オーディオ彷徨録~JBL4331AからALTEC620A~

今までのオーディオの改良や音楽の遍歴に、今後の改善も紹介。いい音に繋がる方法を色々模索したことや、好きな音楽を紹介する。

チャンデバCX2310での遅延評価(音響出力)

2018-04-28 15:10:22 | 電気的評価
 前回チャンデバCX2310で低音50Hzではー180度分の時間遅延しているデータを出し、理論的にはクロス周波数以下でー180度の位相差、クロス周波数以上で+180度の位相差ができることをアップしているサイトを紹介した。今回は、50Hz以外でもー180度の位相差があること、つまり周波数依存性を調べてみました。

 ■1)実験方法(マイク位置)について
 実験風景は、前回と同じですので省きます。前回は、オシロのパルス波形を綺麗に見せるために、2231A単体のパルスはマイクを2231Aの前に、620Aのパルスはマイクを620Aの前に、両方の音を採る場合は両者の境界の前にマイクを置きました。今回は、マイク位置は2231Aの前に固定し、パルスが重なってレベルが加算さることをはっきりさせました。その代わりデメリットとして、620A側の音は斜めにマイクに入りますのでパルス波形が崩れるということがあります。これは判りやすさか厳密性かどちらを優先するかという話です。

 ■2)実験結果
 先ずは、前回と同じ50Hzです。尚、使用したのは全て1パルスのトーンバーストです。

 ①は、620Aで赤〇は最初のーパルスで、水色〇は2番目の+パルスです。②は、2231A(チャンデバ経由)で赤〇は最初のーパルスですが、これは①では赤〇に対応するのではなく、その前の+のパルスモドキに対応します。②の+の水色に対応するのは、①では赤丸のーパルスで位相が反転し且つー180度分遅れるので①の水色の+と加算されます。③が両方を駆動した場合で、最初の赤〇のーも次の水色の+も①と②が加算されて絶対値が大きくなっています。

 次は、60Hzですが、結果は同様です。

しかし、620Aはマイクから見ると20度以下の角度なので流石に指向性の為付帯波形が乱れています。これは、マイクを620Aの前に持っていけば、前回の■4)の①のように綺麗な波形になりますが、その場合には2231Aの波形が崩れます。

 次が、30Hzですが、やはり同様です。

30Hzまで下げると、620Aの方で付帯波形が大きくなってきます。

 これは、前回紹介したサイトでも検証されている通り、24db/OctのLPFではクロス以下が、180度分時間が遅れる(位相差=-180度)ことを示しています。

 ■3)10.5Ω系ATTでの試聴
 引き続き、10.5Ω系ATTで聴いています。ジャズは、前も言った様に、古いですが、トレーンの”スタンダード・コルトレーン”が圧巻です。1958年というとステレオ録音が開始されて間もない時ですが、左に居るトレーンの存在感・気配まで録音されています。更にTpのハーデンに変わる時の気配まで感じます。お気に入りの”アイルゲット・バイ”で右側から何箇所か聞こえるブツというノイズが無ければ最高なんですが。流石にRVG録音ですね。
 最近聴いたものでは、1/13の”題名のない音楽会”での辻井 伸行さんの演奏が素晴らしい録音でした。先ずは、私もお気に入りのラヴェルの『水の戯れ』が良いですね。如何にも噴水から流れ落ちた水が水面に落ちて、様々な波紋を残しているという静かな風景を思い起こさせます。

 最後のフランツ・リストの『ラ・カンパネッラ』(La Campanella)も鐘の音色を思わせるハイキーの連打から低音のコードの荘厳さも凄い。

 更に最後のクライマックスでの情熱的な高低共存部の迫力も凄かった。寂寥感を帯びて繊細で何だが心に沁みます。

 ところで、このスタンウェイは、タカギクラヴィアです。ひょっとして、これはホロヴィッツが恋したピアノ、製造番号CD75かと思いました。しかし調べてみるとCD75は製造番号156975、1912年製ということですが画面で見るともっと新しい。上の画面では、シリアルは、512290(~1989年製)と刻印されています。CD75なら、上記写真の512290が刻印されている位置にCD75(CDより75が少し小さかった)と刻印されていたし、側板も劣化していたので、どうやら違うようです。尚、CDの意味は、ニューヨークスタンウェイの貸し出しピアノで、Cはコンサート、DはD型、フルコンサート、75はシリアルです。現在はタカギクラヴィア所有です。
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チャンデバCX2310での遅延・位相評価(改定)

