オーディオ彷徨録~JBL4331AからALTEC620A~

今までのオーディオの改良や音楽の遍歴に、今後の改善も紹介。いい音に繋がる方法を色々模索したことや、好きな音楽を紹介する。

620Aの604-8G のインピーダンスから見たf0C ~バスレフVs密閉~

2020-03-06 11:21:04 | インピーダンス評価
 前回4331Aの2231Aについて調べたので、今回は620Aの604-8Gについて纏めてみました。
 3/8 青字追記 マッコイタイナーさんが3/6にお亡くなりになった。70年代後半の大学時代京都公演に行った時に、”Love Japan”と言っていて日本ビイキだった。楽屋で”バラードとブルースの夜”と”トレーンのバラード”にサインをネダッたら厳つい顔がニコッとなって快くサインしてくれた。ヘビー級のチャンプ ジョージ・フォアマンのような顔・体なのに握手した大きい手が意外に柔らかいのでびっくりした。合掌。3/27赤字追記 


 ■1)測定方法
 今回は昨年の測定データですので、テスター1個で測定したものです。インピーダンスデータは過去アップしたのですが、密閉についてはアップ後にNW非経由で測定し直したのでそのデータを載せます。

 ■2)620A箱で604-8Gで密閉のインピーダンスを直結で測り直した結果
 これは、

 前に620Aのインピーダンスをアップしたのは、2019年1/29、2/16、2/21の3回ですが、この時はNW経由でした。今回はNW非経由でのデータですので、ユニットの特性そのものです。
 f0Cは、右側=58Hz、左側=53Hzですので2231Aとは逆で左側の方が低域は優秀。インピーダンスの形状も正規分布に近い。
 Q0C=Qtsは、右側=0.27、左側=0.27ですので、2231Aの密閉の0.32~0.41より~0.1低い。系内に蓄えられるエネルギを系を散逸するエネルギで割ったものがQ値なので2231Aも小さいですがより小さいと言うことはオーバーダンピングです。これが切れと言うか弾む低音の根源。バスレフのf特フラットがQ=0.7~0.8ですので制動は上記密閉の0.27より緩くなります。
 Cmsは、右側=0.13mm/N、左側=0.15mm/Nですので、2231Aの密閉の0.1より~0.04高い。サスの硬さは2231Aが勝るようです。感覚的には逆ですが。

■3)バスレフVs密閉
 これは以下です。fdをヘルムホルツ共振周波数とすると~50Hzです。620Aのバスレフの場合この周波数50Hzが最もバスレフ効果が高く音圧を加算します。fd以下ではダクトはローパスフィルタとして働くのでユニット背面の逆相音がダクトから出てきて急激に音圧が低下します。共振は入力振動と逆相で振動するため、fdでは音圧は加算されfd以上ではダクトのフィルター効果で音は減衰する。

上段はバスレフで2山カーブ(左の山の方が高いのでアンダーダンピング状態ですがポート深さが0なので当然)、下段は密閉にした場合です。
左側のグラフは左のユニット、右側のグラフは右のユニットです。
これを見ると、左右のユニットでは3Hz差があり、全て左の方が3Hz低い。低域についてはバスレフも密閉も左の方が優秀。
上段と下段の差は左右ともに9Hz、つまりバスレフから密閉に変更することでf0Cは9Hz下がります。
これを2231Aと低い方のユニットのf0C周波数のみで比較すると

  ユニット    f0(∞バッフル)   f0Cバスレフ    f0C密閉1    f0C密閉2(2420無)
  2231A      16           46         40       38
  604-8G     25(カタログ30)   62         53
  両者の差      9(14)        16         13
 箱に入れた場合のf0Cは2231Aより604-8Gが13~16Hz高くなる。
 f0については、604-8Gはエレクトリ製エンクロージャー図面集でのf0=25Hzとすると2231Aとは9Hzの差であるが、ALTECカタログでは30Hzとなっており、差はその場合14Hzでカタログ値のf0=30Hzの方がf0Cと並べてみると正しい様な気がする。
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2231Aのインピーダンスから見たf0C ~バスレフVs密閉~

2020-03-02 17:59:30 | インピーダンス評価
 2231A(4331A箱)を現在はサブウーハーとして使っている。バスレフ時代に取った2山のインピーダンス(Z)カーブから出したf0Cと密閉化した場合のf0Cと更に今回2420を外した場合のf0CもZカーブから出してみました。 3/3青字追加。3/1に知人宅で620BとT社製スピーカーを聴いてきました。若干気になる点を測定させて貰ったので機会があればアップします。
 3/27 赤字追加

