ロビー活動は予見すること。敵の動きを予測し、対策を考えること。
勝者は敵の一歩先を読んで計画し、敵が切り札を使った後、自分の札を出す。敵の不意を突くこと。自分が突かれてはいけない。
ー映画『女神の見えざる手』より
期間限定配信ということで…。
『スキャンダル』(2019年 米)
監督:ジェイ・ローチ
脚本:チャールズ・ランドルフ
メイク:カズ・ヒロ
出演:シャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビー 他
2016年に起きた、FOXニュースのCEOロジャー・エイルズのセクシャル・ハラスメントに対する女性職員の告発事件を基にした作品。
シャーリーズ・セロンとニコール・キッドマンが
とうとうがっつり整形をしてしまった!!
ショーック!!!
と、かなりの衝撃を受けて最後まで観ていたれど、
特殊メイクだったのね。。。ホッ。
(鼻や顎などに付け物を装着していたらしい…メイクってすごい…!)
カズ・ヒロ氏が2度目のアカデミー賞を受賞!という2月のニュースは、
この作品でのことだったのか・・・と今さら気づく。ガッテン。
3人の美女が協力してセクハラ親父を退治するスカッとストーリーなの?
と軽い気持ちで観たら、ちょっとなかなか一筋縄ではいかない
うんうん難しい物語だった。
なぜなら、基になったセクハラ騒動も
FOXニュースも登場する人物のことも
共和党民主党保守リベラル…など
この騒動にまつわるアメリカのメディアと政治についての知識が1つもないから!
映画の冒頭で、シャーリーズ・セロン演じるメーガン・ケリーが
その辺のことをバーッと説明してくれるのだけれど、
もう早口過ぎて脳が追い付かない…。
何度か巻き戻してなんとなく理解するという有様。
(映画館ではできない配信ならではのありがたみ…)
おそらくアメリカ人なら(アメリカ人でなくとも? )
「はいはい、わかる知ってる」という情報で、
アカデミー賞の特殊メイクも
「本人にめちゃ似てる!すごい!」と驚く部分なのでしょうが…
基礎知識のおさらい、というか忘備録。
その1:FOXニュース(FNC)
1996年に設立されたニュース専門放送局。
CNN、MSNBCと並びケーブルテレビ(有料放送)における3大ニュースチャンネルの1つ。中立報道を掲げているが、視聴者層は保守的かつ白人の高齢男性が中心と言われている。
その2:ロジャー・エイルズ(演:ジョン・リスゴー)
FOXニュースを人気ニュースチャンネルに育て上げた初代CEO。過去にはニクソン、レーガン、ブッシュら歴代共和党大統領のメディアコンサルタントとして活躍。その敏腕ぶりからTV業界の帝王と崇められる存在。2016年にセクハラで提訴される。
その3:ルパート・マードック(演:マルコム・マクダウェル)
さまざまなマスメディアを傘下におさめた巨大複合企業(ニューズ・コーポレーション)を所有するメディア王。
FOXニュースの設立者で、ロジャー・エイルズもマードック家には逆らえない。
その4:メーガン・ケリー(演:シャーリーズ・セロン)
FOXニュースの人気ニュースアンカー。元企業弁護士で、2004年から2017年までFOXニュースに勤める。
その5:グレッチェン・カールソン(演:ニコール・キッドマン)
2002年から2016年までFOXニュースの番組でアンカーを務める。2016年にロジャー・エイルズをセクハラで提訴。
その6:#MeToo
2017年、ニューヨークタイムズが映画プロデューサー・ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラを告発したことによってSNSなどで広がった、セクハラ被害告発(&撲滅)運動。映画はこの「#MeToo」が広まる以前の出来事。
その7:共和党と民主党
アメリカの2大政党制を構成する政党。
一般的に、共和党が保守で民主党がリベラルの立場を取る。
(トランプさんは共和党でオバマさんは民主党)
とまぁ、この辺のことを頭に入れておくと
スムーズに物語に入っていける…?
あと、マーゴット・ロビーの役柄は架空の人物なのかな?
(彼女の加わるチームのアンカー ビル・オライリーさんも覚えておくこと)
ついでに人物の呼び方が、名前だったり苗字だったりバラバラなので
ちょいちょい混乱します。
保守とリベラルについてはよくわかりません。
(個人的には、ある程度のお金持ちの人々というか安全圏に居る人はリベラルになるイメージ)
肝心のセクハラに対しては、
被害にあったことがないので(意識が低いだけ?)なんとも言えないですが・・・
ただ、まるで絵に描いたような「THE セクハラ」が、
一番そういうことにうるさそうなアメリカで
ほんの数年前に起きていたのね~という驚き。
さらば青春の光のネタじゃないけど
「漫画やん!」とツッコまずにいられないセクハラ行為だらけで…。
むしろなぜこれまで表に出てこなかったのかが不思議。
(もみ消してきたんだろうけれど・・・)
セクハラ告発に対するFOXニュース内の女性たちの反応が様々なのも見どころ。
「仕事があるのはロジャーのおかげ」というロジャー・エイルズ擁護派もいれば、「キャリアに傷が付く」「対価に目がくらんだと思われたくない」「孤立したくない」…そういった理由から声を上げるのをためらう無言派もいたり…。
まぁセクハラに限らず、ハラスメントの告発に対する周囲の反応は
そういうものなのかもなぁ。
公文書を書き換えろというパワハラがあったことを訴えても、
他に同様の被害者は出てこないし…。
第三者が調査しないことが、不思議でしょうがないのだけれど。
映画『スキャンダル』にみる『ホロフェルネスの首を斬るユーディト』
(彼女たちの場合、現地集合現地解散だと思う)
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