安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

映画「鬼平犯科帳 血闘」を観ました。 (5月16日 上田東宝シネマズ)

2024-05-17 19:30:00 | 映画・DVD・テレビ

映画「鬼平犯科帳 血闘」が、松本幸四郎主演で映画化され、封切られたので観てきました。原作は、池波正太郎さんの小説です。

    

(出 演)

松本幸四郎(長谷川平蔵)
市川染五郎(銕三郎(若き日の長谷川平蔵))
仙道敦子(久栄)
中村ゆり(おまさ)
火野正平(相模の彦十)

(スタッフ)

監督:山下智彦
脚本:大森寿美男
音楽:𠮷俣良
撮影:江原祥二
原作:池波正太郎

(あらすじ)

長谷川平蔵が若い頃に世話になった居酒屋の娘おまさが密偵になりたいと申し出て来る。平蔵はその願いを退けるが、おまさは平蔵が芋酒屋『加賀や』の主人と盗賊の二つの顔を持つ鷺原の九平を探していることを知り、探索に乗り出す。九平を探すうちに凶賊・網切の甚五郎の企みを知ったおまさは網切一味の中へ入り込む。しかし、おまさは絶対絶命の危機に陥る。

(感 想)

池波正太郎生誕100年を記念して、昨年、「仕掛人・藤枝梅安」が豊川悦司主演で映画化され、今年(2024年)は、鬼平犯科帳が映画化され、池波ファンとしてはとても嬉しく、さっそく観に行きました。「藤枝梅安」には及ばないものの、今回も本格時代劇で見応えがありました。

平蔵と密偵となる「おまさ」の二人を中心とした物語で、捕物劇であるとともに、二人の若い頃と現在が描かれている人間ドラマでもあり、原作を元にした脚本がよく出来ています。おまさを演じた中村ゆりさんが好演しているのを始め、女優陣が揃っていました。

セットも丁寧に作ってあり、居酒屋のシーンなどが良かった。残念だったのは、音楽がつまらないことで、特に殺陣(チャンバラ)シーンとなると盛大な音量でそれらしい音楽が鳴るのには閉口しました。静かな殺陣のシーンがあってもいいような気がします。

(以下、映画のシーンから)

おまさ(中村ゆり)と長谷川平蔵(松本幸四郎)

左から相模の彦十(日野正平)、長谷川平蔵、木村忠吾(浅利陽介)

平蔵と同心たち。

殺陣のシーン

【公式サイトへのリンク】

劇場版『鬼平犯科帳 血闘』公式サイト|『鬼平犯科帳』SEASON1 |池波正太郎 生誕100年企画 (onihei-hankacho.com)


映画「オスカー・ピーターソン」を観ました。(3月9日 上田映劇)

2024-03-11 19:30:00 | 映画・DVD・テレビ

映画「オスカー・ピーターソン」が、長野県上田市の映劇で、上映されたので、観ました。

   

チラシ表。

   

チラシ裏

(オスカー・ピーターソンの略歴など)

(あらすじ)

数々の名盤や来日公演で日本でも知られている、カナダのジャズピアニスト、オスカー・ピーターソンの波乱万丈な人生と音楽にスポットを当てたドキュメンタリー映画。
演奏の光景とともに本人、妻へのインタビュー、影響を受けたミュージシャンの証言などで構成。順風満帆に見えた彼の音楽人生ですが、人種差別と戦い、1962年に作曲した「自由への賛歌」は公民権運動を象徴する曲の一つとなっている。93年には脳梗塞を発症し、演奏は絶望的かと思われたが、奇跡の復活を遂げ、2004年には来日を果たした。

(監督、主な出演者など)

監督:バリー・アヴリッチ

出演:オスカー・ピーターソン、ビリー・ジョエル、クインシー・ジョーンズ、ラムゼイ・ルイス、ハービー・ハンコック、ブランフォード・マルサリス、ジョン・パティスティ、ケリー・ピーターソン(妻)他。

(感想など)

