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麗しと潤いの漆日記

日本古来の伝統ある漆の美を現代生活に取り入れる醍醐味はこのブログから始まるAll Right Reserved

一大決心!

2008-08-10 14:56:26 | Weblog
5月から綴り始めた「漆日記」残念ながら打ち切りの決断に至りました。
理由は色々あります。
日本人として 無視できない日本の美 それを千年の歴史を持つ「漆」をもとに まずは日本人の心に訴えようと試みましたが、私の脳裏に残る言葉は哀しいかな「無意味」の三文字だけが残されました。
「無駄」という言葉は中々いい表現だと思っています。
無駄のあとに素晴らしい影響や効果が見れることが時折あるからです。
しかし、「無意味」という言葉には憤りすら感じることがあるのです。
無駄はそれなりの時間の使い方だが、無意味は貴重な時間を捨てるような気がしてならないのです。
マイブログに毎週水曜日に「漆」を取り上げてきて、ほんの僅かな応援者がご覧になっているだけでは遺憾に思わざるを得ないのが本音です。。
時は流れています。
しかも 現代の世の中では勢いよく流れています。
人間は 時間に流されてはいけないのです。
人間は 時間と共に切磋琢磨、時にゆったりと、また時に急ぎ足で 歩いていかないと 取り残されてしまいます。

千年からの歴史を持つ日本工芸「漆」は歴史に封じ込めるにはあまりに「未知の世界」が広がっているのです。
そう思って「漆日記」なるの綴り始めてにみました。
日記とはいうものの「綴り日」を私は勝手に「水曜日」に決めました。
理由は 単に 一般的には仕事がMonday-sick-dayに始まって 水曜日は中休みでちょっと「潤い」を、と思ったからです。

漆の話、僅か11話で中断、書きたいことは未だいっぱいあります。
数年前に書き始めた「脳のミステリー」には「ミュージックセラピー」や「アニマルセラピー」に並んで「アートセラピー」も時折取り入れております。
今後は この歴史ある日本の伝統美である漆、即ち ジャパンを得意のハイパーグラフィアに任せて 偶には「脳のミステリー」の中に従来通り書きとめてみたいと思います。

心から応援して下さった方々には 本当に申し訳ないと思っております。
是非、「脳のミステリー」でひょんな時に「漆」に出会い、更に海外発の執筆や英文献で出会うこともあるでしょう。
また 近い将来にはドキュメンタリー映画も現在海外で制作中ですので必ずや遭遇する筈です。

三ヵ月足らずの短いご縁でしたが、漆は千年も万年も限りなく続いていきます。

ありがとうございました。

平成20年8月10日                     阪 玖胡

手腕の漆塗り と 頭脳のカシュー塗り

2008-07-30 08:48:42 | Weblog
約束通り カシュー塗りを取り上げてみましょう!

これまでは漆をJapanと英訳しないで、lacquerと言う事が多かった。
確かに、ラッカーは漆塗の事を指し、実はマニキュアのエナメルもヘアスプレーもラッカーと言うのは女性なら知っているだろう。
更に、ラッカーという言葉は「言葉巧みに誤魔化す」とか「言い繕う」という意味もあるというのは聞き逃せない。
そして、確かに漆塗とカシュー塗はよく似てはいても全く別のものなのである。
どちらも本物で、どちらも偽物ではない。
簡単に言えば、塗料が全く違う。
漆は天然樹脂の塗料で カシューは合成樹脂の塗料だということである。
極端に言うと、漆塗りは生活の知恵から生まれたもので、カシュー塗りは人間の頭脳から生まれたものだと言えるのだと思う。
技術はさておき・・・ 大昔から存在する漆 と 近代になって生まれたカシュー・・・
カシュー塗りは、戦後間もなく1950年にカシュー株式会社が発明し、特許を取得した漆系の合成樹脂塗料による塗り物である。
そして、カシュー樹脂塗料は塗膜や性能も漆と殆ど変わらないのである。
更に、カシュー樹脂塗料の乾燥には空気中の酸素を取り込む酸化重合なので、漆のように湿度を必要としない。
だから、加熱乾燥も可能で、漆かぶれのようなかぶれもなく、吹き付け塗装も可能という事である。
それに、カシュー樹脂塗料で塗った物は光沢があり、高樹脂分のためふっくらとした肉持ち感がある。
本漆塗料だと、艶を出すには並大抵でない研ぎ出しという作業を漆の工程でしなければならない。無論、その作業で創り出す漆器には目にも鮮やかな美が約束され、価格は目を見張るような金額が提示されるということである。
半世紀以上の歴史あるカシュー塗なのに、何故か「漆の代用品」という言葉を避けたがり、恰も「漆塗」のひとつであるかのように説明する人がいるが多くいるが、カシュー塗りをもっと違う観点から絶賛して欲しい。
古代からの漆塗を手にしたら「自然の恩恵」に乾杯し、近代生まれのカシュー塗を目前にしたら「人間の頭脳」に乾杯したい。

