安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

佐藤達哉著「ジャズアルバム大全」(PHPエディターズ・グループ)。楽しく参考になる本です。

2024-01-24 19:30:00 | ジャズ

今年のお正月に購入した、佐藤達哉著「ジャズアルバム大全」(PHPエディターズ・グループ)を、関心のある部分をかなり読んだので、感想を記します。  

   

表紙

(帯裏にある本書の内容紹介)

著者が、自身のブログに掲載した多数のレコードの中から70タイトルを厳選し、一つ一つについて、演奏者の略歴や演奏スタイル、レコーディングの背景、曲の成り立ちやソロフレーズ、使用楽器などの解説と、そのレコードについて、縦横無尽に述べたものです。

(著者の佐藤達哉さんの紹介)

   

佐藤達哉ホームページ:TATSUYA SATO offical web site

佐藤達哉ブログ:佐藤達哉|note (この本の元となったブログです。現在も続行中、読み応えあります。)

(目次の一部)

   

目次は、取り上げたミュージシャン名と、その関連レコード(CD)のタイトルからなります。多くのレコードを取り上げたミュージシャンは次のとおり。これは、著者の関心の順と言ってもよいです。

1位 マイケル・ブレッカー(テナー・サックス) 10枚
2位 ジョー・ヘンダーソン(テナー・サックス)  6枚
3位 スタン・ゲッツ(テナー・サックス)     5枚
4位 デイヴ・リーブマン(テナー・サックス)   4枚
5位 ソニー・ロリンズ(テナー・サックス)    3枚
5位 ウェイン・ショーター(テナー・サックス)  3枚
5位 ローランド・カーク(テナー・サックス)   3枚

著者は、テナー・サックス奏者なので、同じ楽器のものが多く取り上げられています。マイケル・ブレッカーやジョー・ヘンダーソンが多く、現代のテナー・サックス奏者に及ぼしている影響がよくわかります。

(感想など)

テナー・サックス奏者である著者の極私的なアルバム紹介の本です。ジャズの歴史とか、背景となる時代についても触れられることはありますが、重要視されていません。その代わり、一枚一枚の紹介が細部にわたり、ミュージシャンとしての観点が入っています。

ジャズが好きで、いろいろとレコード(CD)を聴いている人向けの本です。紹介されたアルバムを聴いたことがなければ、読んでもつまらないので、聴いたことがなければ、そのアルバムを用意した方がよいです。著者の記述に共感する部分も多く、『ソニー・ロリンズ・アンド・ザ・コンテンポラリー・リーダーズ』の中

で、『いつ聴いてもゾクゾクしてしまうのがバラード、「イン・ザ・チャペル・イン・ザ・ムーンライト」の最初のテーマのサビ後、メロディのアウフタクト部分に出てくるLow B♭のサブトーンです。』と記していて、あそこはそうだよなと相づちを打ちました。

(佐藤達哉さんの著書を読んで聴いてみたアルバム)

   

ソニー・ロリンズ「And The Contemporary Leaders」。上記に記した「In The Chapell In The Moonlight」が聴けます。

   

キース・ジャレット「Somewhere」。

この中の「Tonight」を論じて佐藤さんは、『イントロ無しでキースのカウントに続き曲がスタート、天から舞い降りてくるメロディを恐山のイタコ状態で身体に受け入れ、ピアノフォルテの完璧な演奏者が脱力、鼻歌でプレイしますが、これはジャズというよりもジャンルを超えた純粋音楽の領域に達しています。』と記しています。面白いので、抜き書きしました。



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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (m-fluteangel16??)
2024-01-24 23:41:06
こんばんは。いつもリアクションありがとうございます。
キース ジャレットはクラッシック好きな人でも人気があります。
私も好きです。いつも知らない世界のことを教えていただいてありがとうございます。
返信する
Unknown (ビオラ)
2024-01-25 16:55:54
今日は〜。

本のタイトルに、”大全”とあるだけに、
読み応えがありそうです〜!😊

お正月に購入と言うのも良いですね〜、
この1年、楽しみの幅が、広がりそうです〜♫

私も、ふとした出会いがあって、気になる洋菓子屋さんがあったら、そこのとっておきのお菓子を購入し、それには、どんな紅茶が合うかとか考えたりするのが好きで・・・、また、実際に、自分も作ってみたり・・・。

興味ある分野の事を、専門の方が、自分の経験や視点から、書かれていたり、また、
それを読んで、気になる曲、好きな曲を聴き、共感したり、楽しんだりの一連は、深くそれぞれの曲を親しむ事ができて、心豊かなお時間が、過ごせそうです〜♫

美味しい珈琲をいただきながら、曲、素敵な読み物〜、楽しまれて下さいね〜♪

ティーガーデン
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Unknown (azumino)
2024-01-25 19:49:39
m-fluteangel16 さん こんばんは 

コメントありがとうございます。いつもご覧いただき、その点も感謝申し上げます。

ミュージシャンが書いたレコード(CD)評というのは、ジャズ畑の場合、あまりなく、この佐藤達哉さんの本(元はブログですが)は、画期的だと思い、購入しました。

お話のように、キース・ジャレットは、人気がありますね。今回の「Somewhere」も良いし、クラシック畑のC.P.E.バッハの「ビュルテンベルグ・ソナタ集」でも、よい演奏していると、このところ、僕はキース・ジャレットをよく聴いています。
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Unknown (azumino)
2024-01-25 20:27:16
ビオラさん こんにちは

ジャズの場合、クラシックの評論家のように、音大を卒業して、自らも楽器を演奏するというライターは、ごく少ないです。ジャズを感覚でとらえている、ライターがほとんどだと思います。

この本は、第一線で活躍するテナー・サックス奏者が書いているので、リズムのことや、調性のことを、わかって聴いて、その上で、評しています。画期的で、読み応えのある面白い本です。

紅茶に詳しいビオラさんのように、僕も読んだり、聴いたりしたら、そこから何か発展させられたらよいのですが、なかなか難しいです。

丁寧なコメントありがとうございます。
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