オーディオ彷徨録~JBL4331AからALTEC620A~

今までのオーディオの改良や音楽の遍歴に、今後の改善も紹介。いい音に繋がる方法を色々模索したことや、好きな音楽を紹介する。

現状の特性 ~F特等~

2022-06-30 13:10:15 | オーディオ評価
 RDA560をデジチャンアンプとして駆動する620A+2405H(TW3001)系ではほぼ最終条件が得られたので、その特性を取ってみました。
 RDA560のレシピーは6/10アップの■4)に記載のもので室温は26℃に設定しました。(3WayのQ=0.59の2次フィルタ仕様)
 7/3 青字追記 今NHKの”美の壺”を見てました。今日のテーマは”図鑑”。牧野先生の図鑑の元祖の所で流れたのは、モンクの”ブルーモンク”。次はボタニカル・アートのパートで、そこでは、マイルスの”I  COULD  WRITE  A BOOK”。勿論アルバム”Relaxi㏌”から、これ私のお気に入りです。その次に”不思議の国のアリス”(エヴァンスかな?)があって、トレーンの”ソウル・トレイン”から”Good・Bait” この頃のJazzは、良いですね。
 7/17 赤字追記 今日の”美の壺”は、味噌。最初に流れたのは、キャノンボール・アダレイのアルバム”ボサノバ”から”Sambop”、彼は意外にもボサノバが良いんです。ジャズの時のアーシーさが消えてリラックスしたプレイになる。同アルバムの”Clouds”はお気に入り。信州みその所では、”1958マイルス”から”On Green Dolphin Street”、ハードバップの時のマイルスのミュートは良いね、密度が高い。その後の土手焼きの所では、”静かなるケニー”から”Blue Friday”、ドーハムの飄々としたプレイも乙なもの。私のお気に入りは”I Had The Craziest Dream”ですが…僕は関西人なので後半で出てきた白みそがお気に入り。

 ■1)F特 ~全体~
 F特では大まかな特性しか判りませんが基本特性として取ってみました。

 左上はステレオで右上がR側のみで、左下がL側のみです。ステレオで100Hzが下がっているのは、左右の干渉起因です。これは出る時と出ないときがありますので微妙な部屋内の物の位置等が原因として考えられます。
 右上のR側は、良い感じです。マイクは通常聴取位置ですが高域にかけてだら下がりになっているのが聴いていて心地良い状態です。L側も同様。
 ウーハーでピークを取るのがR側で400Hz辺りで、L側は200Hz辺りですが、5/13にアップした■2)に出している10cm近接マイクでのF特では出ていませんので、この原因(低域の他のディップ含め)はユニットの特性ではなく壁からの反射影響です。

 ■2)F特 ~ユニット別 R側~
 これは以下

 左上はR側ウーハーのみで右上が同軸ツイータのみで、左下がツイータTW3001のみで、右下がR側全体です。ウーハーは1.8KHz辺りから落ちており同軸は1.3KHz辺りから立ち上がって、3KHz辺りからだら下がりです。TW3001は4KHz辺りから立ち上がって20KHzまでキープしています。全体も良い感じです。
 面白いのは、2次(Q=0.59)で切っているので、±12db/Octのスロープの設定ですがウーハーは元の落ちも加算されているのかわかりませんがー30db/Octで落ちています。同軸の上りが+20db/Octで、下がりがー10db/Octです。TW3001の上りは+22db/Octです。

 ■3)F特 ~ユニット別 L側~
 これは以下

 左上はL側ウーハーのみで右上が同軸ツイータのみで、左下がツイータTW3001のみで、右下がL側全体です。ウーハーは1.8KHz辺りから落ちており同軸は1.3KHz辺りから立ち上がって、R側は3KHz辺りからでしたがL側は4KHz辺りからだら下がりです。2405Hは4KHz辺りから立ち上がって20KHzまでキープしています。全体も良い感じです。同軸の上の方はL側の方が繋がりがスムーズかなと思います。
 チャンデバのツイータ側のHPFと同軸側のLPFのカットオフ設定は8.5KHzですが、実際にクロスしているのは L/R共に4KHz辺りです。
 R側のスロープは、ウーハーはー28db/Octで落ちています。同軸の上りが+20db/Octで、下がりがー15db/Octです。2405Hの上りは+22db/Octです。

 ■4)現状の音
 特に不満は無いレベルには仕上がっています。弦の弾みを出すために条件を出して行ったので、ジャズのベースのピチカートやアルコの弾み感は生に近いと思います。ピアノの低い方の響きを出すのが難しいと思いますがEテレのクラシックTVでは清塚さんが弾いているのですがこの音が録音が良いのでスタンウェイの音が実にうまく撮れています。6/16の宮田大さんをゲスト向えた回の最後にデュオで演奏した”誰も寝てはならない”での音もマイクを2本ピアノの手前で90cm位上に設置して撮っていますがこれが良い音で聴こえます。宮田さんの弦もマイクを2本高さ90cm位で距離も90cm位手前に設置しての演奏でしたが、彼特有の柔らかい優しい歌うような響きが聴けました。また定位感については特にTVの音作りで作り込みが工夫されているのが奥行きの広がりとピンポイント感で判ります。