オスカー・ピーターソンは、生地のカナダで尊敬されていて、彼を称える記念日や学校、貨幣があるということを初めて知り、この映画がカナダで企画されたことに納得がいきました。僕は、来日公演は聴いていませんが、「Night Train」や「Plyas Frank Sinatra」といった名盤で彼の音楽に親しんできたので、この映画も身近に感じました。

彼の生涯を時系列で描いているので、全体に理解しやすく、ピーターソンの演奏について、様々な角度から撮影された映像が用いられていて、超絶技巧がわかる点も良かった。また、彼が音楽だけでなく、黒人に対する差別や脳卒中からのリハビリに対し、不屈の精神で臨んでいた姿勢には、感銘を受けました。

この映画を観て、ノーマン・グランツに対する見方が変わりました。大量録音のレコード会社オーナーとしか認識していなかったのですが、JATPを立ち上げ、酒場の音楽だったジャズを舞台にあげ鑑賞音楽とし、人種差別と戦ってもいます。ピーターソンを含むJATPのメンバーがバスで移動していく場面がとても印象に残りました。

(注)JATPとは、Jazz at the Philharmonicの略で、1944年のちのVerveレコードの創始者となった、ノーマン・グランツがスタートさせたジャズの興行のこと。数組の演奏者が、コンサート形式でジャズを演奏し、録音が行われレコードも発売。

【公式サイト】

映画『オスカー・ピーターソン』 (oscarpetersonmovie.com)

予告編も見ることができます。

【上田映劇】

住所:長野県上田市中央2-12-30
電話:0268-22-0269
ホームページ: 上田映劇 – 長野県上田市で100年の歴史を誇る老舗劇場。上田映劇のホームページ。 (uedaeigeki.com)

外観

映画「オスカー・ピーターソン」と映画「ロイ・ハーグローヴ 人生最後の音楽の旅」のポスター。上田映劇では、この2作を3月21日まで上映。15日からは、近くの別会場で上映されます。

上田映劇入口。


TVドラマ「さよならマエストロ」と、時代劇「三屋清左衛門残日録」(DVD)を観ました。面白い。

2024-02-15 19:30:00 | 映画・DVD・テレビ

先の連休中に、録りためてあったテレビドラマ「さよならマエストロ」と借りてきた時代劇DVD「三屋清左衛門残日録」を観ました。

TBSテレビ日曜劇場「さよならマエストロ」

(あらすじ)

夏目俊平(西島秀俊)は、ヨーロッパで活躍する天才指揮者だったが、ある事件のため、家族が離れ、指揮活動からも遠ざかる。そんな父を拒絶し音楽を嫌う娘(芦田愛菜演ずる夏目響)がアマチュアの地方オーケストラを通して失った音楽への情熱を取り戻し、親子の絆と人生を再生させていく物語。

(スタッフ、出演)

脚本:大島里美
撮影監督:神田創
音楽:菅野裕悟  音楽監修:広上淳一(東京音楽大学)
出演:西島秀俊、芦田愛菜、宮沢氷魚、石田ゆり子、玉山鉄二、西田敏行、新木優子、當真あみ、久間田琳加

(感 想)

一家の自宅がある街の廃団寸前のオーケストラの指揮者となって、そのオケを指導する父とその娘の親子の物語を軸に展開するドラマです。クラシックを扱ったドラマや映画は、主人公の音楽面の成長物語が主ですが、本作は、家族に焦点を当てたところがフレッシュ。

ドラマ中に流れる曲は、ベートーヴェンの「運命」などよく知られたもので、第5話では、歌カフェでジャズも演奏されます。指揮者の広上淳一さんが音楽監修を行っていて、ドラマ中「ベートーヴェン先生」と『先生』をつけて夏目俊平が呼ぶのは、広上さんの指導(影響)でしょう。

西島秀俊や西田敏行など男優陣もよいのですが、女優陣が魅力的です。難しい役をクールにこなしている芦田愛菜、お母さん役の石田ゆり子の品の良さ、大学生兼ティンパニ奏者の久間田琳加のナイーヴさ、天真爛漫ながら意思の強さも出している當真あみ、と記憶に残ります。