2018-04-22 10:47:11 | 電気的評価
 前から疑問に思っていたことで2点あり、一つは、去年の12月30日にアップしたもので620Aと2405を繋ぐ時に同相でないとインパルス応答の形と波高が最大化しないこと(両者のボイスコイルは逆巻き)と、低音側も2231Aと620Aのボイスコイルは逆巻きで逆相接続しないといけないはずが、同相でないとFFTが加算されないことです。今回は、後者について調べてみました。青字追加

 ■1)現状のシステム構成
 これは、以下の図のようになっています。

 低音側だけ説明すると、一番下のサブウーハー2231Aは、アンプ(LP2020A+)とチャンデバ(CX2310)経由で70Hzで切っています。その上の620Aは、チャンデバ非経由でアンプに繋いでいます。アンプのスピーカー端子は両方同相で繋いでいますので、チャンデバが非反転アンプであれば、FFTは打ち消しあって下がるはずが加算されます。原因としては、
 ①チャンデバが反転出力しているか
 ②チャンデバで、180度分の時間遅延している
 の2つが考えられます。

 ■2)測定風景
 FFTの場合は、いつものように視聴位置なので省きますが、トーンバーストパルス測定の場合は以下のように25cm~30cmにマイクを近づけて測定しました。


 ■3)FFTによる2231A評価
 先ずは、サインスイープによるFFT(Wave.Gene使用)で調べてみました。

 ①は、チャンデバ経由でアンプのSP端子同相でのFFTで低音はフラット、②はチャンデバ経由でアンプのSP端子逆相でのFFTで低音は打ち消しあって落ち込みます。③は、チャンデバ非経由でアンプ直で同相の場合で、これも低下します。④は、チャンデバ非経由でアンプ直で逆相でのFFTでこれは加算されています。これだけ見るとチャンデバで反転しているように感じますが、遅延の原因も可能性としてはあります。

 ■4)1パルストーンバーストによる2231Aと620Aのオシロ波形評価
 波形の+-で反転かどうかを見てみました。尚、アンプのSP端子の接続は、全て同相です。

 これでやっと原因が判りました。①は、チャンデバ経由での50Hzのトーンバースト波形で+スタートです。②は、チャンデバをスルーしてアンプ直の場合ですが、これも+スタートです。つまりCX2310は反転出力ではありません。遅延がどれくらいかを調べる為に③④を調べました。
 ③は、620Aを現状使用通りチャンデバ非経由で駆動した場合で、-スタートで2231Aとは逆相です。④が、2231Aをチャンデバ経由、620Aを非経由で現使用通りに駆動した場合で、④の赤〇のファーストーパルスは、①では一番左の少しーに下がるパルスで、③では赤〇です。次の④の水色の+パルスは、①では水色の〇、③では黄色の〇になります。①の青〇で示す2番目の+パルスは、③④でも青〇ですが、ディレーが無かったら③の緑〇のーピークに来ます。従い、①の青〇は、チャンデバが無かったら③の緑位置に来ます。④の水色の+ピークが、③の黄色❍のピークより高いので①の水色の+ピークが加算されたと考えー180度分遅延したと解釈しました。この④の赤〇と水色〇のピークの差が2231Aによるディレーです。これをオシロの画面から推定すると、1Div=20msですので、~9.5ms遅延しています。
 50Hzの1波長は、20msですので2231Aが620Aに対し~1/2波長遅れていることになります。4次(-24db/Oct)のチャンデバは、1/2波長分遅れる。

 【結論】チャンデバCX2310は、非反転出力で50Hzで~10ms(~1/2波長分)遅延している。現システムは、低音は620Aと2231Aの音声出力は逆相であるが、同相接続でも強めあうのはチャンデバの180度分の遅延があるので結果的には両者は強め合っている。逆相を遅延で帳尻を合わせており、邪道とも言えるが、現実解としては非常に良い音になっている。結果オーライというところですね。

 ■5)CX2310の仕様
 回路図とかはネットで見ても出てきませんので、時定数等の推定が出来ません。この方面に詳しい方がおられましたら、回路図等紹介頂ければと思います。オペアンプは、JRCの4580で実装は以下のような感じです。