 ■5)SONGSのスピーカー
 NHKのSONGSを偶に見ていますが、スタジオの奥に飾ってあるダブルウーハーのスピーカーが前から気になっていました。これはどのメーカーの何なんだろうと気になって調べてみました。そしたらTADのR1TX-BRでした。パイオニアのハイエンドスピーカーの開発プロジェクトから発しているTADの製品は他にも置いてあり、ディスクプレーヤーのTAD-D1000MK2、プリアンプのTAD-C600が置いているとのことです。これを置いた理由もネットで上がっていました。
 SONGSの美術担当からTADに「存在感のある高級スピーカーを背景に使用したく、R1TXをお借りしたい。」という依頼があったとのこと。
https://sisaudio.blogspot.com/2021/06/tadcr1tx.html
インテリアとして飾るのが目的だったんですね。ああそうなのかと妙に納得してしまいました。しかし1本税別定価600万円(発売時の500万円から値上げ)は流石に手が出ないですね。
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オーディオで音を良くする秘訣 Part5 ~HPF含めた群遅延時間Tgからの最適Q値の決定~

2022-06-10 06:40:22 | オーディオ評価
 前回の続きで最適Q値追及の為にLPF&HPFの群遅延時間(Tg)がどうなっているか、バターワースフィルタ(BW)との比較も含めLT Spiceで調べた。尚、使用した伝達関数は5/30アップ参照。
 7/11青字追記 前回までにデータを出しましたが、バタワースフィルタのステップ応答でオーバーシュートやリンギングが生じるのは、周波数対位相の特性(位相特性)がリニアではないことに起因しています。そこで、位相回転が周波数に対して比例関係を保つようにして、オーバーシュートやリンギングなど波形の変形をできるだけ抑えるように考えられたのが「ベッセル(bessel)特性」のフィルタです。群遅延時間は、位相回転を周波数について微分することで得られるので、それにより周波数に対する位相回転の非直線性が判るとも言えます。https://go.orixrentec.jp/rentecinsight/measure/article-25 参照

 ■1)バターワースフィルタ(BW)とRDA560のフィルタの2次(Q=0.707)、4次、6次、8次のTg
 これは以下。カットオフは1800Hzにしています。縦軸は、μ秒です。

 左側がバターワースフィルタ(BW)のTgです。2次LPFはOUT5黄緑線で、HPFはOUT3青線ですが一番下で重なっていますのでTgは同じ周波数特性です。4次LPFはOUT6赤線で、HPFはOUT4水色線ですが下から2番目で重なっていますが若干水色が上ですのでHPFが少し大きくなっています。6次LPFはOUT9ピンク線で、HPFはOUT7灰色線ですが下から3番目で灰色が上ですのでHPFが4次より更に大きくなっています。8次LPFはOUT10緑線で、HPFはOUT8紺線ですが1番上で紺色が上ですのでHPFが6次より更に大きくなっています。
これを見ると4次以上は波形再現の忠実度を考慮すると使いたくなくなります。

 ⇒BWのTgは、2次ではLPFとHPFはほぼ同じ周波数特性を取りますが、高次になる程、HPFの方が大きくなるがその乖離も大きくなる。又カットオフ付近でピークをとる。

 右側はRDA560のフィルタのTgです。これも傾向はBWと同じですが、異なるのはカットオフ(1800Hz)附近のピーク高とフラット値との差(上のグラフの赤 ↕はHPF8次)がRDAのフィルタの方が小さくなるので波形の忠実度を保つ観点からはTgのフラット値とピーク高の差が効きますのでRDA560のフィルタの方が優秀と言えます。但し2次は両者同じ。
 
 ■2)RDA560のフィルタの2次で Q値を0.707(BW2次と同じ)から変化した場合のTg
 これは以下。カットオフはTgの差を強調したいので1500Hzに設定。(1800HzだとQ=0.634と0.577が近接し過ぎる)

 Q=0.707のHPFは一番下でOUT3黄緑線で、LPFはOUT7青線ですがほぼ重なっていますが若干黄緑線が上ですのでHPFの方が大きくなる。Q=0.634のHPFはOUT4赤線で、LPFはOUT8水色線ですが下から2番目で重なっていますが若干赤線が上ですのでHPFが少し大きくなっています。Q=0.577のHPFはOUT5ピンク線で、LPFはOUT9灰色線ですが下から3番目でピンク線が上ですのでHPFが大きくなっています。Q=0.5のHPFはOUT6緑線で、LPFはOUT10紺線ですが1番上で緑色が上ですのでHPFが大きくなっています。

 ⇒2次でQ変化した場合も、高次と同様、HPFの方がLPFよりTgが若干大きくなる。(ほぼ同等ではあるが)高次で顕著なカットオフ付近のピークはQ=0.59以上で緩く出て、それ以下ではピークは無くなるが、丁度Q=0.59で以下のように最大限フラットになる。RDA560でTgを最大限フラットにできる条件は2次のQ=0.59であることが判りました。(ここから以後カットオフは1800Hz)



