「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

          「台湾人世」の対日感

2009-08-07 04:17:44 | Weblog
数年前、一緒に台湾旅行をした旧友と「台湾人生」(酒井充分子監督)という
ドキュメンタリー映画をみた。日本統治時代を体験している5人の台湾人を通じ
て、彼らの波乱の半生と彼らの対日感を紹介した映画だ。出演者は僕らとほぼ
同世代の人たちであり、かって日本人として同胞だった人たちだけに多々考え
させられるものがあった。

NHKが4月に放送した「シリーズJAPANデビュー第一回アジアの”一等国”」が
偏向番組だとして日台両国内で波紋を投げている。日本では番組をみた視聴
者8400人が精神的に苦痛を与えられたとNHKに損害賠償を求める訴訟を東京
地裁に起こしているという。一方、台湾でも「台湾歌壇」という和歌の集まりの有
志80人がNHK会長宛に”(番組は)恣意的で偏向歪曲に満ちている”と抗議状を
送ったと伝えられる。

僕はNHKの番組はみていないが「台湾人世」をみた印象では、5人の出演者の
話からは日本統治時代へのノスタルジアは感じられても、日本統治に対する激し
い批判は読み取れなかった。むしろ僕は敗戦で仕方がなかったのだが、彼らを”見
捨てた”ことに対して”御詫び”を言いたくなった。

さきの戦争で彼らは日本軍の一員として戦い2万人が戦死している。出演者の一
人が童謡の「桃太郎」を歌い”キビ団子をくれるというので鬼征伐に行った”のにと
冗談ともつかず言った言葉が僕の胸につき刺さった。