 ■6)チャンデバでの低音の遅延についての情報
 これについては、 LEANAUDIOさんのブログで以下のURLでも話は出ています。抜粋すると、
”このようにアナログフィルタやバスレフポートを持たない単純なフルレンジ+密閉箱でも低域で位相が遅れます。”
興味ある方は訪問ください。
 http://cheapaudio.blog23.fc2.com/blog-entry-582.html

4/24追記 :ネットを検索していましたら、以下のURLで4次フィルタでクロス以下の周波数では、位相差は、-180度と示されていました。当方が1/2波長遅れているという実験結果は、既に理論的に検証されているようです。■8)の考察も書き換えています。

 https://akashikk.jimdo.com/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AA%E7%90%86%E8%AB%96%E3%81%A8%E5%AE%9F%E9%A8%93/%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%83%87%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%80%E3%83%BC-sp%E6%8E%A5%E7%B6%9A%E6%99%82-%E3%83%99%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%AB%E5%9B%B3%E8%A7%A3%E6%9E%90/

 ■7)余談
 実は、デジタルオシロは2CH入力あるので、これで遅延を見ようとしました。アンプのSP端子にオシロのプローブを繋いだ瞬間に周期的にボツという音が出ました。この音(正帰還或いは発信してるような?)が出る時は、アンプを長く付けていたら、石が焼けることになりますので即座に止めました。プロープの入力Zは、多分∞に近いのでアンプに悪影響は無いはずですが、BTLアンプは扱い方が難しいです。

 ■8)考察
 このチャンデバの位相差は、■6)の後半の記事で判るように、クロス以下の周波数では、-180度、それ以上で+180度になる。■3)のFFTを見ると、低音のゲインは、一定になっている(①の加算及び、②の下がる場合も同様)ので、位相差は周波数に拠らずー180度になっている。60Hz以下は位相差が一定(-180度)ということを次回トーンバーストのオシロで見てみます。
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人の声は1ユニットで

2018-04-17 17:39:32 | スピーカー評価
 今回は、よくネットでも見かける人の声の帯域は、1ユニットでカバーする方が良いということについて考えてみました。

 ■1)人の声の帯域
 これは一般的に言われているのが、90Hz~1.2KHzです。この領域ともう少し上の帯域が人の聴感の最も敏感な所と思います。ソプラノ歌手で1.6KHzということを書いているネットの記事もあります。従って90Hz~3KHzを1つのスピーカーで持たすのが理想です。では、私の声はどうなんだろうとWave.Geneで調べてみたのが以下。

 ①は、比較的低いトーンで”あ”と言った時のFFTです。基音は、青〇100Hzですが、高調波が1KHzまで続いています。その先でも、1.5KHz、2.8KHz、3.8KHz位にも高調波のピークがあります。レベル的に見ると、支配的なものは、4次の400Hz辺りまでと思います。赤〇が2次の200Hz、黄〇が3次で300Hzです。②が、比較的高い声を出した時で、”あ”というつもりでしたが、何故か”は”になってしまいました。こちらは基音は、青〇500Hzで、2次は赤〇で1KHz、3次は、黄〇で1.5KHzです。この緑のFFTの実グラフで見ると、大体1.8KHzあれば、高い声でもカバーできると思います。
 620Aのクロスオーバー周波数を推定できるデーターとして、超ニアーのインパルス応答のFFTがあります。これが、上図の③です。これでクロスがはっきり判ります。青〇で囲っていますが、1.8KHzにディップがあり、これが私の持っている620Aのクロス周波数ですので、ネットワークで1.8KHzで繋いでいるということになります。従って、620Aでは人の声は、コーン紙を含む振動系の軽い(M0=59g)ウーハーでほぼカバーできるというこになります。逆に4331A(800Hzクロス)のように1.8KHzまでにクロスが来るのは避けた方がいい。この辺りは、以前ダニエル・ヘルツの超ド級スピーカーM1も1.8KHz(下は80Hzとこれもほぼ同じ)だったという共通性があります。尚、インパルス応答でも、マイク距離が70cmと離れてしまうとクロスのディップが見えなくなります。これは上の④です。理想的な3KHzまでを1つでカバーするとなると下がつらくなるので、604-8GやM1は下を重視して声の限界辺りで上限を1.8KHzにしたと思います。38cmで1.8KHzまでカバーできるのは、超軽量コーン+強磁界磁石のなせる技。

