脳のミステリー

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セプテンバーは特別な月なのだろうか?

2009-09-07 22:51:14 | Weblog
また今年も9月11日がやってくる。
古くから米国に伝わる英詩が、後に「千の風になって」という題で新井満氏が和訳して大評判になった。2001年9月11日という世界中を震撼とさせた米国同時多発テロの3年後の9月25日に98歳で逝去したアメリカ人女性の詩が大々的に公表されたのである。

今年は9・11がやって来る前に、今後私にとって記念すべき日になる8・11がある。
北の大地を元気に走り回っていたゴールデンレトリバーのライト君が星になってしまった日がある。7月はブログを書き始めた月、8月は日本の終戦記念日があるのだが、愛すべきライト君が星になって多分北極星の近くで・・・北極星は真北の空で一晩中一年中、ずっと動かずにいる星の傍に往った月なのである。北極星の傍だから探しやすい!

そして 9月は私の第一の誕生日があり、世界中の人が忘れられない9・11事件があって、その2週間後は私が個人的に忘れられないストロークの日、即ち第二の誕生日、がある訳である。

リハビリトレーナーが驚愕するスピードで脳内出血(2001年9月23日発病)から回復した私だが、未だに左手足に強い痺れが残っている。
触れた物の温度や質感などはさっぱり分からない。
でも 理由もなく気持ちがひどく鬱いでしまう事はない。
だから、自分に関しての症状を語る事は拒む事もない。
ただ、誰一人として私と同じような後遺症だけは抱え込んで貰いたくない。
粗造を絶する「痺れと痛み」が絶え間なく淀んだ川の様に永久の長逗留を決め込み、時折、突然堤防を破壊したように濁流化するのである。
「痺れと痛み」がミルフィーユの様に、バームクーヘンの様に・・・
そこには決して必要のない「ドライアイス」がべったりと張り付いてしまう様な事さえある。現実は こんなに甘い例え話ではなく、声に出せない程の辛苦の世界に引きずり込まれるのである。
だから、誰にも経験をして欲しくないと思ってしまう。

脳出血のいちばんの原因は「高血圧」で「高血圧性脳出血」と言う。
血管が硬くもろくなってしまう「動脈硬化」も脳出血の原因となる。
動脈硬化は高血圧により発生する事もあり、さらに高血圧が続けば続くほど悪化していく。
担当の脳外科医は「原因は高血圧だった」と淡々と下表情で語っていた。
出血は、すぐに止まる場合もあるが、数時間もの長い時間出血し続ける場合もある。
出血が続くと脳へのダメージも大きくなり、症状が悪化していく。
症状が更に深刻になったり、一度消えた症状が再び現れた時には、とても危険な状態になってしまう事もある。
だが、幸い、現時点では一日一粒の降圧剤のお陰で「再発はないだろう」と言われている。

脳出血の症状・発作が起こるのは、多くの場合、日中の活動している時間だと言われている。これは、活動している時の方が血圧の変動が激しい為だ。季節でいうと真夏と真冬に多く起こり、時間帯では朝の7時頃と午後5時頃と言われている。
私の場合は 真夏ではなかったが、夏の名残のある晴天の昼下がりで夕方近くにはなっていた。
「前触れは?」と多くの人が聞いてくる。
ある! あった! 一過性黒内障があった。それも二度もあった。三度目は哀しいかな「脳出血」のストロークになって現れたのである。

脳出血の症状は一気に現れる。
脳出血の代表的な症状は、「頭痛」「吐き気・嘔吐」「手足のしびれ」「意識障害」な等で、脳出血が起こって数分で発症するとの事である。
脳出血は、脳の出血する場所により「被殻出血」「視床出血」「皮質下出血」「脳幹出血」「小脳出血」の 5つの種類がある。
私の被殻出血とは、脳の中央にある「被殻」という場所から出血する脳出血だった。
脳出血の中でも一番多く見られるもので、脳出血の約40%位を占めている。
被殻出血による主な症状は、「片麻痺」「感覚障害」「片側の視野障害」等で、更にに進行すると「意識障害」が起こる。

こんな事、盛年期の人間が気にするだろうかねえ~
私の場合だって、55歳・・・高齢者だなんて思っていないし、予備軍とも思っていなかったのが事実である。
健康が取り柄の人間が、50歳を過ぎたからって、毎日毎日をビクビクしながら生活するなんて・・・考えられない!
脳卒中の前触れとして、私は特一過性脳虚血発作(TIA)として一過性黒内障を経験した。
一過性脳虚血発作(TIA)とは?・・・・transient ischemic attackの頭文字を取っている「一過性脳虚血発作(TIA)」とは、脳梗塞の前兆・前触れとしてよくみられる症状で、血液の固まりである血栓が脳の動脈で詰まって血流が途絶えることで起こる症状である。「片麻痺」、「体の片側のしびれる」、「めまいが起こる 」、「ろれつがまわらなくなる 」、「物が見えにくくなる 」、「視野が欠ける 」、などの症状が起こる。
症状は多くの場合は数分(2分~15分)、長くても 1日ぐらいに消えてしまう。
これは、詰まっていた血栓が溶けることで、血流が回復するからである。
脳出血の前兆・前触れは、はっきりとした症状として現れることがなく、突然発症することが多く、ほとんどの場合は、前兆がなく突然発症するのが脳出血で、希に「一過性脳虚血発作(TIA」と同じ症状が脳出血の前兆・前触れとして現れる事がある。その「希」が一過性黒白障として見事に私にあたったという事だろう。

