見ないフリ

一時的な対応策にしかならない現実逃避をずっとするブログ

風と共に去りぬ

2014-10-22 | 本と漫画と映画とテレビ
強くはない。メジャーで野球がやりたいだけです。
やりたければ、やるじゃないですか。

―野茂英雄



なんだか無性に観たくなって、いまさら初鑑賞。
したら、予想外のおもしろさ。

『風と共に去りぬ』
監督ヴィクター・フレミング、製作デヴィッド・O・セルズニック。
1939年に公開され、大ヒットを記録したアメリカ映画。



クラシックの名作。
アカデミー賞9部門受賞、上映時間3時間42分!
1939年当時としてはまだまだ珍しいカラー作品で、お金も人も贅沢に使われています。
製作のセルズニックがかなりの敏腕&宣伝上手で、ヒロイン役がなかなか決まらない!など
公開前からなにかと煽って話題作りをしてた、ってのも大ヒット理由のひとつ。

♪タ~ラ~ララ~っていうテーマ曲(タラのテーマ)も有名。
戦時中にこの映画を観た日本の軍事関係者たちは
「こんな映画を作る国と戦争しても勝てない」と恐怖したとかなんとか。


名作とはいえ、まぁ、その、メロドラマでしょ?
『君の名は』的な、戦争を背景にしたラブロマンスでしょ?
か弱い美女が、2人のイケメンの間でフワフワ心揺れちゃうんでしょ?
なんて勝手に決めつけていたんだけど。

ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
ぜんぜん違ってた。
ロマンスっていうか、コメディ寄り。

か弱い美女じゃなくて、
破天荒なヒロイン、スカーレット・オハラの半生奇譚。
これが私の生き様ですが何か問題でも?というお話だった。

原作者が女性だからか、アメリカ南部女性の気質がそうだからなのかは知らんが、
スカーレットは、どっちかっていうと女性ウケする性格に描かれている。

女子力が高いのでモテるけれど、強気で商才や行動力もあってガツガツしてるから
淑女?大和撫子?女は3歩下がって?系を
理想とするタイプの男性からしたら、ちょっとね、、ってなると思う。

とはいえ、超絶自分勝手で、平気で他人の彼氏も奪うから、
同性目線でもヒンシュクものなんだけど、なぜか嫌いになれない。。。なぜ?
同じ女子力高い系でも、タッチの南ちゃんじゃなくて、
うる星やつらのラムちゃんや、ルパンの峰不二子的な感じだからか…?


さて、
その噂のヒロイン、スカーレット・オハラを演じるのは、ヴィヴィアン・リー。
ジッタリンジンの『プレゼント』でおなじみのヴィヴィアン・リーです。
チャラーン。


ものすんごいかわいい人。
性格も素行も口もクッソ悪いスカーレットがなぜか許せちゃうのは、
ヴィヴィアン・リーのかわいさ&演技力に依るところが大きいからかも。。
スカーレット役がビビアン・リーでよかったー!!

役が決まった当初は、
南部女性を英国人にやらせるなんて!という批判や、
スカーレット役を狙っていた大勢のハリウッド女優たちからの妬み嫉みで
いじめ殺される(!)可能性もあったりしたらしいけれど、
出来上がった映画があまりにもきれいに撮れていたから、一躍有名になったんだって。


そして、
このじゃじゃ馬スカーレットに愛を注ぐ金持ち男、レット・バトラーを演じるのが、
無邪気な野獣、キング・オブ・ハリウッドことクラーク・ゲーブル。
ジャジャーン!


なかなかのエロさです。もう、映画の中で発している色気が尋常じゃない。
当時38歳くらいか?脂のりのりの男盛り。色気ダダ漏れ。封鎖できませーん!
色気はハンパないんだけど、
クラーク・ゲーブルは若い頃から総入れ歯で口臭がキツかったらしい…。
うん。この話は聞かなかったことにしておこう。

これは勝手な持論なのだけど、
クラーク・ゲーブルみたく頬にエクボができる男性は総じてエロい。(イイ意味で)
エロいというかモテるというか女性の扱いがうまいというか。
エロいから頬にエクボが出るのか、頬にエクボが出るからエロいのか・・・
因果性のジレンマ。


続きまして、映画の舞台。

舞台は、奴隷制度の残る1860年代のアメリカ南部、
ジョージア州はアトランタ近郊の町タラ。

(実際にはタラという町は存在せず、アトランタ近郊の別の町がモデルの様子。
スカーレットの父親はアイルランド移民だから、アメリカに移り住んだ際に
アイルランドに実在する「タラの丘」にちなんで名付けたんだろうね。
スカーレットの異常なタラ愛も、土地を愛するアイルランド系だかららしいよ…
私にはあんまりピンとこない感覚だわ~)