 ■2)現状のスピーカーのクロスオーバー周波数の評価
 これをやってみないといけないと思っていましたので、今日左側のスピーカーで評価してみました。

 ①は、620AのみのFFTで青〇で囲んだ低域と高域が不足しているのがわかります。②は、2405のみのFFTですが、①と見比べると、赤〇の辺りがクロスオーバー周波数で、9KHz位と推定しました。③は低音用の2231Aですが、チャンデバCX2310のLPFの最低周波数44Hzに設定して切っていますが、FFTでは、クロスの黄色〇の70Hzから上の周波数に行くに従い低下しています。④は3つ共駆動した場合で、青〇の所で2405と620Aがクロスしていますが、①②④を見比べるとやはり9KHzでクロスしていることが判ります。従って、私のユニットのクロスオーバー周波数は、

  ~70Hz  (M1は80)  2231A(f0=16Hz、70HzLPF、Mms(M0)=151g(重り35g))と620A(垂れ流し)
  ~1.8KHz(M1と同じ)  620Aのウーハーとツイータのネットワーククロス ⇒人の声はウーハーでカバー。
  ~9KHz            620A(垂れ流し)と2405(1.5μFの双信WTキャパシター)のハイ側6db/Octの緩いクロス
 となり、超低域は、2231Aでカバーしつつ、人の声は620Aのウーハー1本でカバーし、金属系の高音はアルニコの2405でカバーするというコンセプトになります。これを言葉で纏めると、ブログトップに書いていますが、

 ①コンセプト :アルニコで音色を統一  更にmm単位でのタイムアライメント 低音域定在波防止のスピーカー位置+木製ラック
 ②重低音   :70Hz以下4331Aの2231Aの重り(35g)付きコーン紙で空気のゆれを再現
 ③低音~中音 :620Aの604-8Gの軽いコーン紙で風のようなダンピングの効いたベース音を再現
 ③高音     :2405のAL系合金のリングダイヤフラムでリジッドながらナチュラルなシンバル音を再現
 ⇒本方式のポイントは、アルテック604系の高能率のスピーカーを低出力であるが高品位のアンプ(これは真空管でも可と推測するが、DFが高過ぎない事が必須)で駆動することで、併せて重低音をLPF経由で超低f0のスピーカーを用いて乗せる事にある。更に高音は、アルニコの2405を双信のWTパスコン(1.5μF)で並列に追加してナチュラルなシンバル音を得る。更にパルス音のエッジ輪郭強調効果の為、アッテネーターのインピーダンスを2405に近い10.5Ω化とし、これにより音の鮮度が増し、気配を感じるようになった。
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”WORK TIME” SONNY ROLLINS

2018-04-10 18:20:02 | ジャズ
 私がジャズファンになるきっかけになったアルバム、”モンク・アンド・ロリンズ”について3/4のアップでお話しましたが、当時はそのLPと”ワークタイム”ばかりを聴いていました。実は、サキソフォン・コロッサスより聴いた回数は多いでしょうね。

 ■1)”ワークタイム”との出会い
 ’76年1月6日の”アスペクト・イン・ジャズ”のソニー・ロリンズの第一回でロリンズにノックアウトされた私は、”モンク・モンク・アンド・ロリンズ”の”I Want to be Happy”に魅了されたと同時に7曲目に紹介された”イッツ・オール・ライト・ウィズ・ミー”にも圧倒された。まあ、トレーンで言えば、”ロシアン・ララバイ”並の速さでハード・バップのアドリブをかまされたのである。これを聴いて直ぐに”ワークタイム”というLPを入手しました。尚、3/4に”アスペクト・イン・ジャズ”のソニー・ロリンズ特集は2回目までと記載したが、別のオープン・リールのテープが後から出てきて、4回目まであったことが判った。