 これは一見ベッセルフィルタ(Bessel Filter)並みにTgが最大限フラットになっている。但し逆ベッセル多項式から導出される以下のベッセルフィルタとRDA560の2次のQ=0.59フィルタとは以下のように伝達関数が違う。(**2は2乗の意味)
 G(S)=3*wc**2/(s**2+3*s*wc+3*wc**2) ・・・・・2次ベッセルフィルタ(LPF)
 G(S)= 3*s**2/(3*s**2+3*s*wc+wc**2) ・・・・・2次ベッセルフィルタ(HPF)
 G(S)=wc**2/(s**2+1.695*s*wc+wc**2) ・・・・・2次のQ=0.59のRDAフィルタ(LPF)
 G(S)= s**2/(s**2+1.695*s*wc+wc**2) ・・・・・2次のQ=0.59のRDAフィルタ(HPF)

 この2次ベッセルフィルタのTgをLT Spiceで下の右側に出し、下の左側のRDA560のフィルタ(2次Q=0.59)と比較すると

 となり、緑線のLPFで考えると右の2次ベッセルフィルタの方が平坦部のTgが~89μSと左のRDAフィルタのTg~150μS緑線より小さく、ベッセルの方が若干良い。
 しかし、2次ベッセルフィルタの青線のHPFは ~270μSですのでLPFHPFのTgには大きな乖離があります。これは左のRDAのフィルタよりTg値も大きくフラット部が狭く良くないように見えますが青線のHPFは1.8KHz以上で使うと考えるとRDAとベッセルは同等。トータルではベッセルの方が若干優秀。

 同様ゲインのグラフをRDA560(2次Q=0.59)のフィルタとベッセルフィルタ(2次)を比べると、(点線は位相)

 となり、肩の曲率は両者同じですが、クロス点でのゲインがRDAのフィルタ(ー4.6db)に対しベッセル2次は(ー1.6db)と3db高くなるのでRDAフィルタは、ベッセルフィルタのLPFを低周波側へ、HPFを高周波側へ平行移動したものである。(カットオフ1800Hzを中心軸に双方を遠ざけたものとも言える)スロープはRDAのフィルタが12db/Octに対し、ベッセルは、11.9db/Octと若干小さいがほぼ同じ2次。⇒この肩の曲率を保てばTgを最大限フラットにできる。それにより再現波形の忠実度もベストになる。

 ■3)最適なQ値とは?
 LPFのカットオフ=1800Hzの条件で、2次でQ値毎の特徴を3種並べると

 ①Q=0.707:矩形波の立ち上がりスピードは最大。但し波形にオーバーシュートが若干ある。Tg偏差(0~1KHz)=35μS。聴感:基準(ウーハーLPFのカットオフ1500Hz)よりもエネルギーバランスは良好 ゆったりと聴ける感じ"

 ②Q=0.59 :矩形波の立ち上がりスピードはQ=0.707より若干低い。但し波形にオーバーシュートは無し。Tg偏差(0~1KHz)=20μSと最小。⇒Tgが周波数特性として最大限フラット、2次ベッセル並み。∴波形の忠実度はベスト。 聴感:Q=0.5と遜色無し。

 ③Q=0.5  :矩形波の立ち上がりスピードはQ=0.59より低い。但し波形はアンダーシュート気味。聴感:エネルギーバランス良好でかつ音の粒子表面のツヤ感も充分感じる聴感評価 当日(’20.6.16)のベスト。Tg偏差(0~1KHz)=75μSと大きい。

 ⇒波形再現の忠実度(Tgの平坦部とピークの偏差)を重視し、②Q=0.59を現在使用中。

 ■4)現状のRDA560のレシピー  (もう1チャンネルあれば、2231Aをサブウーハーにするのですが…)
 以下。当日の室温をレシピー内で適宜設定する。 尚、Lに対しMとHは位相合わせの為にレシピー内で極性を反転させている。
 L:604-8Gウーハー、ゲインは0db、LPF(Q=0.59)1.8KHz、ディレイ(L:144mm、R:162mm)
 M:604-8G同軸ツイータ、ゲインはー5db、HPF(Q=0.59)1.5KHz、LPF(Q=0.59)8.5KHz、ディレイ(基準L/R:0mm)
 H:2405H(L)/TW3001(R)、ゲインはー1db(L)、9db(R)、HPF(Q=0.59)8.5KHz、ディレイ(L:220mm、R:208mm)

 ■5)今興味があるもの
 620A+2405H(TW3001)系ではほぼ最終条件と言えるような条件が得られた。RDA560+620A(+2405H、TW3001):コーン形状のウーハーと球状或いはリング形状のダイヤフラムツイータでの音はシステムとして出来上がったと思う。良い音を追及するのはこの辺りで止めて今後は聴く方に時間を使いたい。もう67歳、人生で残された時間はそんなに多くない。
 今聴いてみたいのは平面振動板を持ったスピーカー。原理的に振動板のどこからの音波も位相が合う。これはスピーカーの理想形であるが現実の製品として良いものは余り無い。 FALのスピーカーは世界が注目するという謳い文句や、モスクワ大学の音楽学部にも納められたというような話もネットで散見されるので一度聴いてみたい。しかし関西には聴ける場所は無さそう。秋葉原ならあるが、それだけで行くのはちょっと…。Supreme C90Wを聴いてみたいが、ペアで172.7万円というのはよっぽど良い音でないと、ちと厳しい。ダンパーレスなので振幅が大きくなると簡単にボトムタッチしてしまうという低域の問題を指摘する人もいるので聴いてみないと何とも言えない。平面ウーハーにハイルドライバーがツイータとして付いている。
 ハイルドライバーは使いこなしが難しい。例えばMr.トレイルのオーディオ回り道さんのブログでも”単体では「味気ない」サウンドの可能性が高い。しかし、JBL#375の相方としてはほぼ理想に近い。並列接続にすると#375の「スッ飛んで来る音」がほぼ無くなる。”という感じで375と併用されている。オーディオ逸品館のYou Tubeでもハイルドライバーだけだと角が立った波(アタック音のようなものか?)が出ないので角が立った波が出る波動ツイータを併用する方法を以下のURL等で提案している。
https://www.youtube.com/watch?v=a45AU0KuUsM
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オーディオで音を良くする秘訣 Part3 ~弾みについて ウーハーとフィルタのQ値~

