何を言われても「いいえ」と言わない、「あなたの道を進みなさい。他人には勝手なことを言わせておけばいい」というダンテの言葉をだいじにする立派な人がいます。
この言葉の後半を実行しても、前半をそうしなければ、言わせておく意味がまったく違ってきます。
そこで「あなたの道」を進まなかったら、あるいはそこに「あなたの道」がなかったら、言わせておくだけの無為無抵抗に終わります。
相手のことを自分と呼び、変幻自在な人称名詞の使い方をする日本語では、「あなたの道」の「あなた」は、この言葉を聞いている人ではないという、おかしな解釈さえできてしまうかもしれません。