全然わからん。
内田百の短編集を借りて読んでいるんだけど、
なんだかよくわからんのです。
数ページで完結する短い話ほどわけがわからん。
なんつうか、意味はわかるんだけどわからん。
例えば『流渦』という作品
口の中に髭が生えたのはいいけどさ、で?っていう。
なにその終わり方。
なんか裏があるのか。
なにかの比喩なのか。
なにが正解なのか。
なにをどう感じ取ればいいのか。
スッとしない。
読後感がスッとしない。
胸がスッとしなくて、何かモヤ~っとしたものが残って、
考えるな感じろとでも言いたげな、
実は正解あるんだけど、これはわかんないだろうなぁ。クスクス。
こうやって作者に試されている感じ。
時々、意味のわかる話もある。
『餓鬼道肴 目録』
食べたいものをノートに書き出したんだね。わかるわかる。
『琥珀』・『風の神』
中勘介の『銀の匙』風味で微笑ましい。
『遠洋漁業』
絵本『こぶたはなこさんのおべんとう』的でかわいい。
わかるのはわかるけど、
わからないのは本当にわからない。心のやり場に困る。
話の雰囲気は、
今市子の漫画『百鬼夜行抄』を彷彿させ、ほんのり怖くてほんのり不思議。
土手を歩いていたら、向こうから顔色の悪い女がやってきて
「一緒に参りましょう」とどこかへ連れて行かれたり、(『花火』)
トンカツ屋で旨いトンカツを食べていると、
いつの間にか周りの客がみんな洋服を着た犬や狐だったり、(『東京日記 その六』)
死んだ友人の妻が度々決まった時間に訪ねてきては
「夫が生前貸していた本を返してくれ」と云ってきたり。。。(『サラサーテの盤』)
そのうち、
もののけ提灯を持った尾黒や尾白が登場してもおかしくない空気感。
雰囲気は『百鬼夜行抄』で
面白いオーラをぐんぐん出しているんだけど、
あの漫画みたく2度読みでスッキリ!みたいなことが
あんまり起きない。ただ謎が残る・・・
幻想小説ってこういうことなのか・・・?
しかも
訳がわからん上に、
この内田百という人の脳みそはどうなってんのだろうという疑問。
『山高帽子』とか尋常じゃない。
特に、主人公が顔の長い同僚に宛てて出す皮肉の手紙は
ちょっともうザワザワが止まらんかった。・・・ザワ・・・ザワザワ・・・
自分に合うメガネを探すために、
何百個もメガネを万引きしていたという事件を思い出さずにはいられないなにか。
ああ、どうしよう、わからないわからないわからないわー!
ウーマンラッシュアワー的に騒いでみても
バイトリーダーは現れてくれないけど、
このなんだかよくわからない感じが魅力と言えば魅力。
散歩していたら、
いきなり目の前を狐の嫁入りが百鬼夜行が通り過ぎて行ったんです。ただそれだけ。
特にオチはなくて異物を目撃した事実と衝撃だけが残る。
そんな作品が目白押し。
(百鬼夜行絵巻 原在中 筆)
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