアルバムは、デビューアルバム(56年5月)の次の2作目になります。56年10月録音なので、1作目から5ヵ月後の作品になります。3は、Dennis Farnonの編曲でストリングスとの共演も入った物、4は、ハロルド・アーレンが手掛けたミュージカル「ジャマイカ」の音楽に、 フィニアス・ニューボーンが挑戦したユニークな1枚。オケとも共演。
■2)”フィ二アス・レインボウ”のジャケットと共演者
このLPも78年ごろに大学のレコードショップ”セブン”で手に入れたものです。ジャケットは、
少しベタですが、この時代で真上からの写真というのはユニークではないかと思います。写っているのも真摯なフィ二アスです。
パーソネル:フィ二アス・ニューボーンJr.(P)
カルヴィン・ニューボーン (G)
実弟。兄弟は、度々共演している。ギタリストとしては、地味な存在だがアール・ハインズ等とも共演している。
ジョージ・レオン・ジョイナー (B)
フィ二アスと同郷の出身。ピアニストの母から音楽を習い、16歳の時にベース習得。その後ダンス・バンドを経て兵役となりここで軍楽隊でフィ二アスと顔を合わせている。多くの名盤に参加しているが、レッド・ガーランドの”オール・モーニング・ロング”やランディ・ウェストンの”リトル・ナイルス”がある。’64年よりアーマッド・ジャマル・トリオに参加し、ジャミル・ナッサーの名で活動する。’80年代レイ・ブライアント・トリオなどで演奏する。( '32.6.21 テネシー州メンフィス生'10.2.13没77歳)
フィリー・ジョー・ジョーンズ (Ds)
録音 :1956年10月 残念ながらモノラル録音
■3)”フィ二アス・レインボウ”の各曲
10曲中4曲がバラードでソロピアノ。78年当時のLPの佐藤秀樹さんのライナーノーツを曲情報等で、少し参照しました。私のお気に入りは、疾走系では、A1、B5、バラード系では、A2、A4、B2、B4です。
A1.オーヴァータイム 3:42 フィ二アスのオリジナル
カルテットでの演奏。パルシブで強いタッチのイントロを経て、アップテンポのテーマが来る。スインギーで軽快に驀進していく。この頃は乗っている。続くギターソロも乗りの良いアドリブ。また、ピアノに戻って得意の華麗なフレーズを披露してお終い。
A2.エンジェル・アイズ 4:18 マット・デニスの名作で、バラードでソロピアノ
イントロからスローなテーマに入る。もの哀しいやるせない鬱積したテーマをフィ二アスは力強く弾く。有り余るテクをもて余しているのが随所に見え隠れする。スローな曲も飽きさせない。彼の好調を物語っているが、タッチが強すぎるような気も・・・ この曲は、山本剛のアルバム”ミスティ”のラストが一番好きですが。
A3.カム・トゥ・ベイビー・ドゥ 4:08 デューク・エリントン作
ドラムスが抜けたトリオでの演奏。フィ二アスのスライド的な演奏が見られるが、彼がこれまでに受けた先輩達の影響が見られる。コミカルなイントロの後、テーマを転がす。タッチは強く、スインギーでファンキーなプレイをお楽しみ下さい。
A4.星へのきざはし 5:21 バラードでソロピアノ 1935年、「ポール・ホワイトマン楽団/Paul Whiteman Orchestra」の「パーク・アベニュー・ファンタジー/Park Avenue Fantasy」が原曲のスタンダード
コミカルでトリッキーなイントロから。フィ二アスの重厚な左手のテクを生かしたプレイは荘厳で凛々しい。バラードにも特有の味を魅せるフィ二アスが聴ける。
A5.ランズ・エンド 5:20 ウエスト・コースとのテナー奏者ハロルド・ランドの曲
ドラムスが抜けたトリオでの演奏。ユニークなメロディラインの歌わせ方と爽快なプレイが聴きもの。 軽快なテンポの繰り返しのイントロからテーマへ。アドリブに入ると自由自在に色々なフレーズを繰り出す。アイデアは無限で、力強いタッチ。天才と狂気を行き来している。ベースとの短い交換の後、鋭い一撃で終わる。
B1.クラリス 4:33 フィ二アスのオリジナル
カルテットによる演奏。装飾的なキラキラのフレーズとダイナミックな展開はこの時期の彼の特色で、スインギーな中にピアニスティックな効果が生み出されている。パルシブなイントロの後、ストップ&ゴーのリズムのテーマが流れる。アドリブは、速いフレーズで流れるようなライン。フィ二アスが何かを語っているようなピアニスティックなメロディライン。この会話に応えるようなバックが、例えばギターとかあればもっと良くなるのだがそこが残念。
B2.シー 4:19 ジョージ・シアリングの作品、バラードでソロピアノ
ここでも、バラードに対する卓越したフィ二アスの解釈が判る。メロディックなラインも鮮やかな美しさを魅せる。この頃の彼のバラードには、バックは邪魔だったのだろう。有り余るアドリブのアイデアの泉には驚嘆する。
B3.ティン・ティン・ディオ 4:18 ガレスビー楽団の名コンビ奏者チャノ・ポゾの有名なアフロ・ナンバー
トリオによる演奏。短いイントロの後、テーマが来るが、ここでも力強いタッチでグイグイとアドリブを進める。装飾的なキラキラフレーズとダイナミックな変化する展開を随所に見ることが出来る。途中からのアップテンポのアドリブが聴きもの。
B4.ニューヨークの秋 4:00 ヴァーノン・デュークの代表的な作品、バラードでソロピアノ
荘厳なイントロの後、ソロピアノが始まる。ソロピアノでここまで聴かせる人は稀である。饒舌にプレイしつつダイナミックな変化を付けたバラードを聴かせるのは難しい。一転テンポダウンしてブレーク気味に一呼吸置いてから華麗な彼独特の少しくどい感じのするエンディングが待っている。
B5.恋とは何でしょう 6:11 コール・ポーターのヒット作の1つ。
ソロ・ピアノによる重厚な雰囲気を持った前半の展開から、後半一転し、リズムを伴ったカルテットによるスインギーな演奏が打ち出される。ダホードで見せたような高速フレージングで縦横無尽に疾走する。カルヴィンのギターも負けずに高速パッセージを駆け上がる。このアルバムのラストを飾るにふさわしい演奏である。
■4)You Tube
A1、B1、B4は現在上がっています。