先週アップした杖をもう一度見てください!
視覚からは「好みは様々」だが・・・触覚からは「天然という本物」の良さが・・・

素晴らしいふたつの日本美

2008-07-23 11:22:26 | Weblog
約束通り カシュー塗りを取り上げてみましょう!

長い歴史を持つ漆は確かに値が高い。高過ぎる。
そこで庶民が目を付けたのは漆塗りによく似たカシュー塗りだが、
共に素晴らしい日本の美を代表している。
私は 本漆塗りは日本人の手を褒め称えたく、カシュー塗りでは日本人の頭脳を絶賛したくなる。
だが、その評価は漆塗とカシュー塗を混同しているかも知れないという事を見逃すわけにはいかない。
カシュー塗り特有の長所を一般人に広めなければいけないと心底思っている。
漆塗りは千年の歴史を持つ日本古来の天然塗料で、カシュー塗は賢い近代日本人が考案した合成樹脂塗料なのだという事実をしっかり受け止めて更なる発展を遂げて欲しいと願うのは私だけだろうか。

写真は 左の2本がカシュー塗り 右の3本が本漆塗り 好みは色々様々!

最高に素晴らしい漆擬き

2008-07-16 05:52:55 | Weblog
がんもどき って知っていますか?
そうです、豆腐を崩して、細く切った野菜や昆布などを加え、油で揚げたものです。
では 漢字で書いた事がありますか?
「がんもどき」は「雁擬き」と書きます!
曰く 味が雁の肉に似るのでこの名がある、この字がある。
人の好みは夫々ですから・・・
豆腐そのものが好きな人もいれば、絶対がんもどき好みの人もいる。

それでは「漆擬き」って何だと思いますか?
そうです、カシュー塗りだと私は思います。
天然素材の漆塗りと人造素材のカシュー塗り、どちらが好きですか?
私の答は ケースバイケースです。
来週は カシュー塗りを取り上げてみましょう!

今回 アップしたフォトは 飲み口が優しい手元が根来塗りの馬上杯です!

本漆って? 天然木って?

2008-07-09 22:54:21 | Weblog
漆製品に思う偽装と本物の違い!
偽装という言葉が右往左往する現代世の中
偽物は・・・
肩身の狭い思いで世に出回ると思いきや・・・
それはそれなりに堂々と・・・
こんなことが罷り通るのが漆や木の世界!
札幌サミットでは本物の漆が初日に登場していた!
世界の代表の目の前で
手で触れて
口に触れて
漆の器から体内に入った飲み物の味覚を
各々の脳はどんな風に捉えただろう
人の感覚・・・視覚と触覚が語れる漆の魅力
この先の展開を想像して7月後半のブログを共に考えるのも乙なものでは?