 ■1)インピーダンスの測定方法の改善
 インピーダンスの測定方法は、前にもアップしたように

 スピーカーに直列に8Ωの抵抗を繋いでその両端の電位差V1とスピーカーの両端の電位差V2を測ると、スピーカーのインピーダンスZspは
 =R1×V2/V1
 となります。従来はデジタルテスター1個でV1を測ってから繋ぎ変えてV2を測っていました。そうするとf0Cのような共振点の周波数ではV1やV2が時間的に周期的に変動するので5秒から10秒のずれが生じその間電位差は変動するので正確なZspが出ません。今回は職場に置いていたもう一つのテスターを家に持って帰ってデジタルテスター2台で測りましたので完全に同時とはいきませんが従来よりは正確な測定ができました。

 このようにデジタルテスター2台を並べて測定したのでほぼ同時に値を読めています。まあ1秒位はズレますが。

 ■2)2231Aのf0Cの変化
 これは以下。fdをヘルムホルツ共振周波数とすると~28Hzです。2231Aのバスレフの場合この周波数28Hzが最もバスレフ効果が高く音圧を加算します。fd以下ではダクトはローパスフィルタとして働くのでユニット背面の逆相音がダクトから出てきて急激に音圧が低下します。共振は入力振動と逆相で振動するため、fdでは音圧は加算されfd以上ではダクトのフィルター効果で音は減衰する。

 上段はバスレフで2山カーブ、中段は4331Aを最初に密閉にした場合でこの時は2420が付いていました。
 下段は最近密閉で2420を外した後ですので4331A箱の内容積が2420の分大きくなっています。
 左側のグラフは左のユニット、右側のグラフは右のユニットです。
 これを見ると、左右のユニットでは2Hz差があり、全て右の方が2Hz低い。低域については右の方が優秀。
 上段と中段の差は左右ともに6Hz、つまりバスレフから密閉に変更することでf0Cは6Hz下がります。
 中段と下段の差は左右ともに2Hz、つまり密閉で2420(多分容積で2L位か?)を外すことで内容積が2L大きくなったことでf0Cが2Hz下がったということになりますので定性的にはリーズナブルな結果です。測定も下段のみテスター2台で改善したのですが上段、中段もテスター1台ながらほぼ正確なデータが取れていたということです。結構苦労しましたね。
 サブウーハーとして使うのであれば、2420を外して正解でした。2420も他に使えますので一挙両得。
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JBL4331Aの密閉化 Part6 ~620Aのインピーダンス再トライ~

2019-02-16 12:22:13 | インピーダンス評価
 4331Aについて密閉度が完璧(サプリ容器+ウレタンシート)であればインピーダンスカーブも綺麗な形になることが判った。ということで、620Aについても密閉度を改善すればインピーダンスカーブが綺麗なシンメトリーになるかトライした。
 
 ■1)マッチングボックスの密閉を見逃していた初期
 マッチングボックスを外していたが、そこの開口がバスレフポートになることに気付かなかった。

 本来のバスレフポートは、養生テープで密閉したものの、マッチングボックスの開口がこの写真のように開いているので密閉していなかった。この場合は、

 このように左側の両方共ダブルピークが出た。特に下の左側は顕著。

 ■2)マッチングボックスの開口を養生テープで密閉した場合
 これは以下の様な状態

 但し、マッチングボックスの開口の下側から6本のケーブルが出てきているので隙間がどうしてもある。この場合のインピーダンスは、

 マッチングボックスの開口ががら空きよりはマシであるが、1ピークではあるものの上の右側はfrのピークが僅かに残っている。
 f0cは、右側=58Hz,左側=51Hzと見た。

 ■3)マッチングボックスの開口をEVA樹脂で密閉した場合
 これは以下のように

 バスレフの開口を塞ぐのに木+ウレタンシートとコンパラなFFTを得られたEVA樹脂でマッチングボックスの開口を塞いだので6本のケーブルがあるが密閉度が改善できた。この場合のインピーダンスは、

 これでfrのピークは全くなくなった。密閉度が上がっていることが判る。
 f0cは、右側=58Hz,左側=53Hzと見た。
コメント (5)
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JBL4331Aの密閉化 Part5 ~4331Aの密閉インピーダンス~

2019-02-13 09:29:07 | インピーダンス評価
 JBL4331Aを密閉化したので、インピーダンスの周波数依存性を測定しました。 2/15青字追加

 ■1)測定状況
 以下のような状況で測定しました。

 2231Aのみを駆動する為に、SP端子をEXTERNAL側に切り替えました。というかいつもこのポジションで繋いでいます。こうすることで2231Aのみを駆動できますが、インピーダンス安定化用のゾベルフィルター(C:20μF、R:10Ω直列)のみは並列に入ります。
 以下の4331Aのネットワーク3131Aの回路図でEXTERNAL側は、右上のスイッチが上側(Red 1)で下記回路参照。

