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米政府がベネズエラへの軍事侵攻の姿勢を見せる中、露軍が到着 櫻井ジャーナル

2019-03-27 06:51:15 | 歴史
米政府がベネズエラへの軍事侵攻の姿勢を見せる中、露軍が到着(1/2) 櫻井ジャーナル 2019.03.26
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201903260000/ 

 ロシア軍のバシリー・トンコシュクロフ上級大将率いる99名の兵員を乗せたAn-124輸送機が3月23日にベネズエラへ到着、35トンの物資を運んで来たと伝えられている。防衛問題を協議するためだとされているが、それに合わせる形でニコラス・マドゥロ政権はロシアの防空システムS-300の運用を開始したという。

 その直前、3月19日にはドナルド・トランプ政権でベネズエラの政権転覆を指揮しているエリオット・エイブラムズ[Elliott Abrams]がイタリアの首都ローマでロシアのセルゲイ・リャブコフ[Sergei Alekseevich Ryabkov]外務副大臣と2時間にわたって会談し、ベネズエラ情勢を巡って激しいやりとりがあったようだ。アメリカ側は何らかの譲歩を期待したのかもしれないが、ロシア側の姿勢は各国の主権を尊重しろということで一環している。


 ロシア安全保障会議のニコライ・パトルシェフによると、アメリカ政府は特殊部隊をコロンビアやプエルト・リコへ派遣して軍事侵攻の準備をしているようだが、ベネズエラ軍がS-300を起動させたということは、軍事侵攻を許さないというロシアの意思表示だと見られている。

 コロンビアと同じようにベネズエラと接しているブラジルがアメリカの軍事作戦に協力する可能性はあるが、そのブラジルで今年(2019年)1月から大統領を務めているジャイ・ボウソナル[Jair Bolsonaro]が3月19日にホワイトハウスでトランプ大統領と会談している。ローマでの会談と無関係ということはないだろう。


 ブラジルでは3月21日にミシェル・テメル[Michel Temer]前大統領が汚職容疑で逮捕された。この人物が大統領を務めたのは2016年8月から18年12月にかけてだが、副大統領の時代には捜査対象になっていた。それにもかかわらずアメリカのバラク・オバマ政権はジルマ・ルセフ[Dilma Rousseff]を排除してテメルを大統領に据えたのだ。

 理由は簡単。テメルはアメリカ支配層へ機密情報を流していた人物だったのである。その事実は2006年1月11日にサンパウロ駐在のクリストファー・J・マクマレン米総領事が書いた電子メールの中に出てくる。

 インターネット・マガジンのインターセプトが公表した映像によると、新自由主義に基づく政策、つまり私有化や規制緩和によって富をアメリカやブラジルの富裕層や巨大資本へ集中させようという計画を進めなかったルセフをアメリカ支配層は懲罰するとテメルは語っていた失脚させられたルセフはアメリカの電子情報機関NSAに監視されていたことが知られている。

 この報道によってテメルとアメリカ支配層との関係は否定できなくなってしまった。そして選ばれたのが下院議員だったボウソナ[Jair Bolsonaro]。軍事政権時代に拷問を行っていたカルロス・アルベルト・ブリリャンテ・ウストラを公然と褒め称えていたことで知られている。反民主主義的な人物だが、民主主義体制を破壊してきたアメリカ支配層の選択としては順当なところなのだろう。

 エイブラムズはマドゥロ大統領を排除する切っ掛けを作ろうと画策してきた。例えば、自分たちが大統領に任命したフアン・グアイド[Juan Gerardo Guaidó Márquez]を2月下旬に不法出国させた。2月22日にはコロンビアへ入り、マイク・ペンス米副大統領と会談してからラテン・アメリカ諸国を歴訪する。



 グアイドは2007年にジョージ・ワシントン大学へ留学した新自由主義の信奉者。その2年前、2005年にアメリカ支配層は配下のベネズエラ人学生5名をセルビアへ送り込んでいる。その頃にアメリカ支配層はベネズエラを再属国化するために「2007年世代」を創設、2009年には挑発的な反政府運動を行った。(つづく)


米政府がベネズエラへの軍事侵攻の姿勢を見せる中、露軍が到着(2/2) 櫻井ジャーナル 2019.03.26
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201903260001/ 

