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日本財団の光と影

2005-06-21 13:33:31 | Weblog
 昨日の朝日新聞朝刊と福祉新聞に「日本財団」の全面広告が掲載された。今後読売、毎日の全国紙や3つブロック(地方)紙に掲載予定であるという。その広告の内容は、ここ10年の活動と昨年度の収支決算報告などである。
 これを見た人の多くは、「日本財団ってしっかりしているし、頼りになる」と思われてしまうかもしれない。また現実にこの財団の評価は低くはない。いや、NPO(ヴォランティア)の世界ではかなり高い。しかし、この財団の内情はそんなにきれい事ではかれるほど簡単なものではないのだ。これこそ、私が今、日本に広めようとしている「メディア・リテラシー」を使えば、きちんと情報を読める好例なので取り上げてみた。
 まず、皆さん驚かれるだろうが、日本財団として知られるこの組織、実はお役所の登記簿上にはその名がない。登記簿上は長らく使われてきた「日本船舶振興会」が正式名称のままだが、どうもそれではギャンブルや創始者笹川良一(右翼の大物で今話題の戦犯にもなった)のイメージが強いからと、“ヴォランティア・ブーム”に便乗して日本財団にすりかえられている(会長も作家の曽野綾子)のだが、なぜか登記簿に変更はない。
 日本財団は、全国に24ヶ所ある(国土交通省資料より)競艇場の総元締めである。同資料によると、2002年度の総売上金は約1兆2千億円。バブル景気の頃に比べれば、売上は半減したし、JRA(日本中央競馬会)の3兆円に比べても、その規模は少ないが、それでもいわゆる「1兆円産業」だ。
 「ギャンブルって刑法上違法でしょ?」と言われることもある。それは誤解だ、と言いたいところだが、確かに違法である。だが、そこはそれ「あいまい文化」のニッポンだ。ここでその伝統を使わぬ手はないとばかりに作られた抜け道が、公益事業の振興や地方財政への貢献だ。その2つを前面に押し出して公営ギャンブルは大手を振ってまかり通ってきた。バブル景気に湧いた80年代終わりから90年代初めは、「公営ギャンブル花盛り」。特に競艇の売上は急増して、年間売り上げも2兆円を超えた。地方自治体に納められた「分け前」は年間約1800億円(売上の8%)に上ったという。ところが、そんな現象はバブルそのもの。長く続くはずはなく、売上が半減した。すると、上納金は最盛期の1割以下になり、今や100数十億円に激減。その売上に占める割合も1.5%に満たないとのことだ。
 「それでもまだ社会に貢献しているからいいじゃないか」と言う声が聞こえてくる。果たしてそうなのか。さあ、ここからが今日の本題だ。
 確かに、100数十億円が地方行政に使われ、日本財団を通して社会貢献しているからいいではないか、と表面に現れている情報や数字だけを見ればそういった考えも説得力を持つように見える。
 公営ギャンブルは、ご存知の方もあろうが、売上金の25%を政府や地方自治体(競艇は除く)の運営する胴元がフトコロに入れ、残りの75%をギャンブラー達が分け合う構図だ。だから理知的な御仁からすれば、「先ず2割5分引かれているんだ。勝てるわけがない。ばっかじゃないの」と理解不能の世界に入るのだが、「自分こそは」と勘違いしているギャンブラー(実は恥ずかしながらワタクシも額は少ないがニンジン購入に貢献する1人)は夢を追いかけるのだ。
 もちろん胴元がフトコロに入れると言ってもすべてが収入になるわけではない。関係者への賞金や従業員の賃金を含めた運営費が必要だ。それを払っても胴元にはまだ多額の利益が残る。そこからJRAは約10%を国庫に入れているが、他のギャンブルの「社会還元」はと調べてみると、「競艇が日本船舶振興会へ3.3%、モーターボート競走会へ1.2%、公営企業金融公庫へ1.1%で計5.6%。競輪が日本自転車振興会へ3.7%、自転車競技会へ1.6%、公営企業金融公庫に1.1%で計6.4% 」と思いの外低率なのだ。ただ、ここではその率の高低を論ずるつもりはない。
