片麻痺とベッド（本漆と漆風呂）

私の本業は豪州の美術館での鎌倉彫・和賀江塗を通しての日本伝統漆工芸の英文献担当です。
毎日、飽きることなく漆文献にドップリ浸かっていると妙なことに自分の右片麻痺と重なってくるのです。

片麻痺の身にはベッドはとても大切で・・・本漆には漆風呂（ムロ）がとても大切なのです

漆といえば、どんな言葉が頭に浮かびますか
高価、綺麗、かぶれ、取り扱いが難しい・・・等などでしょうか
人間は、誰もがそれぞれ貴重な存在価値を持ち、時には心美しく（綺麗）、時には心醜く（かぶれ）、扱いが簡単なようで難しい、そうです十人十色ですから・・・
ね　漆の工程に似ているでしょう

生漆は粘土の高い黄淡色の液体で、湿潤な環境の下で樹液が空気中の酸素と結合して酸化、重合すると黒色の樹脂に変化し、更に粘度の高い液体になって、やがて凝固するのです。
和賀江塗の漆塗師曰く、漆風呂（ムロ）の中で塗った漆を乾かすのですが、漆の室内は人間が不快を感じるような梅雨時の状態が最適で、塗り後7時間経って少しでもべた付くようだったら、表面を剥がして塗り直さなければ一生乾かないのです。
漆塗師は更に言います。
ムロは、最初はあまり湿しを与えず、そこそこ漆が乾いてくる頃にチョッと湿しを与えて漆を固めるように乾かすのがいいのです。
妹の私は姉が夜中に起き上がって、一生懸命霧吹きでムロの内側の杉板に湿りを与えて適度な湿度を保っていたのを知っています。
漆は、早く乾くと色が黒っぽくなり、ゆっくり乾かすと明るい色になって塗り肌もよくなります。
それでも自然優先の漆塗りですから乾燥時間は天に任せるということです。

蘇り人生を自然に任せて生きている私の右片麻痺は・・・
日中は、騒音や来客やらで落ち着かず、麻痺側は母指屈曲・肘や手関節の屈曲・内反尖足・足趾過屈曲で悩まされますが、夜はベッドで少しは寝易くなります。
漆塗りに関しても・・・ムロはきっちりと戸が閉められるようになっていて埃や塵が入らないようになっています。
つまり、漆を塗った後は、ホコリの立たない湿度が適当に保てるむろの中で、ゆっくりとねかせて乾かすのです。
そうです、私も日中動き回った後は騒音のない温度・湿度が適当に保てるベッドでゆっくりと身体を休ませたらいいのです。
右半身麻痺の体は寝返りが難しく、一度仰向けに寝たら朝まで同じ格好で眠っています。
無理なく熟睡した後は、目覚めると一瞬は右に痺れや痛みを感じないのです。
でも、チョッとでも体を動かすと忽ち痺れと痛みが私を襲って来るのです。
私は生身の身体で、死んでしまった右半身と生き残った左半身の共存ですから、始終ムロつまりベッドの世話にならないといけない、ということです

痺疼痛に悩んで10数年・・・

神経には運動神経と知覚神経があります。
筋肉の働きを司る運動神経が麻痺してくると筋肉が動かなくなってしまいます。
長く正座をしていると初めはジンジン、ビリビリし、そのうち無感覚になって、立つときは力が抜けています。
これは正座という無理な姿勢により血行障害が生じ、そのために神経障害を生じたものと考えられます。
正座すると自分の脚の上に体を載せることになるので、自分の体で脚を圧迫してしまうのです。
血液が充分に回らないと神経や筋肉が充分活動することが出来なくなり、それが痺れという症状になって現れるのです。
ベッドに仰向けになってやってみました。
活きている健足の左足に死んでしまった麻痺足の右足を重ねてみました。
暫くするとアキレス腱が突っ張ってきて異常な痛みを感じて動かすのが困難になってきました。
やっとの思いで左足を右足に載せると暫くして元の感覚が戻ってきました。
反対に、麻痺足の右足に健足の左足を重ねてみました。
無変化、無表情・・・いくら長く重ねていても何の変化もなく・・・いつもの痺疼痛が相変わらず存在しているのです。


10数年前に脳出血で倒れた直後「死んでしまった右半身と生き残った左半身」を伴って蘇り人生を貰った私に選択の自由はありませんでした。

麻痺・・・無感覚
痺れ・・・ジンジンビリビリ・・・
麻痺した右半身に道路工事のジャックハンマーが入り込んで・・・夏はドライアイスが貼り付いて離れず、冬は溶鉱炉から抜け出せず・・・そんな最悪状態が続いています。
更なる悪条件は、その後に戻ってきた痛覚です。
私にとって今、3人目の脳外科医の世話になっていますが、異口同音に「最後の感覚が戻ってきた」と言います。
でも、私にとって痛覚は痛恨なのです。
麻痺だけだったら・・・
痺れだけだったら・・・
痛みだけだったら・・・
どれもイヤだけど・・・全部一緒にやってくると言葉にならないのです