2022-05-20 00:29:16 | オーディオ評価
 Part1では複数のスピーカーユニットの音源位置を合わせて各ユニットの波形タイミングを合わせる為にタイムアライメントを取ったことを紹介しました。これによって打楽器のアタックがシャープになります。Part2ではJazzの肝である弾みを向上させるカットオフとフィルタのQ値について聴感で条件出しを行った経過を説明しました。これによりエネルギーバランスが取れて弾み感のある音が得られます。今回は、Part2でQ値を0.5に低めることで弾み感が増したが、Q値の最適値を求めるためにシミュレーションや実測をしたことを紹介します。
 5/26紺色追記 ■1)のRDA560の伝達関数で2次のQ指定を追加しました。
 6/22 ■2)の緑字部で2次のQ変化のパルスの実測データを追記
 
 ■1)バターワースフィルタとRDA560のフィルタ(LPF) ~群遅延時間Tgとフィルタスロープ(肩)のシミュレーション~
 高次のLPFで急スロープでフィルタを切ると各ユニット間の使用帯以外の音の分離と言う点では良いが、以下のLT Spiceのシミレーションで判るように群遅延時間が次数と共に増加しカットオフ1.8KHz附近でのピークが大きくなります。下の左が群遅延時間で下からバターワース(BW)2次(黄緑)4次(青)6次(赤)8次(水色)ですので次数と共に平坦部の値が増加し、且カットオフ附近でピークを呈すがピーク高と平坦部との差(図中の赤↕は8次)も次数と共に上がって行く。

 更に次数が上がるとパルス応答が鈍ってしまうし音の弾みと言う点でも不利となると思う。上記はバターワース(BW)の場合ですが、以下のRDA560のフィルタではTgは以下のようにBWよりはピーク高と平坦部との差(図中の赤↕は8次)も小さくなり改善しますが傾向は同じ。上下のTgの結果比較からBWフィルタは波形の忠実度を確保する上ではRDA560のフィルタより劣る。

 RDA560のフィルタは以下のようにBWより肩をなだらかにして波形の忠実度や弾み感を改善している。左側がBWで右側がRDA560のフィルタで次数に対する傾きは同じですがRDAの方が肩が丸くなっている。但しRDA560はクロス周波数でー3dbなのは2次のみでそれより高次ではLPF+HPFでフラットにならない。(LPF+HPFで4次ー1db(ー3)、6次ー2db(ー6)、8次でー3db(ー9)、LT Spiceでの単なる加算では()内になるのでRDAではカットオフで合成出力を増やす工夫をしていると推測)

 因みにフィルタの傾斜は両者ともに nを次数とすると、ー6×n db/Octで同じ。⇒上記からフィルタの肩は曲率が緩い程Tgの平坦部とピーク高さの差は小さくなり波形の忠実度は改善する事が判ります。(点線は位相です)

 RDA560のフィルタの伝達関数は(**2は2乗の表記、sは変数でwcはカットオフ角周波数)
  ・2次のQ指定
  2次LPFは、Qを使うと伝達関数は、通常の教科書に載っている
 G(S)=wc**2/(s**2+s*wc/Q+wc**2)  です。(Q=0.707で2次のバターワースフィルタ)


 ・簡易設定(次数設定)
  2n次LPFの伝達関数は、以下と推定した。(n=1(これのみBW2次)、2、3・・・・・・)
 G(S)=wc**2n/(s**2+1.4142*s*wc+wc**2) **n  です。
  RDA560のフィルタと上記のスロープとカットオフ周波数が合致していることは確認済。
  4次のみ Linkwitz-Rileyフィルタで、高次はそれの分母の()内は同じで乗数のみ変えたものすので、RDA560の次数設定フィルタは Linkwitz-Rileyをベースにしたフィルタと言えます。

 ■2)RDA560のチャンデバのフィルタ(LPF) ~最適Q値を求める実測 パルス評価~
 弾みは応答性にも関係すると考えて、RDA560のLPFを使う場合にQ値をどうすれば、最も立上りが急峻になるかを実機の電特実測で調べました。

 これはRDA560のCH5のスピーカー端子に8Ωの純抵抗を繋ぎ、その両端のパルス波形(WGで作成)の電位をPCオシロで見たものです。1.8KHzカットオフのLPFを使いました。左上から時計回りにRDA8次、RDA6次、RDA4次、フィルタ無、2次のQ=0.642、RDA(=BW)2次です。パルス出力は次数の高い程鈍ってしまい立上りが鈍ってしまいます。2次のQ変化の実測は以下。

