「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

        犯罪 子供への過大な期待

2007-12-06 04:55:49 | Weblog
肉親同士の不幸な事件が多すぎる。和歌山市内で52歳の男が82歳の父親と
実妹と甥の小学生を刺殺した。男は無職で、被害者の妹は医師で離婚後実家
へ戻って生活していた。新聞によると、男は犯罪の動機について”テロ事件を
仕掛けられた”と意味不明なことを警察に述べているが、父親との”幼い頃”か
らの確執が原因のようである。

この事件を読み、僕は医者一家がからむ二つの事件を想い出した。一つは東
京の歯医者一家で妹が実の兄によって殺害された事件。もう一つは奈良市で
高校生が、医者である母親と義妹を殺した事件である。東京の事件は犯人の
男が医科大学へ受験に何回も失敗、これを妹から馬鹿にされたのが直接の動
機。一方、奈良の事件は、進学校に通う高校生が成績が落ちたことを父親から
きびしく叱られたの原因のようだ。いずれも”医者の子は医者”という精神的負
担が背後にあった。

和歌山事件の詳細については知らないが、もしかすると、父親との確執の原因
に、父親の子供に対する過大の期待があったのではなかろうかー。犯人の男の
心のうちに、親の期待に応えられぬ精神的コンプレックスがあったのではなかろ
うかー。妹が医師になったことが彼の心の負担になっていたのではなかろうかー。

知り合いの精神医の話だと、最近統合失調症の患者が増えていて、彼のクリニ
ッでは、かなり先まで予約で一杯だという。昔、精神分裂症と呼ばれたこの病気
は、患者の心の負担が引き金になって起きる場合があるという。人によって違う
が、親の過大な期待が子供に心の負担になるのならば、考えなくてはならない。
不思議と政治家二世に医者の子供のような事件がない。多分ずぶとい神経の持
主が多く、負担にはならないからであろう。