見ないフリ

一時的な対応策にしかならない現実逃避をずっとするブログ

愛に乱暴

2014-10-08 | 本と漫画と映画とテレビ
猫を拾った人の話はよく聞くのに、
捨てた人とまだ一度も会ったことがない、というこの世の不思議

―吉田修一 『愛に乱暴』より




『パレード』の騙された!感 + 『悪人』のついつい読んじゃう中毒性 = 『愛に乱暴』

ホント、怖い。
なんとも怖くて面白い話だった・・・。

私、就活中、独身、一人暮らし。
結婚8年目、夫の実家の離れに住む専業主婦の主人公とは
立場も肩書もぜんぜん違うけれど、
途中の、だんだん居場所がなくなっていく展開はめちゃくちゃ読むのがつらかったー。

不倫、妊娠、義父母との関係、
家の床下で、元職場のトイレで聞いちゃう話の内容、どれも痛くて痛くて、、
何度も本を閉じる。。。でも、続きが気になる。。。
心身ともに健康な時に読むべきだった。閲覧注意なのです。

妻、夫、愛人、姑、舅、父、母・・・
登場人物それぞれの考えや気持ちは、わからなくはないし、
立場が変わると、人の気持ちなんてすぐに変わっちゃうものだとは思うけど、
ただただ、主人公の夫・真守の不幸を願う。まじで。

愛に乱暴な作品。


吉田修一の小説はどれも面白い。
読書が苦手な私にも、わかりやすくて面白い文章なのでありがたい。

田舎の泥臭さ、都会の乾いた雰囲気、アジア特有の湿気、、
そういう、なんともいえない「空気感」を書くのが上手。(上から。笑)

さらに、女性の心理を書くのがすごい上手。
女友達が多いのか、母親の教育が良かったのか、
『セックス・アンド・ザ・シティ』のDVDボックスを持っているからなのか?
勝手に、ゲイかバイセクシャルなんだと思っている。

あと、本当の気持ちは言えないもの。
そういうとこ。

―本当に何かをやろうとしてる人って、絶対に他人には言わないんだよねぇ
(『女たちは二度遊ぶ』より)
―要するに悩んじゃいないのだ。
 悩んでないからこそ、こうやってベラベラと他人に悩みを告白できるのだ。
(フリーペーパー『L25』のエッセイより)
―本気だったら、そんなこと、人に言えないって
(『愛に乱暴』より)


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