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石巻:大川小学校跡に立ちすくむ…自分たちの愚かさに痛恨の想い(その2)⇒自分の足元から見直そう

2012年05月14日 | 東日本大震災…山形から

(1) 大川小学校の「悲劇」に向かい合う

今は2012年5月14日午前1時35分。なぜこんな時間になったかと言いますと…。

昨日は日曜でしたが、日中は白岩義民の374回忌の慰霊祭があり、このテーマに向かったのは夜になってからでした。これまでにも何回もチェックしたインターネット関係の情報でしたが、大川小学校のことを書くにあたっては、やはり再度のチェックをしないではいられませんでした。

遺族の方々の言い表しようのない無念さ、当日の状況、3.11大震災までの防災対策は・・・などを読み直し、考え、ようやく書き始めたところなのです。

とりわけ、亡くなった子どもたちや教職員の方々の痛み、苦しみ、恐怖、悶え、そして無念さ…を思うとき、簡単には1文字も書けないのです。

     

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津波というこの巨大な力の下で、まだあどけない小学1年生から6年生の子どもたちが、私たち大人の愚かさのために多くの生命を奪われたのです。

「怖かったろう」「痛かったろう」「ごめんよ」「ごめんよ」

私たち大人が、もっともっと考えて対策していれば、いっぱいのいのちを助けられたのに。

悔んでもくやみきれません。

    

「この犠牲を二度と繰り返してはならない!」

それが残された私たち大人の使命ではないでしょうか。

「真実」とは、事故の真相だけではないと思います。

一人ひとりの人間の尊厳に向かい合いつつ、今日の事態を考えることなのではないでしょうか。

その意味で、3.11大災害の全国の死者:15,857人(現在までに把握された人数ー5月14日の復興庁ホームページより。以下も同じ)、行方不明者:3,057人(届け出のあった人数)は、とてつもない重さです。

そしてこの「悲劇」(本当は、人災による悪事ではないのか!)の最も典型的な「悲劇」が大川小学校ではないでしょうか。

校庭に避難していた児童108人中70人が死亡、4人が行方不明(2012年1月23日現在)、校内にいた教職員11人中9人が死亡、1人が行方不明(2011年4月9日現在)・・・いずれも『ウィキぺディア』より。

私たちは、この尊い犠牲に、どう立ち向かえばよいのでしょうか?

      

(2) 人災の責任は誰に? 

今回の大川小の犠牲について、ほとんどのマスコミ記事やインターネット情報は、当日の先生方の避難誘導と、普段からの防災訓練などを問題にしています。

それも問題でしょう。しかし、果たしてそれだけでしょうか?

中には、行政や学校側の津波等に対する危機意識の無さを問題にしている意見もあります。

だが、しかし、そうでしょうか?

もし津波等に対する危機意識があったなら、あんな北上川の河川敷とも言える川沿いに小学校を建てたでしょうか?

高さ5メートル程度の堤防で子どもたちを守れると思っていたとすれば、それは大人たちの愚かさではないでしょうか。

こう言えば、「広い土地を確保するにはあそこしかなかった」との反論もあるでしょう。最近、全国各地で、小・中学校の統廃合が進んでいますが、広く安く学校用地を確保するために、河川敷や海岸近くに学校が建ってきているのではないでしょうか。大川小学校もその一つだったのでは・・・、これは私の考えすぎでしょうか? 

安全よりも学校の大型化に走っていないのか?

   

今回の大災害で、とりわけ重大な責任があると思うのは、本来リスクコンサルティングを担うべき保険業界だと思います。

これは私自身が保険代理店という立場にあるからこそ強く思うのかもしれませんが、地震や津波から学校や地域は安全か、普段の安全訓練はどうか…など、リスクの専門家としてアドバイスする社会的責務があるのではないでしょうか。

はっきり言って、こういう視点で、私自身はまったく考えていませんでした。まず「保険商品ありき」だったのです。たとえば地震保険、これを売るために「地震の危険も大きいよ」と話していたのです。

そうではなくて、地域や個人の生活が、どんな危険にさらされているかを、普段にチェックし、減災のための提言をしていく・・・これは保険業界に身を置くものの社会的責任ではないのか!