 
 ■2)インピーダンスの周波数依存性
 これは下記。

 左側のグラフが、サプリ容器+ウレタンシートで密閉化した場合のインピーダンスで、上段が右側のユニットでf0C=40Hz、下段は左側のユニットでf0C=42Hzですので右側の方が、2Hz低いです。典型的な密閉の1ピークでピークの形も密閉度が取れているのを表すようにシンメトリーで乱れもないです。
 右側のグラフが、オリジナルのバスレフで前にも紹介しましたようにバスレフの典型的な2ピークです。バスレフポートの共振周波数fr=12Hz程度、f0C=46Hz~48Hz程度です。これも右側のユニットの方がf0Cで2Hz低いのは密閉と同じです
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620Aの密閉評価~左側ユニット&インピーダンス~

2019-01-29 10:31:25 | インピーダンス評価
 前回に続いて左側のユニットについても評価したのと密閉のインピーダンスも測り理論通りf0cの1ピークになることを確認しました。

 ■1)左側のユニットのFFTデータ
 これは以下。

 右側とほぼ同じデータ入力なっています。高調波歪は、①がバスレフで④が密閉ですが、ほぼ同じ程度です。また②と⑤、③と⑥の比較でも特に③と⑥を比べるとよく分かりますが、③のバスレフが60Hz付近からストンと落ちているのに対し、⑥の密閉では70Hzから③より緩い勾配で下がっています。

 ■2)620A+2231Aの左側のユニットの通常聴取位置におけるFFT評価
 これも以下。

 これは右側とは少し2231Aの追加効果が少なくなっています。この差は、左側はスピーカーの前の空間が書棚が無い関係で広くなっているので低域が加算され難くなっているからです。
 従って2231Aを加えた右のグラフの②のバスレフと④の密閉を比べると④の密閉の場合は20Hzでー10dbと若干不足していますのでもっと加算が必要です。

 ■3)620A+2231Aの両側のユニットの最適化
 本格的にではないですが、ちょこっと最適化をしてみました。

 ①は右側のユニットですが、先ずはチャンデバのLFのクロス設定を44Hz⇒60Hzにして見たら30Hz付近がまだ凸ですので、チャンデバのLFのゲインを5⇒2dbへ下げたものでこれで100Hz以下がほぼフラットになりました。
 左側は③と④ですが、上に書いたようにユニット前面の空間が広い関係で低域が加算され難い環境にあるので③のチャンデバのLFのクロス設定を44Hz⇒60Hzにしても20Hzがー7db位は下がっているのでチャンデバのLFのゲインを5⇒6dbへ上げたのですがほとんど変わりません。
 チャンデバのLFのゲインは元々5dbにしていたので、MAX6dbですので上げ代が1dbしかなく、低音用のLP2020A+のヴォリュームを上げてチャンデバの上げ代を確保すれば左側でももっと最適化できます。

 ■4)インピーダンス測定について
 最初うっかりして以下のようにネットワークを引っ張り出したままで測定しましたが、ダブルピークが出ました。

 よく考えるとネットワークを外した後の開口がバスレフポートになっていることに気付かなかったので以下のように左側では明確なダブルピークになった。

また、アンプも青基板でインピーダンスが周波数で変動しやすいと思われるものでしたので改めてネットワークの開口も養生テープで塞ぎました。

 これでも最初は6本のケーブルが通っている隙間から空気が漏れている時は2ピークに近かったのですが、そこを指で詰めることで1ピークが確認できました。面白いことに16Hz付近では養生テープが振動しているのが目に見えます。

 ■5)インピーダンス測定結果
 マッチングボックスの開口も養生テープで塞ぎ、アンプも出力インピーダンスの周波数変動の少ないと思われる赤基板に変更後のデータが下記。

 f0cの1ピークになっています。左側のグラフが密閉で右のユニットのf0cが56~57Hz、左のユニットのf0cが50Hzと少し違いますが個体差です。

 ■6)密閉変更後の視聴
 ヴォーカル中心に聴いていますが低域がよりタイトになって、全体として透明度が上がった。トレーンのスタンダードの”アイルゲットバイ”なんか聴いていると右にいる神童チェンバースのベースの弾みがより自然に、静かになったような気がする。シャーリー・ホーンの”Yesterday”ではお得意の弾き語りスタイルで詩的に語ってくれる姿が目の前に見えます。マイルスがお気に入りで、「オレが出演する前に彼女のステージをセットしてくれ。そうじゃなければ出演しない」と言ったというのも判るような気がします。カインド・オブ・ブルーでもトレーンやキャノンボールの気配を感じます。
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