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日々の出来事から国際情勢まで一刀両断、鋭く斬っていきます。コメントは承認制です。但し、返事は致しませんのでご了承下さい。

私の視点 露力士の解雇に疑問

2008-09-10 07:16:26 | Weblog
 ロシア人力士二人の解雇が決まった。しかしながら、その決定にマスコミから疑問の声が上がる気配はない。それどころか、二人への風当たりは強まるばかりだ

 一体マスコミはどうしてしまったのだろう。前回指摘したように簡易検査の結果だけで実名を公表したり、「大麻汚染」が事実なら解雇も当然といった論調を展開して「世論」に仕立て上げるやり方は報道機関にあるまじき行為だ。

 結果的に精密検査が“クロ”であったから、また二人に吸引歴があったのだからマスコミの取上げ方が正しかったとする向きもあるかもしれないが、私はその結果がどうであれ、あのような状況で実名報道をするべきではないと考える。

 また、どの報道機関もあまり触れていないが、二人が吸引したという薬物の何たるか、それに加えてその薬物使用の「悪のレヴェル」の検証をするべきではないのか。読者の松永さんがコメント欄に「大麻とは何か」と題する一文を紹介されているのでお読みいただきたいが、日本では大麻の何たるかが理解されていない。

 英国を例にとって見たい。大麻は確かに彼の地でも薬物の一種とされているが、Home Office(内務省)のホーム・ペイジを見てもトランキライザーや鎮痛剤と同等の一番低い扱い(Cランク。Aランクにはヘロインやコケイン、Bランクにはアンフェタミンなどの合成覚醒剤が入っている)だ。

 アンフェタミンなどは、軍隊がパイロットなどに「疲労抑制」や「長時間の緊張の継続」を目的として使われる薬剤だ。

 Cランクの薬剤に関しては、公に服用が認められるわけではないが、それだけで逮捕に至ることはほとんど考えられない。大麻の吸引に関しては、公式の調査ではないが、一般的に少なくとも英国民の20人に1人は経験していると言われている。有名スポーツ選手の多くが愛用しているとも言われる。

 だからといって私はもちろん大麻の使用を奨励したり、吸引した行為に目をつぶれと言っているのではない。以前に起きた「相撲部屋殺人事件」のような大罪と同系列に置いて解雇というのはひどすぎると言いたいのだ。

 しかも、露力士たちが大麻使用に関わる日本の法律とそれに伴う罰則をきちんと説明されていたのならまだしも、そのような教育もきちんと受けていなかったというではないか。少なくとも新弟子の時に強制的に半年間通わされる「相撲教習所」でその種の教育を受けているかと思ったが、私の調べた限りではそのような形跡はない。

 事の深刻さを力士たちに理解させる努力を怠った責任は相撲協会になかったか。私はその点を問い質したい。

 繰り返して言うが、大麻吸引はヨーロッパの人たちの感覚では罪の意識の薄い犯罪である。それを起こしたからといって、しかも初犯である、いきなり解雇するやり方は、人権問題でもあると私は考える。

 世論、いやマスコミの目を気にする余り、相撲協会は先に逮捕された若ノ鵬(起訴猶予で釈放された)を含む3人の露力士を解雇処分にしたと思うが、こんなやり口は自分たちの弟子の教育の失敗やこれまでに噴出してきた相撲界への不満を彼らに押し付けているだけだ。

 マスコミは、露力士3人を一種のスケイプ・ゴウト(贖罪のヤギ)にして本質から目を逸らさせて一連の不祥事に幕を引こうとしている相撲協会に手を貸すことを直ちにやめるべきだ。
 

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1 コメント

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Unknown (名無しさん)
2008-09-12 00:00:31
こう言ってはなんですが、彼らはマスコミのせいでやめさせられたようなモンですね。
相撲協会の言う解雇理由も、「大麻を吸引したから」ではなく「世間を騒がせたから」だったと思います。「行為それ自体」の是非ではなく「その行為に対する周りの反応」が一番重要な判断/価値基準になるという、ごく日本的な事例です。
この事件の場合「世間」とは「マスコミ」なわけですが、つまり、面子や外見、外からの評価が重要な業界にいる人や組織は、マスコミが意図的に騒ぐだけで簡単潰せるということになるわけだ。まあ実際そういったことはいくらでもあるわけですが。
そういう意味でマスメディアはある意味第一勢力ともいえるわけで、それに関わる人間はそれを自覚して開き直ってやっているんでしょうが、ぶっちゃけ時々何様のつもりだと言いたくなります。
とはいえ、本当のことを言えば、責は我々国民にあると思います。マスメディアなんて上に上げた外からの評価が重要な業界の最たるものだと思いますが、ということは、国民の多くが「何様のつもりだ」と言い、かつ実際に彼らを利さない方向へと行動をとれば、メディアの横暴をある程度自重させることが出来るはずだと思います。しかしそれが出来ないのは、国民がメディアの行動に対して無神経、無気力だからなんだな・・・と。

外国人力士への教育や人権問題云々は、それはちょっとどうかな・・・と思います。
(始めに言っておきますが、自分は大麻合法化すべきと考えています)
というのも、今の日本において大麻は酒煙草と一線を画す「とてもイケナイもの」として全くあたりまえに扱われているのが現実であり、例えばそれは、日本人は土足で家に上がらないというのと同じレベルの「あたりまえ」にすでになってしまっていると思うからです。
自分は、仮にも自分から日本に来て、それも日本の伝統文化に関わって食っていこうとする連中は、それくらいの「あたりまえ」は事前に下調べをして、当然のように知っておくべきだと思うからです。それすらできない連中など、はっきり言ってこっちからお断りです。
フリーズを知らずに銃社会のアメリカに行って撃ち殺されても文句が言えないようなものです。
だから、外人への教育義務云々はおかしいと思います。問題があるとしたら、監督責任くらいでしょうか。
突然解雇の人権問題については、これは結果的に業界の威信を貶めたための解雇だと思われるので、それに対して行為自体は外国ではそんな悪くないからという立場での文句のつけ方はおかしいと思います。

以上、長文失礼しました
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