「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

豊富なミカンと田道間守(タジマモリ)

2006-03-15 07:47:52 | Weblog
冬ミカンがそろそろ店頭から消えようとしている、この季節、昔は
果物の端境期であった。夏ミカンが出回る晩春まで,ビターミンC
の補給はどうやっていたのであろうかー。ところが、今はどうだ。
スーパーの店先はミカン、ミカンのやまである。伊予柑,でこポン、
八朔、輸入物のグレープフルーツなどなど。田道間守が非時香菓(橘)
を求めて海外へ行く必要はさらさらない。

しかし、失ったものも大きい。それは果物による季節感の喪失である。
たとえば、夏ミカンである。あのすっぱい夏ミカンである。家族が
口をすぼめてすっぱさに挑戦、時には重曹を、時には砂糖をつけて
食べたあの味、あの季節ならではの味であった。いちご、スイカetc,
いつでも食べられるのは有り難いが、やはり保守派の僕には自然の季節
にあったころに食べるのが一番おいしい気がする。

ひけらかして、いわせてもらえれば、僕が始めてグレープフルーツを
食べたのは昭和37年11月,カイロのナイル河畔のホテルであった。
味もさることながら、輪切りにしてスプーンで食べる食習慣に驚いた。