   

例えば、誰かが、安全・安心のコーディネーターとして、「大川小学校の裏山の道を改善しておくべきだ」と提言していれば、今回の犠牲は最小限にできたのではないか!

子どもたちを守れたのではないのか!

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残念ながら、保険会社からも保険代理店からも、こうした反省は聞かれません。保険業界に身を置くものの一人として、自分自身の愚かさも含めて、恥ずかしい。

      

(3) 自分たちの足元から見つめなおそう・・・「第2第3の大川小」を出さないために

身近なところに危険が放置されています。

「そんなことは起りっこない」と。

そして、もし大災害が発生すれば「想定外だから仕方ない、誰も責任がない」となるのです。「そんなことは起りっこない」と言った舌を隠してしまい、別の舌を出してくるのです。「2枚舌」とはこのことでした!

    

3.11後、私が最も心配しているのは、私の周囲(山形県寒河江市周辺)を見る限り、蔵王ダム(総貯水容量730万トン)や寒河江ダム(総貯水容量1億900万トン)の決壊です。

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月山の麓、国道112号沿いにある寒河江ダム(4月29日撮影)

        

3.11地震で福島県の藤沼ダム(須賀川市)が決壊し、7人が亡くなり、今なお1人が行方不明だということは意外と知られていません。

「寒河江ダムが決壊したら?」と話すと、「えーっ?」と驚く人。

「そんなことはあり得ない」と、なぜか断言する人。

「そしたら終わりだよね」とうなずく人。さまざまです。

     

私は地震学者ではありませんから予想をたてることはできません。

しかし、やみくもに「安全だ」「ダムは決壊しない」と断言する気にもなれません。

少なくとも、地震でダムが決壊し、家が流され、人が死んでいることは事実なのです。

さらに、2008年6月14日の岩手・宮城内陸地震(日本最大規模の巨大な直下型地震)で荒砥沢ダム(総貯水容量1500万トン、寒河江ダムと同様のロックフィルダム)が決壊の危機に瀕したこと。これも事実です。

だから、つぎのような光景に愕然となるのです。

     

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(雨で増水した寒河江川と西川小学校、2012年5月4日撮影)

    

写真は山形県西川町の西川小学校です。既存の5つの小学校を統廃合して、新しく4月から開校しました。寒河江ダムが直下型地震に襲われればどうなるのでしょうか?

寒河江川からの高さは10メートルもないでしょう。

寒河江ダムが決壊すれば、真っ先に直撃される場所にあります。

まして寒河江ダム周辺は岩盤が脆く、近辺では崩落などが続いているというのに。

   

まず、「あり得ない」という盲信を払いのけて、自分たちの身の回りを見直してみましょう。

多くの人と情報を交換し合って、自分たちの足元から巨大リスクへの対抗策を考えていきましょう。

そうしなければ子どもたちを守れないのです。 (2012年5月14日 記)

    

[ 追記 ] 2012年4月29日、私たちをとり巻くさまざまのリスクについて情報を交流し、現場に足を運んで勉強し、減災の提言をしていくための組織として「リスクコンサル・ネット準備会」を立ち上げました。まずは山形と仙台の仲間たちで発足しましたが、全国の多くの志を共有する人たちと手をつないでいきたいと願っています。

「自分たちで調べ、考える」のが基本ですが、「しかし、自分たちだけではできない」からです。

地震、原発、ダム、また健康や生活面での癌、金融恐慌…など、課題は山のようにあり、私たちの小さな力で何ができるのかと躊躇してしまいますが、大川小学校のような悲劇(人災)を二度と繰り返さないために頑張る覚悟です。「3.11後、自分たちが変わらなければならない」「日本自身が変わらなければならない」と思うのです。

「リスクコンサル・ネット」について、詳しくは、別途、案内を掲載する予定です。

 

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