 では、上記をグラフ化したのが以下です。

 縦軸はパルスの鋭度(パルス幅(90%TH)/パルス高さ:単位s/v)で横軸は、Q値です。RDA2次(Q=0.707)より左側が2次でのQ変化ですが、RDA2次(Q=0.707)で最小(0.7S/V)となりますが、2次のQ=0.642でも0.8S/Vとまずまずの値です。LPFについては2次のQ=0.7附近で最もパルス応答が鈍らない音になりますし、弾みについても良い方向になる。

 ■3)RDA560のチャンデバのフィルタ(LPF) ~最適Q値を求めるシミュレーション パルス評価~
 LT Spiceでもパルスの立上り鋭度のQ依存を見てみました。使用した入力パルスは、■2)の最初のグラフ集の右下のフィルタ無しの実測オシロの近似で、立ち上がり35μs、立下りー35μs、トップ5μsです。

 今考えるとシミュレーションの2次以上は、BWではなくRDA560のフィルタでやった方が良かったのですが傾向は同じです。BW2次で2.7mS/vと最小となりますが、Q=0.642でも3.3mS/vとそれに次ぐ値で、上記実測と同じ傾向です。

 ■4)RDA560のチャンデバのフィルタ(LPF) ~最適Q値を求める実測 矩形波評価~
 測定方法等は2)と同様で入力波形をWGの矩形波にしました。パルスの場合は高さが最高到達点まで行く前に落ちてしまうので鋭度で評価したが矩形波は最高到達点に必ず到達するので時間のみで評価した。

 立上り時間が次数が大きくなるに従って大きくなっており、8次では赤〇の部分にオーバーシュートがありますがこれは次数が下がるに従い小さくはなりますが、右下の2次でも若干見られます。2次のQ値変化でどうなるかと言うと

 左上がQ=0.642ですがほぼオーバーシュートも無くなって、90%になる立上がり時間も0.36mSと小さい。Qを下げていくと立上り時間は大きくなってきて肩が丸くなってアンダーシュート気味になってきます。グラフ化すると

 立上り時間だけで言うとRDAの2次が0.32mSと最小で、Q=0.642がその次(0.36mS)になります。これは■3)のパルス鋭度の順位と同じ。注目すべきは、90%を立上りの閾値とした場合はQ=0.707のRDA2次とフィルタ無しが0.32mSで同じと言うことです。RDA2次(=BW2次)は立上りと言う意味では素晴らしい。
 
 ■5)LT SpiceによるBWフィルタ(LPF)の矩形波評価
 これは以下。入力矩形波の立上りは35μs、立下りはー35μs、オンタイム2mS

 2次以上は、BWではなくRDA560のフィルタでやった方が良かったのですが傾向は同じです。BW2次で0.236mSと最小となりますが、Q=0.642でも0.26mSとそれに次ぐ値になります。

 ■6)2次のQ値の候補
  ①Q=0.707:矩形波の立ち上がりスピード最大。但し立ち上がりにオーバーシュートがある。聴感での弾み感が中程度でエネルギーバランス良好
  ②Q=0.642:矩形波の立ち上がりスピード最大に近い。立ち上がりにオーバーシュートもほぼ無し。
  ③Q=0.59 :矩形波の立ち上がりスピード中。後で判るがベッセルフィルタ並みに群遅延時間の周波数特性が最大限フラット。∴波形の忠実度はベスト。
  ④Q=0.5  :矩形波の立ち上がりスピード小。立ち上がりはアンダーシュート気味。聴感での弾み感がベストでエネルギーバランス良好で音の粒子表面のツヤ感を感じる。
 ⇒立ち上がりスピードを重視すると、Q=0.707が良いが、矩形波は若干オーバーシュート。矩形波の波形を重視するとQ=0.6が綺麗です。聴感を重視するとQ=0.5が良い。その辺りに正解があると思います。さて貴方はどのQ値を選びますか?

 従来アップした分での纏めは以上ですが、簡単にシミレートできるLPFのみで解析していましたが、HPFも含めて評価した方がより精度が上がるのでそれについては次回アップします。
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オーディオで音を良くする秘訣 Part2 ~弾み ウーハーとスコーカのカットオフとフィルタQ値~

2022-05-13 08:03:59 | オーディオ評価
 Jazzの音の肝である弾みを良くするには、m0(JBLはMmsと表記)の小さいウーハーを選ぶこととチャンデバのフィルタのQを低めに設定することと最適なカットオフを設定することがあります。2020年6月に620Bをアキュフェーズ のA級アンプ(~100万円、~50Kg)で駆動されている知人宅を再訪問し、知人のリクエストである620Bのネットワーク改造の為のフィルタ定数決めの為の評価をしたが、同年6/16に知人に我が家に来訪頂き、私の620Aに620Bの結果を移植することにしました。その時の結果を中心に紹介します。

 ■1)ウーハーについて
 ウーハーについて必要なのは、口径に対して振動系の質量m0が小さいことです。低m0により風のような生に近い軽やかな低音に近づけます。メインの620Aの604-8Gのウーハーはm0=59gと38cmの口径に対し非常に小さい。

 対してサブにしているJBLの4331Aのウーハー2231Aは同じ38cm口径ですが当時のJBLは重低音志向でセンターキャップの裏にアンチモンウエイトリング(米国の記事では実測で36g:その記事ではないが36g記載のURL:http://www.audioheritage.org/vbulletin/showthread.php?5386-2231A-or-2235H-in-4333B)が付加されておりm0=151gと非常に大きい。