最近、自分なりのリハビリ計画を立ててみました。
月曜日：理学療法
火曜日：フィットネスケア・リズム体操
水曜日：理学療法・気功
木曜日：フィットネスケア
金曜日：理学療法
理学療法は病院などの理学療法士に任せ、二か月に一度のボツリヌス注射を受ける事にしています。
この注射の効果は・・・
痙縮、つまり筋肉が緊張しすぎて手足が動き難かったり、勝手に動いてしまうという症状が少し和らいできている実感は否めません。
未だたった一回の経験ですから、満足度は10%にも満たないです。
12月に入ったらすぐに2回目の注射を受ける予定です。
痙縮では手や指が握ったままになって開こうとしても開き難い、肘が曲がる、足先が足の裏側の方に曲がってしまうのです。
フィットネスケアを始めて未だ数週間ですが・・・かなり満足です。
手の指先を一本ずつ丁寧に開いて伸ばしてくれるのです。
親指を除く4本の指全部を一緒に反り返してくれるのですが、これが痛いのなんのって悲鳴が出ます
肘を伸ばす時も同様で、後ろに引きのばして一定以上の位置にきて更に引っ張ると、悲鳴が出るのです。
足先は・・・痺れが顔面右半分を襲撃してきます
フィットネスケアが終わって自宅に戻ると・・・効果はすぐに感じます。
ベッドの端に座って左手で右の手足を動かしてみると、手より足が僅かに動かし易くなってきているのです

週の午後に自ら好んで参加しているリズム体操や気功は、現状維持にとても役立っているのです。

フィットネスケア

一昨日は最近通い出した品川フィットネスケアで体験した施術に感想をひとこと

フィットネスとは、ご存じ健康や体力の維持・向上を目的として行う運動です。

この人の「手」・・・先週までの人のとは全く違う

聞けば本来は整体師だと言います。

若い頃、カイロプラクティックに足繁く通った事があります。

とても気に入って随分会社のエアアテンダント達にも紹介してあげました。

先方は元々の紹介者だった私の父に「今まではモサが多かったけど最近は美女が多くなって腕がウキウキしてますよ」と笑いながら言っていたそうです。

整体とは、読んで字の如し・・・脊椎・骨盤・肩甲骨・四肢等の体全体の骨格や関節の歪みやズレの矯正をしてくれるのですが・・・

今回の人の手は明らかに私の体感から右側上・下肢への脈絡の流れをよくしてくれた、と施術後すぐに感じたのです。

これまでの人の手は・・・実は暫く経って就寝時になってから「ああ、いい」と感じるのです。

どちらの施術もいい・・・施術後「ひとりだけでなく色々人があたりますから」と言ってくれたのが何となく嬉しく感じました。

施術の最後にベッドに座って両肩を揉まれるのは実に気持ちのいいものです。

毎週木曜日が待ち遠しい

この施術は抹消対象ではなく、中枢を対象にした施術・・・伊達に長く付き合ってる後遺症じゃないから・・・分かる、自分にも感じるのです

あ・り・が・と・う

発達障害を疑う10の症状・・・そして

発達障害・・・10症状を見詰めてきたけど・・・

どれもあてはまる・・・どれも支障をきたしていない・・・だとすると障害ではない

何だか、こんな風に片付けられてしまうのが発達障害の悩みなんだな、と思いました。

本人でなければ分からない・・・本人だって分からない

だから、明確に障害だと分からない

私の後遺症だって、車椅子に座っているだけでは他人には分からない

だって「交通事故ですか？」って未だに聞かれるんですから。

13年間も後遺症の痺れと痛みに悩まされているのに・・・

本人が自覚して、本人が対処しなければ発達障害も素晴らしい人生を送るのは難しいのかなあ～

幼い時に親が、と言うけど・・・親はやはり最低3歳までは注意深く自分の子供を見詰めて・・・

その後は暖かい眼差しで見続けてあげる、ということでしょうか

来月は「障害者週間」がすぐやってきます。

港区では、私が区民委員として言いだした「発達障害」を取り上げてくれます。

どんなふうに広めるのか・・・

また、もうひとつ私が提案した盲導犬に関しては「盲導犬を連れて舞台に立ってサックスを演奏する女性」にフォーカスをあてるようです





盲導犬募金活動　＆　発達障害支援・・・このふたつは私の蘇り人生で自ら選んだテーマです

因みに盲導犬募金活動の最も近日中の催事は・・・明日、11月9日(土）です


【高輪・高松バザー】

日時：11月9日(土)　午前10時～午後3時
場所：高輪区民センター5階前広場(地下鉄白金高輪駅上・桜田通り沿い）

盲導犬募金活動
盲導犬チャリティーショップも参加します。
可愛いグッズがいっぱい出ます。

我が家の愛犬も参加します。

発達障害を疑う10の症状：第3弾

その場の雰囲気など状況理解が周りの大多数の人とズレたり食い違ったりするのでは発達障害の疑いがある人は「空気が読めない」と言われたりする、というのですが・・・
発達障害と診断されずとも、結構多くの一般人が「空気が読めない」と言われています。
この後に続く「極端に場当たり的だったり時間意識が理解され難い」とか「言葉がそのままでは通じない」とか「話が飛ぶので何を言っているのか分からない」という自覚症状・・・それって誰にでもあると、思ってしまうのですが・・・