 「競艇を除いて」と書いたが、これが問題で、他の公営ギャンブルが行政が作った「特殊法人」によって運営されているのに比べ、競艇だけが、笹川ファミリーの私物化が問題にされる「特殊法人日本船舶振興会(日本財団)」によってすべてを抱えられてしまっている。財政面も「全てガラス張り」としているが、売上の20%を占める開催経費への疑惑は絶えず囁かれているし、また、日本財団に振り込まれる年間300数十億円(総売上の3.3%)の使われ方に関してもよからぬ噂が絶えないのが現状だ。
 競艇に絡む疑惑の根本的な問題は、日本船舶振興会に競艇バクチの運営を許したことに行き着く。戦後のどさくさの中、右翼の影響力をバックに競艇事業をやる笹川良一グループに政府が手を出せなかったというのが真相だが、その後、幾度か運輸省(現国土交通省)がその権利を取り上げようとしたり、カネの動きにメスを入れようとしたが、笹川氏に首根っこをつかまれている有力政治家が間に割って入るなどして圧力をかけ、実現しなかったと言われる。
 そこへ小泉政権が始めた「行政改革」が目を付けた。1兆円産業を特殊法人「日本船舶振興会(日本財団)に握らしておくのはおかしいと今のところは元気のいい言葉が聞こえてくる。これについては内閣官房行政改革推進事務局のホームページを参照されることをお勧めするが、今のところは、行政改革推進本部と国土交通省とで手を組み、「組織見直し」と題して「日本船舶振興会の予算、事業計画等について公益目的確保の観点から毎年国が必要な関与を行うことが重要」とする意見書を出している。
 予定ではこの行革、来春には実施されそうな感じなのだが、私の見たところ、そういったお役所の動きを牽制して日本財団が、マスコミを使ったりしてイメージアップ・キャンペーンに乗り出したようだ。連日の各紙で掲載される全面広告もその一環であろう。これからもこの手のキャンペーンは続けられるはずだ。また、被災地など目立つ場所での活動も積極的に行なっていくと思われる。
 今やヴォランティアの世界では、日本財団はその金払いのよさでは定評あり、多くの組織が熱い視線を送ってギャンブルの“おこぼれ”を頂戴しようと期待をする大きな存在だが、それとて“たった”10億円(国内の活動に対して)のカネを使っているに過ぎない。
 日本財団の生い立ちや基本的な姿勢を知らぬままにこれまで同財団から助成金を受け取ってきた「平和や環境を標榜」する団体の皆さん、今一度この辺りで立ち止まって考えてみていただきたい。日本財団は決してあなた達が考えているような“心うるわしき”組織ではない。助成金を受け取る前にそれが何を意味するか仲間ときちんと話し合って欲しい。あなたたちが日本財団から支援を受ける事が、日本財団の社会的地位を向上させていること、そして、競艇の私物化を手助けしていることにつながるということを知るべきである。
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賭博と税と保険 (鏡 豊)
2005-07-07 20:11:48
 はじめまして

 スイス憲法は、第160条で賭博を扱ってます。

1 賭博および富籤に関する立法は、連邦の管轄事項である。

2 賭博場の開設と経営については、連邦の許可を必要とする。連邦は、許可を付与するにあたっては、地域的条件および賭博のもたらす危険に配慮する。

3 連邦は、賭博場の収入に対し、掛け金からの純収入の80パーセントを超えない範囲で税を徴収する。この税は老齢者保険、生命保険、傷害保険への連邦の支出をカバーするために使用する。

4 熟練を要し、金銭の儲けを生み出す賭博機の許可は、カントンの権限である。



 「賭け事」と人間との切っても切れないつながりを率直に認め、賭け事に費やす資金を持っている人々の金を退蔵させずに、人々の生活支援に循環させる。米国型の株式市場に資金が流出することは国民一般にとっては公開、公然の博打よりもマイナスが大きい可能性がある。

 憲法に「賭博」を明記することが、官僚によるタカリを防ぐことにも役立つと思えます。

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