井財野は今

昔、ベルギーにウジェーヌ・イザイというヴァイオリニスト作曲家がいました。(英語読みでユージン・イザイ)それが語源です。

聴衆を呼べる企画

2016-09-08 23:07:27 | オーケストラ
眠る美人の話は、これで最後。

指揮を引き受けた時、宇部市民オーケストラから「プログラムを考えてほしいが、なるべくお客様を呼べる企画を」という要望があった。

しかし、それと同時に、このオーケストラは同じ曲を2度演奏会にかけたことが、ほとんどないことも聞かされた。(創立から18年で1曲だけあったらしい。)

つまり、理想を言えば、今まで演奏したことがない曲が良いという要望が言外に匂ってくる訳だ。

なかなか難しい注文を何とかこなしたのが、今回のプログラム。

1、サンサーンス:死の舞踏
2、プロコフィエフ:ピーターと狼
3、チャイコフスキー:眠る美人

2、でナレーションが付くから、ついでに3、もつけよう、という企画である。

それで、当日のお客様の入りは…

「例年並み」とのことであった。

まあ、題名が載っているだけのチラシやポスターでは、毎回変わり映えしないなと思われても仕方ない。

しかし今回、それでもとても嬉しかったことがあった。

公演が終わってから、ある団員さんがわざわざ伝えてくれた。
「今回チケット(ノルマ)を初めて売りました。」
過去何年在籍されていたのかは定かではないが、今までは全て自分が負担されていたということになる。

「練習をしていて、これは人を連れてこれると思いました。」

それで、親戚縁者に声をかけてくださったのだが、そのご一族、隣県福岡市から駆けつけてくださっている。
どのくらい離れているかというと、ざっと140キロ。車でも新幹線でも約2時間かかる。
東京からだと沼津とか甲府くらいで親戚縁者が演奏しているから、行ってみようという感覚。

そして、満足して帰っていただいたそうだが、そういう方が少しでもいらっしゃったこと、これは私が嬉しいのみならず、かなり大きなファクターだと思う。

つまり、数字としては例年並みでも、質はかなり違うと言えようし、そこにも注目してほしいものである。

それをバネに、数字の向上も考えたいところだ。