ロサンゼルスの地元仲間で結成された、パワー・ポップ・バンドPhantom Planet(ファントム・プラネット)。
現在メンバーは4人だが、94年の結成時は5人組で、当時のドラムスのJason Schwartzman(ジェイソン・シュワルツマン)は、Rooney(ルーニー)のフロント・マンRobert Schwartzman(ロバート・シュワルツマン)の兄であり、03年まで在籍していた。
日本でも人気のTVドラマ 『The O.C.』 の主題歌で、一度聴いただけで耳に残るほどの印象的な曲、「California」 を歌っているのが彼らである。
そんな彼らの新作 『Raise The Dead』 が、先頃リリースされた。
ひと言でパワー・ポップ・バンドと言うには勿体ないくらい、このバンドはいろんな要素の音を持っている。
特に本作は、British Invasionの香りがプンプンと漂ってきて、陽気で明るいイメージが先行するカリフォルニア・バンドとは違い、60年代風のガレージ・サウンドやエフェクターを効かせたエレクトリック・サウンドが見事に融合していて、これまでとは一味違った一面を出している。
アコギの爽やかな音に乗って、力強くポップなアルバム・タイトル曲M-1 「Raise the Dead」 で始まり、全12曲それぞれがとても凝った、バラエティに富んだポップな曲で埋め尽くされている。
M-2 「Dropped」 でQueenを少し感じ、M-4 「Do the Panic」 やM-5 「Quarantine」、M-10 「Confess」 では、The Kinksを感じる。
どこか懐かしいのだが、確実に新しい音を作り出している。
M-6 「Ship Lost at Sea」 では、エフェクターを効かせたVo.で、エレクトリック・ポップの雰囲気を上手く漂わせている。
一方、だんだんといろんな音が重なり、ダークで重厚なサウンドになって行くM-7 「Demon Daughters」 は、とても面白い仕上がりになっている。
パーカッションをふんだんに取り入れた、M-9 「Too Much Too Often」 のダンサブルで複雑なリズム・パターンと凝ったアレンジは、ライヴで映えそうな熱いナンバーでカッコいい。
これぞパワー・ポップ!と言わんばかりのドライヴィング・チューン、M-11 「Leave Yourself for Somebody Else」 のほとばしる疾走感もたまらなく気持ちいい。
コーラス・ワークとアレンジに趣向をこらしていて、くり返し聴けば聴くほど各曲のいろんな面白さを見い出すことができる。
とても楽しみながら聴ける作品である。