私の場合の一過性黒内障は、暑い季節になって突然、ものの一分右目が黒いブラインドを降ろしたようになった。すぐに黒幕は消え、一ヶ月後に再びやって来たのである。
TIAは自然に回復するからといって、そのままほうっておいていいものではない。そう悟り始めた私だったが、時は既に遅しで、TIAが起こるという事は脳梗塞や脳出血になる危険がかなり高いという事なので、次には最悪の事態になってしまう可能性がある、そして三度目の正直は黒内障ではなく、私の右半身の自由を奪ったのである。。
厄介名事にTIAはすぐに納まってしまうので、ただの気のせいか、ちょっと疲れているのかぐらいにしか思わずそのままにしてしまうという危険はある。私という経験者は語る、である。

さて、優位半球の事にチョット触れてみよう。優位半球とは、大脳半球の左右いずれか一方がある機能に関して主として働く半球の事である。
一般に、右利きの人の脳は左脳が優位半球になる。私は右利きだから左脳が優位半球だという事である。
従って、私は左脳に出血が起こって反対側の右半身に麻痺が残ってしまったという事である。そして左脳出血だったが為に、失語症状がすぐに現れたのである。
出血が被殻の部分だけなら症状は軽くすむが、出血が基底核部の内包(運動神経線維が扇のかなめのように集まっている部分)にまで及んでしまうと、出血部位の反対側に麻痺や感覚障害が起こるのである。
出血が視床までがダメージを受けなかったのは不幸中の幸いだと思っている。視床出血は死亡率が高い脳出血だが、命が助かっても、痺れ、痛み、意識障害、片麻痺等の後遺症が残る事が多いのである。
私の一番の問題が「言語障害」だった。救急病院での主治医が二年間の米国留学を終えて帰国したばかりだったというのはとてもラッキーだったのである。
私が「先生、私は何らかのストロークを起こしたんですか?」と言うと彼は驚いた様子ですぐに答えてくれたのである。英語が話せる。嬉しかった瞬間!

英語という言語に非情に関係があるのが尾状核であると発表されたのはつい数年前のことである。日英独が共同研究の結果を発表した時、私は小躍りしたものである。尾状核は脳の中心付近、視床の両側に存在している。脳の2つの大脳半球にはそれぞれ尾状核が存在するのだが、左尾状核は特に、単語の理解と調音 (articulation) を複数の言語間でスイッチする時に、これらを支配している視床と関係していることが示唆されている。尾状核が学習と記憶、特にフィードバック処理に強く関わっていることが証明されている。一般的に、尾状核で起きる神経活動は被験者がフィードバックを受け取っている時に発生している事が示されている。
私の場合、この尾状核が盛んに活発に働いたと思える。だから、先ず英語がコミュニケーションの手段として働き、次ぎに日本語社会という環境が私に日本語を蘇らせたのである。

脳卒中後のし痺れが、麻痺のある側の手足、体や顔、口の周りなどに常時感じられる場合は、まず中枢性疼痛と同じ現象、即ち、中枢性の痺れと考えて差し支えない。
中枢性の痛みと痺れが同時に感じられるのが多いが、痛み、痺れのどちらか単独の事もある。私の場合は 発病後凡そ半年で痺れを感じるようになったが、痛みはそれよりずっと遅れてやってきたが、今は両方ともが「長逗留」を決め込んだらしく、急襲・激襲には言葉もない。軽く感じている時も健人には多分堪えられないだろうと思う。
痺れの性状は、ひりひり、じんじん、びりびり、ぴりぴり、などと表現されるが、私のはじんじんがんがん、である。ひりひり、ぴりぴりは決してない。。
常に感電させられているような、痛みとはまた違った不快感があり、痛みの場合と同様に精神的に参ってしまうことが多い。

治療には中枢性の痛みの場合と同様の薬が有効だとは言うものの、本人にしてみれば完全に痺れが止まることはなく、医学界では半分くらいに減らす事を目標に治療を行っているのが現状だが、私は安易には聞き入れていない。痺疼痛位では死に至る事はないと考えられているからだろう。

私は 今現在「痺れ、痛み、片麻痺」と闘っている訳で、これは一生続く我が身の内戦だと思っている。この痺疼痛を感じている間は「生きている」を実証しているのである。

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2 コメント

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Unknown (シルク)
2009-09-08 13:31:05
クーさん、こんにちわ。
ご自身のお辛い体験を私達の為にお知らせ下さり
ありがとうございます。大変勉強になりました。
どうかお体をお大事に、これからのクーさんの益々のご活躍を楽しみにしています。
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有難う、頑張ります (ban-kuko ku-)
2009-09-10 06:50:30
シルクさん、コメントをありがとう!
このブログの書き始めは 脳医学者からのお勧めでした。
医者は技術を、患者・後遺症保持者は実情をという事で始めたのです。
時々、自分の体験談を入れている内に、音学セラピーやアニマルセラピーも書き込むようになると、私のハイパーグラフィア(書きたがる脳)が盛んに後押しを始め出して止めどもなくという感じになってきました。
時々、覗いてみて下さい。
なるべく最低週一回は更新しようと思っています。
どうぞ宜しくね!
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