藤沢周平の絶筆「漆の実のみのる国」

2008-07-02 21:07:28 | Weblog
海坂藩(うなさかはん)って知っていますか?
そうです。海坂藩(うなさかはん)は、藤沢周平の時代小説に登場する架空の藩です。
藤沢周平は、架空の藩を舞台として、主に下級武士を主人公とする小説を多く著しました。
藤沢によってこの藩のモデルについての明言はされませんでしたが、藩や城下町、領国の風土の描写は、藤沢の出身地を治めた庄内藩とその城下町・鶴岡がモチーフになっていると考えられています。
藤沢作品の舞台となる地方の小藩は、架空・無名であるための普遍性と、北国の風土に根ざした特殊性をあわせ持っています。
地理的・歴史的な描写の共通性や、織り込まれた郷土の食べ物などから、藤沢が描いた「海坂藩」をはじめとする架空の小藩は、しばしば庄内藩と同一視されており、このことは藤沢の晩年に、強く意識されるようになったのです。
海坂(うなさか)という名は、水平線が描く弧を意味する言葉だそうですが、何とも趣のある言葉だと思いませんか?。
商品作物である青苧・蝋漆などの栽培が行われおり、藩の御蔵方で扱われているというのが分かり、特に蝋漆は換金価値のある作物として漆の植え付けを奨励していますが、絶筆としては「漆の実のみのる国」があるのはとても興味深い事です。

古代から伝わる赤漆

2008-06-25 23:11:04 | Weblog
赤は太古の時代から火や血液からの連想で、一般に「情熱」や「活気」など、精神や物事の盛り上がりを表すことが多い。
日出ずる国の日本を象徴する色は日の丸としても使われており、太陽が黄色ではなく赤で描かれることも多い。
火星は赤く見えるが、火星の表面のほとんどが酸化鉄によって構成されているからである。
また、生まれたばかりの子供は「赤ちゃん」と呼ばれ、還暦には赤という色が使われる。

一方、2000年の出土品として、北陸の桜町遺跡から約2700年前の地層から赤漆の櫛も発掘されている。
辰砂による朱は壮美な発色をするので、紀元前から利用されたが、人工的に合成したものが現在の朱の多くをまかなう。
金朱と呼ばれるものは金粉を擦り込んだもので、銀朱は水銀を焼いて作った赤色顔料のことである。
色材としての硫化水銀の運用にあっては、硫化水銀の黒く変化しやすい性質を回避しつつ目的の色彩を定着させるのにはかなり高次の技術が要請される。
近代の漆器でありながら、この硫化水銀を運用してのシナバーレッドの漆塗りの盛器が豪州メルボルンのナショナル・ギャラリー・オブ・ビクトリアに所蔵され、随時展示されて好評を得ている。

漆セラピー

2008-06-18 20:01:18 | Weblog
膳を前にちょっと考えてみましょう。
温かい煮物!
冷えた漬け物!
適度に温かいごはん!
熱い汁物!
様々な食器が並ぶ
日本の食卓では 飯茶碗を手に持って口元まで運ぶ
熱い汁椀もやはり手で持ち上げる
茶碗は手に持てる熱さで ご飯はかなり温かい
汁椀もほぼ同じ暖かさで 汁物はかなり熱い
茶道の時と違って 茶碗の温もりは差ほど感じないが
漆の汁椀は温もりが確実に伝わる

漆はかぶれるという点から敬遠する人もいるが、それは放置しておいても自然完治する。
肌が無惨な姿になろうとも、やがては皮膚は再生されて元の綺麗な肌に戻るし、それどころか一皮剥けて前より滑らかになることもある。
漆の汁椀にかぶれると言って持たぬ人は 余程の漆アレルギーでない限りいない。
漆器は 一度乾いてしまえば普通かぶれる事はないから・・・

ところで「漆セラピー」って本当にあるのでしょうか?
本物の漆の塗り物を前にすると・・・・・確かに感覚が働きます。
先ずは 視覚・・・目を奪われるような美しい漆はいうまでもなく心まで奪われます。
次は 触覚です。漆器が人間の手に触れる時、心は温もりを感じます。
熱い汁物が入った漆器に手を引っ込めてしまうような熱さを感じる事は滅多にありません。
陶器は咄嗟に手を引っ込めてしまうこともありますが、漆器は手に温もりを感じさせても酷い熱さを伝えることはありません。
尚且つ、漆椀の中身は適度な熱さが保たれるのです。
食べ物によっては「ぬるい」ものはとても興醒めすることもあります。
汁物がそのひとつです。