 ■2)SONNY ROLLINSの絶頂期
 これについては、彼の関係するアルバムを纏めてみました。3回も雲隠れをしていますね。

 以前紹介した、”MOVIG OUT”や”モンク・アンド・ロリンズ”で神の宿ったようなアドリブを披露し評論家は腐したがプロの間では認められた。直後に薬を抜くために、1年間シカゴに雲隠れし、55年11月にローチ&ブラウンのバンドがシカゴに来た時に、シカゴだけハロルド・ランドが父親の急病で帰郷してしまった代役でテナーを吹く約束でプレイしてそのままNYに付いて行ってプレスティッジに吹き込んだのが、黄色でハッチングした”ワークタイム”です。付いて行った理由は、ブラウニーの純粋で素直な人間性に魅了されたから。ここから怒涛の快進撃が開始。このLPの前後の2年間がロリンズの絶頂期と思います。20歳代後半で頂点を極めたんですね。その後は、悠々自適の水平飛行になります。これは、変化を恐れて守りに入ったというわけではありません。『アワ・マン・イン・ジャズ』では、フリー・ジャズのドン・チェリーなどと組み、前衛的なアプローチをトライしたり、3回目の雲隠れ後の復活作『ネクスト・アルバム』では、’60年代末から流行しつつあったエレクトリック・ジャズの分野に挑戦。’73年から’76年にかけては、日本人ギタリストの増尾好秋をバンドに参加させていたしフュージョン全盛期の’75年になるとリー ・リトナー、パトリース・ラッシェンらをバックにフュージョン路線とも言える作品「ザ・ウェイ・アイ・フィール」を発表したりしました。81年にはローリング・ストーンズの”刺青の男”のレコーディングに参加したりもしましたが、結局彼の帰ってくる所は、ハードバップのアドリブ、例えて言うと、コロッサスで登ったハードバップの山がエベレスト級で余人が登れない位に高かったので、それ以上の山も探したけれども、結局は無かったということになるのでしょう。

 ■3)”WORK TIME”
 強力無類の豪快なテナープレイが聴けるソニー・ロリンズの快作。世紀の傑作「サキソフォン・コロッサス」を吹き込む半年前のこの作品で、カルテットで持ち前の豪胆なブローをスタンダード曲中心に披露。神が光臨しています。”WORK TIME”と名付けたのは、”精神的な迷いも薬もシカゴの1年で抜けた。さあ、これから仕事をせねば!”と思ったんでしょうね、きっと。このアルバムには音楽をやっていることの美味しさ…ロリンズたちがやっていることの幸福感…が漲っている。

 ジャケットは、以下。

 ’86年6月5日に京都でのライブの後、京都会館の楽屋突撃でロリンズから貰ったサインが表に入っています。この時は、サキソフォン・コロッサス等にもサインを書いてもらいました。右はCDです。CDの上にあるのは、当日の券です。第一ホール1階の32列36番で、演奏曲を書き留めています。アイムオールドファッションで始まり、3曲目にはモリタート次にマイワン、ドントストップザカーニバルを経て、ソロインプロから、テナーマッドネス~アイルビーシーイングユーでアンコールはアルフィでした。ファンへの大サービスの選曲ですね。裏は、

 パーソネル ソニー・ロリンズ(ts)
      レイ・ブライアント(p)
      ジョージ・モロウ(b)
      マックス・ローチ(ds)
 1955年12月2日 NYにて録音 MONO ステレオで無いのが残念。

 ■4)”WORK TIME”の各曲
 私の好きなのは、と書こうとしましたが、全曲夫々の魅力があり、捨て曲はありません。1曲目のようなミディアム・ファーストのテンポの曲も爽快に、4曲目のスロー・バラードも流れるように、また5曲目のアップテンポの曲はスピード感+叙情性を持って自由自在に吹き分ける、ユーモアを含め色取り取りのアドリブをひらめきのままに吹いているように聴こえるが、聴き終わってみると全体的に構成が完結している、そんな当時のロリンズの神業アドリブが聴けるご機嫌な1枚です

1 ショウほど素敵な商売はない [アーヴィング・バーリングの作曲でミュージカル”アニーよ銃を取れ”のナンバーで後にこの曲名の映画も作られた] 6:20
 OK THOSE(多分、行こうぜ!皆!と言っていると思っているが)というロリンズの賭け声の後、ローチの軽快なイントロに先導され、満を持してという感じでロリンズが一気に吹きまくる。この頃はローチにインスパーヤーされ自由自在・変幻無比にアドリブが湧いてくる。ロリンズ得意の歌物をバップス素材で料理している。途中のローチのソロもブライアントのサポートでまるでメロディを奏でているようなドラムスで面白い。ローチのドラミングは、フィリージョーのように野生的というよりは、端整で正確無比、相手を鼓舞するような情熱も感じます。最後のロリンズのアドリブやエンディングにも25歳にして余裕というか風格を感じます。このアルバムで一番の出来でしょう。

