教団「二次元愛」

リアルワールドに見切りをつけ、二次元に生きる男の生き様 (ニコニコでは「てとろでP」)

ニコニコの黒字化とビジネスモデル(上巻)

2010-06-06 00:20:59 | オタネタ全般
ニコニコ動画が黒字化したらしい。

エイプリルフールのときにコメントのデフォルト文字を黒字にして「黒字化!」とか言ってたこともあるけど。
そうじゃなくてガチで黒字らしい。



ふつうの会社だったら黒字化くらいアタリマエというかもしれない。

しかし!

ニコニコだけは事情が違う。
おそらく、動画共有サイトのなかで世界で唯一黒字化できたのではなかろうか。

だいたい天下のGoogle様がかかえているYouTubeでさえ赤字を垂れ流しているのだ。
Googleの決算書を読んだら
「何か新しいことはじめても、YouTubeみたいに儲けにならん事もあるよ」
と書いてあった。
GoogleにとってYouTubeは大金つっこんで大失敗した典型例になっているのだ。
Googleでもできんかった事を世界で唯一ドワンゴがやらかしたとなれば、そりゃあ凄い事なんじゃあなかろうか。



わたしの感覚では、2007年ごろまでは動画共有サイトはどこも大して変わばえはしないモノだったように思う。
なぜ2007年ごろかというと、YouTubeもニコニコも無法地帯だった頃という事だ。
その頃の動画共有サイトは商用作品の無許可アップロードの溜まり場になっているだけだった気がする。

たしか2008年ごろだったような気がするが、そのころから事情が変わってくる。
YouTubeもニコニコも無許可の動画を消しはじめた。
最初のころは検索キーワードにひっかかりにくい動画タイトルにすることで皆逃げていたが、それも1年も続かなかった。

ここで皆の袂が分かれた。

Veohなどのマイナー系は無法地帯のまま生きることを選択した。

YouTubeは、単に違法動画を削除したり、単にサーバーを増強して快適にしたりと、細かい改善だけで大して目のつく改革はやらなかった。

動画の高解像度化という差別化を選択したサイトの多くはサーバーの負担に耐えられなくなって消えていった。

ニコニコはそのどれとも違った。
動画の作者の間や作者と視聴者の間の意見交換の場を設けたのだ。



YouTubeを使ってみたらわかるが、YouTubeでおもしろそうな動画を自力で探すのは容易ではない。
自分で思いつく検索キーワードにも限界がある。
YouTubeまとめサイトをチェックしたほうが効率が良いのだ。
ようするにYouTubeは単なるストレージサーバーでしかない。

ニコニコはそうではない。
嗜好の同じ人たちの集まるコミュニティーができている。
同じ系統の動画を探すためのカテゴリタグがついている。
おまけに、カテゴリタグの説明(ニコニコ大百科)が、これがまた読むだけでおもしろいものがゴロゴロしている。
動画の中にコメントできるため、動画投稿者は視聴者の反応を実感しやすい。

そうするとどうなるか?

投稿者は不特定多数に向けた動画を作るのではなく、自分と嗜好の同じ濃い人だけたちに向けた動画を作り始める。
場合によってはコミュニティーが自分たち主催でイベントまで企画しはじめる。
YouTubeのようにハンディーカムで日常を撮影したものをそのまま載せるだけの場になるのではなく、ユーザーの創作の場として機能し始めたのだ。
かくいうわたしも昔はYouTubeばかり使っていたのだが、今はニコニコで自作の動画を投稿するまでになってしまっているわけだ。



自分と嗜好の近い、いわゆる身内向けにハイクォリティーな濃いものを自ら作りあげる事。
そういうのは日本人は大好きだ。

外国人はそうはしない。
単にハンディーカムで動画を撮影してアップするだけか、もしくは不特定多数に向けた皆が楽しめる動画を自作するかのどちらかなような気がする。
そして外国人の中には技術を持った単なるアマチュアというのはほとんどおらず、腕に覚えのあるヤツらは皆すぐにプロ化してしまっていて、中間層の人たちが全くいないような感じがする。

日本人はその正反対をいっている。
単なるアマチュアでもけっこうすごいモノを作れるヤツがゴロゴロいるというフシギな人種である。
しかし、世界中の誰もが楽しめるようなモノを作るための発想がない。
自分の価値をわかってくれる通な客だけに向けたモノを提供したがる。
これは動画の投稿に限らずどんなものにでも当てはまる。

これをベタなビジネス用語でいうと、グローバルスタンダードから外れているとか、ガラパゴス化して世界の潮流からかけ離れているとか、そういう話につながるわけだ。

これが良いかどうかはここでは議論しない。
ただ、YouTubeがニコニコと同等以上のサービスを提供していたとしても、きっと日本人にしか使われなかったに違いあるまい。
そしてニコニコは日本にあったからこそ成功したのだということだ。



(サービスの違いについて説明したので、次回はビジネスモデルの違いについて。つづく・・・)