そして、
1861~65年にかけてアメリカでは、
南部(アメリカ連合)と北部(アメリカ合衆国)との間で南北戦争が起こります。

歴史は苦手なので、詳しいことは良く知らないけれども
南部では黒人奴隷を使った農業(プランテーションとかいうやつ?)、
とくに綿花栽培なんかが盛んに行われていて
その一方、工業化が進んだ北部では、奴隷制とかは用無しだった。多分。

で、奴隷制反対派のリンカーンが大統領選挙に勝利したことで、南部は焦り、
独立じゃ~!
戦争じゃ~!
ってな感じなのかな?

経済的にも、政治的にも考え方が大きく異なる南部と北部が大げんか。

今年のキング・オブ・コントで
「人の価値観を否定することだけは、絶対止めた方がいいぞ!すべての戦争のもとだから!」
つってた巨匠のネタが胸に沁みますね。。。

開戦~戦時中が描かれる物語前半では、
南部側の軍歌『ディキシー』や、北部側の軍歌『ジョニーが凱旋するとき』、
奴隷の農園歌なんかが所々で効果的に使われている。
娘の名前も南部の旗「ボニー・ブルー」からとったりするし、ちょっとした勉強にもなります。

しかし、この話、結局は何年間くらいの出来事を描いているんだろう?
後半には戦争も終わるし、娘も結構大きくなるし、マミーも白髪になるし、
最終的には10~20年くらい経過してるのかなぁ・・・。


ちなみに、、、
そのころ日本は江戸時代。幕末。

スカーレットとレットがゴージャスな新婚旅行に行ってた頃、
日本では大政奉還とかが行われていた模様。
150年後の今じゃ、みんな洋服着て、洋式トイレに座ってるんだからすごい。


あとはね、
長ーーい映画なので、見どころいっぱい。
人それぞれ。

アイルランド移民に思いを馳せるもよし、黒人の扱われ方に物申すもよし、
クリノリンというスカート膨らまし補正器?を身に付けた当時の流行ファッションや
コルセットを締める様子なんかを楽しむもよし、
(『タイタニック』でも似たようなシーンがあったような?)


スカーレットがずーっと想い焦がれる男、アシュレーの魅力を考察するもよし、
そのアシュレーの妻・メラニーの聖母のような寛大さと聡明さに感服するもよし、
スカーレットとレットの気持ちのすれ違いにやきもきするもよし。


個人的に1番衝撃だったのは、前半と後半のラスト。
どっちも有名なシーンだけど、前知識がなかったのでびっくり。

戦火のアトランタから、スカーレットは
メラニーと赤ん坊と使用人を引き連れて故郷のタラに戻ってくるんだけど、
空きっ腹で、畑の大根を生で貪り食って、ゲエ~って吐きながらも、神に誓うわけ。

「この試練に、ぜってー負けねーし!」
「もう2度と家族にひもじい思いはさせん!」
「そのためなら、嘘もつくし、騙しもするし、人殺しもする!」

つって空にこぶしを突き上げるスカーレット姐さん・・・

♪タ~ラ~ララ~(タラのテーマ)



(もう、ここでは姐さんと呼ばして下さい)

姐さん、まじ、かっけーですだ!!

そのあまりの衝撃に、
おもわず使用人口調になってしまいます。


そして、後半からは、
この神への誓い通り!怒涛の如くグイグイのし上がる。
有言実行。進撃のスカーレット・・・すげー!


んで、最後。
スカーレットにずーっとベタ惚れだったレットがとうとうブチ切れ
「お前なんか知るか!死ね!ボケ!」って出て行っちゃうのね。
(これは、『金色夜叉』で貫一がお宮を足蹴にしたのと同じ衝撃)
でも、そこはスカーレット。失意のどん底からの、切り替えの早さが神。さすが。

「とにかく、嵐は去った!故郷のタラへ帰る!」
「レットを連れ戻す方法はタラで考える!」
「明日に希望をたくして!」

つって顔アップ。ドーン。

♪タ~ラ~ララ~(タラのテーマ)

姐さん、もう、一生ついていきますだーっ!!!


まぁ、その、なんだ。
なんだかんだでスカーレットはレットの愛を取り戻すんだろうなぁ。と思う。

だって、
4時間弱ずーっと、スカーレットの雄姿、有言実行能力の高さ、
やりたいことはやっちゃう精神をみせつけられてきたわけで。
今回の試練だって、スカーレットが投げれば大丈夫。



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