従って弾みについては620Aが圧倒的に有利です。(勿論アンプの高パワーや高ダンピングファクターである程度補足することはできないこともないのですが)
 またバスレフは低音の音量を補足するには便利ですが、低音の遅れが生じるのでボワーとした音になりやすく自然な弾みや波形の再現性を得るには不利と言えます。ですので620A(以下左写真でマルチ用に塞いだバスレフ穴から604-8Gの配線を2系統出している)も4331A(右写真で同じくマルチケーブルを塞いだバスレフ穴から2系統出し、ウーハーは裏の端子から出す)もEVA樹脂で密閉化しました。

不足する100Hz以下の低音は、アンプの低音の音質(BASS)ボリュームでブーストしています。
 当方は2018.12.1のアップで2231Aと620Aの低音の遅れについて測定しています。それによると、最低共振周波数f0Cの遅れは620Aで2.5~3.6mS、2231Aでは3.8~5.1mS、バスレフのポート共振fdの遅れが、620Aで19~25mS、2231Aでは36~38mS、となりf0cの遅れは許容できるとしてもバスレフのポート共振周波数付近の遅れは回避したい。(聴感で遅延を識別できるのは条件にもよるが、30mSというデータがある。)

■2)チャンデバの最適カットオフとQ値を聴感で評価。今回のレシピー内容 (当時はサブウーハーとして2231Aを使っていましたが、アナチャンでは波形遅れが出ることを音の波形で確認したので今は未使用)
  中心条件は、70Hz5db(8次)、M:HPF70Hz(Q=0.7=12db/Oct)&LPF1.8KHz(Q=0.5=肩落ちー12db/Oct)、H:HPF1.5KHz(Q=0.5) です。
 L:2231A 604より+5db LPFでカットオフ70Hz 反転(604に対して逆相)
 M:604-8Gウーハー ゲインは0db、バンドパスでHPF(Q=0.707)70Hz、LPF(Q=0.5)1.8KHz、同軸とタイム合わせで61mm遅延
 H:604-8G同軸ツイータ+2405H(パスコン2.2μF、ー12dbATT)、ゲインはー5db(パッシブNW時ー6db)、HPF1.5KHz(Q=0.5)

 【実験条件Q値】
       604-8Gのウーハー  :LPFで2次でQ=0.5(肩が最も緩い)と0.7(肩がBW2次の緩さで0.5より鋭角)の2条件
       604-8Gの同軸ツイータ:HPFで2次(ー12db/Oct)とRDA560の4次(ー24db/Oct)の2条件
 【実験条件カットオフ周波数】
       604-8Gのウーハー  : 1000、1500、1800、2100、2400 Hz の 5条件
       604-8Gの同軸ツイータ: 1500 Hz 固定
 604-8Gのウーハーはm0が小さく素性が良いので上の周波数の限界まで使って弾みを確保しようとしました。⇒下の裸のF特でカットオフは甘く見て3KHzと見れるので~2KHzまでは分割振動もギリ見られず使える。
 604-8Gの同軸ツイータは以下のように、フィルタ無しでのカットオフ周波数が、500~600Hzですので、ショートホーンの使える限界がその2.5倍(600×2.5=1500Hz:*1を参照)という所を使用。1500HzはALTECが公表している608-8Gのカットオフでもあります。
 *1)https://www.ne.jp/asahi/ryustech/koubou/horn-erabikata.html


 ■3)聴感による条件出し結果
 知人の聴感による判定結果が下記。曲は’90年代のジャズのクインテットの作品

 試聴順序①(ウーハー1500Hz Q=0.7、同軸ツイータ1500Hz ー12db/Oct)からスタート。これが基準。以下基準外を赤字で示します。
 試聴順序②(ウーハー1500Hz Q=0.7、同軸ツイータ1500Hz ー24db/Oct):基準との差異は聴き取れなかった。⇒これ以降ー24db/Octは取り止め。
 試聴順序③(ウーハー1000Hz Q=0.7、同軸ツイータ1500Hz ー12db/Oct):中低域が薄くまったく物足りない。
 試聴順序④(ウーハー1800Hz Q=0.7、同軸ツイータ1500Hz ー12db/Oct):基準よりもエネルギーバランスは良好 ゆったりと聴ける感じ。
 試聴順序⑤(ウーハー2100Hz Q=0.7、同軸ツイータ1500Hz ー12db/Oct):④と同様にエネルギーバランスは良い 雑味はないがピアノがやや曇る感じ。
 試聴順序⑥(ウーハー2400Hz Q=0.7、同軸ツイータ1500Hz ー12db/Oct):全体に曇る感じ クリアーさに欠ける 雑味によるものかもしれない。

⇒以上でウーハーのカットオフは1800Hzが良さそうと言う感触を得た。
 
 試聴順序⑦(ウーハー1500Hz Q=0.5、同軸ツイータ1500Hz ー12db/Oct):基準と似た音調だが弾み方はこちらが良い。
 試聴順序8(ウーハー1800Hz Q=0.5、同軸ツイータ1500Hz ー12db/Oct):エネルギーバランス良好でかつ音の粒子表面のツヤ感も充分感じる 。その日のベスト条件である。

