Are Core Hire Hare ~アレコレヒレハレ~

自作のweb漫画、長編小説、音楽、随想、米ラジオ番組『Coast to Coast AM』の紹介など

悪のメディア

2014-07-16 23:19:51 | コラム

取材された難病少年も静かな怒り、日本の海外ロケの無茶(WEBRONZAの記事より)

北野武さんがバイク事故の入院中に描いた絵の中に、こんなものがあったのを覚えています。
構図は飛び降りをしようとしている人の視点で、遙か下から大勢の人がその様子を見上げています。
消防隊員や野次馬のほか、テレビクルーがカメラを構えていたのがいたのが印象的でした。

その中に、本当に心配している人はどれ解いたのでしょうか?
特にテレビクルーが何を待ち構えてカメラを持っているのかは明らかです。

その後、北野武さんが母親を亡くされて、その葬儀を終えた後のインタビューの場でのことです。
女性リポーターが猫なで声で武さんに同情するフリをして、必死に泣かそうとしているのが分かりました。
僕は「こうしたテレビの悪意にはつられないだろう」と先述の絵を思い出しました。
しかし、やはり悲しみが先に立ってしまい、カメラの前で泣き崩れてしまいました。

ちょうど3.11の東日本大震災があった直後のことです。
震災後何日も家の中に閉じ込められた男性のお年寄りが救助された現場にテレビが中継が入っていました。

局のアナウンサーが「本当に辛かったでしょうね。大変でしたね」とわざとらしい口調で聞きます。
老人の涙の絵が欲しいのは、観てる人ならだれにでも伝わる露骨さでした。

しかし、老人は彼の思惑など物ともしない様子で明るくこう言いました。
「また立て直しましょう」

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※web小説‐伝承軌道上の恋の歌‐初めから

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