次回(第6話)からも楽しみです。

【番組のホームページ】

じめに|TBSテレビ 日曜劇場『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』

(初回の画面から)

夏目響(芦田愛菜)と谷崎天音(當真あみ)

夏目俊平指揮する晴見フィルの演奏会。お客様が入らずガラガラです。演奏したのは、ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」。

夏目俊平(西島秀俊)と晴見フィルの団長でファゴット奏者の古谷悟史(玉山鉄二)。

指揮者志望の谷崎天音(當真あみ)

ディンパニ奏者の内村菜々(久間田琳加)

妻でお母さん役の夏目志帆(石田ゆり子)

うたカフェ二朗の店主の小林二朗(西田敏行)

 

【ドラマ 三屋清左衛門残日録】

(あらすじ)

東北の小藩で前藩主の用人を務めた三屋清左衛門(北大路欣也)は家督を息子にゆずり、隠居の身。自ら望んでの隠居であったはずが、寂寞感が襲う。そんな寂寥の日々もつかの間、親友の町奉行・佐伯熊太(伊東四朗)から種々の事件が舞い込んでくる。事件解決に奔走するが、藩を二分する政争に巻き込まれていく。

(スタッフ、出演)

原作:藤沢周平
監督:山下智彦
脚本:ちゃき克彰
出演:北大路欣也、優香、渡辺大、中村敦夫、麻生祐未、伊藤四郎
公開年:2016年

(感 想)

藤沢周平の書いた原作は、昔読んだことがありますが、映像化されたDVDがレンタル店の新作コーナーに並んでいたので第1作を借りてきました。最近、BSフジや時代劇専門チャンネルで三屋清左衛門残日録シリーズが放映されていて、DVDも新たに発売されたようです。

シリーズは第7作目まであるようですが、第1作を観たところでは、かなり原作に忠実で、好感が持てました。隠居という身分ですが、主人公の三屋清左衛門が活躍し、サスペンスの要素や剣術場面もあって、意外に動きもあり、飽きません。

北大路欣也と伊東四朗というベテラン俳優がさすがで、小料理屋でお酒を飲んだり、密談をする場面など見事なものです。また、お料理もいろいろ出てきて、池波正太郎の小説を想わせるところもありました。続編も観たい作品です。

【番組のホームページ】

三屋清左衛門残日録|365日時代劇だけを放送する唯一のチャンネル時代劇専門チャンネル (jidaigeki.com)

(画面から)

隠居部屋。庭もあって、申し分ないくらいの住居のように見えます。

三屋清左衛門(北大路欣也)。何かしら事件に巻き込まれていきます。

佐伯熊太(伊東四朗)。役柄にピッタリの配役です。

小料理屋「涌井」における飲み会場面。

DVDが面白かったので、原作(文春文庫)を購入して再読しました。

   

裏表紙にある本書の紹介

    

   


映画「ファースト・カウ」を観ました。(1月30日 上田映劇)

2024-01-31 19:30:00 | 映画・DVD・テレビ

映画「ファースト・カウ」を観に行きました。

   

チラシ表

(あらすじ)

西部開拓時代のオレゴン州。アメリカンドリームを求めて未開の地へ移住した料理人クッキーと中国人移民キング・ルーは意気投合し、ある大胆な計画を思いつく。それは、この地に初めてやってきた“富の象徴”である一頭しかいない牛からミルクを盗み、ドーナツをつくって一獲千金を狙うというビジネスだった。

(スタッフ、出演)

監督:ケリー・カイラート
脚本:ジョナサン・レイモンド、ケリー・カイラート
ジョン・マガロ(クッキー)、オリオン・リー(キング・ルー)、トビー・ジョーンズ(仲買商)

(感 想)

チラシの裏を読むと、何人かの映画監督が褒めている映画ですが、僕には、難しい映画でした。牛からミルクを盗んでいるところを見つかり、二人は逃亡するのですが、また同じ場所に戻ってきて、後をつけられて、眠っているところを殺害されてしまうので、粗筋もなんだか。