 ということで、この時の最適条件は、ウーハーLPF1800HzQ=0.5(ー12db/Oct)、同軸ツイータHPF1500Hz Q=0.707(ー12db/Oct)となった。
 この後、Q値を最適化する為に、実機実験とLT Spiceによるシミュレーション等を行ったが、それは次回以降。
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オーディオで良い音を出す秘訣 Part1 ~タイムアライメント~

2022-04-26 09:42:45 | オーディオ評価
 現在は目標とする音にほぼ近い。ここらで良い音を出すポイントを私のハード・ソフト構成対応で紹介しておきます。再現する音として重視しているのは、①Jazzのベースを生の音の弾み感で出せる、風のような低音、詰まったゴリゴリ感のベースになっていないこと ②ソースにも依存するが奥行きのある音場感が出て且つシャープな定位がある ③打楽器のアタックがシャープ、濁らない 極論するとエコーのかかったような音にならない、過渡特性が良い、と言うところです。
 5/1青字追記 先ほどNHKの”美の壺”を見ていたら、Jazzの特集。山下洋輔さんがフリージャズの”グガン”では得意の肘打ちも披露。類家心平さんはD/ガレスビー並みのホッペ。ノリのいいアドリブと綺麗なハイノート。フィナーレではそのハイノートで叫んでいる。岩手の一関のBASIEのところで流れたのは、マイルスのRelaxin’から”You ’re My Everything”、シングルトーンでイントロを始めたガーランドを止める為にマイルスがピューと口笛を吹いて”ブロックコードで”とガーランドに念を押すように2回も言ってる声が正にギャングのボスのようなドスノ利いた声。ベイシーに戻ると、マスターは菅原正二さん。早大時代ドラマーとして活躍した後’70年にBASIEを開店。スピーカーは、密閉箱に横並びで入れた2発の2220B(Mms=70g(130Aと同じ)と604-8Gの59gには敵わないが15インチにしては軽い:推定2本で104db/W/m)の上に375+鷲が翼を広げたようなホーンが537-512+スーパーツイータ075という構成。アンプはJBLSG520+SE400SでチャンデバはJBL5230系。ターンテーブルはLINNのLP-12+シュアーのカートリッジ。今はコロナで休んでいるが毎日鳴らしてはいるとか。ベイシー自身も訪れ店名の”許可証”を書いて残したが、JBLの社長も3度訪れているとかで初来日時のサインも貼ってありましたね。W/マルサリスはエリントンの”くるみ割り人形”を初めて聴いたとじっくり聞いていたとか。
 7/13 赤字追記 ■5)以降で 604-8Gのウーハーと同軸ツイータのタイムアライメントを追加した

 ■1)現状の構成
 今は、以下のように構成しています。
 ソース:メイン:①PCバッテリー駆動、i-tunes(アップルLossLessエンコーダー)をUSB送り出し  サブ:②CD(CDP-555ESJ)、オプティカルファイバー
 アンプ:RDA560 3chデジタルチャンデバ使用
 スピーカー:メイン:ALTEC 620A(密閉改造版) +スーパーツイータ(左:2405H)(右:TW3001)
       サブ :JBL4331A(密閉改造版) +スーパーツイータ(2405) これもRDA560デジタルチャンデバ使用

 ■2)タイムアライメント
 デジタルチャンデバ使用前は2405Hの位置を物理的に奥に移動させてタイムアライメントを取っていましたが、RDA560を導入してからはデジタルチャンデバを使用して電気的に遅延させています。部屋の温度もRDA560のレシピー内にパラメーターに入っているので室温を入力することで室温に対応した正確なタイムアライメントが可能です。これは上記③打楽器のアタックがシャープ、濁らない に影響します。
 
 ■3)タイムアライメントを取る方法 ~遅延時間・距離の確認~ 2022.1.19のアップ参照
 左右は別々に、マイクは通常聴取位置に置いて、1波トーンバースト波形を使って、同軸ツイータと2405H(或いはRW3001)の波形をピッタリ合わせるように遅延を調整して決めます。
 2022.1.19のアップで説明すると、これは8.5KHzの1波トーンバースト波形を使用した620Aの同軸ツイータとスーパーツイータTW3001のタイムアライメントです。

 左上の1)はデジチャンの電気的ディレイを0にした場合で両方駆動、2)同軸ツイータ、3)はTW3001を同軸に対し反転させたものです。。
 1)の水色の〇が先行するTW3001の波で、赤〇が遅れてくる同軸の波です。この時間差を計ると~0.6mS(これは一番絶対値の大きいーパルスの間隔)ですの距離換算のディレイは24℃の音速で206mm程度であると推定できます。パッシブのネットワークではTW3001をバッフル面に置くと1)のような波形になってしまうので、奥にTW3001を移動させてタイムアライメントを取らなくてはいけない。1)の状態ではディレイの掛かった音になっています。同軸ツイータとウーハーは音源の距離を変えられないのでデジタルチャンデバでないとタイムアライメントを取れません。

 ■4)タイムアライメントを取る方法 ~遅延時間・距離の決定~ 2022.1.19のアップ参照
 タイムアライメントを取るには、620Aのバッフル面にTW3001を設置し、RDA560のTW3001のディレイ距離(同軸ツイータ基準)を194mmから223mmまで変化した。
 
