NPO法人という「お墨付き」を悪用するケースが増えている。
16日も「やまびこ会」なる怪しげな組織が、NPO法人を隠れ蓑に金集めをしていた事が判明した。このグループは、ダイオキシンが出ない焼却機を開発したとして、広く投資を呼びかけ、これまでに分かっているだけでも20億円の金を集めたという。まあ、この種の“投資”は何度も問題になってきたから、「だまされる方も悪い」という声もあるが、だます方はその道のプロである。手を変え品を変え欺こうとする。今回の場合も、「お上からのお墨付き(認証)」をもらったNPO法人が、環境問題や福祉活動のために資金が必要と言われて、多くの高齢者は「人のためになってお金が儲かるのなら」と言葉巧みに出資させられてしまったと考えられる。
実を言うとこの種の悪徳NPO法人がこのところ続々と誕生している。2001年には1,956件であった認証法人の数が、2005年5月末では10倍以上の21,996に急増した。認証数が増えること自体は、表面的に何ら問題はないが、実態を知ると、とても危険な要素を含んでいる事が分かる。認証を受けたNPO法人の少なくない数の団体が、NPOとは名ばかりで、犯罪や犯罪すれすれの活動を行なっていると見られているのだ。やまびこ会のケースはあくまでも「氷山の一角」で、例えば、国際交流を目的としたNPOを立ち上げて、“ヴォランティア”を募り、応じてきた若者達を言葉巧みに入会させる英会話学校などもある。ヤクザや右翼の世界でも最近はNPO法人を悪用しているとの噂がある。首都圏のある県でも、これまでに認証取り消しが2件(認証件数:663)あり、その内1件は、暴力団の支配下にある組織であることが判明したためだと言う。
実を言うと、このNPO法、阪神大震災におけるヴォランティア活動の盛り上がりに押されるようにして実現したものだが、当時からヴォランティアやNPOの世界にいる専門家の一部からは、新法の内容を不安視する声が強かった。私自身も自治体のその種の委員会のメンバーであったりした事もあり、委員会や勉強会で持論を述べたが、「NPO法先にありき」の壁を破ることはできなかった。つまり、「法律は不備があるかもしれないけど、とにかく作って、それで都合が悪いところが見つかれば修正しよう」と叫ぶ一部の声の大きい国会議員に押し切られた形になったのだ。
そして、不安は現実のものとなった。この世界においてNPO法人の認証が、まるで「水戸黄門の印籠」のような威力を見せ、市民の間には「NPO法人にあらずんば、ヴォランティアにあらず」のような意識さえ生まれてしまい、ヴォランティア・グループが次々に申請した。NPO法人にこだわらない私たちのようなグループは、どこか“村八分”にされた気分にさせられることも少なくない。
「ゆるい認証に比して、大きいメリット」に目を付けたのが、「生き馬の目を抜く」世界の連中である。数年前に会ったある県の担当者が、「最近変な人たちが申請に来るんですよ」と言っていたが、今になって問題が顕在化してきたのだ。
「お上のお墨付きを求める」ヴォランティアやNPO、そして「お墨付きで縛る」行政、さらにそこへ「お墨付きがあれば疑わずに信用してしまう」市民…それら三者全てにこのようなザル法を作った責任がある。ここで一度立ち止まり、法律の根本的な見直しをすべきではなかろうか。さもなくば、今後ますます重要性を増すNPOの立場が根底から覆される深刻な事態を招くことになるだろう。
16日も「やまびこ会」なる怪しげな組織が、NPO法人を隠れ蓑に金集めをしていた事が判明した。このグループは、ダイオキシンが出ない焼却機を開発したとして、広く投資を呼びかけ、これまでに分かっているだけでも20億円の金を集めたという。まあ、この種の“投資”は何度も問題になってきたから、「だまされる方も悪い」という声もあるが、だます方はその道のプロである。手を変え品を変え欺こうとする。今回の場合も、「お上からのお墨付き(認証)」をもらったNPO法人が、環境問題や福祉活動のために資金が必要と言われて、多くの高齢者は「人のためになってお金が儲かるのなら」と言葉巧みに出資させられてしまったと考えられる。
実を言うとこの種の悪徳NPO法人がこのところ続々と誕生している。2001年には1,956件であった認証法人の数が、2005年5月末では10倍以上の21,996に急増した。認証数が増えること自体は、表面的に何ら問題はないが、実態を知ると、とても危険な要素を含んでいる事が分かる。認証を受けたNPO法人の少なくない数の団体が、NPOとは名ばかりで、犯罪や犯罪すれすれの活動を行なっていると見られているのだ。やまびこ会のケースはあくまでも「氷山の一角」で、例えば、国際交流を目的としたNPOを立ち上げて、“ヴォランティア”を募り、応じてきた若者達を言葉巧みに入会させる英会話学校などもある。ヤクザや右翼の世界でも最近はNPO法人を悪用しているとの噂がある。首都圏のある県でも、これまでに認証取り消しが2件(認証件数:663)あり、その内1件は、暴力団の支配下にある組織であることが判明したためだと言う。
実を言うと、このNPO法、阪神大震災におけるヴォランティア活動の盛り上がりに押されるようにして実現したものだが、当時からヴォランティアやNPOの世界にいる専門家の一部からは、新法の内容を不安視する声が強かった。私自身も自治体のその種の委員会のメンバーであったりした事もあり、委員会や勉強会で持論を述べたが、「NPO法先にありき」の壁を破ることはできなかった。つまり、「法律は不備があるかもしれないけど、とにかく作って、それで都合が悪いところが見つかれば修正しよう」と叫ぶ一部の声の大きい国会議員に押し切られた形になったのだ。
そして、不安は現実のものとなった。この世界においてNPO法人の認証が、まるで「水戸黄門の印籠」のような威力を見せ、市民の間には「NPO法人にあらずんば、ヴォランティアにあらず」のような意識さえ生まれてしまい、ヴォランティア・グループが次々に申請した。NPO法人にこだわらない私たちのようなグループは、どこか“村八分”にされた気分にさせられることも少なくない。
「ゆるい認証に比して、大きいメリット」に目を付けたのが、「生き馬の目を抜く」世界の連中である。数年前に会ったある県の担当者が、「最近変な人たちが申請に来るんですよ」と言っていたが、今になって問題が顕在化してきたのだ。
「お上のお墨付きを求める」ヴォランティアやNPO、そして「お墨付きで縛る」行政、さらにそこへ「お墨付きがあれば疑わずに信用してしまう」市民…それら三者全てにこのようなザル法を作った責任がある。ここで一度立ち止まり、法律の根本的な見直しをすべきではなかろうか。さもなくば、今後ますます重要性を増すNPOの立場が根底から覆される深刻な事態を招くことになるだろう。