隠してあるお金を取りに戻ってきた中国人移民キング・ルーの行動は、まだわかるのですが、なぜ、料理人クッキーが戻ってきたのか意味不明。二人の友情物語だとチラシには書いてありますが、犯罪の共犯なのだから、どうなのかと。

この映画は、窃盗という悪いことをすれば、あとで罰せられるという、教訓映画かもしれません。最初に骸骨が出てくるシーンは、まさにそれを象徴している気がしました。また、全体にテンポが遅い映画でしたが、川の風景など映像は美しかったです。

チラシ裏。

【ファースト・カウ・オフィシャルサイト】

映画『ファースト・カウ』オフィシャルサイト (firstcow.jp)


映画「ロイ・ハーグローヴ 人生最期の音楽の旅」を観ました。(12月8日 TOHOシネマズ すすきの)

2023-12-14 19:30:00 | 映画・DVD・テレビ

札幌旅行中の12月8日に、TOHOシネマズで、映画「HARGROVE」を観ました。まだ長野県内では上映がないものなので、よい機会でした。

   

パンフレットの表紙

(あらすじ)

2018年に49歳で急逝したジャズ・トランペッター、ロイ・ハーグローヴの人生最期の夏に密着したドキュメンタリー。1969年にテキサス州で生まれたロイ・ハーグローヴは、10代でプロデビューし、ジャズの伝統を受け継いだ演奏で瞬く間にシーンの寵児となり、その後、ジャズの伝統を守りつつ、R&Bやヒップホップにも影響を与えた。

華やかなキャリアの裏で病と隣り合わせの生涯を送った彼の、人生最期となった2018年夏のヨーロッパツアーに密着。ステージで命を燃やすようにトランペットを演奏する姿を映し出すとともに、ロイ本人や彼の音楽仲間たちによる証言を収録。

(監督、主な出演者など)

監督:エリアン・アンリ

出演:ロイ・ハーグローヴ、エリカ・バドゥ、ハービー・ハンコック、クエストラヴ、ソニー・ロリンズ、ウィントン・マルサリス、ヤシーン・ベイ。
ロイ・ハーグローヴ・クインテット:アミーン・サリーム、ジャスティン・ロビンソン、エヴァン・シャーマン、海野雅威

(感想など)

素晴らしい映画で感動しました。それは、主人公であるロイ・ハーグローヴ本人のインタビューや密着した映像により、彼の音楽、生活、仕事、趣味(ファッションなど)が赤裸々に描かれているからです。監督のエリアン・アンリが、ロイと親密な仲だったので、撮れたものに違いありません。

最も感激したのは、ロイが若手に教えて、スタンダード・ナンバーの演奏については、歌詞を知ることが大切だと語っている場面です。海野雅威さんも『ロイは歌詞を知らない曲は、いくらコードやメロディを知っていても演奏することはありませんでした」とパンフレット中で述べています。ロイの演奏するスタンダード曲をたくさん聴きたくなりました。

残念だったのは、ロイのマネージャーや関連団体からの横やりが入ったようで、ヨーロッパツアーのライブを全て撮影禁止にするなど、グループでの演奏場面がほとんどなかったことです。映画にも登場していますが、マネージャーは悪辣の方のように見受けました。

(参考)映画『ロイ・ハーグローヴ 人生最期の音楽の旅』予告編:11/17(金)公開 (youtube.com)

(パンフレットから)

   

窓際に座って吹いている場面。最後に流れたのは、「Say It」でした。

   

ロイ・ハーグローヴ・グループのレギュラー・ピアニストだった海野雅威さんが、パンフレット内でインタビューを受けていて、その中で、『(ロイのバンドは)リハーサルも譜面もセットリストも一切ないバンド』と述べています。初めて僕は知りましたが、これはすごい。本当に有能な人しかついていけないですね。

紹介されているロイ・ハーグローヴのアルバム。

こちらも紹介されているロイ・ハーグローヴのアルバム。「ディレクションズ・イン・ミュージック」と「エマ―ジェンス」は持っています。スタンダード曲が入っているものを探して聴いてみたいと思います。