 上段左上が、194mmで時計回りで199mm、203mm、208mm、223mm、219mm、214mmとなる。
 水色の〇で囲んだ+パルスとーパルスの波高が高くなるのが両者がアラインできているということです。しかし最初の+パルスの最大と次に来る大きなーパルスが最大になるポイントが違います。
 +パルス合わせで考えると199mm~203mmで+パルスは最大になると見えます。
 ーパルス合わせで考えると208mm~214mmでーパルスは絶対値が最大になると見えます。
 現状のRDAのレシピーは同一距離では両者はMaxにはならないので間を取ってTW3001のディレイを対同軸で207mmと設定していますがほぼ最初の推定通り。

 ■5)604-8Gのウーハーと同軸ツイータのタイムアライメント L側 位相確認 (詳細は、2021・1・18アップ参照)
 逆相にしないと位相が合わないことを確認する為に、マイク位置を10cmのニアーにして、

カットオフを2.5KHzまで上げて同軸の波形が付帯波が少ない状況で1波トーンバースト波形を見たのが以下。

  上段がR(右)側ユニットで、下段がL(左)側ユニット、左のオシロ波形がウーハーのみで、右のオシロ波形がウーハーに対して逆相にした同軸ツイータのみです。
 例えば、上段のR側ユニットで見たら、同軸ツイータを逆相にしてどちらもースタートですので位相が合っています。⇒ウーハーと同軸は逆相で位相が合う。

 ■6)604-8Gのウーハーと同軸ツイータのタイムアライメントの概算 L側 ~マイクは通常聴取位置~
 先ずは、遅延無しで両方鳴らしてみました。Fc=2.5KHzでクロスした場合の2.5KHzの1波トーンバースト波形です。オリジナルのパッシブNWなら同相接続なのでこの間隔で 赤●の+側ウーハー波と緑●の同軸ツイータ波が反転して並んでいるはずで、逆相接続で以下の波形となる。

  赤●が1st+側ウーハー波で緑●が1st+側同軸ツイータ波です。この2波の遅延は0.38mSですので距離換算で130mmとなります。つまり1st+側のタイムアライメントは、ウーハー遅延130mmです。これをベースにウーハー遅延を変えてみたのが、

 左上からウーハー遅延=0cm、10cm、13cm(1st+ピークのアライメントできた距離)
 左下からウーハー遅延=15.7cm(1stーピークのアライメントできた距離)、20cm
 ウーハー波形と同軸ツイータ波形がシンメトリーでない(+波の方が高い)ので、1st+ピークでタイムアライメントの合ったウーハー距離と青●で示した1stーピークでアライメントの合った距離は異なります。

 ■7)604-8Gのウーハーと同軸ツイータのタイムアライメントの概算 R側 ~マイクは通常聴取位置~
 詳細は2021・1・18アップを参照頂くとして、結果だけを記載すると、ウーハー遅延=17cmでタイムアライメントが大体取れました。

 ■8)+ピーク合わせとーピーク合わせのベストポイントを探る
 これを精度よく行うには先ず第一は近くにマイクを置くことですのでマイクを10cmの距離にしました。更にタイムアライメントを取る必要条件が経路を通常聴取位置上にあることですので距離は10cmであるが真ん前に置かず写真のよう通常聴取位置とスピーカー音源中心の経路上に設置しました。

 更にもう少し正確に合わせる為にタイムアライメントの合っている定義を+ピークとーピークの高さの絶対値が等しいような遅延距離としました。それで再度1mm単位で遅延時間を変えてピーク合わせをしたのが以下。

  上段がR(右)側ユニットで、下段がL(左)側ユニット、左のオシロ波形がマイクをSP真ん前の10cm距離に置いてーピーク合わせのウーハー遅延距離を採用した場合で、右のオシロ波形が経路上10cmマイクで+ーピーク均等になるように合わせた場合です。右側の方が∔-ピーク高さが均等であるのが判ります。又左下のグラフでは+ピークはスプリットしていますのでーピークは合っているとしても+ピークは若干ズレています。
 もちろん右側の結果を得たい為にやった評価で、結果はR側ウーハー遅延=16.1cm、L側ウーハー遅延=14.4cm、という結果です。実際の1波トーンバースト波形でNWを通したウーハーとツイータの両方鳴っているカットオフ周波数の音をマイクで収録してここまで綺麗なオシロ波形は見たことはありません。

 ■9)ーピーク合わせでのF特
 最終条件のウーハー遅延(R側ウーハー遅延=16.1cm、L側ウーハー遅延=14.4cm、)ではないですが、ーピーク合わせでのF特は、

  70Hz~90Hzで定在波のピークが+8~9db程度(L側の方が大きい)ありますが、’22.5/13アップの■2)のWGの左側のウーハーのF特では見られませんので環境(壁の反射等)影響です。低域の定在波の凹凸は、’22.6/30のアップの■1)でも分かるように経時変化があります。

【結論】経路上10cmマイク距離での+ーピーク均等合わせで得られたタイムアライメントの結果は、R側ウーハー遅延=16.1cm、L側ウーハー遅延=14.4cm。(これはウーハーボイスコイル位置とツイータダイヤフラムの単純な寸法差 の推定値(17.4cm)と近い)

 
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