いよいよ暑くなり夏本番です。ここ長野でも朝はいくらかしのぎやすいものの、日中はどうにもなりません。夜に入っても冷房を効かせてレコードを聴いています。暑い夜に相応しいヴォーカル盤といえば、ジューン・クリスティ「Something Cool」がすぐに浮かびますが、今夜は、夏の出来事をつづった「The Things We Did Last Summer」(過ぎし夏の想い出)の入っている清楚なソプラノによるアルバムです。
JANE POWELL (ジェーン・パウエル)
CAN'T WE BE FRIENDS? (Verve 1956年録音)
1944年から58年まで、MGMの映画に20本もでているミュージカル女優ジェーン・パウエルのアルバムです。代表作としては、「掠奪された7人の花嫁」、「恋愛準決勝戦」などがあり、歌ばかりでなく踊りも素晴らしい女優さんです。
歌声は、音域としてはソプラノで、声に潤いがありキュートで清楚な歌いぶりです。編曲、伴奏も豪華で、バディ・グレブマンが担当しています。ミュージカルの歌の感じは残りますが、スイングもしたヴォーカル盤です。また、伴奏のビッグ・バンドは腕っこきがそろっているようで、迫力のある音を出しています。
曲目は、「My Baby just Cares for Me」、「Imagination」、「Hooray for Love」、「I Got It Bad and That Ain't Good」、「Let's Face The Music and Dance」、「In Love in Vain」、「Can't We Be Friends」、「The Things We Did Last Summer」など12曲です。スイングしたものでは「My Baby just Cares for Me」、バラードでは「In Love in Vain」も印象に残ります。
サミー・カーン詞、ジュール・スタイン曲によるバラード「The Things We Did Last Summer」は1946年の作品。過ぎ去った夏の想い出を、冬の間懐かしく思い出すという大意で、その想い出が、「二人で乗ったボート」、「湖を照らす月明かり」、「二人でしたダンスや口ずさんだ歌」といったものです。ジェーンは、ヴァースから美しく、情感を込めて歌います。夏の情景と失恋をして冬になってからの気持ちが浮き出てくるかのようです。