 ベネズエラの暫定大統領を自称するフアン・グアイドは何かが2月23日に起こると事前に予告していた。その日にはバージン・グループを率いるイギリスの富豪、リチャード・ブランソンが主催するコンサートを開かれている。

 コンサートに20万人以上が集まったとワシントン・ポスト紙は伝えていたが、その様子を撮影した写真から実際は1万5000人くらいと推測されている。20万人程度の観客を集めたかったのだろうが、ウクライナのクーデターとは違い、人を集めることに失敗した。

 コンサートの開催日に「人道的援助物資」を積んだUSAID、つまりCIAのトラックがコロンビア領内に出現し、現在は使われていない橋を渡ってベネズエラ領へ侵入しようと試みた。

 西側の有力メディアはアメリカの経済封鎖、つまり兵糧攻めでベネズエラ国内は物資が欠乏、国民の不満が高まっているというストーリーを広めていたようだが、現地を取材したジャーナリスト、マックス・ブルメンソールはそうした事実を否定する映像をインターネットで伝えている。ロシアや中国などからの援助があるため、物資不足が深刻という状態ではない。

 また、ピンク・フロイドのメンバーだったロジャー・ウォータースはカラカスにいる彼の友人から伝えられた現地の様子を書いているが、それによると現地では内戦も混乱も殺人も独裁も反対派の大量拘束も言論封殺もないという。


 USAID/CIAが手配したトラックがベネズエラ領内へ入ることに成功した場合、一緒にコロンビアの特殊部隊員が潜入してウクライナにおけるネオ・ナチと同じような役割を果たすのではないかと推測するひともいたが、そうした展開にはならなかった。

 そこでトラックの周辺にいたグアイド派の一団は石と火炎瓶を投げ始め、その直後にトラックが火に包まれた。その原因はベネズエラ側にあると西側の有力メディアは主張したが、火炎瓶がトラックへ投げ込まれ、ガソリンがまかれる様子を撮影した映像がインターネット上で流れている。

 そこで不法出国したグアイドが3月4日にベネズエラへ戻った。ベネズエラの法律が適用されるとグアイドは懲役30年を言い渡される可能性もあったというが、実際はマドゥロ政権に無視され、無事入国。入国を拒否されるか逮捕されるといった話が飛び交っていたが、そうはならなかった。そうしたことが実際に起こったならば、それを利用してマドゥロを排除したかったのだろう。

 グアイドの帰国から3日後、ベネズエラでは大規模な停電があった。アメリカのマイク・ポンペオ国務長官はベネズエラ政府の無能さが原因だと主張し、ニコラス・マドゥロ大統領の排除を訴えたのだが、アメリカ側の破壊工作と見る人が少なくない。

 リビアのムアンマル・アル・カダフィが元気な時と惨殺される直前の写真をツイッターに掲載、


マドゥロを脅したマルコ・ルビオ[Marco Antonio Rubio, 1971.5-]米上院議員は今回、停電の直後に空港の様子を書き込んでいる。


 停電になっただけでなくバックアップの発電機も動かなかったというのだが、その書き込みがあった時点ではベネズエラ政府を含め、そのバックアップの発電機については知られていなかったとされている。ところがルビオは予備の発電機が動かないことを知っていた可能性が高い。

 ベネズエラの電力設備が脆弱だと議会選挙のあった2010年9月に分析していた組織がある。CANVASだ。この組織は2003年にオトポール(抵抗)!の幹部らによってセルビアで設立された。「非暴力」を掲げているが、目的はアメリカ支配層のカネ儲けに邪魔な体制を転覆させることにある。


 オトポール(抵抗)!はスロボダン・ミロシェビッチの体制を倒すため、1998年に作られた。これらにはNED(ナショナル民主主義基金)、IRI(国際共和研究所)、USAID(米国国際開発局)などから、つまりCIAから資金が提供されている。

 大規模な停電で社会不安が高まったり暴動が発生しても不思議ではなかったのだが、そうしたことは起こらなかった。アメリカ支配層に残された手段は軍事侵攻だと考える人がいる。ロシア政府もそうした可能性があると予想しているのだろう。

 エリオット・エイブラムズがセルゲイ・リャブコフ露外務副大臣と会談した2日後、ロシア軍の部隊がベネズエラへ到着する2日前にドナルド・トランプ大統領はゴラン高原におけるイスラエルの主権を認める時期だと表明したが、軍事的な緊張の度合いはベネズエラの方が上ではないだろうか。(了)


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