原田マハ著「楽園のカンヴァス」(新潮文庫)を読みました。奥様の薦めで、これはいいよと言われて読み始めたのですが、最後まで止まらない面白い小説でした。ざっとした内容は、ルソーの名作「夢」に酷似した絵の真贋をめぐり二人の鑑定者が判定を競うというものです。ミステリー仕立てで、古書を読むことを手掛かりに判定をしていきますが、その古書には、ルソーやピカソなどが登場し、当時のパリの雰囲気を味わうこともできます。ジャケットを見ると、絵画のモデルになれそうな女性歌手。
VANESSA RUBIN (ヴァネッサ・ルービン)
PASTICHE (NOVUS 1993年録音)
1957年クリ―ヴランド生まれのヴァネッサ・ルービンは、1992年に初アルバムを出していて、これは彼女の第2作目に当たります。レコーディングのスタートは遅かったのですが、既に充分なキャリアを積んでいました。彼女のホームページによると、現在まで7作品がリリースされていて、そのうち3作品を持っていますが、それぞれジャズ度が高く、歌とともに伴奏も注目されるものばかりです。
伴奏は、アーロン・グレイブス(p,org)、Tarik Shah(b)、アーロン・ウォーカー(ds)、E.J.アレン(tp,flh)、ロジャー・バイアム(ts,as,ss)、スティーヴ・トゥーレ(tb)、曲により、ヒューストン・パーストン(ts)、セシル・ブリッジウォーター(tp)、Michal Rubin(per)。トゥーレやバイアム、ブリッジウォーターなどのソロが入ります。
選曲は、スタンダードとジャズ・オリジナルです。スタンダードが、「In A Sentimental Mood」、「I'm Just A Lucky So and So」、「I Only Have Eyes For You」(瞳は君ゆえに)。フランク・フォスター作「Simone」、シダー・ウォルトン作「When Love is New」と「Mosaic」、ウェイン・ショーター作「Black Nile」、タッド・ダメロン作「Weekend」、ぺぺ・デルガ―ド作「I am Always Closed to You」(いつもあなたのそばに)、レジナルド・ウッズ作「A Certain Love」、ダグ・カーン作「Arise and Shine」の全11曲。シダー・ウェルトン(p)の作品が2曲取り上げられているのが目立ちます。
ヴァネッサ・ルービン(vo)の歌声は、よく伸びるしなやかなもので、聴きやすくさわやかな感じがします。カーメン・マクレエからの影響があるようです。エリントンの2曲「In A Sentimenl Mood」や「I'm Just A Lucky So and So」は、歌に加え、ミュートをつけたトゥーレ(tb)のソロも面白い。ウォルトン作の「When Love is New」は、バラードでルービンの落ち着いた歌い方が素晴らしく、「Mosaic」は華やかで、バイアム(ts)、トゥーレ(tb)のソロも入り、シダー・ウォルトンの曲のよさも気づかせてくれます。
【ヴァネッサ・ルービン・ホームページ】
【原田マハ著 楽園のカンヴァス(新潮文庫)】
2012年新潮社刊。2014年7月1日文庫化。山本周五郎賞受賞作。