脳のミステリー

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リハビリで幻の右手を見た私!

2009-09-24 23:09:16 | Weblog
ラマチャンドラン博士著の『脳の中の幽霊』Phantoms in the Brain という本を知っていますか?
博士は「何年も前に、何十年前に失った手足を脳が忘れないが故に、幽霊のようにいつまでも頑固に存在して人間を苦しめる」と言っている。
正常な感覚や動きから切り離されているので「麻痺」や「激痛」を生じると言うのである。
博士は「幻の指が凄い力で幻の掌に食い込んでどうにもならないこともある」と言っている。

北里研究所のリハビリで 私は今信頼する主任療法士に正座の練習を強いられている。
右半身は完全に四六時中痺れと痛みに悩まされているのだから、私にとっては正座なんてとんでもない事である。
健足の左足を下にして先ず横座りをする。この時点でもう既に我慢できないほどの痛みに悲鳴をあげたくなる。次ぎに健足の上に臀部を半分載せようとする。外からは分からないらしいが顔面の中は崩壊寸前の状態になる。それでも尚、今度は脳外科医に不随と宣告された麻痺した右足を麻痺した臀部に載せようとする。その時、右側に一瞬だが5本の指をパッと開いている小さな掌が私の視覚が入った。
「先生、今何かしましたか?」
「ドンドン固く握りしめていく右手の親指が人差し指に食い込んでいくから静かに親指を離してあげただけですよ」
「いいえ、そうじゃなく、先生、私の右側でご自分の手を開いて見せましたか?」
「いいえ、僕は唯貴方の人差し指に親指が食い込んでいくからチョット解いたまでですよ」
「うそっ! 確かに先生の手にしては小さいけど、掌がぱあっと開いて・・・」

ラマチャンドラン博士式に考えれば、顔面神経が無意識に活動すると「手の領域」を刺激するのである。私は動かない右手が動いたと騙されてしまったのである。

そして私は僅かな時間だが「正座」が出来た。無論、主任療法士が転がった時の為に背後にスタンバイしていてくれた。彼は「この正座が少しずつ長く続けられる様になればいいのだから、ラマチャンドラン博士をいつも脳裏に置いてやってみたら!」と涼しい顔をして言った。
そのラマチャンドラン博士が「脳卒中の後遺症で悩んでいる人達の解決には程遠い」と語っていたのを思いだした。

それならば、実際に脳出血の後遺症を受容してしまって8年目に入っても未だ「痺れと痛み」に苦しんでいる私自身が少しずつ何かを発見できれば、それ程素晴らしい事はない、と途轍もない事を考え始めたのである。




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