発達障害の話が急に犬族の話になってしまうと、きっと不謹慎だと言われると思いますが・・・
人生ひとまわり、還暦を過ぎて高齢社会を早くも数年過ごしてくると、犬との共生が当たり前の私は子育てが終わっても未だに犬育てをしているので・・・
子供の頃から付き合ってきた犬族はシェパード、ブラックコッカ―、ゴールデンコッカ―、ビーグル、ゴールデンレトリバー、ダックスフント、ブラックラブラドール、そして何とサルーキです。
みんな可愛い犬・・・それは共通した愛玩犬の性格です。
でも個性を持つのが犬です。
我が家3代目のゴールデンコッカ―スパニエルは生まれつきの尿毒症という事で立派な血統書が付いていましたが、掛かりつけの獣医さん経由でやってきた犬でした。
我が侭でゴーイングマイウェイの愛すべき犬でしたが、賢さに関しては抜群で幾分ずる賢いところもありました。
6代目のロン毛ダックスフントは今現在も私を癒してくれています。
ダックスフントのテトは飼い主の息子の諸事情で突然やってきました。
働き盛りの独身若者が犬を飼うってとても大変な事です
働き盛りだった私がふたりの子供を育てるってとっても大変でしたもの！
実家の母に頼んだり、遠くの義母に頼んだり・・・お陰で湘南の空気には絶えず触れる事が出来たし、古都京都は数年がかりで自分の地盤になったようだったし・・・いい経験もいっぱいさせて貰いましたが・・・でも、大変でした
ダックスフントがやって来た当時、有り難い事にゴールデンレトリバーでその名も「素直な犬＝ドック」が先住犬として迎え入れてくれました。
ダックスフントのテトは本来のアナグマ狩猟犬の性格を持ち続けている犬です。
獲物を見つけると大声で知らせる・・・ダックスフントのテトは何時、どんな場合でも大声で吠えて知らせるのです。
煩いなあ、と思うのですがどんなに叱られても吠えます・・・ダックスフントのテトの本来の姿なのでしょう。
でも数多い飼い犬の中でも頭の良さは抜群だと私は思っています。
そんなダックスフントのテトは時折「遅れちゃん」という有難迷惑なニックネームで呼ばれる事があります。
どんなに叱られても吠えるという行為を決して止めない・・・バカじゃないの！・・・そこでこのニックネームが
でも何故「遅れちゃん」なんて愛らしいニックネームが
バカみたいって思われる一方、人間の言葉を一番理解するのがダックスフントのテトなのです。
私が外出する時、一言「リハビリセンター」と言うと「ああ、暫く帰らないのか～」という諦め顔で部屋に戻って行くのです。
「北里病院に行って来るからね！」と言うと「分かった！」というような目つきで玄関で伏せの姿勢を取るのです。
「チョッとお出かけするからお留守番ね！」と言うと「何処へ？　どうして？　何時まで？」という視線をいつまでも私を見上げて見詰めてくるのです。
そして時折、頭にきたのかワザとらしい悪戯・・・帰宅して発見するのです。
最悪は・・・ある日、半日留守にしたら「聞いてない！」と言わんばかり幼犬のサルーキと・・・キッチンで大暴れしていました。
キッチンの隅には「どうしよう！」と心配顔のキャリアチェンジ犬の黒ラブが正座していました。
きっとダックスフントのテトが「やろう！やろう！」とけし掛けたのだとすぐに分かりました
玄関での様子だけを聞けば、何と賢い犬！って思うのですが、他人との挨拶は吠えまくり、散歩では繋がれている車椅子に少しでも近寄ってくる他人にも吠えまくり・・・きっと「僕が護らなくちゃ！」と思っているのでしょう！
幼犬のサルーキとキャリアチェンジ犬のラブラドールと一緒の散歩では一番「困ったちゃん」の犬は・・・そう、ダックスフントのテトという事になってしまうわけです。
でも「もう帰ろうか？」の一言で「そうしよう！そうしよう！」とばかり車椅子に付いたリードを引っ張るのはダックスフントのテトなのです。
だから「困ったちゃん」は「遅れちゃん」と呼ばれながら「賢いね」と言われるのです。

同じ犬でも個々にはこんなに違うのです。
人間は当然、十人十色です。
ただ、物心つく頃になっても心配な面があったら・・・ピカッと光る一面を母親が探してあげて伸ばす・・・これが大切だと思いますが、そんな風に思うのは私だけでしょうか