漆物には なんら魔法があるわけでもないのに「暖かさ」と「熱さ」がひとつの器の中で瞬時に人に伝わるのです。
自然との共生を考えると、確かに漆と人間との関係を今風に表現すると「漆セラピー」と言えるでしょう!
今度、食事の時、ちょっとお椀に話しかけてみませんか?

梅雨と傘と漆器

2008-06-11 16:52:33 | Weblog
6月11日は何の日?
今日は雑節の一つで、暦の上での梅雨入りとされています。
ご存じのように、この頃は湿度が高く、黴(かび)が生えやすいことから「黴雨(ばいう)」と言われ、これが「梅雨」になったと言われています。
平成元年、日本洋傘振興協議会が「6月11日は傘の日」と制定して、傘の販売促進を願ったのだそうです。
それならば、私は伝統的工芸品の漆器の販売促進を願って「漆器の日」にしましょうか?
どなたか「異議あり!」と仰いましたか?
11月13日が「漆の日」だと仰りたいのですね!
分かっています。
「今日は何の日?」が好きな日本人ですもの、11月13日が「漆の日」に制定されたのが1985年だということも知っています。
伝説では平安時代のこの日に文徳天皇の第1皇子・惟喬親王が、京都・嵐山の法輪寺に参詣した時に漆の製法を“菩薩”から伝授されたとされています。
「菩薩から伝授」というところが定かではありませんが、この日はもともと漆関係者の記念日だったのですね。
漆の樹液が採れるのは6月から9月の間で、6月が初漆7月が盛漆と言われ最上質だと言われています。

  What's day today?
  It's Japan-Day.
  June 11th is Japan-lacuer Day.

今日、6月11日は「漆器の日」とでも言ってJAPAN-URUSHIの名を世界に売り込みましょうよ!

日本の美: 漆=日本 urushi=japan

2008-06-04 21:24:38 | Weblog
海外で英語化している日本語が発表された。
30語ほど見てみたが、日本の美を元にした言葉はほんの僅かしかみあたらない。
目についたのが盆栽、着物、生け花、だが全て20位にも入っていない。

ひと頃、ガーデニングという言葉がブームをよんだ。
あの時、下町の路地で見かける玄関先にいっぱい置かれた鉢植え、
夕方になると、鉢に水が撒かれる風景が
何とも言えないほど情緒ある日本のガーデニングだと、
嬉しくなった記憶が新しい。

再び、英語化即ちカタカナ化した日本の言葉の話に戻って・・・
過労死や残業が入って日本社会が浮き彫りになっている。
また、モッタイナイやバンザイなどは微笑ましいとすら感じる。

だが、日本の美に関して、
売り込む日本もなければ、
受け容れる海外もないのかと思うとちょっと寂しくガッカリする。

JAPAN=URUSHIを日本人自身が
もっとよく理解して、もっと自信を持って
日本人自らの頭と心に浸透させて貰いたいと思う。
世界は広く、
あちこちで鵜の目鷹の目で獲物を狙っている生きものはいっぱいいるのだから・・・
陶磁器をCHINAチャイナと呼ぶのは日本でも一般的な言い方になっているように
漆器URUSHIをJAPANジャパンと英語で呼ぶのをあなたは知っているかしら?
JAPANジャパンという呼び名は海外ではかなりを浸透してきていますよ!
日本国内でも、
URUSHI=JAPAN漆器を片仮名のジャパンを
もっと親しみを持って呼びましょうよ。

平成前期に、
日本の漆器が世界のjapanということで・・・
歴史上由緒ある日本の伝統工芸の漆がJAPANの名で・・・
世界中に行き渡るなんて考えるだけでも素敵じゃない!