2 パラドックス [ロリンズのオリジナル] 4:57
 ロリンズのイントロでミディアムテンポで始まる。いかにも逆説、奇言、背理の論という意味の言葉のような曲。 メロディが良いですね、作曲家としてのロリンズの才能も大したものです。続くブライアントのソロもファンキー、ローチのソロからの4バースもお約束ですが、ユーモアのセンスもありますね。テーマに戻ってエンディング。

3 レインチェック 「ビリー・ストレイホーン」作曲の古典的な名曲] 5:59
 洒落たイントロフレーズの後、ここでも一気にアドリブに入るが、古典的な名曲を新鮮な解釈でプレイしている。ローチのソロもメロディアスに決まり、ブライアントのスインギーなソロの後のローチとロリンズの8バースも一回一回が変化に富んでアイデア豊かである。

4 ゼア・アー・サッチ・シングス [トミー・ドーシー楽団でシナトラが歌ってヒットした] 9:28
 バラード好きの私のお気に入り。”シンルキン’・サテン”で見せたゴージャスタッチでもなく、”恋を知らない貴方”で魅せた漆黒の夜のイメージでもなく、ここでは、リラックスの行き着く先のような落ち着いた、そう遥か昔のシャングリラに皆さんを誘ってくれているように私には聴こえますし、バラードを変幻自在に吹き分けれるんですね。こういう歌物をロリンズに吹かせると格別な味わいを持っている。このバラードには、彼の人間性の大らかさ、暖かい包容力を感じる。ブライアントのハイキーの一撃を含めたタッチも美しいが、ラストのカデンツァを含め、ロリンズのバラードの歌心の真骨頂が楽しめる一曲。

5 イッツ・オールライト・ウィズ・ミー [コール・ポーターがミュージカル”カンカン”の為に書いた曲] 6:08
 最初のロリンズのイントロからゾクゾクするような疾走感が迫ってきます。その原動力は、追い立てるような超アップテンポのローチの躍動感に溢れたドラミングにあります。それにしても、ここでのロリンズの高速ブローの豪快なこと。圧巻の一語。ユーモアのセンスも交えた彼一流の表現が味わえます。まさに手に汗握る熱演。最後の4バースもお約束とは言うものの、一回一回なんでこんなに変えれるのと言う位のバラエティがありますし、躍動感の塊。

 ■5)You Tube
 今はフルアルバムが上がっています。
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木製ラック評価2 ~高さアップ~

2018-04-08 21:57:08 | ルームチューニング
 3/26にアップした木製ラック評価とその前にした金属ラックとの比較で木製ラックの方が金属ラックより低音の定在波のディップを緩和する効果があり、更に木製ラックでも重量増か空間閉鎖部が多いほどディップが緩和されることが判った。とすると、木製ラックでも高さを高くすれば、より空間閉鎖効果が高くなり、ディップも緩和されることが推測できる。それを検証することにした。

 ■1)測定風景
 まずは、木製ラックにダンボール(中身含め重量11kg、高さ43.7cm)を置いたのが以下。

 更に天井との間にきっちり入る小さめのダンボール(中身含め重量5.8kg、高さ18.5cm)を詰めたのが、以下。


 ■2)測定結果
 以下です。

①は木製ラックのみで水色の〇で囲んだ160Hzのディップは深く、その左の赤色の〇で囲んだ100Hzのディップとの差は~5db以上です。②③は、その上にダンボール(11kg)を1個置いた場合で水色の〇で囲んだ160Hzのディップは浅く、その左の赤色の〇で囲んだ100Hzのディップとの差は~2db位と少なくなっています。④は更にその上に小さいダンボール(5.8kg)を置いた場合で水色の〇で囲んだ160Hzのディップは浅く、その左の100Hzのディップとの差はロゴに隠れて正確には判りませんが~3db位と①よりは明確に少なくなっていますが、④では1.6KHzのディップが深くなっています。ディップの低減効果は②③で飽和していると見ました。1.6KHzのディップについては午前中の①②と夜の③④では1.6KHzの前後含めて形が変わっていることもありますので、正確なことを言うには、同じ時刻で評価する必要があります。

 ■3)考察
 低音の定在波のディップを軽減する方法として、木製ラックの効果はあるが、その高さを高くする方が軽減効果は高い傾向がある。上記で言うと高さ43.7cmのダンボールを1個乗せた場合で効果は飽和する。
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